家出してやる!各々が現実世界に辟易したドラえもん、のび太、しずか、ジャイアン、スネ夫の5人は誰にも邪魔されない新天地を求めて7万年前の世界へ向かう。
一行は居住地の建設や食物の生産などを行いながら、7万年前の世界を広々と開墾していく。やっぱりドラえもん映画の一番の旨味はここだ。岩盤にシャベルを突き刺せば砂のようにぐんぐん岩が削れていくし、カブを真っ二つに割れば中からホカホカのカツ丼やパスタが出てくる。
のび太は持ち前の好奇心を生かして「クローニングエッグ」に別の動物の遺伝子を掛け合わせてキメラ生物を生み出す(ペガサスのペガ、グリフィンのグリ、ドラゴンのドラコ)。こいつがまた可愛い。
「またいつでも来れるから」と現代世界に戻った一行は、原始人ヒカリ族の少年・ククルと遭遇する。彼は7万年前の中国大陸から時空乱流によって現代に流されてきてしまったのだ。
ヒカリ族は不死身の精霊王・ギガゾンビという後ろ盾を得たクラヤミ族と抗争を繰り広げており、ヒカリ族は北方に連れて行かれてしまったとククルは語る。かくしてドラえもん一行はククルと共にヒカリ族救出作戦を決行する。
ギガゾンビの正体が未来の世界の時間犯罪者だったという種明かしは割と想定済みだったものの、彼らが尖兵として送り込んだ土偶型のロボット・ツチダマの不気味さは見事なものだ。バラバラに砕いてもすぐさま再生する無表情の機械が7万年前の世界にいるという異物感。子供だったら怖いだろうなと思った。
とはいえ全体的には既視感の強い展開の続く凡作だった。というか冒頭が面白すぎたんだな…
最終的には時間犯罪者を追っていたタイムパトロールが現れることで一行は窮地を救われる。それにしても「大人の介入」を物語的解決に据えることのできる藤子・F・不二雄って実はかなりのリアリストなんじゃないかと時折思う。