ゴジラ対ヘドラ

劇場公開日:

解説

昭和二十七年十一月に公開された第一作「ゴジラ(1954)」から始まった怪獣映画シリーズ二十三作目。脚本は「怪獣総進撃」の馬淵薫と、これが監督昇進第一回作品の坂野義光。撮影は真野田陽一がそれぞれ担当。

1971年製作/85分/G/日本
原題または英題:Godzilla vs Hedorah
配給:東宝
劇場公開日:1971年7月24日

あらすじ

ヘドロで汚され、一面に広がった赤褐色の湾内に、浮かんでは消えていく泡。その泡の中で唯一つ、次第に脹れあがり、妖しく揺れるのっぺらぼうな顔に無気味な双眼をつけているものがあった。数日後、この海坊主のような怪物は駿河湾に出没した。この怪物こそ、ヘドロの中で誕生した怪獣へドラだった。海へ流れ出たヘドロを主食としているヘドラはさらに形態を変えて巨大に進化していった。食糧不足をきたしたヘドラは、各地の湾内でタンカーが引き裂き、遂に田子の浦から日本に上陸した。工業地帯の煤煙やガソリンを食べたヘドラはさらに全長六十メートルに成長していった。エネルギー源となる多量のヘドロを体内に蓄積し、ジェット噴射による飛行も可能となり、ヘドラの行動半径はさらに伸びた。その結果、通過時に排泄する多量の硫酸ミストは全ての生体に害を及ぼした。地をはい、空を飛び、建物をつきぬけ、水中を行く、その神出鬼没、切断自在のヘドラは、まさに忍者怪獣だ。ヘドラの行くところビルは崩壊し、光化学スモッグが発生した。またヘドラの口から弾丸の如く飛ばされるヘドロと、双眼の上から放たれる赤色光線は、人間を一瞬にして白骨と化した。この地球の危機に、何処からともなくゴジラが出現した。ゴジラは、いまだかつてない強敵ヘドラに敢然と立ち向かっていった。ゴジラとヘドラ、この二頭の怪獣のいつ果てるとも知れない凄絶な死闘は東京湾から、さらに富士の裾野へと展開されていった。悪戦苦闘するゴジラの左眼はつぶされ左手も赤色光線でなかば白骨化してしまった。一方、海洋生物学者の矢野博士は、ヘドラ打倒のため電極板を発明、自衛隊の手によって富士の裾野へと運ばれた。しかし、博士の苦心も送電線が切れ、使用不可能となった。その瞬間、ゴジラが放った火炎が電極板に感応し、もの凄い電流がヘドラの体内をつらぬいた。さしものヘドラも水蒸気を立ち昇らせ、みるみるくずれ落ち、ゴジラの奇襲によって粉砕した。やがて、全身傷だらけになったゴジラは、人間の前から去っていった。

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映画レビュー

3.0ヒーローゴジラ路線の始まりにして異色作

2025年5月14日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

怖い

難しい

斬新

『ゴジラ:キングオブモンスターズ』のマイケル・ドハティ監督は、かつてこのサイトでのインタビューにて、こう語っている。

【……何にだって、どんな映画にだって、ゴジラを加えればより良くなると僕は思っている。】

実際、ゴジラ映画は
「何かしらのジャンルに、ゴジラを加えて面白くしたもの」
という体裁の作品が多い。『キングコング対ゴジラ』はサラリーマン喜劇にゴジラ(とコング)を加えたものだし、『ファイナルウォーズ』は、北村龍平監督お得意の中二病アクションに、ゴジラ(その他怪獣たくさん)を加えた欲張りセットな映画だった。

で……。

この『ゴジラ対ヘドラ』は、ATG(日本アート・シアター・ギルド)映画にゴジラを加えてより良くした作品といえる。冒頭のクレジットから禍々しいイメージが溢れ、その後も要所要所で、リアクションに困る奇抜な画作りが飛び出す。変な意味で全編気が抜けない。ゴジラじゃなかったら商業ベース作品として成立しないし、こんにちまで存在感を維持できてもいなかったろう。

それにしても、環境破壊による公害で生み出された怪獣ヘドラと、水爆実験で生まれたゴジラ。人間の愚行を元凶とする怪獣同士のタイマン勝負とは、どんな皮肉よりもエスプリが利いている。そんなところもATG映画みたいな強い苦味を感じさせる怪作だ。

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あんみつK

2.0キッズ向けゴジラってなんか苦手 (昭和生まれだけど) 科学者主人公...

2025年4月19日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

キッズ向けゴジラってなんか苦手
(昭和生まれだけど)
科学者主人公+熱帯魚飼ってるはゴジラの王道でよい
海から上がってきて形態変化や電力集中作戦なんかは、後世にいろいろ影響を与えたとは思うけど、全体的になんか稚拙

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コバヤシ陶器

5.0ゴジラ映画の傑作

2025年1月18日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

良かったところはまずヘドラのキャラクターだろう。
恐ろしく強くゴジラも歯が立たない。この化け物が
漂わせるのは深い悲しみのようなものだ。

ヘドラは人間が作り上げた怪獣なのだからヘドラはもう1匹のゴジラとも言える。気持ち悪いが異様に魅力あるゴジラのライバルで合わせ鏡ともいえる2匹である。

ゴジラと戦うヘドラともに殺し合いながら奇妙な友情と近親憎悪を秘めながら間延びした戦いを繰り広げる2匹に果てしのない哀しみを感じ涙が溢れてきた。

原爆とともに悲惨な水俣病などの公害も日本の歴史を負の遺産として刻んでしまったのだからこそこの映画は意義があるだろうと思う。

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四葩

2.5子どもの時は

2024年9月11日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:その他

怖い

単純

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トミー

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