劇場公開日 1974年11月26日

カンバセーション 盗聴のレビュー・感想・評価

全13件を表示

3.0盗聴という行為の本当の怖さ

2024年2月26日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

もともと盗聴を専門に請け負う私立探偵(?)だったハリー。
それなりに、過去には「キナ臭い」仕事もこなしてきたことが、その言動からも窺われました。

そんな彼は、仕事上の、いわば鉄則(一種の職業倫理?)として、盗聴の「中身」には関心を持たないように心がけて来たものの、ひょんなことから依頼主に不審感を抱いたことから、つい、習慣を破って盗聴の内容に関心を持ってしまったところ…。
それが、彼の「転落」の始まりだったのだろうと思います。評論子は。

「盗聴しているぞ」―。
正体不明の相手から、電話口でそう告げられただけのことで、本当に盗聴されているかどうかすら定かではない。
しかし、ここまでハリーをここまで追い詰めるには充分過ぎるくらいだったのでしょう。

もちろん、そんなヤバい仕事であればこそ、報酬もそれなりに高額ではあったのでしょうけれども。
その仕事のヤバさが、反対に自分の身に降りかかって来ることが、もしあったとすれば、それは抜き差しならない状況であることは、凡庸な評論子にしてみても、決して想像に難いことではありません。

自分が生業として、当たり前に行ってきた、その同じ行為によって、ここまで追い詰められるー。
その恐怖心が、画面から犇々(ひしひし)と伝わってくるかのようでした。
それは、「盗聴する側」が「盗聴される側」に回されたことの恐怖であり、盗聴という行為の「本当の怖さ」を示唆していたように思えてなりません。評論子には。

もともと、「盗聴」という手法は、調査の方法としては、フェアとは言いがたいものだと思います。

それらも踏まえると、いわゆるサスペンスものの一本として、佳作であったと思います。

(追記)
評論子が参加している映画サークルで、一本の作品を「お題」として話し合う集まりで、メンバーから話題提供があり、鑑賞することにしてた一本でした。
本作は私立探偵の調査活動としての盗聴に取材した一本であるところ、話題として提供して下さった会員が、しかも長年にわたって警察官を務めていた方だったので、余計に興味をそそられていたものでした。

(追々記)
警察と言えば…。
以前に、警察が勾留中の被疑者から供述を引き出すために、警察側の息のかかった別の事件の被疑者(おとり被疑者)をターゲットの被疑者とわざと同房にして、対象被疑者と親しくさせ、おとり被疑者を通じて対象被疑者のホンネを探るというやり方があると聞いたことがあります。
(おとり被疑者は、協力すれば、罪が軽くなるように計らってやるという「エサ」をあらかじめ食わされていることは、言うまでもない。)
これも、ある種の「盗聴」といえるのではないかとも思います。

(追々々記)
本作は、別作品『訴訟』を鑑賞して以来この方、すっかりファンになっていたジーン・ハックマンが主演の一本でもありました。
本編を観始めて始めて気づきましたが、久しぶりに観た彼の出演作品にもなります。

いわゆる、マチ弁(企業の顧問を中心に、その取引にまつわる経済事件などを専門に扱うのではなく、庶民の生活にかかわる法律問題を広く取り扱う弁護士)で、理屈よりも「ハートで訴訟をする」タイプの弁護士ということで、同じく弁護士ということを仕事にしながらも、一流事務所に勤めてエリートを目指している娘には、ずいぶんと疎まれる役回りてしたけれども。

そんな役柄ながら…否、そんな役柄が気に入って、それ以来に注目し、出演作品『スケアクロウ』『クリムゾン・タイド』『遠すぎた橋』『ミシシッピ・バーニング』などを観てきた俳優さんでもありました。

彼の出演作品ということでも、楽しめた一本になりました。本作は。評論子には。

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talkie

3.0よくわからないのが好き、な人向き

2023年4月7日
PCから投稿

サスペンスを期待すると大外れします。一種のサイコスリラーです。
良く言えば、色々に解釈できる。悪く言えば、何だかよくわからない。という映画です。
PTAとかCノーランなんかが好きな人とか評論家には評判よさそうなのはわかりますけど。
コッポラ選手の大前提があるから、みんな褒めるけど、知らなかったらどうなんでしょうね?
好き嫌いは別にして、人に薦める作品ではありません。

