おすすめの“年末年始に見たいミステリー映画”25選 ~編集部厳選~
2023年12月27日 14:00
2023年が終わりに近づき、たっぷり時間のある年末年始に、先の読めないミステリー映画を見て、じっくり謎解きするのはいかがですか? この記事では、映画.com編集部スタッフがおすすめする“年末年始に見たいミステリー映画”25選をお届け。邦画・洋画・韓国作品とジャンル別に、作品の概要・あらすじとともに、実際に鑑賞して見出した“注目ポイント”を記載しています。鑑賞作品のセレクトに悩んだ際は、是非参考にしてみてください!
石川慶監督(「ある男」)の長編デビュー作で、第135回直木賞の候補になった貫井徳郎氏の同名小説を映画化したミステリー。羨望、嫉妬、駆け引きなど、誰もが日常的に積み重ねている“愚行”が複雑に絡み合っていくさまを描く。ある日、エリートサラリーマンの一家が殺害されるという、世間を震撼させる事件が発生。犯人が見つからないまま1年が過ぎ、改めて事件を追おうと決意した週刊誌記者・田中(妻夫木聡)は取材を始める。関係者へのインタビューを通して、被害者一家や証言者自身の思いがけない実像が明らかになり、事件の真相が浮かび上がってくる。
登場人物が発する些細なひと言、無意識に見える振る舞いすべてに明確な意味と答えがある。石川監督の細部まで計算し尽くされた演出、巧妙な見せ方に鳥肌が立ちます。本作の深意を悟らせるような冒頭のシーンは、原作小説にはない映画オリジナルの演出で、挑戦的でありながら最高の掴みとなっています。人間のあらゆる愚行が収められているなかで、最大の“罪”を問われれば間違いなく殺人ですが、最大の“愚行”を問われれば即答できなくなってしまう。観客に人間の弱さ、非情さ、身勝手さ、狡猾さを突きつけ、自身の生き方に疑問すら抱かせる秀作です。(映画.comスタッフ IS)
石川慶監督が、芥川賞作家・平野啓一郎氏の同名小説を映画化。弁護士の城戸(妻夫木聡)は、かつての依頼者・里枝(安藤サクラ)から、亡くなった夫・大祐(窪田正孝)の身元調査という奇妙な相談を受ける。里枝は離婚後に子どもを連れて故郷へ帰り、やがて出会った大祐と再婚、新たに生まれた子どもと4人で幸せな家庭を築いていたが、大祐は不慮の事故で帰らぬ人となった。ところが、長年疎遠になっていた大祐の兄(眞島秀和)が、遺影に写っているのは大祐ではないと話したことから、夫が全くの別人だったことが判明したのだ。城戸は男の正体を追うなかでさまざまな人物と出会い、驚くべき真実に近づいていく。
愛したはずの夫は別人だった――衝撃的なストーリー紹介ですが、実は泣けるヒューマンミステリーなんです。彼はどうして別人になる必要があったのか、どんな人生を送ってきたのか。人間の良い部分も悪い部分も丁寧に描く、石川監督の手腕が光ります。すべてが終わったと思ったとき、誰かと語り合いたくなるようなラストシーンが待っています。実はこのラストシーン、原作だと前半に登場しているんです。原作から変更した映画ならではのエンディングもお楽しみに。(映画.com編集部 SK)
内田吐夢監督(「宮本武蔵 一条寺の決闘」)が、水上勉氏の同名小説を映画化した推理劇。昭和22年9月20日、台風10号のさなか、北海道岩内で質店一家惨殺事件が発生する。その直後、津軽海峡では青函連絡船の転覆事故で、乗客532人の命が奪われた。函館警察の弓坂刑事(伴淳三郎)は、乗客名簿にないふたつの死体が、質店一家殺しに関係があると睨み、捜査を開始する。
三國連太郎をはじめ左幸子、伴淳三郎、高倉健らの真に迫る芝居が素晴らしいのは言うまでもありません。タイトルにある「飢餓」は、戦後の貧困によるものと、登場人物たちが滲ませる「心の飢餓」を表しています。社会派ミステリーの逸品ではありますが、主人公の犬飼多吉/樽見京一郎(三國)への恩義を“愛情”というほかない健気さで体現してみせた左幸子の名演から、恋愛映画の傑作と言い換えることもできるマイ・オールタイム・ベストです。(映画.com編集部 大塚史貴)
