【2022年公開・配信のおすすめ邦画&洋画】映画.comスタッフが厳選した“超私的”ベスト映画
2023年1月3日 10:00
2022年、生涯忘れることができない映画と巡り合うことはできましたか?
本記事では、映画.com&アニメハックのスタッフが「どうしても紹介しておきたい!」と熱望した“超私的”なベスト作品を「邦画編」「洋画編」に分けて、一挙にご紹介(対象:2022年1月1日~2022年12月31日公開・配信作品)。絶賛公開中の作品から、すでに配信やBD&DVDレンタルで楽しめる作品(もちろんこれからリリースするものも!)まで幅広くラインナップしました。
皆さんの映画ライフをもっともっと充実させる良作、秀作、傑作ばかりですので、ぜひ鑑賞の参考にしてください!
「愛したはずの夫は別人だった」というショッキングな入り口から、さらにそれ以上に驚天動地の展開が待ち受けている傑作。物語がすさまじく面白い。妻夫木聡の笑顔が怖すぎる。良作を観る快感のサンドバッグになっていたら、エンドロール直前に最大の衝撃が用意されていて。これを観たとき、あなたならどうする? 最高だった……。(映画.com編集部 尾崎秋彦)
芥川賞作家・平野啓一郎の同名ベストセラーを「蜜蜂と遠雷」「愚行録」の石川慶監督が映画化し、妻夫木聡、安藤サクラ、窪田正孝が共演したヒューマンミステリー。
弁護士の城戸(妻夫木)は、かつての依頼者・里枝(安藤)から、亡くなった夫・大祐(窪田)の身元調査をして欲しいという奇妙な相談を受ける。里枝は離婚を経験後に子どもを連れて故郷へ帰り、やがて出会った大祐と再婚、新たに生まれた子どもと4人で幸せな家庭を築いていたが、大祐は不慮の事故で帰らぬ人となった。ところが、長年疎遠になっていた大祐の兄が、遺影に写っているのは大祐ではないと話したことから、愛したはずの夫が全くの別人だったことが判明したのだ。城戸は男の正体を追う中で様々な人物と出会い、驚くべき真実に近づいていく。
スクリーンに鮮やかに映し出される水墨画が息を呑むほど美しく、心の琴線に触れた作品。「愛唄 約束のナクヒト」以来となる横浜流星さんと清原果耶さんの共演も感慨深く、脇を固める三浦友和さんと江口洋介さんの存在感のある演技も素晴らしかった! 小泉徳宏監督の代表作「ちはやふる」と並んで、一人でも多くの人に見てもらいたいと感じた珠玉の青春映画です。(映画.com編集部 MOMO)
水墨画の世界を題材にした砥上裕將の青春小説「線は、僕を描く」を、横浜流星の主演、「ちはやふる」の小泉徳宏監督のメガホンで映画化。清原果耶、細田佳央太、河合優実らが共演。
大学生の青山霜介(横浜)はアルバイト先の絵画展設営現場で水墨画と運命的な出会いを果たす。白と黒のみで表現された水墨画は霜介の前に色鮮やかに広がり、家族を不慮の事故で失ったことで深い喪失感を抱えていた彼の世界は一変する。巨匠・篠田湖山(三浦友和)に声を掛けられて水墨画を学ぶことになった霜介は、初めての世界に戸惑いながらも魅了されていく。
「世界を変えなかった不確かな罪」で注目された奥田裕介監督・脚本の長編2作目。揺るぎないテーマを持っていることが伝わってくるオリジナル作品です。事故、殺人、被害者、加害者、家族、老いた親、介護といった、次の瞬間や明日は我が身に降りかかってくるかもしれない問題。誰を憎めば、何を赦せば、前に進めるのか。自らその答えを模索しつつ、見る者に問いかけてきます。すでに独自のテーマと世界観、作品スタイルを構築しつつあり、これからの日本映画を担い、世界にも通用する監督の才能を感じることのできる作品です。(映画.comスタッフ 和田隆)
