映画「国宝」を作り上げたスタッフまとめ 邦画実写歴代興収No.1の偉業を達成
2026年1月20日 19:00

歴代興行収入ランキング邦画実写部門No.1の記録を22年ぶりに塗り替える偉業を達成し、社会現象となった映画「国宝」(公開中)。映画が完成するまでには、数えきれないほどのスタッフが心血を注いでいるが、本作スタッフはどのようなキャリアを経て製作に参加し、どのように映画を観たのか。本記事では、これまでのイベントなどから拾った声も交え、その一部を紹介する。
■監督:李相日

1974年生まれ。大学卒業後に日本映画学校(現:日本映画大学)で学ぶ。卒業制作で撮りあげた「青・chong」(99)でPFF(ぴあフィルムフェスティバル)のグランプリを含む4つの賞を受賞、スカラシップ作品「BORDER LINE」(02)で劇場デビューを果たし、新藤兼人賞金賞を受賞。その後、村上龍の自伝的小説を宮藤官九郎の脚本で映画化した「69 sixty nine」(04)の監督に抜擢された。
常盤ハワイアンセンターでの実話を元にした「フラガール」(06)は、その年の国内の映画賞を総なめにした。近年の作品に「悪人」(10)、「許されざる者」(13)、「怒り」(16)、「流浪の月」(22)など。本作で、22年ぶりに歴代興行収入ランキング邦画実写部門の記録を塗り替えるという歴史的快挙を果たした。
■原作:吉田修一
1968年生まれ。1997年に「息子」で文学界新人賞を受賞し、デビュー。2002年には「パレード」で山本周五郎賞、「パーク・ライフ」で芥川賞を受賞。「悪人」(07)で大佛次郎賞などを受賞、「横道世之介」(10)で柴田錬三郎賞を受賞。2016年より芥川賞選考委員を務めている。
2017年から2018年にかけて朝日新聞で連載された「国宝」は、吉田氏自身が3年間にわたり歌舞伎の黒衣をまとい、楽屋に入った経験を血肉にして書き上げた渾身の作品。作家生活20周年記念作として、4年の歳月をかけて仕上げた上下巻800ページを超える大作で、2019年に芸術選奨文部科学大臣賞、中央公論文芸賞をダブル受賞。その累計発行部数は200万部を突破している(2025年10月末時点)。なお、吉田が李監督に原作を提供したのは、「悪人」「怒り」に続き本作が3作目となったが、吉田は完成した映画を「100年に一本の壮大な芸道映画」と絶賛している。
現在、日経新聞で恋愛小説「タイム・アフター・タイム」を連載中。

■脚本:奥寺佐渡子
1993年、相米慎二監督の「お引越し」で脚本家デビュー。脚色を手掛けた「学校の怪談」(95)で日本アカデミー賞優秀脚本賞を受賞。「八日目の蝉」(11)で日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞している。主な執筆作品に、「しゃべれども、しゃべれども」(07)、「パーマネント野ばら」(11)、アニメ映画「時をかける少女」(06)、「サマーウォーズ」(09)、「おおかみこどもの雨と雪」(12)、ドラマ「最愛」(21)など。
本作の脚本に携わるようになったきっかけや、上下巻で800ページを超える原作を、どのように映画に落とし込んだのか、パンフレットや「シナリオ」2025年9月号(映画決定稿も掲載)のインタビューで確認できる。
■企画・プロデュース:村田千恵子