佐藤祐市監督(「ストロベリーナイト」)が、古沢良太(「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズ)のオリジナル脚本を映画化したサスペンスコメディ。B級アイドル・如月ミキの自殺から1年後、ファンサイトを通じて集まった5人の男たちが、ミキの死の真相をめぐり、密室でスリリングな推理合戦を繰り広げる。小栗旬、ユースケ・サンタマリア、小出恵介、塚地武雅(「ドランクドラゴン」)、香川照之が共演した。
ヒットメーカー・古沢さんの、伏線に唸る緻密な脚本や、会話劇の面白さが魅力の傑作。DVDでの初鑑賞後すぐに、もう1度最初から見直した記憶があるほど、謎解きも会話のリズムも心地良い物語です。
コミカルで和やかだったはずなのに、誰かの一言で、緊張感が一気にその場を支配する――名優5人が集まったからこそ生まれた、一瞬でコミカルとシリアスが切り替わっていくような、珠玉の密室劇を堪能してください。(映画.com編集部 TY)
内田けんじ監督(「鍵泥棒のメソッド」)が、緻密な脚本と卓越した構成力で描くサスペンスコメディ。母校で働く中学校教師・神野(大泉洋)のもとに、かつての同級生だと名乗る見覚えのない男(佐々木蔵之介)が現れる。現在は探偵だという彼は、同じく神野の同級生で親友の木村(堺雅人)を探していた。神野は成り行きから木村の捜索に協力することになる。
本作のポスターにもある「甘くみてるとダマされちゃいますよ」の言葉通り、物語が進むにつれ、それぞれの登場人物の驚くべき一面が明かされていきます。伏線や仕掛けの面白さだけではなく、キャラクターたちの心の奥底に秘めた思い(観客にとっては、この感情もひとつの「騙し」になっている)が動き出す人間ドラマが土台としてしっかりと機能している、すべての要素が高いレベルで調和した秀逸な1本です。(映画.com編集部 TY)
入江悠監督(「AI崩壊」)が、2012年の韓国映画「殺人の告白」を原作に描くクライムサスペンス。1995年、同一犯による5件の連続殺人事件が日本中を震撼させた。犯人はいずれも被害者と親しい者に殺人の瞬間を見せつけており、殺害方法は背後からの絞殺、目撃者は殺さずに犯行の様子をメディアに証言させるという独自のルールで犯行を重ねていく。刑事・牧村(伊藤英明)は犯人を逮捕寸前まで追い詰めるが、罠にはまって上司を殺され、事件は未解決のまま時効を迎える。そして22年後、犯人を名乗る男・曾根崎(藤原竜也)が手記「私が殺人犯です」を出版。曾根崎は出版記念会見に現れ、マスコミ報道やSNSを通して一躍時の人となる。
残忍な連続殺人犯が時効となった後、「私が殺人犯です」と名乗り出る。公開当時、予告編を見ただけで「これは絶対面白い」と思って映画館に行き、期待値MAXな状態でも、その期待をさらに上回り楽しませてくれた作品です。なぜ今さら名乗り出たのか、本を出版した意味とは……想定の上を行く展開に手に汗握りながら楽しんでください。(映画.comスタッフ エビタニ)
ロバート・パティンソンが新たにブルース・ウェイン/バットマンを演じ、マット・リーブス監督(「猿の惑星:新世紀(ライジング)」)がメガホンをとったサスペンスアクション。両親を殺された過去を持つ青年ブルースは復讐を誓い、夜になると黒いマスクで素顔を隠し、犯罪者を見つけては力でねじ伏せる「バットマン」となった。ブルースがバットマンとして悪と対峙するようになって2年が経ったある日、権力者を標的とした連続殺人事件が発生し、知能犯リドラー(ポール・ダノ)が犯人として名乗りを上げる。リドラーは犯行の際、必ず「なぞなぞ」を残し、警察やブルースを挑発。やがて権力者たちの陰謀やブルースにまつわる過去、ブルースの亡き父が犯した罪が暴かれていく。
本作の主人公ブルース・ウェイン/バットマンは、両親殺害の復讐を誓った探偵という設定です。今までのバットマンと比べると若く、青さも印象的(もっと人間関係スマートに頑張ってと言いたくなるほど)。連続殺人事件の犯人リドラーからなぞなぞで挑発され、事件解決に乗り出していきます。なぞなぞを解いていくさまも見どころですが、“バットマンになろうとしている”状態だったブルースが、段々バットマンになっていく成長過程にぐっときます。(映画.com編集部 SK)