横浜のミニシアター、シネマ・ジャック&ベティの30周年に向けて企画・製作された作品。これが長編2作目となる横浜出身の奥田裕介監督がメガホンをとっている。
鉄工所で働く孝秋(カトウシンスケ)は、薄れゆく記憶の中で徘徊する父・忠義(高橋長英)と、そんな父に振り回される母・マチ(吉行和子)のことが気がかりで、実家の団地を訪れる。しかし忠義は数年前に他界した孝秋の兄との区別がつかない様子で、孝秋を見てもぼんやりとうなずくだけだった。ある日、強風の中で団地のベランダから落下した植木鉢が住民に直撃し、救急車やパトカーが出動する騒ぎが起こる。父の安否を心配する孝秋だったが、忠義は何事もなかったかのように自宅にいた。ベランダの窓が開いたままで、忠義の手袋に土が付着しているのを見つけた孝秋は、父への疑いを募らせていく
照生の誕生日・7月26日を軸に、2021年から1年ずつ遡る形で、照生と葉の6年間を描いています。「思い出す」という行為を映像化したような、ユニークな構成によって、別れてしまった男女が過去に思いを馳せる切なさが、ひしひしと伝わってきます。
同じ日を1年ごとに見せていくことで、登場人物の感情や習慣の変化が浮き彫りになり、徐々に照生と葉の物語が見えてくる語り方が、本当に素晴らしい。怪我で将来を見失った照生が深夜の街に佇み、目を閉じると、道を行き交う人々の会話が聞こえてくるシーンは、さまざまな人が生きるこの世界の愛おしさを表現しているようで、そっと胸にしまっておきたくなります。(映画.com編集部 ドーナッツかじり)
「クリープハイプ」の尾崎世界観が自身のオールタイムベストに挙げる、ジム・ジャームッシュ監督の代表作のひとつ「ナイト・オン・ザ・プラネット」に着想を得て書き上げた新曲「Night on the Planet」に触発された松居大悟監督が執筆した、初めてのオリジナルのラブストーリー。主演は池松壮亮と伊藤沙莉。
怪我でダンサーの道を諦めた照生(池松)とタクシードライバーの葉(伊藤)を軸に、さまざまな登場人物たちとの会話を通じて都会の夜に無数に輝く人生の機微を、繊細かつユーモラスに描く。
この作品を見るまでは別の作品を推す予定でいたが、師走に入って伏兵現る。連ドラを見ていようが、いまいが、一瞬で物語の中心部に連れて行ってくれる吉岡秀隆という俳優の説得力に痺れ、そしてキャストのみならずスタッフまで再結集してみせたという“寓話”のような奇跡に喝采をおくりたい。(映画.com副編集長 大塚史貴)
山田貴敏の同名漫画を原作に、2003年と2006年に連続ドラマとして放送された名作テレビドラマ「Dr.コトー診療所」の16年ぶりの続編となる劇場版。主演の吉岡秀隆をはじめ柴咲コウらおなじみのキャストが再結集し、原剛洋役の富岡涼は芸能界を引退していたが本作のために復帰。高橋海人、生田絵梨花、蒼井優、神木隆之介、伊藤歩、堺雅人ら豪華キャストが共演している。
日本の西端に位置する自然豊かな孤島・志木那島。19年前に東京からこの島にやって来たコトーこと五島健助(吉岡)は、島にたった1人の医師として島民たちの命を背負ってきた。コトーは数年前に看護師の星野彩佳(柴咲)と結婚し、2人の間にはもうすぐ子どもが誕生する。志木那島でも日本の他の地域と同じく過疎高齢化が進む中、島民たちの誰もがコトーの診療所があることに安心し、変わらぬ暮らしを送り続けていた。しかし診療所の平穏な日常に、ある変化が忍び寄っていた。
こんなはずじゃなかった。1作品に絞ろうと思うも、即座に断念。ドンピシャの世代ということを差し引いても、こんなにも公開を待ち侘びた作品は久しくなかった。封切り日、満員の劇場で記憶に焼き付けるように見入る鑑賞体験は、またとない興奮と余韻をもたらしてくれた。安西先生、もっとスラダンが見たいです。(映画.com副編集長 大塚史貴)
