ゴジラVSメカゴジラ

劇場公開日:

解説

人類の科学の粋を集めて作られた最終兵器メカゴシラと、ゴジラの闘いを描く、ゴジラ生誕四十周年、シリーズ二十本記念作。監督は「ゴジラVSモスラ」の大河原孝夫。製作はゴジラ・シリーズの全作品を手掛けている田中友幸。プロデューサーは「ゴジラVSビオランテ」から四作連続で担当する富山省吾。脚本は「リトル・シンドバッド 小さな冒険者たち」の三村渉。音楽はゴジラ音楽の生みの親・伊福部昭。特撮監督は「ゴジラVSモスラ」の川北紘一が担当。

1993年製作/107分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1993年12月11日

ストーリー

一九九二年、筑波の国連G(ゴジラ)対策センターで、対ゴジラ用最終兵器“メカゴジラ”が開発された。その前身である試作機“ガルーダ”の開発チームにいた青木一馬は、精鋭部隊Gに出向させられメカゴジラの操縦を習得すべく厳しい訓練を受けていた。一方、使用済み核燃料の廃棄場であるベーリング海の島に赴いた調査隊が、巨大な巣と、翼竜のものと思われる孵化前の卵を発見する。彼らは放射能によって巨大化した翼竜・ラドンに襲われるが、海中から現われたゴジラによって、ラドンは倒された。卵は京都の国立生命科学研究所に運ばれ研究が開始される。そしてそれが六五〇〇万年前のものであること、その時の心理状況で変色し、研究所員・五条梓が近くにいると安静状態を示すことがわかった。卵の表面に付着していた太古の植物が“音楽”を発していることに気づいたGの超能力者三枝未希は、その音楽をテレパシーによって卵に伝える。すると突然卵は孵化を始めた。誕生したのは翼竜ではなく、ゴジラザウルスの赤子“ベビーゴジラ”であった。ゴジラは自分が産み落した卵を、ラドンの巣に託卵していたのだ。その頃、伊勢湾にゴジラが出現し、四日市に上陸。Gはメカゴジラで迎え撃つが、想像を絶するゴジラのパワーによって、機能停止に陥る。京都へ向かったゴジラはベビーゴジラを捜すが、ベビーは細胞保存室に隔離されており見つからず、ゴジラは大阪湾へと去っていく。ベビーは筑波の国連Gセンターへ移送され、梓が付き添うことになる。Gセンター作戦会議は梓の反対を無視して、ベビーをおとりにゴジラをおびき出す作戦を決行する。だが蘇ったラドンが突如飛来、ベビーと梓の乗った輸送途中のコンテナを奪い、幕張のベイエリアへと向かった。修理を終えたメカゴジラが幕張に到着し、激しい交戦の末、ラドンを倒してコンテナを取り戻す。が今度はそこへゴジラが出現、一馬は秘かに改良していたガルーダに乗り込み幕張へ。ゴジラは、ガルーダと合体しバージョン・アップした“スーパー・メカゴジラ”によって、致命的な打撃を受けるが、三度蘇ったラドンの力でもとに戻る。Gがベビーをゴジラに返すと、ゴジラは破壊を止め、ベビーを連れて海へと去っていった。

