千と千尋の神隠し

ALLTIME BEST

劇場公開日:2001年7月20日

解説・あらすじ

「もののけ姫」が記録的なヒット作となった宮崎駿監督が、同作以来4年ぶりに手がけた長編アニメーション。不思議な町に迷い込んでしまった少女・千尋が、元の世界に戻るために懸命に働きながら成長していく姿を描く。

何事にも無気力な10歳の千尋は、両親と地方都市に引っ越す途中、異世界に迷い込む。誰もいない店で勝手に料理を食べた両親は豚の姿に変えられてしまい、ひとりぼっちになった千尋は、町を支配する魔女=湯婆婆に名前を奪われ「千」と呼ばれるようになる。湯婆婆の経営する、神々のための湯屋「油屋」で働くことになった千尋は、謎めいた少年ハクや先輩のリンらに助けられながら、さまざまな困難を乗り越えていく。

作画監督の安藤雅司、美術監督の武重洋二、音楽の久石譲などスタッフには宮崎アニメの常連が結集。第52回ベルリン国際映画祭ではアニメーション作品として初の金熊賞を受賞し、第75回アカデミー賞でも長編アニメーション賞を受賞。国内でも第5回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞(今敏監督の「千年女優」と同時受賞)、第6回アニメーション神戸作品賞など映画賞を多数受賞した。国内興行収入は304億円となり、当時の歴代1位を記録する空前の大ヒット作品に。その後、2020年6月26日から8月まで全国で再上映され、最終興行収入は316.8億円となった。

2001年製作/125分/日本
配給:東宝
劇場公開日:2001年7月20日

スタッフ・声優・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

受賞歴

第75回 アカデミー賞(2003年)

受賞

長編アニメーション賞  

第25回 日本アカデミー賞(2002年)

受賞

最優秀作品賞  
詳細情報を表示

関連ニュース

関連ニュースをもっと読む

映画評論

フォトギャラリー

映画レビュー

3.0 資本主義というシステムの醜さと愚かさ…しかし、人の温かさ

2026年10月3日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

<映画のことば>
なんであたしがお前を雇わなきゃならないんだい。
見るからにグズで、甘ったれで、泣き虫で、頭の悪い小娘に仕事なんかあるもんかね。
お断りだね。
これ以上穀潰しを増やして、どうしろって言うんだね。

評論子らが住まうこの社会は、もちろん「資本主義社会」なのですけれども。
そして、それは「人間の欲」が原動力になっている社会であることもまた事実で、よりよい生活を求める人々の欲が、社会的な競争や進化、向上を促してきたことは疑いのない事実でもあります。

そして、本作の湯婆婆が経営する温泉宿「油屋」も、八百万の神たちが疲れを癒しに来る温泉場の、いわば「温泉宿」であり、八百万の神々に湯治というサービスを提供することで、(おそらくは)客である神々から料金を申し受けるという「営利企業体」―。
そして、その装置の中では、上記の映画のことばが象徴するように、何よりも経営の効率が重要なのでしょうし、それゆえ「働かざる者食うべからず」なのであり、働かない者は豚に変えられて、油屋での湯治客である神々の食事の「食材」としての役割を果たすことになる―。

本来はまだ学齢にあり、年端もいかない千尋とて、「この世界」で生きる以上、例外ではない(朝メシ前からも、当たり前のように働かなければならない)。

それは、資本主義といわれるこの社会においては本源的な「システム」であり、「鉄則」でもあり、一面ではその醜さが、冷厳たる本質なのだろうとも、評論子は改めて思い至りました。

これに加えて、人間は、その豊かなで便利な生活を得るために、これまでに、どれほどの地球環境を破壊してきたことか。

ちなみに、地球46億年の歴史を一日24時間になぞらえると、人類が地球上に登場したのは、その一日の終わりのほんの数分前ということですけれども。
しかし、人類は、その数分間に、地球の環境を劇的に変えてしまったとも言われます。

この点、本作のハクも、かつて人間界では「別な存在」でもあったとか。
しかしながら、可住地を開発する人間によって埋め立てられ、今はマンションの敷地になっているとのこと。

この点、もともとは、網の目のように天然に形成され、雨水などを安全に流下させるために必要にして十分な能力が自然に備わっていた、その河川の流下能力は、人為的に本流に集約化されること(雨水などを本流に誘導する「枝葉」の役割を果たしていた細流…すなわち本流に接続していた中小河川を埋め立ててしまったこと)によって、著しく低下してしまいました。
そして、その結果、いわゆる線状降水帯による、これまでに経験のない大雨など、昨今の異常気象による気象災害の激甚化も相まって、市街中心部の浸水など、激甚な都市災害が頻発していることも、レビュアーの皆さまには既にご案内のところとも、評論子は思います。
(そして、その本流に宿っていたと思われる河の神も、おそらくは川に不法投棄されたのであろう多くのガラクタを飲み込み、かつ、耐えがたい悪臭を放つ汚泥にまみれて油屋に湯治に来た折には、疲弊し切っていた)