1990年から96年まで「週刊少年ジャンプ」で連載され、現在に至るまで絶大な人気を誇る名作バスケットボール漫画「SLAM DUNK」を新たにアニメーション映画化。原作者の井上雄彦が監督・脚本を手がけ、高校バスケ部を舞台に選手たちの成長を描き出す。
どんな仕事にも“届ける”という要素は、深く関わってくると思うんです。物理的にも、精神的にも。僕の仕事だってそう。映画から得た驚きや感動を色んな人に届けたくて、海越え山越え谷越えて、日々まい進しています。だから時折、自分の思いが誰かに届いた時はちょっと泣けてくる。そんな尊い瞬間が込められた作品……定期的に見返したくなる1本となりました。(映画.com編集部 岡田寛司)
直木賞作家・辻村深月がアニメ業界で奮闘する人々の姿を描いた小説「ハケンアニメ!」を映画化。吉岡里帆、中村倫也、柄本佑、尾野真千子が共演し、劇中に登場するアニメは「テルマエ・ロマエ」の谷東監督や「ONE PIECE STAMPEDE」の大塚隆史監督ら実際に一線で活躍するクリエイター陣が手がけている。
地方公務員からアニメ業界に飛び込んだ新人監督・斎藤瞳(吉岡)は、デビュー作で憧れの天才監督・王子千晴(中村)と業界の覇権をかけて争うことに。王子は過去にメガヒット作品を生み出したものの、その過剰なほどのこだわりとわがままぶりが災いして降板が続いていた。プロデューサーの有科香屋子(尾野)は、そんな王子を8年ぶりに監督復帰させるため大勝負に出る。一方、瞳はクセ者プロデューサーの行城理(柄本)や個性的な仲間たちとともに、アニメ界の頂点を目指して奮闘する。
タイムループものは今までもたくさんありましたが、社内という設定、さらにタイムループしていることを他人に気付かせる過程が新鮮で面白い。タイムループを終わらせる方法が胸アツで、見終わった後は多幸感で満たされていました。上映時間は82分。見て損はしないです!(映画.com編集部 佐藤レモナ)
長編デビュー作「14歳の栞」で注目を集めた竹林亮が監督を務め、タイムループに陥った小さなオフィスの社員たちが脱出を目指して奮闘する姿を描いたコメディ。
小さな広告代理店に勤める吉川朱海(円井わん)は、憧れの人がいる大手広告代理店への転職を目指しながらも、仕事に追われる多忙な日々を過ごしていた。ある月曜日の朝。彼女は後輩2人組から、自分たちが同じ1週間を何度も繰り返していることを知らされる。他の社員たちも次々とタイムループに気づいていくが、脱出の鍵を握る永久部長(マキタスポーツ)だけが、いつまで経っても気づいてくれない。どうにか部長に気づかせてタイムループから抜け出すべく悪戦苦闘する社員たちだったが……。
人見知りの女子大学生が、小学校5年のかわいい妹とその友人たちと祖母の家にお泊りにいく。ひたすら楽しく、ときにほっこりと、「尊い」とはこういうものなのかと思わせる至高の時間が過ぎていきます。テレビアニメ全12話と続けて見ると“プレシャス”な体験ができること間違いなしです。(アニメハック編集部 五所光太郎)
椋木ななつの同名コミックを原作とする2019年放送のテレビアニメ「私に天使が舞い降りた!」の劇場版。
小学5年生の花、ひなた、乃愛、小依、夏音ら仲良し5人組は、今日もひなたの姉・みやこの手作りお菓子を囲んでお菓子パーティを楽しんでいる。クッキーの形に似ていることから花の髪飾りの話題になった子どもたちは、その髪飾りは花が小さい頃におばあちゃんからもらった宝物だと知る。その話に興味津々のひなたたちは、「修学旅行の練習」として、みんなでおばあちゃんの家へ遊びに行くことになり……。
