男はつらいよ 寅次郎真実一路

劇場公開日:

解説

人妻に想いを抱く寅次郎の姿を描く「男はつらいよ」シリーズ34作目。脚本は「男はつらいよ 夜霧にむせぶ寅次郎」の山田洋次と同作の朝間義隆の共同執筆。監督も山田洋次、撮影も同作の高羽哲夫がそれぞれ担当。

1984年製作/107分/日本
原題または英題:Tora-san's Forbidden Love
配給:松竹
劇場公開日:1984年12月28日

ストーリー

秋のある日、とらやでは一騒動が持ち上がっていた。裏のタコ社長の娘・あけみが、夕食のおかずのことで夫婦ゲンカして実家へ舞い戻ってきたのだ。そんな騒ぎの中、旅から寅次郎が戻ってき、たらまちタコ社長といつもの大ゲンカになってしまう。とらやを飛び出した寅次郎は、上野近くの焼き鳥屋へ行き、そこで知り合った富永健吉にごちそうになる。富永は証券会社に勤めるサラリーマンだった。ごちそうになりっぱなしじゃ申し訳ないと、後日、寅次郎は彼の会社を訪ねた。その晩も二人は例の焼き鳥屋で一杯飲んで、すっかり意気投合。酔った寅次郎は茨城県牛久沼の健吉の家にやっかいになる。翌日、彼が目を覚ました時は、もうすっかり日が高くなっていた。寅次郎が壁にかかった北原白秋の色紙をボンヤリ眺めていると、後ろで健吉の妻・ふじ子の声がし、その清楚な美しさに、彼は見惚れてしまった。健吉は七時半から会議だといって、朝六時に出て行ったという。数日後、寅次郎は再び牛久沼を訪ねた。が、ふじ子の様子がおかしい。健吉が先週の金曜に家を出たっきり帰ってこないと言うのだ。何かあったらすぐ連絡しろよと言い残し、寅次郎は牛久沼を後にした。とらやに戻った寅次郎は、占いで健吉が北海道にいると出たから、探しに行くためにお金を借してくれとまた騒動を起こす。ふじ子が息子の隆を連れてとらやを訪ねて来た。二人を慰めようとする寅次郎の考えだった。とらやの人々に囲まれて、久しぶりにふじ子に笑顔が戻った。ふじ子と隆を送って行く道すがら、これからも相談相手になってほしいと言われた寅次郎は、有頂天になり、頼もしげにうなずくのだった。ある日、健吉を彼の故郷・鹿児島で見た、と耳にしたふじ子は東京を発った。それを知った寅次郎も後を追う。二人は健吉の行きそうな所をあたるが、見つけることはできなかった。柴又に戻った寅次郎は、ふじ子に恋をしている自分に気づき思い悩んでいた。もし健吉が戻らなければ、ふじ子と夫婦になれるかもとまで考え、自分の醜さに耐えきれず旅に出る決心をする。そこに不精ヒゲをはやした健吉が現れた。寅次郎は彼を叱咤し、牛久沼に連れて行く。そして、いつ帰るとも知れない旅に出た。

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受賞歴

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映画レビュー

1.0茨城県 牛久沼は『荒川沖』の近くにある。 僕はガキの頃『荒川沖』か...

2024年11月4日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD
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マサシ

4.0【”サラリーマンは辛いよ”真面目な証券会社のサラリーマンが仕事に疲れ、蒸発。その妻を演じた大原麗子さんの憂いを帯びた表情と彼女を懸命に支える寅さんの漢気が沁みる作品。】

2024年6月23日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

幸せ

■今作を観ると、高度経済成長を担った昭和のサラリーマンの方々に頭が下がる。
 東京は今でもそうなのかもしれないが、満員電車に毎朝早くから茨城、牛久沼から東京に通勤するのは大変な事だろう。
 米倉斉加年さんが演じる証券会社の課長が、寅さんの自由な姿を見て毎日の自分の生き方を思い、故郷に帰りたくなった気持ちは分かる気がする。
 課長は、鰻温泉の宿帳に”車寅次郎”と記していたのだから。
 大原麗子さん演じる課長の妻が、夫を探しに鹿児島に帰る際に、寅さんが一緒に行ってあげるのだが、寅さんが”自分が醜い”と呟き、一緒の宿に泊まらずタクシー運転手の家に泊りに行く姿は、寅さんの人間性を表していると思う。
 ラスト、課長がとらやに戻って来て、寅さんがタクシーを呼んでそのまま牛久沼の課長の家まで送り届け、その後課長は会社の粋な計らいで、近くの営業所に配転され家族との時間を持てるようになったシーンは良かったな。
 今作の公開時には、ワークライフバランスと言う言葉は無かったと思うが、山田洋次監督の先見性在る脚本も見事な作品であると思う。

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NOBU

4.5証券会社のモーレツぶりから時代が透けて見えました。 タコ社長が寅次...

2022年6月6日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

証券会社のモーレツぶりから時代が透けて見えました。
タコ社長が寅次郎に借用証一枚で5万円貸せた時代…
さくらの寅次郎への優しい気遣いに毎度の事ながら胸が打たれます。
大原麗子の美しさに改めて目を見張りました。
とても良かったです。

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tuna

3.5笑いのエピソードは抑え気味

2022年6月5日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

昭和59年に公開されたこの作品、寅さんは元気だが、笑いのエピソードというかエッセンスは抑え気味です。しかし、前回出演時もそうだったけど大原麗子は奇麗で色っぽくて・・やっぱいいです。今思っても私生活での不遇な最期が残念でなりません。それから、美保純も可愛い!日活ロマンポルノのスーパーアイドルだったけど、演技力もさすがです。

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マッチ

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