男はつらいよ 寅次郎純情詩集
劇場公開日:1976年12月25日
解説
“男はつらいよ”シリーズ第十八作目で、おなじみのフーテンの寅が捲き起こす人情喜劇。今回は、学校の若い先生とその母を相手に、物語がくりひろげられる。脚本は「男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け」の朝間義隆と山田洋次の共同、監督は「男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け」の山田洋次、撮影もやはり同作の高羽哲夫がそれぞれ担当。
1976年製作/104分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1976年12月25日
ストーリー
暖かな初秋の陽差しをあびて、今日も帝釈天の参道は多くの参拝客で賑っている。その門前で、柴又名物のだんごや「とらや」を経営している寅のおいちゃん夫婦、最愛の妹さくら夫婦、そして隣りの印刷工場の社長らも平穏無事な日々を過ごしていた。今日は、さくら夫婦の一人息子満男を先生が家庭訪問する日であった。「とらや」の連中は朝からそわそわしている。というのは、担任の先生が産休のため、代わりに、美しい雅子先生がやって来るからである。「こんな時に寅が帰って来たら大変なことになる」と一同が噂している最中、雅子先生の後から、寅が平和な顔をしてブラリと帰ってきた。あきれる皆をよそに寅は持前の饒舌で雅子先生の相手をし、家庭訪問をメチャクチャにしてしまった。さくら夫婦はカンカンに怒ってしまった。寅に反省を求めようと、皆がまちかまえている所へ、バツの悪そうに寅が帰って来た。それからは、例の通りの大喧嘩。そして、寅は再び旅に出てしまった。数日後、寅は紅葉美しき信濃路を旅していた。寅はここで昔世話した旅役者の一行に偶然、出会った。その晩、寅はドンチャン騒ぎをし、翌朝になって旅館に無銭飲食がバレて、警察のやっかいになってしまった。知らせを受けたさくらは寅を引きとりに来た。さすがの寅も後悔して、ションボリ柴又へ帰ってきたのである。柴又に帰った寅は、また雅子先生について話し始めた。「あの娘に教養があって、気品溢れる未亡人の母親でもいれば別だけど」と。そんな折も折、雅子先生が綾という美しい、しかも未亡人の母親をつれて、「とらや」にやって来た。寅の勘は的中し、とらやの連中はまたまた絶望の境地に追いこまれた。綾は由緒ある家柄の未亡人だが、昔から病気がちで、ほとんど家にとじこもっていた。綾と寅は昔からの顔なじみであった。そんなある日、寅は夕食に招待された。綾に捧げる寅の慕情はつのる一方であった。しかし綾の病気はすでに、かなり悪化していた。ある日、綾は眠るようにしてこの世を去った。明けて昭和五十二年のお正月。帝釈天の参道は、初詣客でいっぱい。とらやの連中はてんてこ舞いの忙しさ。そんな頃、寅は雪に覆われた山々を背にした、田舎の小学校に転任した雅子先生を訪ねていた。