お引越し

劇場公開日:

解説

離婚を前提に別居に入った両親を持つ11歳の少女の揺れ動く気持ちの葛藤と成長を、周囲の人々との交流を通して描くドラマ。「東京上空いらっしゃいませ」の相米慎二の10作目の監督作。第一回椋鳩十児童文学賞を受賞したひこ・田中の同名作品を原作に、これがともに劇場映画デビューとなる奥寺佐渡子と小此木聡が共同脚色。撮影は「レイジ・イン・ハーレム」の栗田豊通が担当。ヒロインの少女・レンコは八二五三名の応募の中からオーディションにより選ばれた新人・田畑智子が演じた。相米作品にとっては初めての京都ロケで、また読売テレビが映画製作のための特別スポット枠を設けてスポンサードを呼びかけた製法方法も話題となった。キネマ旬報ベストテン第二位。

1993年製作/124分/日本
配給:ヘラルド・エース=日本ヘラルド映画=アルゴプロジェクト
劇場公開日:1993年3月20日

ストーリー

小学六年生の漆場レンコは、ある日両親が離婚を前提しての別居に入り父ケンイチが家を出たため、母ナズナとともに二人暮らしとなった。最初のうちこそ離婚が実感としてピンとこなかったレンコだったが、新生活を始めようと契約書を作るナズナや、ケンイチとの間に挟まれ心がざわついてくる。同じく両親が離婚している転校生のサリーの肩を持っては級友たちと大喧嘩したり、クラスメイトのミノルと話すうち思いついた、自分の存在を両親に考えさせるための篭城作戦を実行しかけてみたり。家でも学校でも行き場のなさを感じたレンコは、昨年も行った琵琶湖畔への家族旅行を復活させればまた平和な日々が帰ってくるかも知れないと、自分で勝手に電車の切符もホテルも予約してしまう。ホテルのロビーでレンコとナズナが来るのを待っていたケンイチは、もう一度三人でやっていきたいと語るが、その態度にナズナは怒る。その場を逃げ出したレンコは不思議な老人・砂原に出会う。砂原との温かいふれあいに力を得たレンコは、祭が最高潮を迎え、群集で賑わう中をひとりでさまよううち、琵琶湖畔で自分たち家族のかつての姿を幻視する。かつての幸福だった自分に向けて『おめでとうございます』と大きく手をふるレンコ。夏も終わり、レンコにとって、ケンイチやナズナにとって新しい風が吹きこもうとしていた。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第46回 カンヌ国際映画祭(1993年)

出品

ある視点部門
出品作品 相米慎二
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映画レビュー

4.0子供を撮らせたらこの人以上の作家は見当たらない‼️

2023年9月15日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

円熟の横綱相撲。感動した❗染みた❗

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mark108hello

2.5田畑智子の存在と、え⁉︎桜田淳子

2022年12月30日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

目をつぶってチョイスして来たんかー?
という娘がレンタルしてきたお正月用DVD
付き合わされるのか、、、と少し億劫
ちなみにその他のチョイスは
ペドロ・アルモドバルの『抱擁のかけら』
イングマール・ベルイマンの『第七の封印』
オードリ・ヘップバーンの『おしゃれ泥棒』
ね、付き合うの面倒くさいやつばかりでしょ

確かに相米監督の『魚影の群れ』は母娘で絶賛した(当時娘は17歳)

前置きが長かったけど

皮肉っぽいホームドラマかな?と思いきや
夏の暑さと環境の混乱による幻影映像となり
時間を費やすには少々イライラした

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mamagamasako

4.0三角テーブル

2021年5月22日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
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kossy

5.0おめでとうございます

2021年5月5日
iPhoneアプリから投稿

独り一晩中、歩き続ける非常に長いシーンを経て、こちらも半ばまどろむ中で、明るむ湖畔に描き出される幻想的な画に繰り広げられる悲しき定め、自身の体験が重なりあって心が締め付けられる刹那に、それを切り裂く「おめでとうございます」の声。最初見て、訳もわからないぐらい泣けたのを思い出す。自分の幼さを抱きしめ、大人になった自分を積極的に受けとめる主人公。初潮と水に浸かるシーンはションベンライダーにも出てきたが、単に一少女のイニシエーションではなく、さまざまな祭りをモチーフに生と死を繰り返してきた人類の営みをも包含する名シーンである。
京都を舞台に田畑智子の表情が映える。日本の名画を立て続けて観たような表現の豊かさ。こちらが捨ておけない目力の強さを持つ。
桜田淳子も負けてはいない。ガラスを叩き割った後の形相。確かに「なんやその眼は」、しかし母親の眼の方が更にいっている。中井貴一も甲斐性なさをよく演じている。彼なりの一所懸命、役に罪を着せない演技。
男女関係の破綻ぶりも群を抜いた描き方で、その空気のいたたまれなさ、もはや修復不可能である様をこれでもかというほど盛り込んでくる。「良かったときみたいに3人で揃ってしもうて」と涙する桜田淳子。生理的拒否反応。殺傷力高し。
光と影のコントラストがついた画作り、鏡への映り込みだとか、急に大雨だとか、田畑智子の走る姿だとか、印象的な画が多い。監督作品初期に目立った奇抜さは不自然さがとれ、円熟味を増したというか、これまでやってきたことをうまく承継しながら、ここに大輪の花を咲かせた。
どうでもいいが、主人公の作文発表に続く子供の作文が酷すぎる。笑いもしっかりとってくる。

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Kj
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