男はつらいよ 私の寅さん

劇場公開日:

解説

“男はつらいよ”シリーズ十二本目。フーテンの寅こと車寅次郎が、故郷柴又にて巻き起こす笑いと騒動を描く人情喜劇。脚本は「男はつらいよ 寅次郎忘れな草」の朝間義隆、原作・監督は脚本も執筆している同作の山田洋次、撮影も同作の高羽哲夫がそれぞれ担当。

1973年製作/107分/日本
原題または英題:Tora-san Loves an Artist
配給:松竹
劇場公開日:1973年12月16日

ストーリー

テキヤ稼業のフーテンの寅の故郷、東京は葛飾・柴又。寅の妹・さくらと夫の博は、おいちゃん夫婦への感謝をこめて九州旅行へ招待することになった。準備万端整えて、明日は全員揃って観光旅行へ出発する、というその日、寅がフラリと帰ってきた。驚いた皆は、寅に旅行のことを隠そうとしたが、つまらぬことからパレて、寅は大いにムクれてしまった。ふくれっ面の寅に、さくらは真情を込めて、おいちゃん夫婦への感謝の旅行だと説明すると、やっと寅は了解し、今度は留守番を買ってでた。皆が旅行に出てから一人留守番をする寅は、誰もいない“とらや”で体をモテあまし、何をしてもサマにならず、全員が帰京するや涙を流して喜ぶ。数日後、寅はふとしたことから、小学校時代の級友で、今は放送作家をしている柳文彦に会った。何十年ぶりかの再会で話は大いにはずみ、調子ののった寅は、文彦に連れていかれた妹・りつ子の家で、彼女のキャンパスにいたずら描きをしてしまった。寅にしてみれば軽い気持でやったのだが、画家を職業としているりつ子にとっては言語道断、二人は会うなり大喧嘩をしてしまう。翌朝、おいちゃんたちを相手に、りつ子の悪口を言っているところに、当人が喧嘩の詫びを言いに現われた。りつ子が茶の間に上って世間話をしているうちに彼女の朗らかで、さっぱりした人柄は一同を魅了してしまう。とくに、寅はその日以来、貧乏画家のパトロンを気取り、次第に彼女に惹かれていった。ある日、りつ子が病気で寝こんだと聞いた寅は早速見舞いに出かけた。りつ子は寅に、失恋の痛手から寝こんでしまった、と笑いかけた。寅はそんなりつ子を懸命の努力でなぐさめ、とらやに帰るやいなや、恋の病いが伝染したかのように、そのまま床についてしまった。数日後、とらやを訪ねたりつ子は、寅が自分に想いを寄せていることを感じて複雑な気持ちになってしまう。しかし、寅は寅なりに、自分の恋心が、とらや一家のみならず、次第にりつ子や文彦に知れわたってしまったことを恥じ、旅に出る決意を固めてりつ子の許を訪ねた。そんな寅に、りつ子は、自分の絵を生涯の伴侶として生きて行くつもりで、寅とは友達として一生つきあっていきたい、と熱をこめて語った。「あの人は美しい絵だけを描いていればいいのに、俺は邪魔してしまったらしいや」。さくらに、こう言い残すと、寅は木枯しの中を旅立っていった。正月。絵の修行のためにスペインに渡ったりつ子から、とらやに年賀状が届いた。それは寅への暖かい思いやりに満ちた文面で綴られていた。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

1.0この映画は田中村にかつてあった映画館で封切りで見た。 高校の先輩の...

2024年11月2日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD
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マサシ

3.5【”キリギリスとらっきょ”寅さんが恋した絵描きの女性を演じた岸恵子さんの喜怒哀楽の表情が印象的な作品。満男が初めて喋ります。】

2024年5月22日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

幸せ

ー ご存じの通り、岸恵子さんは文筆家でもあり、それで彼女が若き時にフランスの映画監督と恋に落ち、巴里に移住された事は知っていた。
  その後、波乱の人生を送られるのだが、今作でも岸さんは洋画家を演じている。
  山田洋次監督が、決めたのだろうが良く合っていると思う。-

◆感想

・序盤、さくら夫婦がおいちゃん夫婦への感謝の意味を込めて九州旅行に出かけるシーンで、ふらりと戻って来た寅さんが拗ねる姿を見て”相変わらず、しょうがないなあ。”と思いつつ、寅さんが彼らが帰って来た時に、食事、風呂の用意をする姿が珍しいなあ、けれど良い男だなあと思いながら観賞。

・小学生時代の級友のへそ(前田武彦)との久しぶりの再会からの彼の妹、りつ子(岸恵子)の作品にイタズラしたことから、彼女と大ゲンカになるシーンなども、岸さんの(本で読んだだけであるが。)気性を表しているようで、何だか感慨深い。山田洋次監督が、脚本をあてがきしたのかと思ったな。

<翌日、謝りに来たりつ子は朗らかで、寅さんはいつも通りに恋に落ちるのだが・・。前々作から寅さん、”モテキ”に入ったのかな・・、と思った作品である。
 ワンシーンだけであるが、若き津川雅彦さんを見れたのも嬉しかったな。寅さんシリーズを見る楽しみの一つに、後年、大成された俳優さんの若き姿が見れる事があるんだよね。>

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NOBU

3.0連作では中位。

2022年5月20日
iPhoneアプリから投稿

寅に背を押され男に庇護されぬ自立に踏み出す女性。
岸恵子のハマる勝気で知的な才女が寅に寄せる敬意と謝意の正しさが良い。
序盤のただ僻みっぽく五月蝿い寅のクドさが惜しい。
だから連作では中位。

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きねまっきい

3.0家族は大変だけど

2022年1月2日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

今回のマドンナは岸恵子で、寅さんの幼馴染、前田武彦の妹という設定。
前半はさくらが、おいちゃんとおばちゃんに感謝の気持で九州旅行をプレゼント、さくらの一家と旅行に行く。
間の悪いことに寅さんが帰ってきて、一騒動のあとお留守番に。
寅さんは家族には気を使わないが、好きになった女性には・・・。

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いやよセブン

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