フランソワ・オゾン監督(「まぼろし」)が、カトリーヌ・ドヌーブ、イザベル・ユペールら、フランス映画界が誇る豪華女優陣とタッグを組んだミュージカル。舞台は、1950年代のフランスの田舎町。クリスマスイブの朝、雪に閉ざされた大邸宅で、背中を刺された主人マルセルの死体が発見される。邸宅にいるのは8人の女たち――果たして犯人は誰なのか。
このオープニングが大好きなんです。ゴージャスなオーケストラ楽曲をバックに、メロドラマを予感させるちょっとキッチュなシャンデリアの煌めき、美しく一癖も二癖もある女たちをイメージした花々を映す1分間は、もう目と耳の陶酔。エレガントでごめんあそばせ。と、不敵な微笑みを浮かべているような、フランス名女優たちと若き日のオゾン監督の才気と美意識に、本編開始前から心を奪われます。
物語は雪に閉ざされた館での密室殺人、被害者は一家の主の男、容疑者は屋敷内にいた8人の女全員。妻、娘、メイド、愛人?などそれぞれの立場とワケありの人生が、赤裸々な女同士の会話の応酬、ときにポップなミュージカル調で次々に明らかになっていくさまが愉快です。ビビッドな色彩の衣装やセットも物語を盛り上げます。愛を持って心のままに生きること……そんなテーマも描かれ、女性が元気になれるおしゃれなフレンチミステリーの傑作です。(映画.com編集部 今田カミーユ)
デビッド・フィンチャー監督(「セブン」)が、ギリアン・フリンの全米ベストセラー小説を映画化。物語の中心となるのは、幸福な夫婦生活を送っていたニック(ベン・アフレック)とエイミー(ロザムンド・パイク)。しかし、結婚5周年の記念日にエイミーが失踪し、自宅のキッチンから大量の血痕が発見される。警察はアリバイが不自然なニックに疑いをかけ捜査を進め、メディアが事件を取り上げたことで、ニックは全米から疑いの目を向けられることとなる。
恋人、夫、妻、あなたは愛するパートナーのことをどれだけ知っていますか? 誰もが羨むであろう夫婦に訪れた、妻の失踪という悲劇をきっかけに、夫と妻、それぞれが隠していた秘密が浮かび上がる本作は、最も身近にいる存在のことを改めて考えずにはいられない驚愕のサスペンスです。
アフレック演じる、理想を追い求める妻から見たらボンクラに見えてしまう夫と、パイク演じる、すべてを兼ね備えているかに見えるが、心のなかに満たされない空洞を抱える妻、というキャスティングも絶妙で、「はたしてどちらが本当のことを言っているのか?」と固唾をのんで見入ってしまうこと必至。映画を見終えた時、きっとあなたは鬼才デビッド・フィンチャーと同じ時代に生まれ、彼の作品をリアルタイムで見られる幸せを噛み締めることでしょう。(映画.comスタッフ KA)
ライアン・ジョンソン監督(「スター・ウォーズ 最後のジェダイ」)が、“ミステリーの女王”アガサ・クリスティに捧げてオリジナル脚本を執筆した密室殺人ミステリー。世界的ミステリー作家ハーラン・スロンビー(クリストファー・プラマー)の85歳の誕生日パーティが、彼の豪邸で開かれた。その翌朝、ハーランが遺体となって発見される。依頼を受けた名探偵ブノワ・ブラン(ダニエル・クレイグ)は、事件の調査を進めていく。莫大な資産を抱えるハーランの子どもたちとその家族、家政婦、専属看護師――屋敷にいた全員が事件の第一容疑者となり、裕福な家族の裏側に隠れたさまざまな人間関係があぶり出されていく。
“いい映画は、いい脚本から生まれる”という定説を強く実感する作品で、観客を手玉に取る謎解きゲームがとにかく面白い作品です。また、「007」シリーズでは終始緊張感あふれるスパイに扮していたクレイグが、嬉々として少し間の抜けた人に見えなくもない名探偵を演じているのを筆頭に、一癖も二癖もある容疑者たちに扮した豪華実力派キャストのアンサンブルも楽しい至福の1本。
物語の鍵を握るのが、嘘をつくとところ構わず吐いてしまう正直者の看護婦という、それこそ嘘のような設定も絶妙で、鑑賞後の満足度の高さを保証します。なお、本作のヒットを受け製作されたシリーズ第2弾「ナイブズ・アウト グラス・オニオン」(22)も必見ですよ。(映画.comスタッフ KA)
