男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花

劇場公開日:

解説

シリーズ二十五作目の今回は、「男はつらいよ 寅次郎忘れな草」「男はつらいよ 寅次郎相合い傘」でキャバレー歌手リリーに扮して人気を博した浅丘ルリ子がマドンナとして三回目の出演をしている。ハイビスカスの花咲く沖縄を舞台に、寅次郎とリリーを中心に、お馴染“とらや”のレギュラーメンバーが繰り広げる騒動を描く。脚本は「遥かなる山の呼び声」の山田洋次と同作の朝間義隆の共同執筆、監督も同作の山田洋次、撮影も同作の高羽哲夫がそれぞれ担当。

1980年製作/104分/日本
原題または英題:Tora's Tropical Fever
配給:松竹
劇場公開日:1980年8月2日

あらすじ

例によって、かって気ままな旅を続ける寅次郎、ある夜、不吉な夢を見て、故郷の柴又に帰った。そこにあのキャバレー回りの歌手、リリーからの手紙があった。彼女は沖縄の基地のクラブで唄っていたが、急病で倒れ、入院中だという。そして、手紙には「死ぬ前にひと目寅さんに逢いたい」と書いてあった。とらやの一同は、飛行機嫌いの寅次郎を説得して沖縄へ送り出した。五年振りの再会に、リリーの大きな瞳は涙でいっぱい、そして彼女の病状も寅次郎の献身的な看護で快方に向かい、病院を出られるようになると、二人は療養のために漁師町に部屋を借りた。寅次郎はその家の息子、高志の部屋で寝起きするようになった。リリーの病気が治るにしたがって、心配のなくなった寅次郎は退屈になってきた。そんなある日、寅次郎は海洋博記念公園でイルカの調教師をしている娘、かおりと知り合った。一方、リリーはキャバレーを回って仕事をさがしはじめた。体を気づかう寅次郎に、リリーは夫婦の感情に似たものを感じる。たが、寅次郎は自分がかおりと遊び歩いているのをタナに上げ、リリーと高志の関係を疑いだした。好意を誤解されて怒った高志は寅次郎ととっくみ合いの大喧嘩。翌日、リリーは手紙を残して姿を消した。リリーがいなくなると、彼女が恋しくてならない寅次郎は、寂しくなり柴又に帰ることにした。三日後、栄養失調寸前でフラフラの寅次郎がとらやに倒れるように入ってきた。おばちゃんたちの手厚い看護で元気になった寅次郎は、沖縄での出来事をさくらたちに語る。それから数日後、リリーがひょっこりとらやにやって来た。置いてけぼりにした寅次郎が心配だったのだ。そんなリリーに寅次郎は「世帯を持つか」と言う。しかし、リリーは寅次郎の優しい言葉が素直に受けとれない。二人の関係は、いつでもどちらかが意地を張っている。そして「もし旅先きで病気になったり、つらい目にあったら、寅さんまた来てね」の言葉を残してリリーは旅立った。それから間もなくして、寅次郎も、いつものように、旅の仕度をはじめるのだった。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第4回 日本アカデミー賞(1981年)

受賞

脚本賞 朝間義隆 山田洋次
主演女優賞 倍賞千恵子

ノミネート

監督賞 山田洋次
主演男優賞 渥美清
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映画レビュー

3.5昭和とリリー

2025年5月10日
iPhoneアプリから投稿

男はつらいよの良さは、自分の知らない昭和を見せてくれるので、大好きです!
真珠のように輝く浅丘ルリ子さんの美しいこと✨
また、結ばれないから次がある。

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阿久津京子

3.5リリーとの夢のような沖縄の日々

2025年4月7日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 寅さん(渥美清)とリリー(浅丘ルリ子)は 今回、プロポーズしたり されたり 冗談で濁したりします。この二人を見てたら 切なくて泣けました。
 さくら(倍賞千恵子)は、リリーさんとお兄ちゃんが一緒になることを 強く望んでいるのですが、上手くいかないところが このシリーズの面白さでもあります。

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どん・Giovanni

1.5沖縄のUnderground societyは大変に厳しい。

2024年11月2日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD
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マサシ

5.0【”貴方と夫婦だったら・・。””俺と所帯を持つか・・。”真夏の沖縄をメイン舞台にした夢の様な寅さんシリーズ屈指の恋物語。25作目にして再びシリーズのピークを迎えた点が、素晴らしいと思う作品でもある。】

2024年6月9日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル、VOD

楽しい

知的

幸せ

◆感想<この名作に今更なので、簡単に。>

・今作は寅さんシリーズの中でも、寅さんのマドンナとの相思相愛振りが際立つ作品である。

・リリーは沖縄の病院から、とらやへ速達で便りを出す。彼女が頼れるところはとらやしかない事が分かるし、寅さんも大嫌いな飛行機に乗って駆け付ける。勿論、博とさくらを始めとしたとらやの人達の説得と、美しいスチュワーデスのお陰なのだが。
 そして、顔色悪く病院のベッドで寝ているリリーの所に寅さんがやって来ると、シーンのトーンはパッと明るくなり、リリーも少しづつ回復していく。
 このシーンは、今作の前半の名シーンだと思う。

・更に、中盤は、夜、寅さんとリリーは部屋は違えど沖縄情緒溢れ、且つ親切な家に間借りし、新婚生活の様な暮らしをする。そして、リリーが言った一言。”貴方と夫婦だったら・・。”中盤の名シーンである。

・更に更に、後半はとらやに三日三晩食事もろくにせず戻って来た寅さんの所にリリーがやって来て、沖縄で喧嘩別れした事を忘れたかのようにとらやの人達と楽しそうに会話する中で、寅さんが言った一言。”俺と所帯を持つか・・。”息を呑むとらやの人達。

・更に更に更に、再後半、旅に出た寅さんがバス停でバスを待つ時に、通り過ぎたマイクロバスから降りて来たリリー。そして、二人は満面の笑みで粋な会話を交わし、仲良くリリーの仲間達が乗るマイクロバスに仲良く乗り込むのである。

<今作は、シリーズ最多の三作目の出演の浅丘ルリ子さん演じるマドンナ・リリーの登場する時間がとても長く、観ている側は寅さんとリリーの相思相愛の関係性を、焦れったい思いを抱きながら鑑賞できる、シリーズ屈指の一つに数えられる逸品である。
 何よりも、製作陣の頑張り及び渥美清さんと浅丘ルリ子さんの息の合った名演により、25作目にして再びシリーズのピークを迎えたという点が、素晴らしいと思う作品なのである。>

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NOBU

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