ウォーフェア 戦地最前線 : 特集
ここまで来た…これが、映画の没入体験最前線!
「シビル・ウォー」監督の超待望の新作は、人間の脳を
ハッキングする“レベルの違う”究極音響体感――戦場に
放り込まれたと錯覚する“異常な音響テク”をプロが解説
【配信を待つな!劇場で体験しないと絶対に後悔する】

1月16日公開の映画「ウォーフェア 戦地最前線」。
本作の本質は“音”である。音の力が<イラク戦争で起きた、兵士たちの壮絶な脱出戦の記憶>を極限まで再現し、観客の聴覚を研ぎ澄ますのだ――。
劇場の暗闇で、本作の人間の脳をハッキングする“レベルの違う”音響に包まれた瞬間、あなたは観客席から引きずり出される。聴覚と皮膚感覚を通じて、戦場に放り込まれる感覚に陥る……。
【断言する。本作は、劇場で観ないと絶対、後悔する】
3Dでも4Dでもない、“今までに得たことない”没頭体験

本作の舞台は2006年、イラクの激戦地ラマディ。アルカイダ幹部の監視という極秘任務に就いた8人の特殊部隊員。しかし想定外のタイミングで敵に察知され、彼らは市街地のど真ん中で完全包囲される――。
これは現実に起きた戦闘であり、実際に参加した元特殊部隊員その人、レイ・メンドーサが共同監督を務めている。同監督が「20年間誰にも語れなかった」という実話でもあり、“そこで兵士が感じた全て”を、本人たちが納得するまでリアルに表現すべく、最新の技術――特に“音響”――の粋を総動員し完成させた“とんでもない作品”である。
●【世界騒然「シビル・ウォー」監督、待望の最新作】
「ドント・ブリーズ」「クワイエット・プレイス」「ギルティ」などに続く、体感型“音”映画の究極進化系がきた!!

あの「シビル・ウォー アメリカ最後の日」で世界を震撼(赤サングラス男の恐怖たるや…)させたアレックス・ガーランド監督が、メンドーサ共同監督とともにが仕掛ける最新作。だが、本作を「戦争映画」というジャンルだけで括るのは間違いだ。
むしろ“音”をアイデアの中核に据え世界的ヒットを記録した「クワイエット・プレイス」や、息遣いさえ命取りになる「ドント・ブリーズ」、通報の音声を頼りに事件解決に挑む「THE GUILTY ギルティ」といった、「極限状況のシチュエーション・スリラー」としても優れた驚異の一作である。

そして、本作における音はただのBGMではなく“主人公の一人”。エッジーな映画体験を求めるすべての映画ファンへの挑戦状だ。
●【実際に観たら“こうなった”】
臨場感、没入感、緊迫感、あらゆる“感覚”が超S級――この“極限の没頭体験”は、全映画好きが堪能すべき。

みなさまの鑑賞意欲を刺激すべく、実際に試写室で目撃した筆者の感覚を共有したい。
上映開始から数分で、「とんでもないものを観ている」という思考に脳が支配された――。
実際に起きたこの戦闘を経験した元米軍特殊部隊員本人が共同監督として「自分の目で見た光景」を直接映像化。ゆえに“ここ”にあるのは、アクション映画のような英雄的行為ではない。
敵の姿は見えず、しかし全方向から銃声と爆音が鳴り止まない。たった1メートル進むことが死へダイレクト・インする恐怖に、特殊部隊の精鋭たちですらパニックに陥る。指揮官が指揮を放棄し、重傷を負った仲間が転がり、錯乱した隊員は震える手でモルヒネを打ち間違える――。

映画的な脚色を削ぎ落とした“リアルな混沌”。観るやいなや心拍数が跳ね上がり、日常では絶対に味わえない感覚に陥る。さらにそれが、とてつもないレベルの音響(記事後半でも詳述)と、役者たちの演技とも思えぬ壮絶な演技と融合するのだ。
「迫力がある」という次元を超えた“本物の体験”だった。想像をはるかに上回る音圧。爆発が耳をつんざき、キーンという高鳴りだけが残響する感覚。銃弾が耳朶(じだ)をかすめ、威嚇飛行の轟音が体を貫く――誰かに、どうしても伝えたくなる映画体験。


【緊急取材】「音響のプロ」に、あれこれ聞いてきた
この映画の凄さの本質は、“音”にある──

しかし、なぜここまでの体験となるのか? そのメカニズムを解明したい……。
そこで“音”にさらなる秘密があるとにらんだ編集部は、劇場のスピーカーシステムを知り尽くす“音のプロフェッショナル”佐藤博康氏に緊急取材を敢行。
そこで得られたのは「静寂と爆音がすごい」という単純な話ではなく、「人間の脳をハッキングする“レベルの違う”音響設計」についての驚くべき解説だった。
●解説者紹介

●「鳥肌もの」の仰天テクニックが連発…音の跳ね返りで「空間をイメージさせる」

映画.com
本編をご鑑賞いただきありがとうございます。この映画の音について、どう感じましたか?


音響のプロ・佐藤博康
「ウォーフェア」はレベルが違いました。一言で言えば「大人の音響設計」ですね。多くの戦争映画は「ド派手な爆発音」で観客を圧倒しようとしますが、このチームはもっと高度なことをやっています。反響音によって、そこがどういう空間になっているかを、観客がイメージできるようにしているんです。
映画.com
具体的にはどういうことでしょうか?