「名探偵シャーロック・ホームズに妹がいた」という設定が人気を集める、米作家ナンシー・スプリンガーの小説シリーズを、Netflixが映画化したミステリーアドベンチャー。1884年のイギリス、16歳の誕生日を迎えたエノーラ(ミリー・ボビー・ブラウン)が目を覚ますと、母が謎めいた暗号を残して行方不明になっていた。母を探しに単身ロンドンへ向かったエノーラは、青年貴族の失踪事件に関わったことをきっかけに、恐ろしい陰謀と巨大な謎に巻き込まれていく。
「ストレンジャー・シングス 未知の世界」でおなじみのブラウンのキュートな魅力が光る、ヤングアダルト向けのミステリーシリーズ。シャーロック役にヘンリー・カビル、マイクロフト役にサム・クラフリン、ホームズ兄妹の母・ユードリア役にヘレナ・ボナム・カーターという豪華布陣に加えて、主人公の相手役を演じたルイス・パートリッジもぜひ押さえておきたい注目株です。
1作目はエノーラの初めての冒険と初々しいロマンスが見どころでしたが、続編「エノーラ・ホームズの事件簿2」(22)はエノーラが兄シャーロックと共同捜査を行うなど、より“シャーロック・ホームズ”の世界観が楽しめる作品に仕上がっています。(映画.com編集部 AM)
物語がすべてパソコンの画面上をとらえた映像で進行していくサスペンススリラー。Googleグラスだけで撮影したYouTube動画で注目を集めたアニーシュ・チャガンティが監督を務めた。16歳の女子高生マーゴット(ミシェル・ラー)が突然姿を消し、行方不明事件として捜査が開始されるが、家出なのか誘拐なのかが判明しないまま、37時間が経過する。娘の無事を信じたい父デビッド(ジョン・チョウ)は、マーゴットのPCにログインし、娘のSNSにアクセスを試みる。だがそこには、いつも明るくて活発だったはずの娘の知られざる一面が映し出されていた。
最初から最後まで、PC上でストーリーが展開するという斬新なアイデアが話題を呼んだ画期的なエンタメ映画。父親が失踪した一人娘の消息を求めて、SNSやメールなどを使って情報を探っていく姿がリアルで、恐怖をより身近に感じます。二転三転するトリッキーな演出、あちこちに仕掛けられた伏線などサスペンス的な面白さに加えて、家族ドラマとしてもホロッとさせるところがニクい。
続編「search #サーチ2」(23)では、デジタルネイティブ世代のティーンエイジャーが、デバイスを駆使して、旅先で行方不明になった母親の居場所を探っていきます。第1作と手法は同じですが、デジタル技術の進化に伴いさらにスケールアップ。ぜひ2作あわせてお楽しみください。(映画.com編集部 AM)
ミヒャエル・ハネケ監督(「ピアニスト」)が、第58回カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞した衝撃のサスペンス。テレビ局の人気キャスターであるジョルジュ(ダニエル・オートゥイユ)は、美しい妻アンヌ(ジュリエット・ビノシュ)と息子ピエロとの幸せな生活を営んでいたが、ある日、送り主不明のビデオテープが届く。そこには、彼の私生活を撮影した映像が収録されていた。その後もテープは何度も届き、届くたびによりプライベートな内容へとエスカレートしていく。
“いや~~~な感じ”を描き続けるハネケ作品群のなかでも、とりわけ“いや~~~な感じ”を徹頭徹尾貫いた秀作。冒頭、いきなりスタートする固定カメラの映像。主人公たちを“見知らぬ誰か”が見ている……これが提示された瞬間、一瞬たりとも気が抜けなくなるんです。
何度も何度も届く“監視映像”を収めたビデオテープ。何かが隠されている?と凝視してみるんですが、全くわからない……やがて訪れる“衝撃の事件”。そこで安寧を得られるかと思いきや、ラストのラストでとんでもない事実をサラッと映す。これでリピート鑑賞確定になるんですよね。いまだに全容を掴めていません……。ちなみに「ヘレディタリー 継承」「ミッドサマー」のアリ・アスター監督が“好きなハネケ作品”として挙げていた1本です。この事実で、本作の“いや~~~~~な感じ”伝わりますよね?(映画.com編集部 岡田寛司)
