男はつらいよ 寅次郎の告白

劇場公開日:

解説

甥っこの恋の手ほどきに奮闘する寅さんの奮闘を描くシリーズ第44作。原作・脚本・監督は「息子(1991)」の山田洋次。共同脚本は同作の朝間義隆。撮影は同作の高羽哲夫と「おあずけ」の花田三史が共同でそれぞれ担当。

1991年製作/日本
配給:松竹

ストーリー

寅次郎の甥・満男が想いを寄せる泉が東京の大手楽器店に就職のための面接に再び上京。それと同時に寅次郎も、柴又へ帰って来た。久しぶりに皆で楽しい一時を送る泉。翌日、泉の会社訪問に付き添う満男だったが、結局、就職はうまくいかないまま泉は静岡に帰ってしまう。また寅次郎も再び旅に出、日本海沿岸の鳥取へと向かった。ところがそこで偶然泉と再会する寅次郎。母親の再婚を素直に喜べない泉は、その寂しさを紛らすために鳥取まで来たのだった。一方、そのことを彼女からの絵葉書で知った満男も鳥取へと向かい、泉と再会。寅次郎はふたりと共に、かつて恋したことのある聖子が営む旅館へと案内する。そしてそこで聖子の亭主が死んでしまっていたことを知る寅次郎。四人で楽しい日々を過ごすが、ようやく母親の再婚を祝福する決心がついた泉は、満男と共に静岡へと戻る。寅次郎も結局、聖子に想いを告白出来ないまま、鳥取を後にするのだった。

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受賞歴

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映画レビュー

3.5もはや満男と泉が主役

2022年8月30日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

全体的に盛り上がりに欠ける作品だと思いました。
柴又の常連メンバーも老化が顕著で、もう柴又へマドンナを招き入れての団欒風景も無くなってしまった。団欒はひろしの家の食卓がメインに。タコ社長と寅さんの喧嘩(している風)のシーンは音と声だけ。第一話のような取っ組み合いの喧嘩シーンはもう望めないのでしょう。
マドンナの吉田日出子さんは、後半の短い時間での出演でしたが、すごくよい雰囲気を出していました。寅さんとは昔ひと悶着あったという設定ですが、寅さんまた逃げてしまいましたね。
泉はなんで鳥取に行ったのでしたっけ?寅さんとの再会シーンは無理筋すぎてちょっと引いちゃいました。

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ふーてんふーてん

3.5寂しい寅さん

2022年8月14日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

泉ちゃんが家出、絵葉書から鳥取に向かう満男。
ところが鳥取では泉ちゃんと寅さんがばったり出会う。
三人で寅さんが昔フラれた旅館の女将(吉田日出子)を訪ねる。
これでも逃げるのか、寅次郎。

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いやよセブン

このシリーズで、主人公を笑った事は一度も無い。恋愛を無様と思った事も一度も無い。

2022年8月13日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル、映画館
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マサシ

5.0満男の告白めいたものでも、彼女は母からも父からも自由になって、彼女も一人の女性になれたのです

2021年8月25日
Androidアプリから投稿

1991年12月公開

泉ちゃんは、今度はちゃんと前もって柴又に来ることを連絡していたようです

東京駅の新幹線ホームでの待ち合わせのエピソードは、あるある話です
名古屋からの一番後ろは1号車自由席です
一番後ろと、言われたらつい16号車に行っていまいそうになります
経験者沢山いると思います

寅次郎が三平をスカウトして商売しようとしたり、タコ社長が三平を引き抜ぬこうとしたり、ラストシーンではサブだって就職できていたことが分かるような人出不足が過熱しているエピソードが展開されて、バブル絶頂期を表現しています

就職氷河期世代には考えられないような売り手市場だったのです

そんなバブルの引く手あまたの就活事情であったのに、結局彼女の就活は上手く行きませんでした

それは本当は自分の家庭の境遇のせいかもしれないと彼女は思っています
その上、母は再婚しようと男を家に入れ始める
なんて不潔!

そんな風に彼女は自分は世界一不幸せだと思いつめてしまったのです

泉ちゃんの突然の鳥取砂丘からの絵葉書の文面には、ビビります
彼女の母の電話で家出と判明したからには、まっしぐらに鳥取に向かった満男は立派です
何時間でも砂丘で待てるのです
それが若さです

泉ちゃんと寅さんがバッタリあったのは、鳥取市ではなくて、鳥取から西に45キロ離れた倉吉市だそうです

大昔、同じ季節に仕事で行ったことがあります
鳥取から車で向かうと、日本海の美しい海岸が続きます
逆方向からですが鳥取砂丘に向かった寅さん一行が車窓からみた光景です

「寅次郎の告白」とは、直接的にはかって聖子に所帯を持とうと告白してふられたことを指しています
でも、やっぱり本当は満男の告白のことでしょう

「じゃあ、先輩はどうなの?」
「えっ俺? 奪い取ってしまう方だよ、なーんちゃってね」

大阪行きの車中、少しづつ手を握りあう満男と泉

「ママ、幸せになっていいよ、私もう大丈夫だから」
母の再婚を許せるようになったのは、一人の女性として愛し愛されることの幸せを知ったからこそなのです

母も一人の女性と見れるようになったのです

そして、満男の言葉を告白と受け止め、愛を実感した彼女は、父ではなく満男を自分だけの男性と確信できるようになったからだと思います
満男の告白めいたものでも、彼女は母からも父からも自由になって、彼女も一人の女性になれたのです
それ故に、母も自由にしてあげられるようになったのです

さて寅さんはというと、未亡人となった女将が、やっぱり寅さんと結婚すれば良かったと言い寄られると、途端に逃げ腰になってしまう体たらくです

「寅さん、また一緒に飲もうなぁ」と明るく見送る彼女ですが、見送ったあとの顔には、あきらめと悲しみが混じった表情が貼りつくのです

寅さんもバスの中でいつになくシリアスに考え込んでいます
鳥取駅で、満男と泉の二人と別れた寅さん
改札をでて鳥取駅前の商店街を歩いて看板をみた安宿に空き部屋あるかと聞いているようです
結局、寅さんは聖子のところに戻らないと心を決めたようです

「寂しさなんてのはな、歩いてるうちに風が吹き飛ばしてくれらあ」

お正月に今年も泉ちゃんは突然柴又にやってきます
3年連続です
今年も満男にどうしても会いたくなったんです
だってお正月には家族と過ごしたいものです
つまり彼女はもうすでに満男と家族になるつもりになっているのです

満男本人も、満男の両親も、周囲だってそういう未来しかないと思っています
前作の中盤での寅さんの泉ちゃんと満男の結婚のアリア
そのシーンかいつか本物になると私達観客も信じていました

それがまさかの人生の展開になるのは、この時誰も予想していませんでした

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あき240
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