横道世之介のレビュー・感想・評価
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続編の映画化は…もう難しいのだろうか
吉田修一の素晴らしい青春小説を、沖田修一監督、高良健吾主演で映画化。
原作が素晴らしかったが、映画も非常に素敵な作品に仕上がった。
160分という長さも、なんのその。愛すべきキャラクターたちが目いっぱい青春を謳歌しており、たまらない気持ちになる。自分の学生時代、世之介みたいな友人がいたら、もっともっと豊かな時間になったのではないかとすら思わせられる。
続編も発売され、既読。いやあ、キャスト陣も再び演じたいだろうなあ。
みな人気者になってしまったし、実現するのは至難の業かもしれないなあ……。
いずれにしても、何度でも見たい2012年を代表する素晴らしい作品です。
吉高由里子の魅力を再発見
評価の高い作品なのは知っていたし、「悪人」「怒り」などの吉田修一の描く、青春?恋愛?マイナス感情がなさそうなヒューマンドラマ?とはどんなものだろうと興味はあったが、なかなか観る気になれずにいた。
演技力があまりよくない吉高由里子が観る気をそぐ原因だった。
しかし実際に観てみると、上手いこと役にハマっていたと思う。
彼女の演技はしゃべりがイマイチだが動きによる演技は悪くないのだと気付いた。
お嬢様言葉の祥子というキャラクターが、セリフに心が入らない吉高の弱点を誤魔化せたように思う。祥子は何を考えてるのかわからない天然なところがあるからね。
作品の雰囲気が、コミカルで少々大袈裟な動きも可能にしたので、祥子の感情は動きを見ていればいい。
ビーチボールに掴まる祥子。うちわを扇ぐ祥子。洗濯物を畳む祥子。カーテンにくるまる祥子。
動きが良ければ魅力的なキャラクターは生み出せると証明したように思う。
作品のほうは、感情の起伏もストーリー的な起伏もほとんどない、長回しによるごくありふれた日常感と相まって、凄く普通。しかし面白いわけでもないのに永遠に観ていられそうな不思議さがある。
それはそのまま主人公横道世之介を表しているようだ。
すごく変わった男のようで実は至って普通な、ある意味主人公に相応しくないほどの無個性さなのだが、この作品はそれでいい。
世之介と出会ったキャラクターが過去を思い出しなぜか笑顔になることこそが主題で、世之介が特別で特殊なオンリーワンの存在であってはならないのだ。ちゃんと思い出せるように名前だけは特殊だったけどね。
観ている私たちにとっての世之介はごくありふれた何でもない日常を描いた作品そのものだ。
そこから自分の過去にいた世之介のような友達を呼び起こし懐かしむ、そんな作品なのだ。
しかし残念ながら友達の少ない自分には呼び起こされるものがなかった。
それはつまり、涙も笑いも苦さも甘さも、何の感情の変化も訪れない無に等しいもので、作品の評価が上がらない理由だ。
それともう一つ、1987年の時代感を懐かしむというのもあるだろうが、これは自分より上の世代で、過去の時代でありながら未来のことのようなズレがあり当然懐かしむことは出来なかった。
漠然とだが良い作品だったし、吉高由里子は可愛かったのだが、87年に大学生でもなく友達も少ない自分には見事にハマらない作品で、あまり楽しめなかった。
あとは、主演の高良健吾のことも少し書きたい気もしたが、書けることは一つしかなかった。彼は大体いつも良い。
孤独な存在である人がつながっている不思議
横道世之介という主人公を中心に現在と過去を振り返りながら描くドラマ。とても滑らかで何回観ても見飽きがしない。この映画の右に出るドラマを私は知らない。エンディングは見事というしかない。
新感覚と言って良い🎵
冒頭の掴み良し。映像へのこだわり、演出、脚本すべて良し。ただ少し過剰な長回し・・・映像の見せ方は上手い‼️しかし何かが変・・・何だろう、この変は・・・時間は飛ぶしストーリー展開はシュールだし、時代設定が不明で、ビューポイントの設定が難しい。兎に角展開に付いて行きづらい‼️。と思ってる内にビューポイントの揺らぎがまさに主人公をあぶり出す手法であることに気付かされる❗と言うかこの展開は一体何😓⁉️この物語はどうやって終わらせようとしてるのか?😓なんだなんだこの映画は・・・吉高、可愛すぎだろう🎵😅そして見終わった時・・・経験したことの無い感情に取り込まれることになる。悲しみでもカタルシスでも無い・・・これは何だろう・・・でもボクたちはこの感情を忘れることは無いと思う。