フランシス・フォード・コッポラ監督(「地獄の黙示録」)が、第27回カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞した恐怖劇。舞台はサンフランシスコ、プロの盗聴屋・ハリー(ジーン・ハックマン)は依頼を受け、不倫カップルの会話をテープに録音していた。翌日、ハリーは依頼主の秘書の態度がひっかかり、自らのポリシーを破り録音テープを聞く。そこには、依頼主がカップルを殺そうとしていることを予感させる内容が記録されていた。
“盗聴”という要素で、こんなにもサスペンスフルな物語が描けるとは……。「やっぱり、コッポラ天才!!」とひれ伏してしまった逸品です。主人公となるプロの盗聴屋の人物設定、これが超いい。他人のプライバシーを“盗む”仕事をしているのに、自分のプライバシーは絶対に明かさない(恋人にも!)。これが効いてくるんですよ……。
たまたまとってしまった「殺されるかもしれない」という言葉。そこから始まる盗聴屋の贖罪と混乱の日々――“真実”を追い求めた結果、到達してしまう“現実”には、主人公だけではなく、鑑賞している“私たち”も唖然茫然としてしまうはず。静かで、優雅で、哀しくて、強烈で……あのラスト、いまだに忘れられません。(映画.com編集部 岡田寛司)
作家ジェームズ・エルロイによる「L.A.4部作」のひとつを映画化したクライムサスペンス。1953年のロサンゼルスで、元刑事を含めた6人の男女が惨殺された事件の捜査にあたっていたロス市警の刑事バド(ラッセル・クロウ)は、やがて売春組織の高級娼婦リン(キム・ベイシンガー)にたどり着く。一方、殉職した刑事の父を持つ野心家エド(ガイ・ピアース)、テレビの刑事ドラマでアドバイザーをしているジャック(ケビン・スペイシー)も動き出す。刑事たちはぶつかり合いながらも、やがて手を組み、警察内部の汚職に立ち向かうことになる。
終戦から10年も経っていない1950年代のロサンゼルスが舞台。ロス市警の刑事たちが、警察内部にうごめく腐敗と対峙し、多くの血が流れるさまを描いているが、原作では8年間にわたる物語を映画では3カ月に凝縮したことで、先の読めない展開を演出することに成功している。
そして、腕っぷしの強い熱血刑事バド、嫌われ者のエリート刑事エド、汚職刑事ジャックが、思惑が合致したことで共闘し、それぞれが持ち寄る情報が組み合わさっていくことで伏線を回収していくさまは実に小気味いい。今作は98年に公開されているが、以降でこれを上回るフィルム・ノワール作品は誕生していないのではないかと感じるほどに、いま改めて観直してみても飽きさせることがない。(映画.com編集部 大塚史貴)
ジェームズ・マンゴールド監督(「フォードvsフェラーリ」)によるサイコスリラーサスペンス。豪雨のために交通が遮断され、さびれたモーテルに泊まることになった、若いカップル、わがままな女優とそのマネージャー、囚人と彼を護送する刑事、子ども連れの夫婦など、10人の男女。やがて女優が行方不明になり、その頭部が乾燥機のなかで発見される。恐怖と疑念がうごめくなか、謎の犯人は殺人を続けていく。
初めて見たのは、確か高校生のときでした。TSUTAYAのポップに書かれた「大どんでん返し!」の文言が気になりレンタルしてみましたが、まさかこんなに衝撃を受けて、いまだに忘れられない作品になるとは。本作に関しては、簡単なストーリー以外は何も知らずに見てほしいです。展開もオチも予想が全く当たらず、中盤に驚いて、その後もさらに……。何度見てもぞわぞわっとする感覚がたまらないです。90分と見やすいのも◎。(映画.com編集部 SK)
ウッディ・アレン監督(「アニー・ホール」)がニューヨークを離れ、イギリスで作り上げたラブサスペンス。元プロテニスプレイヤーの野心家クリス(ジョナサン・リース=マイヤーズ)は、大企業の令嬢クロエ(エミリー・モーティマー)と出会い、結婚する。彼女の父が経営する会社に入り、ロンドンの上流社会での地位も得て、人生は順風満帆なはずだった。しかし、クリスは、クロエの兄の恋人ノラ(スカーレット・ヨハンソン)に魅了され、運命を狂わされていく。
タイトルは、勝負が決まる最後のポイントを指すテニス用語です。プロをあきらめたものの、みなぎる野心とその運の良さで、資産家の娘に惚れられ、上流階級入りした主人公。しかし、義兄の恋人だったセクシーなノラの魅力に完敗し、秘密の関係がスタート。妻の父の会社で重要なポジションを与えられ、家族との生活もそつなくこなし、妻との子作りと同時並行で熱い逢瀬を続けます(体力がすごい)。