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越後屋

3.5プロの盗聴屋

2022年10月27日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

プロの盗聴屋(ジーン・ハックマン)が依頼を受け、あるカップルを盗聴する。
内容に興味を持たないことを信条としていたが、ある言葉に引っかかってしまう。
加害者から被害者へ。

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いやよセブン

5.0じわじわと忍び寄る不安、罪の意識、恐怖

2022年9月11日
iPhoneアプリから投稿

人間の弱さを知る

かなり狭い業界でのマウント、利益、技術、過去の業績の取り合い
そんな世間とは一歩離れたところで、技術屋としての自負職業人としての心得を拠り所に自分の信条に基づき仕事をしていたが、、、
ふと、あたまに浮かんだ、起こりうる悲劇

そこからの妄想順々迷い恐怖。

一介の技術屋、盗聴師の身の回りに起こることがコンパクトに、濃密に、スパイ映画さながらに全部詰まっていて、見応えあり。
最後まで見応え、楽しませてくれる展開。
そして、どうしてもハリソンフォードの押しの強い面に目が行ってしまった。

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redir

4.0【”孤独を愛する秘密主義の盗聴のプロが聞いてしまった一言。”その男の心理的恐怖を描いた”聴覚””盗聴”映画。】

2022年1月25日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

怖い

興奮

知的

ー 先日、「ブラックボックス」と言う、面白き聴力映画を鑑賞した。
  今作は、出演した俳優が”参考にした”と語っていた作品である。-

・プロの盗聴屋、ハリー・コールは依頼により若き男女の街中での会話を盗聴していた。
そして、そこで話されていた”殺される・・”と言う言葉を聞いたハリーは、徐々に忌まわしき想いを抱いていく。

・過去に彼が行った盗聴により、引き起こされたと、盗聴のプロ仲間が語る殺人事件。
ー 画では、一切描かれない。逆にそれが、観る側の想像力を掻き立てる。-

・ハリーに盗聴を依頼したのが、大会社の”専務”であることが途中で明かされ、男女はその会社の社員であり、女は専務の妻であることが分かって来る。
ー ハリーは、男女が殺される事を危惧し、テープを渡すことを拒否するが・・。
  ここで、観る側は制作側のトリックに掛かる。実際に殺されたのは・・。ー

<ハリーが、自分自身も盗聴されてるのでは、と疑心暗鬼になり自分の部屋の壁やら器具やらを全て壊すシーンは彼自身が狂気の世界に引き込まれている事を、明示している。
 ”聴覚””盗聴”にテーマを絞った心理サスペンス映画の一作である。>

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NOBU

3.5得体の知れない不気味さ・・・を感じる映画

2021年10月13日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

盗聴のプロである探偵が、殺人を示唆する会話を録音したことからトラブルに巻き込まれる物語。

ジーン・ハックマン、ジョン・カザール、ロバート・デュバルに、スターウォーズ出演前のハリソンフォードも脇を固めるサスペンス。
コッポラの隠れた名作として有名な作品のようですね。

物語は、録音をオファーした雇い主との駆け引きを中心に、彼の職人気質の仕事ぶりや仕事仲間との交流を描き、クライマックスへと進みます。
主人公の描き方は人間ドラマとして秀逸で、ラストの展開は私好み。ただ、人間ドラマが深い分、サスペンスとしては中盤がやや冗長に感じたのが残念。私には、サスペンスとしての面白さや興味を感じることが出来ませんでした。

評価はやや甘めに付けて3.5にしました。

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よし

3.5コッポラの実験映画

2021年6月22日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

興奮

知的

ジワジワと焦らしながら進展しない物語とガラッと意表を突くような展開へ、どんでん返しとは違うにしてもスッキリしない嫌なオチと終わり方、二段階で落としに掛かるコッポラの巧みなワザが光る。

ジーン・ハックマンとハリソン・フォードにロバート・デュヴァルの豪華な場面が淡白すぎて特別な意識がない分、緊張感が膨らむシーンとして、チョイ役過ぎたジョン・カザール含めた豪華出演陣。

"ゴッドファーザー"と"PARTII"の間に本作を撮ってしまうコッポラに驚きしかない凄まじさ!!