悲しみを感じさせず幸福を感じられるお話
お人好しで空気読めないけど愛されキャラの
横道世之介。
そんな世之介が事故で亡くなってしまうが、
一人息子を亡くした母から彼女への手紙の内容に
そう思える両親は凄いなぁと思ったけど、
そんな両親に育てられたからこそ、
皆に愛される世之介になったんだなぁと思った。
お嬢様で恋人役の吉高由里子さん、
現在と変わってなくて驚いた。
可愛い役で、何度もクスッと笑えました。
高良健吾さんのファンになった作品です。
それまでは、あまり意識していなかった高良さんですが、この作品以来、ファンになりました。
吉高由里子さんのお嬢さまぶりもすばらしいものです。
心があったかくなる作品です。
法政大学の学生さんはぜひどうぞ。
特殊な時間構成に泣く。
友とのあの頃から今を見るかの特殊な時間構成に泣く。
成長とは時間経過の中で無自覚に過去と未来とに自分を引き裂くこと。
今や全員が主役級。
安牌草彅剛にせず強面の高良健吾にしたのが勝因。
驚異の怪演吉高由里子は藤谷美和子を超えた。
なつかしいあのひと
見たときは、それほど印象は強くなかったのだが、数年経って、じわじわと、あれはいい映画だった、と思い出した。
まるで、映画のなかの人たちがみんなして横道世之介のことを回想するように、この映画を思い出した。
日常のなかで、過去に出会った誰かを、ふと思い出す。
あいつおかしなやつだったな、今ごろ何してるだろうとか。
あのひと可愛いかったな。もう結婚したのかなとか。
ほんの一瞬でも、なんとなく、笑みがこみあげてくる。
きれいなまんまの記憶もあれば、後悔もある。甘酸っぱいともいえるし、切なくもあるし、ばあいによって慚愧もある。
横道世之介は、万人がもっている懐かしいあのひとへの感情を集約している。社会へ散った私たちに、いやおうなしについてくる、かけがえのない思い出を覚まさせる。
またいつか見たくなると思った。
高良くんのこの路線、このあとも続く。えのもと、綾野、井浦、常松、豪...
高良くんのこの路線、このあとも続く。えのもと、綾野、井浦、常松、豪華キャスト。もちろん、大好きな吉高さん。少し解離的な感じがいい。他の俳優もとてもいい。セリフや脚本もいい。
ほっこり
映画を見る時にいろんなことを期待して見たり、感情移入して楽しんだり、世の中の不条理を見せつけられ愕然としたり、いろんな感情が湧いてくるのだけれど、この映画を見ている間は、心がホッコリしました。
映画ってエンターテイメントなんだけれど、正直言ってこの映画はなんというか、ただただ、ある1人の人間とその人と関わる人間達を描いただけのごく普通な映画だった。でも、決して面白くないわけではなくむしろ逆で。その"普通"に心がほっこりさせられた。
実際に日本で起きたJRの事故で、犠牲になった方だと後から知り、驚いた。
横道世之介という、一度聞いたら忘れることのできないこの名前をきっとこの先またどこかで思い出すに違いないと思った。
自分はみんなに覚えててもらえるだろうか?
ごくありふれた日常を描いているが、登場人物のキャラがそれぞれ濃いからその日常を面白おかしく見れる。
ストーリー展開は大学生時代の主人公(世之助)との思い出をそれぞれが回想し、主人公のことを懐かしむという一見微妙な感じ。
だけど、主人公を自分に重ねて見ることで自分はこんな風に覚えててもらえるのかなと考えさせられ、人との触れ合い方も見直したくなるような作品。
それぞれの登場人物の大学時代と現在の変化も面白いところのひとつ。
主人公にめちゃくちゃ感情移入できて、非常に良かった。自分も笑顔にさ...
主人公にめちゃくちゃ感情移入できて、非常に良かった。自分も笑顔にさせられる人になりたいとシンプルに思えた作品。久々温かい作品で、キャストも全員最高だった。
この映画に出会えて良かった😊
160分の超大作。
途中飽きないかと見ながら心配したがどこ吹く風。
映画は散発的に描かれているが、これが一向に飽きない。
特に引き込まれるエピソードを見せているわけではないが、何故か見続けられる。
バブル初頭の頃が時代背景だ。
まさに私もこの時大学生でした。
あったあったと共感だらけ。
ポーチを持つ男。
シャツをズボンにイン。
ホテルでバイト(私も同じ)
車が日産のレパード、スカイラインのしかもジャパン、走り屋御用達のスターレットKPモデル!