ラブシーンでは、ネクタイ締める職業に就くとああいうプレイもできるのか……と中盤までは、乗りに乗った男の背徳と官能のドラマが展開しますが、その後は因果応報、殺人を犯すところまで追い詰められます。しかし、ウッディ・アレン監督作品ですから、そのラストはありきたりのものではありません。ドストエフスキーやギリシアの哲学者の言葉などが引用され、“運が良い”浮気男の犯罪の本当の結末を、いつまでも考え続けたくなる知的サスペンスです。(映画.com編集部 今田カミーユ)
電話からの声と音だけで誘拐事件を解決する斬新な設定で注目され、第34回サンダンス映画祭で観客賞を受賞したデンマーク製の異色サスペンス。過去のある事件をきっかけに警察官として一線を退いたアスガー(ヤコブ・セーダーグレン)は、いまは緊急通報指令室のオペレーターとして、電話越しに小さな事件に応対している。そんなある日、アスガーは、いままさに誘拐されているという女性からの通報を受ける。
聞こえてくる“音”だけで誘拐事件を解決しようとする――設定はとてもシンプル。でも、シンプルだからこそ今まで見たことのない斬新さが光る新感覚ミステリーです。主人公は事件解決のために音を頼りにしますが、それにしてもヒントが少ない、少なすぎる。鑑賞中には自分も音を聞き逃さないよう耳を研ぎ澄まし、犯人像や事件現場などの想像を膨らませていきますが、予想もつかない方向へと展開していきます。タイトルの意味を考えさせられる、深い余韻の残る結末もお楽しみに。(映画.com編集部 SK)
「ダ・ヴィンチ・コード」をはじめとするダン・ブラウンの小説「ロバート・ラングドン」シリーズの出版秘話をもとにしたミステリー。フランスの人里離れた村にある洋館に、ミステリー小説「デダリュス」完結編の各国同時発売に向けて、9人の翻訳家が集められた。翻訳家たちは外部との接触を一切禁止され、毎日20ページずつ渡される原稿を翻訳していく。しかしある夜、出版社の社長(ランベール・ウィルソン)のもとに「冒頭10ページをネットに公開した。24時間以内に500万ユーロを支払わなければ、次の100ページも公開する。要求を拒めば全ページを流出させる」という脅迫メールが届く。
本編105分と短めの作品ですが、先の読めない展開、難易度MAXな謎解き、そして予想を覆す驚きの結末まで、ミステリーの醍醐味がぎゅっと詰まった作品。通信手段のない要塞のような地下室で、「誰が」「どうやって」厳重管理された原稿を流出させたのか。その目的は一体何なのか。9人の翻訳家を招集した出版社オーナーが、疑心暗鬼に陥り、常軌を逸していくさまは恐怖しかありません。そして驚きなのは、この物語が完全な創作ではなく、世界的ベストセラー「ダ・ヴィンチ・コード」シリーズの出版を巡る実話を基にしていること。まさに、“事実は小説より奇なり”という言葉がぴったりな一作です。(映画.com編集部 AM)
ドミニク・モル監督(「ハリー、見知らぬ友人」)が描いた、ある失踪事件を軸に、思いもよらない形でつながっていく5人の男女の物語。吹雪の夜、フランスの山間の町で女性が失踪し、殺害された。事件の犯人として疑われた農夫ジョセフ(ダミアン・ボナール)、彼と不倫関係にあったアリス(ロール・カラミー)、そして彼女の夫ミシェル(ドゥニ・メノーシェ)ら、それぞれに秘密を抱えた5人の男女の関係が紐解かれる。やがて彼らが、フランスとアフリカ・コートジボワールをつなぐ壮大なミステリーに絡んでいた事実が明らかになっていく。
本作は、第32回東京国際映画祭コンペティション部門で最優秀女優賞と観客賞を受賞し、高い評価を獲得。映画祭上映時のタイトル「動物だけが知っている」が示す通り、劇中には、動物たちの空虚な瞳をとらえるカットが、たびたび挿入されます。人間たちの愚かな欲望を前に、彼らは何を思うのか――。知らず知らずのうちに、抗えない運命に絡めとられていく人間に対し、まさに動物だけがすべてを、静かに見つめているのです。(映画.com編集部 TY)