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万年 東一

4.0ハリソン・フォード

2019年5月1日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 冒頭からカップルの会話が盗聴されるが、女性のほうが盗聴に気づいてしまうという失敗談。1973年頃というとカセットテープレコーダーが普及し始めた頃だし、当時としても興味深い映画だったに違いない。

 依頼された盗聴の中味についてはノータッチであるのが信条だったが、つい聞いてしまって「彼に殺されるかも」という会話に引っかかってしまった。ジャクター・ホテル773号室というキーワードが耳から離れなくて、夢にまで見た恐怖の瞬間。依頼主に聞いても「金は外で勘定しろ」と言われしぶしぶ引き下がり、問題のホテルに直行する。

 結局殺されたのは彼らカップルではなかった。誰が誰を殺したんだ?と不安になり極度の精神錯乱状態になるハリー。しかし、「これ以上深入りするな!お前のところを盗聴してるからな」と脅迫電話が入り・・・

 ブレイク前の若き社長ハリソン・フォードがまぶしい。ジーン・ハックマンも精神的にまいってゆく姿が見事。盗聴の恐怖をいう現代にも通用するテーマを描いた佳作だ。ただし、ストーリーは単純。

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kossy

3.0タイトル通り

2018年7月30日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

知らないほうがいいこともある。テンポ遅め。

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Ryuta

3.0盗聴の恐怖。今は映画の時代よりもっとすごいことになってるんでしょう...

2017年6月24日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

盗聴の恐怖。今は映画の時代よりもっとすごいことになってるんでしょうね、国家間からプライベートまで。当然、盗聴を生業としてる人間は今もいるはず、いやな商売ですね。

映画は盗聴を生業としているジーン・ハックマンが壊れていくというもの。そら、そうなりますよね、普通の人なら。ラストシーンが超渋い!
結論は難解。どこからどこまでが真実なのか、妄想なのか、さっぱりわかりませんでした。ネットで見てもよくわかりません。ハリソン・フォードは悪い奴なの?
それだからこそいいんだ!ってやつね。批評家からは高評価のようです。
私はやっぱりいやだ。スッキリせん。

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はむひろみ

4.0強迫観念に駆られ不安が増大する男の孤独

2016年12月4日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

知的

総合75点 ( ストーリー:75点|キャスト:80点|演出:75点|ビジュアル:70点|音楽:70点 )

 今でこそ秋葉原でも通販でも簡単に監視・盗聴器具は手に入るが、この時代にもうここまでそのようなものがあったのが興味深い。そしてそれを使いこなすジーン・ハックマン演じる男は、その世界を知っているが故に自分が監視・盗聴されないように極端に用心深くなって他人を信用出来ず、だから他人とも良い関係を築くことが出来ない。彼に何気なく差し込まれた筆記具が、彼のそんな警戒心をより強くする。そして彼の仕事の内容から、自分が狙われていると彼の心を激しく掻き乱す。
 彼のそんな男の孤独さと、心理が良く表現されていた。作品全体を通じて緊張感と孤独さと疑心暗鬼で満たされている。そしてその男を演じたジーン・ハックマンが良い演技で存在感を示していた。

 コッポラ監督作品の中では地味だし、同時期に制作された『ゴッドファーザー PART II』の陰に隠れてしまっているが、独特の雰囲気を持っていてなかなか面白い。ハックマンに手を出してくる事件の関係者の力が強いので、これならば別にハックマンを雇う必要もないのではないかとか、抽象的表現があって事件の背景が必ずしもはっきりしない部分もあるのだが、心理的に追い詰められてくる演出が良い出来栄え。

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Cape God

2.5古いサスペンス

2016年7月17日
iPhoneアプリから投稿

盗聴家業なのに他人の秘密を知って正義感が湧いてしまう

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mamagamasako

3.0複雑な内面

2014年5月17日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

怖い

知的

難しい

これは、時代なのかなぁ。ジーン・ハックマンの複雑に絡み合った内面をじっと見させられる、そんな映画でした。もちろんジャンルとしてはサスペンスになるのでしょうけど、ただのサスペンスとは言いがたいですね、これは。むしろそうしたこれまでに作り上げられたサスペンスの意味を崩しにかかっている、そんな印象でした。サスペンスのプロットよりも、人物の内面の葛藤に焦点を当てています。
ふと、前回レビューしたポランスキーの『チャイナタウン』と同じ年に公開されてることに気づきました。そして、なんだか深くそのことに納得です。どちらも同じ空気が流れています。

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チャーリー