香港紙が選ぶ21世紀の日本映画ランキング 傑作から通好みまで25本
2020年8月29日 09:00
[映画.com ニュース] 香港の英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストが、21世紀の日本映画界を代表する傑作・秀作25本を発表した。
黒澤明、小津安二郎、溝口健二といった、日本映画を広く世界に知らしめることに貢献した先駆的巨匠たちのスピリットを受け継ぎ、娯楽大作からインディーズ映画やアートハウス系まで、多彩な作品群を量産し続ける日本映画界。
特出した作品として同紙が掲げた25本には、中学生同士が殺し合うというセンセーショナルな内容で物議をかもした高見広春氏の小説を深作欣二監督が映画化し、社会現象となった青春バイオレンスアクション「バトル・ロワイヤル」や、“セカイのキタノ”こと北野武監督が、盲目の居合抜きの達人の物語に大胆なアレンジを加えて仕上げた「座頭市」などがランクインしている。
さらに、国内興行収入で歴代記録を塗り替えるメガヒットを記録したほか、第52回ベルリン国際映画祭ではアニメーション作品として初の金熊賞、第75回アカデミー賞では長編アニメーション賞を受賞した宮崎駿監督の代表作「千と千尋の神隠し」、日本アカデミー賞で12部門を独占するなど、批評家から絶賛を浴びた巨匠・山田洋次監督の傑作時代劇「たそがれ清兵衛」、愛娘を殺害された中学校の担任女教師の果てなき悲しみと壮絶な復讐劇を松たか子主演で描いた「告白」など、この20年間の日本映画界を代表するヒット作がズラリと並ぶ。
このほか、呪われたウェブサイトという設定を通してテクノロジーに潜む闇に鋭く切り込み、同紙が「Jホラーの頂点」と称賛する黒沢清監督の「回路」、2004年カンヌ国際映画祭監督週間のオープニング作品に選出された石井克人監督作「茶の味」、シングルマザーの葛藤に敬意を込めて美しく描き上げた細田守の名作アニメ「おおかみこどもの雨と雪」、邦画歴代興収第2位に名を連ねたほか、北米でも累計興収500万ドル超えの大ヒットを記録した「君の名は。」(新海誠監督)、第71回カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールを受賞し、同紙が「キャスティングから演技、テーマからテンポまで全てが完璧」と激賞する是枝裕和監督の「万引き家族」といったヒット作・話題作が顔を揃えている。
また、名もなきパンクバンドの幻の1曲が時空を超えて奇跡を起こし、地球を救うという荒唐無稽なアイデアが高く評価された中村義洋監督の「フィッシュストーリー」、ダウンタウン・松本人志の監督第2作「しんぼる」、不器用でどん底の生活を送っていた女性がボクシングを通して成長していく武正晴監督の「百円の恋」、ブルーハーツのヒット曲に乗せて女子高生たちの高校生活最後の夏を描く青春群像劇「リンダ リンダ リンダ」(山下敦弘監督)なども多数ランクインしているのが興味深い。
以下、サウスチャイナ・モーニング・ポスト紙選出による21世紀の日本映画ベスト25(カッコ内は製作年・監督)。
2.「回路」(2001・黒沢清)
3.「ビジターQ」(2001・三池崇史)
4. 「千と千尋の神隠し」(2001・宮崎駿)
5.「「リリィ・シュシュのすべて」(2001・岩井俊二)
6. 「仄暗い水の底から」(2002・中田秀夫)
7.「たそがれ清兵衛」(2002・山田洋次)
8.「座頭市」(2003・北野武)
9.「茶の味」(2004・石井克人)
10.「リンダ リンダ リンダ」(2005・山下敦弘)
11.「パプリカ」(2006・今敏)
12.「ザ・マジックアワー」(2008・三谷幸喜)
13.「愛のむきだし」(2008・園子温)
14.「フィッシュストーリー」(2009・中村義洋)
15.「しんぼる」(2009・松本人志)
16.「告白」(2010・中島哲也)
17.「KOTOKO」(2011・塚本晋也)
18.「おおかみこどもの雨と雪」(2012・細田守)
19.「横道世之介」(2013・沖田修一)
20.「かぐや姫の物語」(2013・高畑勲)
21.「WOOD JOB!(ウッジョブ) 神去なあなあ日常」(2014・矢口史靖)
22.「百円の恋」(2014・武正晴)
23.「アイアムアヒーロー」(2015・佐藤信介)
24.「君の名は。」(2016・新海誠)
25.「万引き家族」(2018・是枝裕和)
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