佐藤博康
人間は「反射音(リバーブ)」で無意識に空間を測っているんですよ。例えば人が発した音が、壁に跳ね返ってくる。その跳ね返り方(周波数)と、返ってくるまでの時間を聞き取り、人は無意識に“そこがどんな空間なのか”をイメージします。この反響はすぐに返ってくるから「壁に囲まれた狭い建物内だ」とか、反響がないから「ここは広い屋外だ」とか。
映画.com
なるほど!


佐藤博康
その無意識を利用して、この映画は部屋の狭いところに行くほど短い反響にしていたり、逆に広いところに行くほど反響を長くしているんですね。さらに屋外では反響が返ってこず、遠くから犬の鳴き声が聞こえる。「観客もそこにいる感覚」が非常に強くなる。このように周波数や跳ね返りを自由自在にレイアウトしているテクニックが、まさに「鳥肌もの」でした。
●音響によって「誰かの記憶の中に放り込まれている感覚」に――

映画.com
しかし、なぜそこまで緻密な計算が必要なんでしょうか?


佐藤博康
それは監督が実際に経験した「戦場の記憶」を再現するためだからでしょう。目で見た記憶より「音の記憶」の方が強烈に残りやすいと言われていますよね。この映画は監督の脳内にある「戦場の音の記憶」を、最新のシアターシステムを使って物理的に出力している。だから観客は「映画を観ている」のではなく、聴覚と皮膚感覚などを通じて「誰かの記憶の中に放り込まれている」感覚になるんだと思います。
映画.com
なるほど……。これまで帰還兵の証言を基にした映画は数あれど、戦闘を経験した本人が記憶の細部までを再現する例は非常に稀ですよね。そんな描写を、作り込まれた音とともに観るからこそ、そこに一緒にいて、自分自身も混沌に包まれている没入を極限にまで感じられるんですね。


佐藤博康
その通りです。さらに言うと、劇中の爆発音や発砲音に、異常な生々しさを感じたのではないでしょうか?
映画.com
おっしゃるとおり、普通の戦争映画とはリアリティが段違いのように感じました。


佐藤博康
ほとんどの人が、特に日本人は戦争経験がないにもかかわらず、この映画の戦闘音に強烈なリアリティを感じてしまう。それはなぜか? さきほど言った音の反響や記憶の再現によって、「空間」が肌感覚として極めて強くイメージできているからなんです。
映画.com
そうか、そういうことなんですね……!


佐藤博康
「自分は今、このすさまじく混沌とした狭い部屋にいる」と脳が信じ込んでいる状態だから、そこで爆弾が爆発すれば当然、作り物ではなく「現実的な爆発」に感じてしまう。こんな高度なことができるんだと、正直「レベルが違うな」という思いですね。
●「映画館と自宅では、ハッキリ言って『別作品』」。ゆえに、映画館へ行く価値がある作品
映画.com
ありがとうございます。ほかに、佐藤さんが唸った“異常なテクニック”はありますか?


佐藤博康
「静寂」を使って、観客の心理をコントロールしているところですね
映画.com
静寂で心理をコントロール?


佐藤博康
例えば、戦闘が始まる前のシーン。「虫の音」がかすかに入っているのに気づきましたか?
映画.com
言われてみれば……。ただの環境音ではないんですか?


佐藤博康
実はあれは、計算され尽くした“罠”なんです。虫の音のような高音域(4kHz~6kHz付近)には、人間をリラックスさせ、脳波を「α波」にする効果があると言われています。つまり、虫の音で観客の無意識に「ここは安全だ」と刷り込み、フッと油断させる。そのガードが下がった瞬間に――ドォォン!!と、腹の底を揺らす爆音を叩き込むんです。
映画.com
なるほど、だからあんなに「すごい」と感じるんですね!


佐藤博康
「落差(コントラスト)」を作るために、虫一匹の音までタイムライン上で計算して配置しているんですよ。これはPCやスマホのスピーカーでは聞こえづらい微細な音です。映画館の高性能スピーカーだからこそ、この「脳への騙し討ち」がより効果的になるんです。
映画.com
この解説を聞くと、自宅の配信で観るのはもったいないと思ってきますね。


佐藤博康
映画館と自宅では、ハッキリ言って「別作品」になってしまうのではないでしょうか。自宅のテレビやタブレットは、基本的にステレオ(2ch)です。そこでは、先ほど話した「虫の音の罠」も「空間のレイアウト」も、すべてごちゃ混ぜになって潰れてしまう。

佐藤博康
何より決定的に違うのが、「サブウーハー(重低音)」の存在です。戦場の爆発音や衝撃波といった「非日常の音」は、耳ではなく「身体で感じる」「骨が震える物理的な体験」ですが、これを再現できる機材を一般家庭に導入するのは非常に難しいでしょうね。
映画.com
確かに、あんな爆音を家で出したら一発で通報されますよね。


佐藤博康
そう、普通の人があの「骨が震えるような物理体験」を用意するのは無理があるんです。だからこそ、映画館に行く価値があると思いますね。