BGMにREBECCAのモノトーンボーイ。
身震いする程の懐かしさとリアリティ。
さて、この映画の勝利は原作、脚本、キャスティングの三拍子が見事にマッチした事に他ならない。
みんないいんだが、やはり吉高由里子さんの金持ちぶらないひたすらに可愛らしいところ。高良健吾さん演じるシンプル過ぎる横道世之介のカップルを嫌味なく演出したことに尽きる。
脇を固める若手(今は中堅として成長)俳優陣も見事だった。
佐津川愛美さん、後に吉高由里子さんとユリゴコロで抜群の共演を果たす。ここでも親友役としてしっかり存在感がある。
映画ってオチを探す事に躍起になるが、この映画にそれはない。無くてもまとまるんだと気付かされる。
心がホントに温まるってこう言う作品であり、作り方としてこれはありなんだな。
所々、??となるところがあるが、これは観終わってからWikiのキャスティング説明読めばしっかりきます。
これでいい。
タイトルから想像を遥かに超えた名作でした。
世之介さーん
過去と現在が対比的に扱われ、どうしても観ている側の過去の記憶も呼び起こされ、センチメンタルな心持ちになってしまう。しかし、どうも後に引く。吉高由里子の存在がこの映画の印象を決定的に引き立てているように思う。過去と現在の振れ方が最も大きく、過去の喪失感と成長の軌跡を最も感じさせる。少女漫画から出てきたような眩いキャラを、嘘くさくなることなく、見事に演じきっているが、唐突に実家に訪ねて行ったり、咄嗟に赤ん坊を助けに行ったり、実は非常に行動的なのは、その後の彼女の選んだ道の伏線になっているように思える。
海の中から浜辺で遊ぶ友達を眺める世之介。杖をつく彼女をおいてけぼりにしかねない世之介。世之介表現にも見所が多い。
じんわりとイイ。
「世之介うぜぇ…」。
ええ、ぼくも最初はそう思いながら観てました。
でも、物語が進んでいくにつれて、
なんなら見終わって時間が経つにつれて、
世之介がとんでもなく愛おしい存在に思えてくるというか。
ああ、この映画(世之介)に出会えて良かった、なんて思っちゃう。
正直 冗長に思えるような本編も、こうなると重要で
気持ちの、記憶の、奥の方まで染み込んでいくのに
必要な時間をかけたってことだと勝手に納得した。
最後に、吉高由里子ってあんまり好きな女優じゃなかったけど
この作品での存在感っていうか説得力は、もう抜群。
ラストの「世之介だいすき!」ってセリフは台本だろうか、アドリブだろうか。
あのセリフがもうほんと切なくって、すげー染みた。
誰にでもいる「世之介」
本編終了後、スタッフロール見て、
「あ~、やっぱりこれ沖田監督か」という感想。
「南極料理人」「キツツキと雨」と作り方似てます。
だから、まったり、してます。
その、まったりさ、がそのまま世之介に被ります。
ずっとまったりしてるから、160分という長尺に不安になったんだが、
時々、昔から今(或いはちょっと前)に戻る時がエッジが効いてて、
その今の人たちの話から、世之介の人物像を作り上げるという、
巧妙な作りになってます。
じゃあ、横道世之介ってそんなにすごい人だったの?、
と言う訳ではなく、ごく普通の大学生。何者でもない。
でも彼のことを語る人たちは、皆笑顔になる。
そのエピソードを見てる、自分も笑顔になる。
何か不思議な映画でした。
(因みに、沖田作品は大体見てて笑顔になります)
こんな感じで、昔のある人を語るのは、
作りが「永遠のゼロ」にも似てるかなとも思ったけど、
世之介を悪く言う人がゼロなので、
ちょっと「偉人化」され過ぎな気もしますが。
話の筋は、1987年の1年間がメインなので、
その時代を知ってる人にはすんなり入ってくると思う。
結構細かい所まで時代背景描写が凝っていて、
突っ込みたくなる「あるある」が多数散りばめられてます。
世之介こと高良健吾、ダサイ感じを頑張ってます。
そして、その場の雰囲気をすべてさらってしまうお嬢様・祥子。
というか、これは祥子じゃなくて吉高由里子そのものかも、
とすら思わせる彼女の存在感は圧倒的。
この吉高さんは、特に昔の祥子は、ダントツにカワイイ。5億点です。
あと沖田映画の特徴として、脇役の変な人多数。
一番はまったのは祥子の屋敷のメイドさん。あれはずるい。
それと、安定の余貴美子。
この映画の人たちが、笑って世之介を想い出す様に、
自分もこの映画を、笑って想い出す映画になりました。
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