昨年の東京国際映画祭で行われたトークショーで、自身の経歴について「小学生の頃から映画が大好きで、ハリウッド映画を観て育ったんです。日本の大学を卒業し、アメリカの映画学校で脚本、演出、監督、編集などいろいろやるなかで、自分にはどれも難しいと感じ、残ったのがプロデューサー業でした」と語っている。また、「国宝」の成功について、「大作のエンタメであり、芸術性の高い映画を撮りたいというビジョンを持つことはなかなか難しい。そのなかで、偉大な監督とクルーがいてくれたから、成功ができたんだと思います」とコメントしている。
■プロデューサー:松橋真三
■撮影:ソフィアン・エル・ファニ
写真:ロイター/アフロ1974年生まれ。チュニジア出身。李監督とTVシリーズ「Pachinko パチンコ」の撮影現場で出会ったのがきっかけで本作に参加。李監督は、本作のイベントで「彼の美的感覚やその言葉がはっきり分からなくても、役者のお芝居を見抜くあの目、そういった力を信じて撮影をお願いしました」とソフィアンに撮影を託した理由を明かしている。
主な作品に第66回カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞作「アデル、ブルーは熱い色」(14)、「禁じられた歌声」(15)、「天国にちがいない」(19)、「親愛なる7人の他人」(22)、「イン・セイフ・ハンズ」(23)など。
■照明:中村裕樹
■音響:白取貢
■特機:上野隆治
■美術監督:種田陽平
日本映画美術を代表する美術監督の一人。「スワロウテイル」(96)、「THE 有頂天ホテル」(05)、「フラガール」(06)、「悪人」(10)などで日本アカデミー賞優秀美術賞、「ヴィヨンの妻 桜桃とタンポポ」(09)で同最優秀美術賞を受賞。その独特なセンスは鬼才クエンティン・タランティーノ監督の支持を得て、「キル・ビル」(03)に参加。これらの功績により10年に芸術選奨文部科学大臣賞、11年には紫綬褒章を受けた。
「国宝」の美術のこだわりや、撮影時、種田氏が「この映画はいける」と確信したシーンなどについて語ったインタビューはパンフレットで確認できる。また、撮影時のショットを、種田氏のInstagramで確認できる。
■美術:下山奈緒
■装飾:酒井拓磨
■衣装デザイン:小川久美子
■衣装:松田和夫
■ヘアメイク:豊川京子
■特殊メイク:JIRO
■肌絵師:田中光司
■編集:今井剛
■音楽:原摩利彦

本作で、第67回日本レコード大賞特別賞を受賞。李相日監督作品の劇伴は、「流浪の月」(22)に続き2作目。「フラガール」(06)や「悪人」(10)など、複数の李作品の音響を手掛け、本作にも参加している白取貢が、原を李監督に紹介した。当時は、野田秀樹氏率いる NODA・MAPの舞台の音楽監督を務め、「流浪の月」をきっかけに映画音楽での活躍も増えたと語っている。
■主題歌:「Luminance(ルミナンス)」
■音響効果:北田雅也
■VFXスーパーバイザー:白石哲也
■音楽プロデューサー:杉田寿宏
主な作品:「ストロベリームーン 余命半年の恋」(25)、「人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした」(23)、「AWAKE」(20)、「アイアムアヒーロー」(16)、「悪人」(10)
■助監督:岸塚祐季
■スクリプター:田口良子
■キャスティングディレクター:元川益暢
1977年生まれ。江戸時代より230年以上続く料亭に育ち、人間国宝十世西川扇藏(せんぞう)、梅津貴昶(たかあき)に師事。26歳より流派に所属しない舞踊家として活動をはじめる。東京、飛騨高山、京都を拠点に一門の「菁風会(せいふうかい)」を主催している(オフィシャルサイトより引用)。
■歌舞伎指導:中村鴈治郎

人間国宝・四代目坂田藤十郎を父に持ち、1967年歌舞伎座にて「紅梅曾我」の一萬丸で中村智太郎を名乗り初舞台。「廓文章 吉田屋」の藤屋伊左衛門、「恋飛脚大和往来 封印切」の亀屋忠兵衛を当たり役とし、2015年に4代目中村鴈治郎を襲名、2019年には紫綬褒章を授与された。原作者・吉田修一氏が「国宝」を執筆するにあたり血肉とした3年間の黒衣経験も、中村鴈治郎(4代目)の元で培われたものだった。
鴈治郎は、本作の歌舞伎指導を担当していることが発表された際、キャストを称賛しつつ、「この映画を通して、歌舞伎を知らない方には、歌舞伎ってこういうものなのかと感じてほしいですし、歌舞伎を観たことのある方には違和感なく、作り事でもなく、自然に観ていただければ一番いいな、と思っています。そして、この作品をご覧になった方々が歌舞伎に興味を持っていただければ、こんなに嬉しいことはないです」とコメントを寄せている。
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