カンバセーション 盗聴

劇場公開日:

解説

プロの盗聴屋が若い男女を尾行し、会話を盗聴したことから捲き込まれる恐怖劇。ピーター・ボグダノビッチ、ウィリアム・フリードキン、フランシス・フォード・コッポラの3人が設立したプロダクション、ディレクターズ・カンパニー作品として、コッポラが寄与する第1作。製作はフレッド・ルース、共同製作はモナ・スカジャー、監督・脚本はフランシス・フォード・コッポラ、撮影はビル・バトラー、音楽はデイヴィッド・シャイア、編集はリチャード・チュウが各々担当。出演はジーン・ハックマン、ジョン・カザール、アレン・ガーフィールド、フレデリック・フォレスト、シンディ・ウィリアムズ、マイケル・ヒギンズ、エリザベス・マックレー、テリー・ガー、ハリソン・フォード、ロバート・デュヴァルなど。

1973年製作/アメリカ
原題:The Conversation
配給:パラマウント映画=CIC
劇場公開日:1974年11月26日

ストーリー

サンフランシスコのユニオン広場、ビルの谷間にあるこの市民の憩の場所には、いつもギターを手にした若者や暇をもてあました老人がたむろしていた。よれよれのレインコートを羽織った、どこといって特徴のない中年の男の眼が、広場を散歩している1組の若い男女に注がれている。だが、仲むつまじいカップルを監視しているのはこの中年男だけでなく、近くのビルの窓と広告塔の上から望遠レンズを持った男たちが2人の姿を追い、大きな紙袋を下げた別の男も、2人のすぐ近くをウロウロしている。男は、アメリカ西海岸ではその道一番の腕ききといわれるプロの盗聴屋ハリイ・コール(ジーン・ハックマン)だった。彼は依頼主の注文を受け、例の若い男女の会話をテープに収めているのだ。平凡な恋人同志の語らいに、助手のスタン(ジョン・カザール)は立腹したが、ハリイは黙々と仕事を続ける。長年この商売一筋に打ち込んできた彼は“好奇心を捨てること”を鉄則としてきた。その日の仕事が済むと、ハリイは久しぶりで恋人アミー(テリー・ガー)を訪ねた。アミーはハリイから毎月の生活費を貰うほどの間柄でありながら、彼が何者か、どんな仕事をしてどこに住んでいるのかさえ知らなかった。他人のプライバシーに入り込むことを商売としている彼は異常なまでに自分のプライバシーを明かさなかった。この夜、彼女がいろいろな質問をするためにハリイは怒ってアパートを飛びだした。翌日、男女の会話を収めたテープを依頼主に渡すために豪華なオフィスを訪ねたが、当の依頼主である専務は不在だったため、秘書のマーティン(ハリソン・フォード)が引きとめるのをふりきって、そのオフィスをでた。そのときの秘書の脅しのセリフが、好奇心を捨てたはずのハリイに疑惑を抱かせた。古い工場を改造した仕事場に戻ったハリイはそのテープに耳を傾けた。そして以前は雑音しか聞こえなかった部分から“彼に殺されるかも知れない”といっている男の声をキャッチした。若い恋人たちは殺人事件に捲き込まれようとしているのだろうか?数日後、サンフンシスコでは監視保安技術業者、即ち盗聴屋の大会が開催され、それに出席したハリイは同業者のバーニー・モラン(アレン・ガーフィールド)とその友人たちの一行を仕事場に招いた。だが、モランがいたずらのつもりでハリイに隠しマイクを仕掛けたためすっかり気を悪くした彼は、皆を仕事場から追い払った。あとにはハリイと、モランが連れてきた女メレディス(エリザベス・マックレー)だけが残った。メレディスは、ハリイを隅のベッドに誘った。数時間後、ハリイが眼を覚ましたとき、女は問題のテープと共に消えていた。そして依頼主から、テープを入手したので約束の金を払うからオフィスまでくるようにとの電話が入った。今度は専務(ロバート・デュヴァル)がいて、部屋に飾ってあった写真から、ユニオン広場の2人連れの女が専務の妻(シンディ・ウィリアムズ)であることを知った。妻の不貞を調査させた専務が、自分を裏切った妻と相手の男(フレデリック・フォレスト)を始末しようというのだろうか?ハリイは、テープに収められた会話の中で、男と女が次の逢いびきの場所らしい“ジャック・ター・ホテル、773号室、日曜の3時”といっていたことを思い出す。自分が盗聴したテープのために殺人事件が起こるのではないかと不吉な思いに駆られたハリイは、日曜日、同じホテルの隣りの部屋を借り隣室を盗聴したがテレビの声しか聞こえなかった。突然、ベッドで眠っていたハリイは鋭い悲鳴で眼を覚ました。恐る恐る隣室に忍び込んだハリイは、隅々まで調べたが殺人が行われたような痕跡は発見されなかった。だが、トイレのノブを回すと、おびただしい血が逆流してきた。翌日の新聞は、例の専務が交通事故で死亡したことを報じていた。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第32回 ゴールデングローブ賞(1975年)