上記のことがらに思いが至ると、子供が観ることが多いと思われる本作のようなアニメーション作品で、決して声高ではなくても、その「愚かさ」を訴えかけるー。
その「意味づけ」にも、改めて思いが至ります。
(折しも、令和のいま、政府は総理府の防災担当部局を再編、強化して、新たに同府に外局としての「防災庁」(仮称)を設置することを発表しました。
そのような時流の昨今において、本作の「意義づけ」は、いっそう輝きを増しているとも、評論子は思います。)

そして、本作の素晴らしいところは、上記にも関わらず、社会は、やはり人と、人と、そして人との温かな、温かな、もっと温かな関係性で成り立っていることを浮き彫りにしていることではないでしょうか。

そう受け止めてみると、本作も、充分以上の佳作としての評価が適切とも、評論子は思います。

(追記)
<映画のことば>
「やっぱり田舎ね。
買い物は隣町に行くしかなさそうね。」
「住んで都にするしかないさ。」

千尋の両親は、どんな理由から、彼女を転校させて、小さな町に住むことになったのでしょうか。
その点を、本作は明確には描いていなかったと、評論子は記憶しますけれども。
いずれにしても彼らが、この小さな町を見下しているかのようなその態度は、評論子はとても、とても、もっととても気になりました。

そして、千尋のお父さんとお母さんとを豚に変えてしまった本当の原因は、食べ過ぎた「栄養過多の美味しい料理」だったのではなく、「お店の人から咎められたら、お金(代金)を払えばいい。財布もクレジットカードも持っているから」と考えてしまったことからだったのではないか―。
評論子は、そう受け止めました。
(しかも、お世辞にも上品とは言えない、ガツガツとした「食い散らかし」のような食べ方)

前記のとおり「人の欲」をその存立基盤とする資本主義社会の中で、その結果として千尋の両親も、いわゆる「拝金主義」に毒されていたのだとすれば、それは悲しいことだとも、評論子は思いました。
(本作には、カオナシが渡そうとする金塊の粒を、千尋は頑として受け取らなかったというシーンもあったと、評論子は記憶します)

(追記)
<映画のことば>
千尋…いい名だね。
自分の名前を大事にね。

オーバーステイなどの外国人に不法就労を助長する手段として、雇用主が当該外国人の「パスポートを預かる」という手口は、世上、よく見聞きするところですけれども。

しかし、本作の油屋で被用者に労働を強制する方法は、「名前を奪うこと」。
そして、この点、人の名前は、そのアイデンティティとしては、もっとも基本的で、根源的なもの―。
「氏名は、社会的にみれば、個人を他人から識別し特定する機能を有するものであるが、同時に、その個人からみれば、人が個人として尊重される基礎であり、その個人の人格の象徴であって、人格権の一内容を構成するものというべきである」(最高裁昭和63年2月16日判決=いわゆるNHK日本語読み事件最高裁判決)ことも、また明らかです。

方法、手段として、パスポートを預かることよりも、数倍も悪質と考えたのは、果たして評論子独りだけだったことでしょうか。

<映画のことば>
千尋、ありがとう。
私の本当の名前は、
ニギハヤミ・コハクヌシだ。

(追記)
<映画のことば>
呼んでいる 胸のどこか奥で
いつも心躍る 夢を見たい
/かなしみは 数えきれないけれど
その向こうできっと あなたに会える
/繰り返すあやまちの そのたび ひとは
ただ青い空の 青さを知る
果てしなく 道は続いて見えるけれど
この両手は 光を抱ける
/さよならのときの 静かな胸
ゼロになるからだが 耳をすませる
/生きている不思議 死んでいく不思議
花も風も街も みんなおなじ

呼んでいる 胸のどこか奥で
いつも何度でも 夢を描こう
/かなしみの数を 言い尽くすより
同じくちびるで そっとうたおう
/閉じていく思い出の そのなかにいつも
忘れたくない ささやきを聞く
こなごなに砕かれた 鏡の上にも
新しい景色が 映される
/はじまりの朝の 静かな窓
ゼロになるからだ 充たされてゆけ
/海の彼方には もう探さない
輝くものは いつもここに
わたしのなかに 見つけられたから

ハクは、人間界での再会を千尋と約束し、千尋を人間界に送り戻します。

しかし、おそらく…というか、まず二人は永劫に相見(まみ)えることはなかったものと、評論子は受け止めます。

何となれば、ハクが戻るべき人間界での「(小川の)せせらぎ」は、失われてしまっており、もう二度とは元には戻らないから。
(前記のとおり、作中の設定では、もうマンションの敷地になってしまっているとのこと。
それゆえ、人間界では居場所がなくなり、湯婆婆に名前まで奪われたハクは、この世界で、彼女の手先として銭婆から盗みまで働くほか、生き残る術(すべ)が残されていなかった。

そして、互いには惹かれつつも触れ合うことのできないハクと千尋との関係性の「もどかしさ」「切なさ」―。
本作の主題歌「いつも何度でも」は、そのことを表現して余りがあったと、評論子は思いました。

