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映画「スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム」 スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム
劇場公開日 2022年1月7日
解説
「スパイダーマン ホームカミング」「スパイダーマン ファー・フロム・ホーム」に続く、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)に属する「スパイダーマン」シリーズの第3弾。MCU作品の「アベンジャーズ インフィニティ・ウォー」「アベンジャーズ エンドゲーム」でもスパイダーマンと共闘した、ベネディクト・カンバーバッチ演じるドクター・ストレンジが登場する。前作でホログラム技術を武器に操るミステリオを倒したピーターだったが、ミステリオが残した映像をタブロイド紙の「デイリー・ビューグル」が世界に公開したことでミステリオ殺害の容疑がかけられてしまったうえ、正体も暴かれてしまう。マスコミに騒ぎ立てられ、ピーターの生活は一変。身近な大切な人にも危険が及ぶことを恐れたピーターは、共にサノスと闘ったドクター・ストレンジに助力を求め、魔術の力で自分がスパイダーマンだと知られていない世界にしてほしいと頼むが……。サム・ライミ監督版「スパイダーマン」シリーズに登場したグリーン・ゴブリンやドック・オク、マーク・ウェブ監督版「アメイジング・スパイダーマン」シリーズのエレクトロなど、過去のシリーズ作品から悪役たちが登場し、それぞれウィレム・デフォー、アルフレッド・モリーナ、ジェイミー・フォックスら当時のキャストが再登板。さらに、過去シリーズでトビー・マグワイア、アンドリュー・ガーフィールドがそれぞれ演じたピーター・パーカー/スパイダーマンも参戦し、3人のスパイダーマンが時空を超えて共闘した。
2021年製作/149分/G/アメリカ
原題:Spider-Man: No Way Home
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
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2022年1月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
普通の少年とマスクのヒーローの二重生活を送っているのが『スパイダーマン』シリーズのドラマを豊かなものにしているのだと思うが、今回はついにその二重生活が破れるところから始まる。そこで、みんなの記憶を消せばいいという安易なリセット思考がとんでもない事態に発展して、マルチバースの扉が開いてしまう。
マルチバースという物語装置は、いろいろと可能性があるもので、日本のサブカルチャーでも頻繁に用いられる。IPの有効活用というビジネス的な事情はさておき、他の宇宙を知るというのは、自分の人生の別の可能性を知るということでもある。ピーター・パーカーとスパイダーマンの生き方にも様々な可能性があるということを知ることで、自分の人生のかけがえのなさにも深く気が付ける。トム・ホランドのピーター・パーカーの人生は、他のピーター・パーカーでもない、彼だけのもの。掛けがえのないものだから犠牲を払ってでも守り抜く。そういう強い決意で物語を占めたのは素晴らしかった。
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いまは再定義の時代だと思っていて、本作も、過去のスパイダーマン映画を再検証し、現代の視点から落とし前をつける試みに挑んでいる。しかも、「MCUのスパイダーマン」であるがゆえの関連作との整合性問題も解決した上でなのだから、大変な離れ業だと思う。
一方で、シリーズ/コンテンツとして犠牲にしたものもあるだう。「スパイダーマン」には、交流を持った善人が何らかの形でヴィランとなり、大切な人を失ったり傷つけたりしながら、とびきりの善良さで戦い抜くというお決まりのパターンがあった。しかし今回の再定義によって、「善良だったヴィランがスパイダーマンと戦い、不可抗力で結果的に死ぬ」という定番はもはや否定された。
本作ラストでピーターは本来のスパイダーマンの設定に近い環境に戻ったように見えるが、過去のパターンをなぞっても、それはもはや後退にしか見えないだろう。いや、ほんとに、なんと果敢なことをやってのけものかと驚嘆する。
さすがに詰め込み過ぎなきらいはあるが、ファンサービスとしてもすごかった。とりわけサム・ライミ三部作を観ていた世代には不評だったアメイジング期を、こういう形で肯定してみせたことに感動したし、アメイジング期を侮っていた自分を反省もした。それどころか、20年の「スパイダーマン」映画の歴史をすべて肯定してみせていて、もうこれ以上の「まとめ」編は今後もありえないのではないか。
ただ、過去のレガシーもすべて統合したことで、これからは更地にあらたな道を築かないといけない。すべてのピーターに幸せになって欲しいけど、これからが想像もつかないくらい大変なんじゃないかという気がしている。
本作は、ここ数年見たハリウッド映画ではダントツの出来栄えで、見終った後に「ここまで手放しで褒められる作品はどれくらいぶりだろう?」と考え込んでしまう程でした。
2002年公開され大ヒットした「スパイダーマン」から20年の年月が経ちましたが、この間にリブートなども含め実写では3人の監督により、3人のスパーダーマンが描かれてきました。
そして本作は、「マーベル・シネマティック・ユニバース」(MCU)の世界と合流した主演トム・ホランドによる「スパイダーマン」の最終章です。
MCUに合流したため本作ではベネディクト・カンバーバッチが演じるドクター・ストレンジが登場し、時空が歪み“マルチバース”(多元宇宙論)が生み出されます。
その結果、過去2シリーズの敵も復活してしまうという流れですが、ドクター・ストレンジがいることで、この流れを自然に作ることに成功しているのです。
そして、ここからの展開も、とにかく面白い!の一言。
(興行収入の視点で)日本でスパイダーマン映画が最も盛り上がったのは、2002年「スパイダーマン」から2007年「スパイダーマン3」の時です。なぜ20年前にあのような熱狂が生まれたのかと言えば、やはりスパイダーマン映画は「アクション映画」であり、「恋愛映画」であり、人間模様を深いところまで描けていたからでしょう。
さらに、「大いなる力には、大いなる責任が伴う」というスパイダーマン映画の根本的な骨格があるため、物語の軸がブレずに見られる、という要素がありました。
まさに本作は、そんな「スパイダーマン映画」が集大成的に描かれていて、これこそが最も見たかった「スパイダーマン映画」でした。
つまりMCUの世界観を融合させ、見事に「スパイダーマン映画」としてまとめ上げるという快挙を成し遂げ、20年に及ぶ「スパイダーマン映画」を飛躍的に高いクオリティーにまで押し上げたのが本作です。
鑑賞中にどれほど感嘆のため息がこぼれたか知れない。人生で映画を見続けてきてよかった、映画好きでよかったと、なぜかそんな思いすらこみ上げてきた。未見の方へのアドバイスがあるとすれば、周囲の情報から目と耳を塞ぎ、このレビューも読むのをやめ、まずは劇場へ足を運んでみてほしいということ。そこでご自身の心と体で感じたことこそが何よりも尊く、この映画の醍醐味のすべてだーーーー。冒頭、前作のクライマックスからなだれ込む感じで映画は展開するが、使用される音楽といい、撮り方の創意工夫といい、快活で笑いの絶えないセリフの応酬といい、目に映るあらゆるものが小気味よく楽しい。そしてソニー流マーベル映画の代名詞でもある”多元宇宙”を活かし、重要なセリフを幾重にも響かせながら、各キャラを愛情たっぷりに躍動させていく脚本のなんと巧みなことか。軽妙さに”深み”を加えた本作は、まさに最強、至高と呼ぶにふさわしい一作である。
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