横道世之介

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劇場公開日:

横道世之介

解説

「悪人」「パレード」の吉田修一による青春小説を、「南極料理人」の沖田修一監督が映画化。1980年代を舞台に、長崎の港町から大学進学のため上京したお人好しの青年・横道世之介や、その恋人で社長令嬢の与謝野祥子らが謳歌した青春時代を、心温まるユーモアを交えながら描く。主人公の世之介に高良健吾、ヒロイン・祥子に吉高由里子ほか、池松壮亮、伊藤歩、綾野剛らが出演。劇団「五反田団」主宰の劇作家で小説家の前田司郎が共同脚本を担当。

2012年製作/160分/G/日本
配給:ショウゲート
劇場公開日:2013年2月23日

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(C)2013「横道世之介」製作委員会

映画レビュー

4.5長すぎない!幸せな2時間40分

2013年2月20日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

笑える

楽しい

幸せ

映画は、90分ちょいが丁度いい。常々そう思っている。それなのに、 本作は2時間をゆうに越える2時間40分。観る前は少々不安があった。けれども、それは 全くの取り越し苦労だった。つくづく•しみじみ、幸せな2時間40分。観終えた今も、あれやこれやと思い出し笑いがこみ上げる。終始、(いわゆる)たいしたことは起こらない。けれども、かけがえのない出来事が詰まっている。頭の隅に追いやっていた様々な記憶や想いを、心地よく刺激してもらった。
映画になると知り、事前に原作を読んだ。そのときは、この小説をどのように映画にするんだろう?と半信半疑だった。吉田修一さんの文章は素晴らしい。ぐいぐいと読ませる。だからこそ、そのまま映画でなぞってはいけない。そこが映画の面白さであり、映画化の難しさなのだと思う。
本作は、原作に寄りかからず、あくまで映画の空気を大切にしている。原作は、世之介という名前の由来である井原西鶴の「好色一代男」を意識したかのような軽妙な語り口が印象的で、名前にまつわるエピソードも何度か登場する。だが、映画はそこらへんをばっさりカット。さらには、映画オリジナルのエピソードがさりげなく織り込まれている。それでいて全く不自然さがなく、世之介(と彼を取りまく人々)らしさに満ちている。文章にするとヤボなのでいちいちあげないが、思い返すにつけ、顔がほころぶ。 共通していたのは、通常ならば終盤に置かれるであろう、世之介にまつわる「仕掛け」が中盤で明かされる点だ。原作を読んで知っていても、気持ちがざわめく。とはいえ、仕掛けに流されない物語のふくらみは、映画でも健在。あざとくなりかねない冒険が、出しゃばらずに効果をあげている。
そして何より、キャストの素晴らしさ! 文字で読んだときは「本当にこんな人がいるかな?」とちょっぴり思った。それが、本作のおかげで、世之介が、祥子が、生き生きと動きだし、きらきらと魅力を放ち始めた。特に、吉高由里子! 世間ずれしたお嬢様を、あれほどチャーミングに演じられるのは彼女だけだろう。「婚前特急」を観返したくなった。
また、「あえて語らない」点も印象に残った。例えば、「可愛いエプロンを着た世之介のおばあちゃん」は登場しない。どんなエプロンだろう、どんなひとだったんだろう、と考える。世之介を思い返す彼らのモノローグも、一切語られない。なかでも、世之介が憧れたバブルのあだ花のような千春(伊藤歩)の沈黙は、クールで美しい。映画ならではの余韻だと思う。
蛇足ながら…途中、ふと思い出したこと。
映画を通じて知り合った、当時学生だった若い友人。そういえば彼も踊っていたなあ…サンバだったかな…でも、なんか違うような…太陽かぶって踊ったりはしてなかったよな…「あ。」
彼がやっていたのは、サンバではなくサルサでした…! とはいえ、サルサを踊れる人に出会ったのは彼が初めてで、「へえー、踊るんだー、踊っちゃうんだー」と思ったものです。
そうだよ、I田くん、キミのことだよ。元気にしてますか? 映画観てますか? 「横道世之介」、ぜひ観てね。

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cma

4.0続編の映画化は…もう難しいのだろうか

2020年11月1日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

吉田修一の素晴らしい青春小説を、沖田修一監督、高良健吾主演で映画化。
原作が素晴らしかったが、映画も非常に素敵な作品に仕上がった。
160分という長さも、なんのその。愛すべきキャラクターたちが目いっぱい青春を謳歌しており、たまらない気持ちになる。自分の学生時代、世之介みたいな友人がいたら、もっともっと豊かな時間になったのではないかとすら思わせられる。
続編も発売され、既読。いやあ、キャスト陣も再び演じたいだろうなあ。
みな人気者になってしまったし、実現するのは至難の業かもしれないなあ……。
いずれにしても、何度でも見たい2012年を代表する素晴らしい作品です。

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大塚史貴

5.0ずっと見たかった

2024年7月21日
PCから投稿
鑑賞方法:その他

泣ける

笑える

幸せ

沖田修一監督の作品が大好きでようやく見ることができた。
とにかく世之介さんと祥子ちゃんのやりとりが面白くて愛おしくてずっと見ていたかった。
私は元々、吉高由里子さんが好きなのだが、この祥子ちゃん役がピッタリハマっていてすごくすごく可愛いかった。
大好きな作品の一つになった。

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Fun

4.0シュールな笑いとノスタルジア

2024年7月9日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

悲しい

大学最後の年に公開されて劇場へ観に行った映画。
劇場で観た当時よりも、今観た方が心に響いた。
主人公の横道世之介がシュールなキャラクターなので笑えるシーンは多いが、基本的には淡々とした日常系映画である。
この主人公のキャラクターがどこまで好きかによって映画の評価が別れそうだが、私は友達になりたいと思ったので良い映画に感じた。

作品全体に溢れる少し長回しぎみの映像には、10代後半から20代前半の頃の日常で流れていたあの時間が確かに存在している。

途中、主人公とヒロインが二人で名前を呼び捨てでずっと呼び合うシーンがある。このシーンはおそらく作中でもっとも笑えるシーンであり、劇場で観た当時も観客から笑い声が聞こえてきた懐かしい思い出がある。
しかしこのシーン、同室にいる家政婦は泣いているのだ。
これは公開当時は何も思わなかったが、ただ名前を呼び合うだけで幸せを感じる二人の若さと純情に昔を思い出して泣いていることが、久しぶりの鑑賞で身に染みるように理解できた。

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