この点、神々の「この世界」での記憶(それは、取りも直さずハクに関する千尋の記憶でもある)は、人間界に戻った千尋に残ったのか、評論子には、気になりました。
おそらくは、残らなかったのでしょうけれども。

しかしながら、銭婆が彼女のために編んでくれたヘアバンドは、たとえその意味が思い出せないものなってしまったとしても、千尋の身近にいつまでも残ったものと、評論子は信じて疑いません。

(追記)
そして、本作ではいちばん理解が難しかったのは、カオナシの正体(本作での立ち位置)ということですけれども。

前記のとおり人間の「欲」に踊らされる市井の市民というくらいの立ち位置だったのでしょうか。

そうだとすれば、資本主義社会に住まう評論子らは「足る」を知らなければならないー。
カオナシの姿は、本当の幸福は、「この世界」では得られないということの諌めなのかも知れませんし…。

そして、やはり、彼は油屋へは足を踏み入れてはならなかったのだとも、評論子は思いました。

(追記)
本作も、地元コミュニティFM局の「映画紹介のコーナー」で紹介されたことから、鑑賞することとしたものでした。

評論子の上記レビューは、担当ラジオ・パーソナリティ氏のご紹介とは、少しく違う観点からのものとなりましたけれども。
それでも放送でお聞きした「一番の悪だと思ってたことが覆り、そこに気持ちが大きく動く。ジブリ・マジック」という評は、評論子も、湯婆婆と銭婆との関係性などについては、そのとおりとも受け止めました。

【評論子の鑑賞記録】
初観:2026年10月2日:レンタルDVD
(ほか未記録の鑑賞多数)

【評論子的な注目点】
〇21世紀に残したい映画100本選定作品
〇死ぬまでに観たい1001本の映画選定作品
〇札幌映画サークル例会上映作品(2022年1月期)

※大学の出席票は、当時はもちろん「紙」で、講義の前に、教室で待っている教務部の職員から受け取り、学籍番号と名前を書いて1週間以内に所定のポストに入れると「講義に出席」。
ICカード時代の今からは、想像もできないようなアナログ・システムです。
放送では「粋な先生」と評してもらいましたけれども。
法の下僕(しもべ)として、法の命ずるところに誰よりも忠実であるべきことを教える一方で、「母校の野球部が優勝を賭ける一戦は応援も出席のうち」というのも、「法の解釈・運用に携わる者は、斬られれば赤い血が流れる人間でなければならない」と学生には教えなければならない法学部の教員らしいとも、今は思います。
(「苛政は虎よりも猛なり」…冷酷で無慈悲な人間が法律を盾にとって振りかざすことは、どんなに恐ろしいことでしょうか)
この点、「◯月◯日の◯◯教授「◯◯概論」の出席票は神宮球場で配布」という掲示を学生掲示板に貼るのは教務部の職員なわけですから、「学校公認」のエスケープだったことも間違いはなかったとも思います。

※メッセージのルビ…。
法務官も「人に読んでもらうための文章」を書くことが多いですね。
人に聴いてもらうための「言葉の仕事」ということでは、似ているのかも知れません。

※今週も、お昼の放送は大丈夫と思います。
(万一、億一の場合は、ごめんなさい。)
夕方の放送も、しばらくは放送波で聴けます。
ただ、今週は交通安全関係ののイベントに行くことにしました。
再任用に降りて、主査(交通安全)の頃は職務で行ってました。
(電話つなぎで、交通安全運動の放送にも出しても、もらいました…別のラジオ・パーソナリティさんと記憶します)
放送までには帰宅できると思いますが、念のため、イヤホンを持っていきます。

コメントする (0件)
共感した! (3件)
talkie

5.0 ジャンル分け…ムズっ😰

2026年6月29日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

観てない人に「ジャンルを説明するとしたら…😰」

ファンタジーなヘンテコ映画と言う感じかなぁ…?

ストーリー展開も激しく、全く先の展開が読めない😫

なんでこんなに面白いのか、訳がわかりません😆

名作😁

コメントする (0件)
共感した! (0件)
苺仮面

4.5 八百万の神々が癒しを求めて集う場所に紛れ込んだら・・・

2026年5月5日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:TV地上波

怖い

幸せ

ドキドキ

ネタバレ! クリックして本文を読む
コメントする (2件)
共感した! (10件)
ratien

5.0 何度観ても魅入ってしまう名作

2026年2月25日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:TV地上波

泣ける

楽しい

カワイイ

年始に地上波で。ジブリ作品の中ではぶっちぎりに大好きな作品。何度テレビ放映されてもその都度観て引き込まれてしまう。現実とファンタジーの配分が良いし千尋の成長、ハクとの関係、様々なキャラクターと飽きさせない。アニメもファンタジーも苦手な自分が初めて観たジブリ作品で他のジブリも観るきっかけになった多大な影響を与えてもらった映画。主題歌のいつも何度でもの歌詞も大好き。いつか大きなスクリーンで観てみたい。

コメントする (0件)
共感した! (2件)
映画苦手な人2

他のユーザーは「千と千尋の神隠し」以外にこんな作品をCheck-inしています。