イギリス・プエルトリコ合作映画「恐怖ノ黒電話」(11)を原案に、新鋭イ・チュンヒョンが長編初監督・脚本を手がけたスリラー。異なる時代に生きるふたりの女性が、ひとつの電話でつながったことで、それぞれの運命が変わっていくさまを描いた。ソヨン(パク・シネ)は幼い頃に大好きだった父を火事で亡くし、その原因を作った母をいまだに許せずにいた。母が入院中のため無人となった実家を久々に訪れた彼女は、来る途中で携帯電話を失くし、古い電話機を引っ張り出す。するとヨンスク(チョン・ジョンソ)という若い女性から電話がかかってきて、彼女は20年前の同じ家にいることが判明。時を超えて会話を続けるうちにふたりは親しくなり、ヨンスクはソヨンの父が命を落とした火事を事前に食い止める。歴史は書き換えられ、ソヨンは両親と幸せな日々を過ごすが……。
異なる時代に生きるふたりの女性がひとつの電話で繋がり、互いのつらい現状を打ち明け親しくなる――。このバディ感高めな設定とサスペンスの火種になりそうな過去の事件、悪役ポテンシャルが高い登場人物に見事にミスリードされてしまいました。せっかく繋がったこのふたりを誰がどう追い込んでいくのか、ふたりはどう助け合うのかと思って見ていたら、「え、そっち!?」な展開と「いや、そこまで!?」なゴア描写で度肝を抜かれました。韓国の国民的人気女優で主演のパク・シネに引けを取らない存在感(個人的には凌駕したと思っている)のライジングスター、チョン・ジョンソにぜひ注目してご覧いただきたいです。(映画.comスタッフ IS)
スペイン映画「ロスト・ボディ」(13)をリメイクしたミステリー。大学教授・ジンハン(キム・ガンウ)は、財閥の2世で、大手製薬会社の会長を務める年上の妻(キム・ヒエ)から所有物のように扱われることに不満を抱き、教え子の女子学生との不倫に走っていた。しかし、その女子学生が妊娠したことをきっかけに、妻の殺害を計画したジンハンは、証拠の残らない新薬を使い、妻を病死と見せかけて殺すことに成功。しかし、幸福な未来を手にしたはずのジンハンのもとに、妻の遺体が遺体安置所から忽然と消えたという知らせが入り、ベテラン刑事・ジュンシク(キム・ガンウ)から執拗な尋問を受けることになる。
殺したはずの妻の遺体が消える――自分が夫の立場だったら、それこそ生きた心地がしないだろうなと、ゾッとします。先が読めないハイレベルなミステリースリラーであるにも関わらず、オープニングからホラーかと見まがうような恐怖演出の数々――そんな「ゾッとする」感覚が最後まで持続します。下手をすれば心霊怪奇現象よりもずっとずっと恐ろしい、人間の欲望、そして復讐心。韓国映画は、ヒット作のリメイクにも次々と成功している印象があります。オリジナルよりも粘度を増しているであろう、このじっとりした感じこそが、韓国ミステリーの魅力ですよね。(映画.com編集部 TY)
ユン・ジョンソク監督(「マリン・ボーイ」)がスペイン映画「インビジブル・ゲスト 悪魔の証明」(16)に着想を得て脚本を執筆したサスペンススリラー。IT企業の社長ユ・ミンホ(ソ・ジソブ)の不倫相手であるキム・セヒ(ナナ)が、ホテルの密室で殺害された。第一容疑者となったミンホは犯行を否認し、敏腕弁護士ヤン・シネ(キム・ユンジン)を雇って事件の真相を探り始める。ミンホは事件前日に起きた交通事故がセヒの殺害に関係しているかもしれないと告白し、事件の再検証が始まるが、目撃者が現れ、事態は思わぬ方向へと転がっていく。
見どころは、キャラクターへの先入観を巧みに利用し、ひとりのキャラクターのさまざまな顔が明らかになっていく点。キャラクターたちの真実と嘘が入り混じった“証言”や、さまざまな手がかりや伏線など、ふとしたきっかけで、物語は全く違う様相を帯びて行きます。同じシーンでも、全く別の出来事が起こったり、キャラクターの知られざる一面が明かされたり。最後に浮かび上がる、ある人物のまさかの本性に、震えること間違いなし!(映画.com編集部 TY)
ポン・ジュノ監督(「パラサイト 半地下の家族」)が、韓国で実際に起きた連続殺人事件を、リアルな演出で映画化。1986年、ソウル近郊の農村で、同じ手口による若い女性の惨殺事件が連続して発生する。地元の刑事パク・トゥマン(ソン・ガンホ)とソウル市警から派遣された刑事ソ・テユン(キム・サンギョン)は対立しながらも捜査を続け、やがて有力な容疑者を捕らえる。