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スタッフ・キャスト

監督
特技監督
川北紘一
脚本
三村渉
製作
田中友幸
プロデューサー
富山省吾
デザインワークス
吉田穣
西川伸司
青井邦夫
破李拳竜
出渕裕
村上克司
安井尚志
杉田篤彦
宮田英実
撮影
関口芳則
特技撮影
江口憲一
大根田俊光
美術
酒井賢
特技美術
大澤哲三
組付
小笠原禎
装飾
多胡啓一
遠藤雄一郎
北村陽一
電飾
稲垣秀男
河原正高
大道具
川口茂
音楽監督
伊福部昭
音楽プロデューサー
岩瀬政雄
録音
宮内一男
調音
多良政司
音響効果
佐々木英世
照明
望月英樹
特技照明
斉藤薫
編集
米田美保
ネガ編集
大坪隆介
衣裳
斉藤育子
衣裳コーディネイト
出川淳子
ヘアーメイク
下鍋良江
米山勝郎
音楽エンジニア
大野映彦
俳優係
小島文夫
製作担当者
前田光治
金澤清美
助監督
三好邦夫
特技助監督
鈴木健二
記録
石山久美子
スチール
工藤勝彦
特技スチール
中尾孝
特殊操演
鳴海聡
渡邊俊隆
船橋誠
特殊効果
渡辺忠昭
操演
鈴木豊
特技製作担当者
小島太郎
特技協力撮影
桜井景一
特技照明機材
棚網恒夫
特技装置
野村安雄
特技組付
鴨志田平造
特技背景
小島耕司
特技記録
黒河由美
特技編集
東島左枝
特技ネガ編集
大朝和代
オプチカルエフェクト
木下良仁
岸本義幸
松浦正春
山路宏武
吉村好雄
米木美明
安田芳郎
佐藤高典
佐藤元
フォトグラフィックエフェクト
藤下忠男
泉谷修
内田剛史
エフェクトアニメーション
吉澤一久
飯塚定雄
橋本満明
西山明宏
川端孝
山本英文
進藤智子
渡辺義治
田中貴志
丹羽学
マットペインター
木村俊幸
ビデオエフェクト
荻原賢治
オプチカルスーパーバイザー
小川利弘
小野寺浩
大屋哲男
CGプロデューサー
内海邦男
清野一道
大舘隆司
CGアーティスト
船江世志保
鈴木敬
荒木史生
檜皮勝久
鈴木忍
井部栄仁
鈴木馨
小川幸代
高橋俊也
造型チーフ
小林知己
造型
佐藤保
若狭新一
三上隆男
ガルーダデザイン・製作
小川正晴
造型助手
天木雅和
擬斗
宇仁貫三
照明機材
山崎惣一郎
特殊機械
三輪野勇
鹿山和男
宣伝担当
堀内實三
宣伝渉外
鈴木律子
宣伝ポスターイラスト
生頼範義
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5.01966年のサンダーバードが優れていたポイントを日本の特撮がようやく理解できたのです

