男はつらいよ 寅次郎紅の花

劇場公開日:1995年12月23日

解説

松竹のお正月の顔“寅さん”の活躍を描くシリーズ第48作は、奄美大島を舞台にした物語。監督は「男はつらいよ 拝啓 車寅次郎様」の山田洋次。脚本は山田と朝間義隆の共同。撮影は「時の輝き」の長沼六男で、先頃永眠した高羽哲夫の名も撮影監督としてクレジットされている。マドンナは、本シリーズには「男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花」以来15年ぶりに登場の浅丘ルリ子で、今回で4回目となる当たり役・リリーを演じている。出演は倍賞千恵子、吉岡秀隆らおなじみのメンバーのほかに、「キャンプで逢いましょう」の後藤久美子が泉役で3年ぶり5度目の登場を果たした。翌年49作目の撮影を前に渥美清が死去したことにより、今作がシリーズ最終作となった。

1995年製作/110分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1995年12月23日

あらすじ

柴又のくるまやの面々が、相変わらず連絡も無しで旅の空の寅のことを、今回ばかりは本気で心配していた。それもそのはずで、寅からの最後の連絡は大震災前の神戸からだったのだ。ところが、偶然見ていた『大震災その後-ボランティア元年』というテレビ番組に、寅が村山首相と写っていたからビックリ。さらに神戸で寅に世話になったという被災者まで現れて、一同はとりあえず寅の無事に胸を撫で下ろすのであった。ところが、寅の甥の満男に大事件が起こる。以前から想いを寄せていた泉が突然上京したかと思うと、医者の卵との縁談の相談を持ち掛けてきたのだ。動転した満男は、泉の縁談を祝福するような心にもないことを言ってしまう。泉が名古屋へ戻り、いよいよ岡山へ嫁ぐ日。花婿の兄と新郎新婦を乗せた乗用車の前に、満男の運転する車が立ちはだかり、式をメチャクチャにしてしまうのであった。土地の青年たちに殴られ、警察につきだされた満男は、後悔の念にさいなまれながら、ふらふらと奄美大島へ。そこで一人の美しい女性と出会ったカラッケツの満男は、その女性の世話になるのだが、なんと彼女の家には寅が居候をきめこんでいた。その女性がリリーであることを知った満男は、懐かしい話に花を咲かせるのであった。だが、満男のとった行動について話すうち、寅とリリーは意見が対立、次第に二人の仲はギクシャクしてしまう。そんなところへ、満男を追って泉がリリーの家へやって来た。泉に再会を果たした満男は、そこで泉に対する気持ちを告白する。それからしばらくして、寅はリリーを伴って柴又へ里帰り。くるまやをはじめ、町中がその話題に沸き返り、くるまやではその晩楽しい宴が催されるのだった。しかし、リリーが一晩女友達の家に泊まったことが原因で、寅とリリーは喧嘩。突然リリーが帰ると言い出したので、いよいよ兄が落ち着いてくれると思っていたさくらは大慌てで寅を説得する。しかし寅は言うことをききそうになかった。仕方なく諦めかけたさくらがリリーを送ろうとした時、寅が代わりに送って行くと言い出した。そしてタクシーの中、「どこまで送ってくれるの?」と訪ねるリリーに、寅は「男が女を送るって言った時はな、その女の家の玄関まで届けるんだよ」と答えるのであった。年が明けて新年正月、満男が泉とのデートでいない諏訪家では、博がリリーからの賀状を読んでいる。それによると、寅とリリーはしばらくの同棲の後、やはり喧嘩別れしてしまったらしい。同じ頃、震災後初めての正月を祝う神戸・長田区に姿を現した寅は、地元の人々との再会に顔を綻ばせていた。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.0 【”恋愛に対する男の見栄と、女の本音。”寅さんシリーズの名キャラクター総出演作。”寅さんシリーズ”は日本が世界に誇るヒューマンコメディドラマシリーズと言っても、過言ではないと思います。】

2025年9月16日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

楽しい

知的

幸せ

■泉(後藤久美子)が結婚してしまうという知らせに、満男は自分を止めることができず、津山まで行き、泉が募隠しを纏い乗った車を、正面からレンタカーで押し返し、結婚を破談にしてしまう。
 失意の満男は奄美まで旅を続け、そこでひとりの女性、リリー(浅丘ルリ子)と知り合い、彼女の家を訪れるとそこに伯父の寅次郎(渥美清)がいた。彼はこの奄美でリリーと生活していたのである。

◆感想<Caution!内容に触れていません。>

・年代的に”寅さんシリーズ”を映画館で観たのは、最終作のみである。既に渥美清さんは亡く、過去のフィルムを使った作品であったが、面白かったものである。

・それに当たり、少し前から配信で”寅さんシリーズ”を初作から鑑賞した。随分前に公共放送で寅さんシリーズを放映した時は、数作を楽しく観たのだが、そんなに響かなかったのだが、オジサンになってから鑑賞すると、これが実に沁みるのである。

・所謂、”とらや”で、おいちゃん、おばちゃん、さくら、タコ社長の前で繰り広げる”寅さんのアリア”と呼ばれる、流れる様に渥美さんの口から語られる面白き物語の数々。
 それを聴き、皆は大笑いし、時に涙ぐむのである。

■”寅さんシリーズ”を観て思うのは、山田洋次監督の人間の善性を軸にした、唯一無二の、この世界観を作り上げた凄さである。
 そして、高度経済成長期に日本を支えたお父さんたちや、多くの方々は、お盆と正月に”寅さんシリーズ”を劇場で観て、元気を貰ったのではないかなあ、という事である。

・余りこういう事は書きたくはないが、読んだ本によると今作の数作前から、渥美さんの体調は悪く、ロケの際も休憩時間には一言も話さずに横になっていたそうである。
 山田監督は、そんな渥美さんを気遣いロケは半日で、台詞も最小限にしたそうであるが、今作を観ると、渥美さんはそのような姿を見せない。正にプロフェッショナルだと思う。

<今作では、冒頭に阪神淡路大震災の際にボランティアとして活躍する寅さんの姿がTVに映り、とらやの皆は寅さんが元気な姿を見てホッとするのだが、ラストでも寅さんは、長田区の冒頭に出て来たパン屋さんを訪ね、その苦労を労うのである。
 ”寅さんシリーズ”を観て学んだのは、人間として、
 1.困った人には声を掛け、(お金がなくても)助ける。
 2.義理と人情を大切にする。(但し、やり過ぎない。)
 3.親類の健康を常に気にする。そして、時折連絡を入れ、安否を確認する。

 今では、希薄になりつつある、日本人の良いところが”寅さんシリーズ”には詰まっていると私は思うのであります。
 日本が世界に誇るヒューマンドラマシリーズと言っても、過言ではないと思います。>

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NOBU

0.5 このウマシカ息子はきちんと治療してもらおう。

2024年11月13日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD
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マサシ

3.0 みなさん歳とりました

2024年4月13日
iPhoneアプリから投稿

病気をおして撮影していたと聞いて涙が出ました

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あっちゃんのパパ

5.0 やっぱり男はつらいよは最高

2023年9月30日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

笑える

楽しい

幸せ

BSテレ東 土曜は寅さんで視聴
最後の作品となってしまった「紅の花」
男はつらいよの魅力と見所がたくさん詰まっている

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munakata

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