実際の未解決事件を描いた作品だからこそ、事件は2019年に、映画の続きといえるような、ある展開を迎えます。19年9月、最新のDNA鑑定を駆使した捜査で、刑務所に収監されていたイ・チュンジェを犯人として特定し、34年におよぶ捜査に終止符が打たれたのです(驚くべきことに、犯人は「殺人の追憶」を見ていたとのこと)。
この34年という途方もない時間を象徴するかのように、本作では、難航する捜査に苦悩する刑事たちの葛藤が描かれています。些細な証拠で二転三転し、被害者たち、犯人だと疑われた冤罪被害者たち、ひいては刑事たちの人生をも絡めとっていくような事件に、いつしか観客も飲み込まれていきます。(映画.com編集部 TY)
実際の連続殺人事件をモチーフにした韓国製サスペンスミステリー。刑事キム・ヒョンミン(キム・ユンソク)は、恋人を殺害して逮捕されたカン・テオ(チュ・ジフン)から「全部で7人殺した」と告白される。しかし、テオの証言以外に証拠はなく、警察内部でもテオを信じる者はいない。それでも、彼の言葉が真実だと直感的に確信したヒョンミンは、上層部の反対を押し切り捜査を進める。やがて、テオの証言通りに白骨化した遺体が発見されるが、その途端、テオは「死体を運んだだけ」と証言を覆す。
「7人殺した」……たったひとりの刑事にのみ自白する犯人。罪を免れるための嘘なのか、身の毛もよだつ事実なのか。二転三転する証言に、刑事ととも見ているこちらも翻ろうされ、ハラハラさせられます。しかもこれ、実話が基になっているのです……。それを前提に見ると、より背筋が寒くなること間違いなしです。(映画.comスタッフ エビタニ)
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「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。
父親と2人で過ごした夏休みを、20年後、その時の父親と同じ年齢になった娘の視点からつづり、当時は知らなかった父親の新たな一面を見いだしていく姿を描いたヒューマンドラマ。 11歳の夏休み、思春期のソフィは、離れて暮らす31歳の父親カラムとともにトルコのひなびたリゾート地にやってきた。まぶしい太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、2人は親密な時間を過ごす。20年後、当時のカラムと同じ年齢になったソフィは、その時に撮影した懐かしい映像を振り返り、大好きだった父との記憶をよみがえらてゆく。 テレビドラマ「ノーマル・ピープル」でブレイクしたポール・メスカルが愛情深くも繊細な父親カラムを演じ、第95回アカデミー主演男優賞にノミネート。ソフィ役はオーディションで選ばれた新人フランキー・コリオ。監督・脚本はこれが長編デビューとなる、スコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズ。
文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。
ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。
奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。
内容のあまりの過激さに世界各国で上映の際に多くのシーンがカット、ないしは上映そのものが禁止されるなど物議をかもしたセルビア製ゴアスリラー。元ポルノ男優のミロシュは、怪しげな大作ポルノ映画への出演を依頼され、高額なギャラにひかれて話を引き受ける。ある豪邸につれていかれ、そこに現れたビクミルと名乗る謎の男から「大金持ちのクライアントの嗜好を満たす芸術的なポルノ映画が撮りたい」と諭されたミロシュは、具体的な内容の説明も聞かぬうちに契約書にサインしてしまうが……。日本では2012年にノーカット版で劇場公開。2022年には4Kデジタルリマスター化&無修正の「4Kリマスター完全版」で公開。※本作品はHD画質での配信となります。予め、ご了承くださいませ。