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1993年12月公開 前作に続いて大河原孝夫監督 特撮はもちろん川北紘一で不動です いやー燃える!平成ゴジラシリーズで一番好き! 「メカゴジラ、リフトオフ!」 隊長佐々木大尉役の原田大二郎が変テコなイントネーションの英語で言うシーン! メカゴジラコクピット内の英語での会話はもう狂おしいほど素敵です 航空の世界ではもともと、どこの国でも英語オンリーです それに国連のGフォースですから英語が公用語です クルーには様々な国籍の外国人も搭乗しますから 何故、オーバーテクノロジーのメカゴジラを人類が作れたのか? この疑問をゴジラvsキングギドラの結末から持ってくるのは実にスマート! まるで本作でメカゴジラを出す為に「ゴジラvsキングギドラ」がまるごと伏線であったかのようです 冒頭の筑波の地下基地のメカゴジラの格納庫の格好良さ!もうシビレます! そこからの発進シークエンスの素晴らしさ! 今までの特撮メカの発進シーンの集大成です 巨大ロボットの垂直発進シーンは数あれど、一番近いのはジャイアントロボかもしれません しかしそれには支持架やキャットウォークは見当たりません 本作のメカゴジラは整備しやすい寝そべった姿勢から、発進に向けて整備ベッドごと回転して立姿勢になるのです このシーンは本当にシビレます! 巨大な重量のあるメカゴジラを立姿勢で固定するのだから、それ相応の重厚な支持架でなければなりません さらに首の高さにはキャットウォークがあり、整備性の良さに留意されていることが伺えます なんとなく全体的にスペーシャトルの発射台をイメージさせるものです 地上へリフトアップして、冷却材で水蒸気が漂う光景も、スペーシャトルの打ち上げ映像を参考にしているのだと思います 1966年のサンダーバードが優れていたポイントを日本の特撮がようやく理解できたのです ウルトラホークの発進シーンでも、整備、機材搭載と搭乗員搭乗、発射の各工程のエリアに機体ごと移動させるという見せ方が既に出来ていました しかしそれはまだサンダーバードの模倣に過ぎず、なぜそういう演出をするのかの理解が表面的でしかないのが透けてみえていたのです それが、このメカゴジラの発進シーンの映像は、実際の巨大兵器の運用がどういうものになるのかを理解して、理屈が分かっている人が撮っていることがビンビンと伝わって来るのです オタク心が燃えます! このメカゴジラの格納庫は、2年後の「エヴァンゲリオン」での初号機の格納庫にそのまま踏襲されます 今ではジャイアントロボやスペーシャトルよりも、そちらの方がそのまんまだ!と思い浮かべる人が多いようです ゴジラが四日市に上陸して鈴鹿を越えて京都に向かう状況図は台風の進路予報円を思わせるものになっています これもエヴァンゲリオンで使徒の進路予報円に引用されていました そしてメカゴジラのフォルムの素晴らしさ! 現代的にリファインされて実に格好いい 重量感、巨大さ、装甲の厚みが自然と伝わるデザインです なのにハイテク感が漂っているのです ガルーダと合体するというはちょいとやりすぎ感はありますが両肩にドイツの対空自走砲のゲパルトを思わせる長砲身のビーム砲が突き出るのはイイ! 狭苦しく薄暗いコクピット 座席の配置、ディスプレイ、計器類、 搭乗員の耐Gスーツ、ヘルメットの形状と色 どれもこれもそれらしくできています 分かっている感がビシビシと伝わります メカゴジラへの搭乗する狭いエレベーターに乗りカメラが上から俯瞰する構図 もうシビレました 音楽は伊福部昭! 新しいメカゴジラの楽曲の数々 名曲です!これでメカゴジラの格好良さが数倍に増幅しています ゴジラの襲来、都市の蹂躙シーンも見事です シン・ゴジラを除けばゴジラシリーズピカイチです 最終決戦は幕張新都心 今でこそ幕張メッセやマリンスタジアムで有名ですが公開当時、京葉線は1990年に全線開通したばかりで、沿線には殆ど何もない埋め立て地だらけの中を走る路線だったものでした それが海浜幕張に近づくと、突然超高層ビルが幾つも建っている光景が広がって、なんじゃこりゃあ!とビックリしたものです 本作で幕張が有名になったのかも?! ゴジラとの最終決戦に敗れ、炎上して倒れこんだメカゴジラのコクピットから脱出するシーンも素晴らしい 厚い装甲が伺える狭いハッチから抜けだして辺りを見渡すと、夜の幕張新都心は火の海 炎の照り返しと煙も良い演出がなされていました ベビーゴジラと佐野量子のほんわかとした雰囲気が、殺伐とした戦闘シーンを中和していて今観るととてもいいと思えます 三枝未希役の小高恵美も本作では登場に必然性があり、彼女の風貌と雰囲気が役にマッチしています ゴジラが本気出したときの強さが眩しい光輪を背景にして表現されています 平成ゴジラシリーズの中でも一番の演出だったと思います さて、本作は単にオタク心が燃える怪獣映画です 深読みのテーマなんてあるわけありません ん?本当に? 改めて久し振りに観て、いやテーマは実はあったんだと思いました 本作は1993年の公開 バブル崩壊に伴ってリストラがいろんな会社で始まった頃でした 一流といわれる有名企業でも大人数のリストラがされるようになってきたのです この年の十大ニュースの4位は「大型不況深刻化、企業はリストラに拍車」だったのです リストラされる人にも家族はあり、小さな子供もいるのです 本人が悪いわけではない なのに理不尽なリストラでどう家族や幼い子供を守ればいいのか! その怒りがゴジラとベビーゴジラ、ラドン、それぞれに込められていると感じました だからGフォースは組織の論理を前面に押し出すように描かれていたのです 本作のキャッチコピーは「この戦いで、すべてが終わる」 これはハリウッド版ゴジラの制作決定を受けて、本作で平成ゴジラシリーズを一旦終了させる予定だったからと思います ジュラシックパークは、本作と同じ1993年6月の米国公開 CGでの恐竜映像は日本の特撮では太刀打ち出来ない、全く歯が立たない それは明らかであったので、その技術でゴジラを世界市場にデビューできるのら、その方が良い そう誰もが素直に納得できていたのです だから「すべてが終わる」なのです ところが、このハリウッド版というのが悪名高いエメリッヒのゴジラだったのです しかも1998年に公開が遅れます そんなハリウッド版ゴジラになるとは露知らず 遅れるからにはもう少し平成ゴジラシリーズを続けようとなります 翌1994年12月には「ゴジラvsスペースゴジラ」 1995年12月には「ゴジラvsデストロイア」が公開されることになります しかし、平成ゴジラシリーズは本作で頂点に達した感があります 後はどう有終の美を飾るのか? どういう終わり方をすれば良いのか? そんな雰囲気が漂うのです

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ゴジラが京都を襲撃するシーンは、海外輸出を考慮したものらしく、外国人にもわかる観光名所を映すことを意図しているらしい。 また、清水寺の避難シーンは予定のエキストラが間に合わず、やむなく現地で修学旅行生などの観光客に協力してもらっている。 特撮監督の川北紘一は同年に公開された「ジュラシックパーク」との差別化をそうとう意識していたらしく、「ミニチュアでの実写はCGにはない味がある」「恐竜映画ではなく、最高の怪獣映画を目指す」 と発言している。 気持ちはよくわかる。

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