男はつらいよ 寅次郎忘れな草

劇場公開日:1973年8月4日

解説

“男はつらいよ”シリーズ第十一作目。今回の寅さんが恋する相手は、北海道で偶然知りあった薄幸の三流歌手、リリー。このリリーをめぐっての寅さんの奮闘努力を描く。脚本は「故郷」の宮崎晃、「男はつらいよ 寅次郎夢枕」の朝間義隆、監督は脚本も執筆している同作の山田洋次、撮影は「愛ってなんだろ」の高羽哲夫がそれぞれ担当。

1973年製作/99分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1973年8月4日

あらすじ

柴又。今日は、寅、さくらの父の二十七回忌である。“とらや”に、おいちゃん、おばちゃん、さくら、博が集って御前様にお経をあげてもらっている。その時、寅が久し振りに戻って来た。だが、寅のおかげで法事はメチャクチャになってなってしまう。ある日、さくらが、満男にピアノを買ってやりたいと言うのを聞いた寅は、早速、玩具のピアノを買って来て、得意満面。一同、欲しいのは本物のピアノだ、とも言えず寅の機嫌をとるが、やがてその場の雰囲気で気がついた寅、皆に悪態をついて、プイッと家を出てしまった。北海道。夜行列車の中で、派手で何処となく安手の服を着ている女が、走り去る外の暗闇を見ながら涙を流している。じっと彼女を瞶める寅。網走。ヒョンなことから寅は列車の時の女と知り合った。名はリリーといって、地方のキャバレーを廻って歌っている、三流歌手である。互いに共通する身の上話をしながら、いつしか二人の心は溶け合うのだった。柴又のさくらに、北海道の玉木という農家から手紙が届いた。寅が心機一転して、玉木の家で働いたものの日射病と馴れない労働で倒れてしまった、というのである。早速さくらは、北海道へ行き、寅を連れて柴又に帰って来た。寅が柴又に戻って来て数日後、リリーが尋ねて来た。抱き合って再会を喜ぶ寅とリリー。そして、皆に心のこもったもてなしを受けたリリーは、自分が知らない家庭の味に触れ、胸が熱くなるのだった……。数日後の深夜。安飲み屋をしている母親と喧嘩したリリーは、深酔いしたままで寅に会いに来た。だが、寅がリリーの非礼を諭すと、リリーは涙を流しながら突び出て行った。翌日、寅がリリーのアパートを捜し出して尋ねるが、既に彼女は越した後だった。その日、寅はさくらに、自分の留守中にリリーが来たら、二階に下宿させるように、と言い置いて旅に出た。数日後、さくらは、リリーが寿司屋の板前と結婚して、小さな店を出したことを知った。その店を尋ねたさくらは、以前とは想像もつかぬ程血色がよく、生き生きと働いているリリーを見るのだった。その頃寅は、ふたたび北海道の玉木の家を尋ねていた。晴れわたった青空、北海道にも夏が来た……。

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映画レビュー

5.0真打ち?、登場〜〜〜

2025年7月14日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

笑える

興奮

幸せ

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ユッキー ウッキー(略して ユキウキ)

0.5夜来香♥

2024年10月31日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD
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マサシ

4.0【”寅さんって、いいね。何百編も惚れて・・。”浅丘ルリ子さん演じる母との確執など哀しみを抱えつつ、幸を求めるマドンナの姿がシリーズに更に深みを与えた、リリーが人気を博した事が良く分かる作品である。】

2024年5月21日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

幸せ

■資料によると、浅丘ルリ子さん演じるリリーは、シリーズ最多の4作に出演されているそうである。そんなことも知らないのか!とお叱りを受けそうだが、知らなかったのだから仕方がない。

 だが、今作を観ると旅回りのキャバレー歌手のリリーが観客に受け入れられた事が何となく分かるのである。

 それは、リリーと母との確執を直接描いて居たり、リリーが酔っ払ってとらやに押しかけたり、今までのマドンナとは明らかに違うキャラクターであるからだと思う。

 そして、リリーはそんな境遇の中、何処か自分に似た所がある寅さんに惚れたのではないかと思うのである。

 では、リリーが影あるだけの女性かと言うとそんな事は無く、明るく無邪気で、稚気があるとても魅力的な女性として描かれている事が、多くの寅さんファンの心を掴んだのではないかなと思った作品である。

<前作から、2作連続で寅さんが惚れられるパターンが続いたが、これも又良しである。
 寅さんが珍しく北海道の酪農家で働くシーンも珍しく、北海道の雄大な風景も作品に趣を与えている作品である。>

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NOBU

4.0この時既に美しくはない浅丘。

2022年4月24日
iPhoneアプリから投稿

再々見。
喜劇と泣かせ両方の出来の良さと配合割合の正しさは本連作随一。
ガリガリ厚化粧でもう美しくはない浅丘と質素にまだまだ美しい倍賞の対比は意識的か。
フーテン同士は無理と知り全く惚れてはいない寅と浅丘の予めの距離感の哀切。
これが撮れた成功作。

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きねまっきい

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