ノミネート

最優秀作品賞(ドラマ)  
最優秀主演男優賞(ドラマ) ジーン・ハックマン
最優秀監督賞 フランシス・フォード・コッポラ
最優秀脚本賞 フランシス・フォード・コッポラ
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映画レビュー

3.0盗聴という行為の本当の怖さ

2024年2月26日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

もともと盗聴を専門に請け負う私立探偵(?)だったハリー。
それなりに、過去には「キナ臭い」仕事もこなしてきたことが、その言動からも窺われました。

そんな彼は、仕事上の、いわば鉄則(一種の職業倫理?)として、盗聴の「中身」には関心を持たないように心がけて来たものの、ひょんなことから依頼主に不審感を抱いたことから、つい、習慣を破って盗聴の内容に関心を持ってしまったところ…。
それが、彼の「転落」の始まりだったのだろうと思います。評論子は。

「盗聴しているぞ」―。
正体不明の相手から、電話口でそう告げられただけのことで、本当に盗聴されているかどうかすら定かではない。
しかし、ここまでハリーをここまで追い詰めるには充分過ぎるくらいだったのでしょう。

もちろん、そんなヤバい仕事であればこそ、報酬もそれなりに高額ではあったのでしょうけれども。
その仕事のヤバさが、反対に自分の身に降りかかって来ることが、もしあったとすれば、それは抜き差しならない状況であることは、凡庸な評論子にしてみても、決して想像に難いことではありません。

自分が生業として、当たり前に行ってきた、その同じ行為によって、ここまで追い詰められるー。
その恐怖心が、画面から犇々(ひしひし)と伝わってくるかのようでした。
それは、「盗聴する側」が「盗聴される側」に回されたことの恐怖であり、盗聴という行為の「本当の怖さ」を示唆していたように思えてなりません。評論子には。

もともと、「盗聴」という手法は、調査の方法としては、フェアとは言いがたいものだと思います。

それらも踏まえると、いわゆるサスペンスものの一本として、佳作であったと思います。

(追記)
評論子が参加している映画サークルで、一本の作品を「お題」として話し合う集まりで、メンバーから話題提供があり、鑑賞することにしてた一本でした。
本作は私立探偵の調査活動としての盗聴に取材した一本であるところ、話題として提供して下さった会員が、しかも長年にわたって警察官を務めていた方だったので、余計に興味をそそられていたものでした。

(追々記)
警察と言えば…。
以前に、警察が勾留中の被疑者から供述を引き出すために、警察側の息のかかった別の事件の被疑者(おとり被疑者)をターゲットの被疑者とわざと同房にして、対象被疑者と親しくさせ、おとり被疑者を通じて対象被疑者のホンネを探るというやり方があると聞いたことがあります。
(おとり被疑者は、協力すれば、罪が軽くなるように計らってやるという「エサ」をあらかじめ食わされていることは、言うまでもない。)
これも、ある種の「盗聴」といえるのではないかとも思います。

(追々々記)
本作は、別作品『訴訟』を鑑賞して以来この方、すっかりファンになっていたジーン・ハックマンが主演の一本でもありました。
本編を観始めて始めて気づきましたが、久しぶりに観た彼の出演作品にもなります。

いわゆる、マチ弁(企業の顧問を中心に、その取引にまつわる経済事件などを専門に扱うのではなく、庶民の生活にかかわる法律問題を広く取り扱う弁護士)で、理屈よりも「ハートで訴訟をする」タイプの弁護士ということで、同じく弁護士ということを仕事にしながらも、一流事務所に勤めてエリートを目指している娘には、ずいぶんと疎まれる役回りてしたけれども。

そんな役柄ながら…否、そんな役柄が気に入って、それ以来に注目し、出演作品『スケアクロウ』『クリムゾン・タイド』『遠すぎた橋』『ミシシッピ・バーニング』などを観てきた俳優さんでもありました。

彼の出演作品ということでも、楽しめた一本になりました。本作は。評論子には。

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talkie

2.0ジワリジワリと丹念に

2023年11月28日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

怖い

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parsifal3745

3.0よくわからないのが好き、な人向き

2023年4月7日
PCから投稿

サスペンスを期待すると大外れします。一種のサイコスリラーです。
良く言えば、色々に解釈できる。悪く言えば、何だかよくわからない。という映画です。
PTAとかCノーランなんかが好きな人とか評論家には評判よさそうなのはわかりますけど。
コッポラ選手の大前提があるから、みんな褒めるけど、知らなかったらどうなんでしょうね?
好き嫌いは別にして、人に薦める作品ではありません。

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越後屋

3.5プロの盗聴屋

2022年10月27日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

プロの盗聴屋(ジーン・ハックマン)が依頼を受け、あるカップルを盗聴する。
内容に興味を持たないことを信条としていたが、ある言葉に引っかかってしまう。
加害者から被害者へ。

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いやよセブン
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