今すぐ映画館に行ってくれ~~~~!! 映像はもちろんすごい。でもむしろ物語が最高にぶっ刺さりました。ざっくり言うと、今作は家族の危機にお父さんが頑張る話。だから特にお子さんがいるお父さん・お母さんは滂沱の涙を禁じえないと思います。僕がそうでした、頭痛くなるくらい泣きましたので。(映画.com編集部 尾崎秋彦)
ジェームズ・キャメロン監督が革新的な3D映像を生み出し、全世界興行収入歴代1位の大ヒット作となった「アバター」の約13年ぶりとなる続編。前作から約10年が経過した世界で、新たな物語が紡がれる。
地球からはるか彼方の神秘の星パンドラ。元海兵隊員のジェイク(サム・ワーシントン)はパンドラの一員となり、先住民ナヴィの女性ネイティリ(ゾーイ・サルダナ)と結ばれた。2人は家族を築き、子どもたちと平和に暮らしていたが、再び人類がパンドラに現れたことで、その生活は一変する。神聖な森を追われたジェイクとその一家は、未知なる海の部族のもとへ身を寄せることになる。しかし、その美しい海辺の楽園にも侵略の手が迫っていた。
植民地時代の怒りと抵抗の物語をここまでエンタメに振り切って3時間観客を飽きさせない映画に仕上げたラージャマウリ監督の手腕に脱帽。高度なVFX技術で強度が高まるアナログなアクション、おじさん二人の熱い友情に感動しました。そして、エンディングロールで踊る監督って……最後の最後まで最高でした。(映画.com編集部 M)
「バーフバリ」シリーズのS・S・ラージャマウリ監督が、英国植民地時代の激動のインドを舞台に、2人の男の友情と使命がぶつかり合う様を豪快に描くアクションエンタテインメント。
1920年、英国植民地時代のインド。英国軍にさらわれた幼い少女を救うため立ち上がったビーム(N・T・ラーマ・ラオ・Jr.)と、大義のため英国政府の警察となったラーマ(ラーム・チャラン)。それぞれに熱い思いを胸に秘めた2人は敵対する立場にあったが、互いの素性を知らずに、運命に導かれるように出会い、無二の親友となる。しかし、ある事件をきっかけに、2人は友情か使命かの選択を迫られることになる。
自分の夢を追うのか、大切な家族とともにいるのか――容易には答えが出せない問題。ですが、家族全員が(決して簡単ではないけれど)一歩を踏み出し、全てを背負ってきたルビーの夢を後押ししていく姿に、胸が熱くなります。
また実際に耳の聞こえない俳優たちが、劇中の家族を演じており、感情豊かな演技を見せています。何度聞いても心が洗われ、世界をほんの少し優しくしてくれるような、ルビーの美しい声。彼女の歌声が、言葉が、家族の心に確かに届いたと分かる瞬間に、涙が止まりません。(映画.com編集部 ドーナッツかじり)
家族の中でただ1人耳の聞こえる少女の勇気が、家族やさまざまな問題を力に変えていく姿を描いたヒューマンドラマ。2014年製作のフランス映画「エール!」のリメイク。2022年・第94回アカデミー賞で作品賞、助演男優賞(トロイ・コッツァー)、脚色賞の3部門にノミネートされ、同3部門を受賞している。
海の町でやさしい両親と兄と暮らす高校生のルビー(エミリア・ジョーンズ)。彼女は家族の中で1人だけ耳が聞こえる。幼い頃から家族の耳となったルビーは家業の漁業も毎日欠かさず手伝っていた。新学期、合唱クラブに入部したルビーの歌の才能に気づいた顧問の先生は、都会の名門音楽大学の受験を強く勧めるが、 ルビーの歌声が聞こえない両親は娘の才能を信じられずにいた。家業の方が大事だと大反対する両親に、ルビーは自分の夢よりも家族の助けを続けることを決意するが……。
クリストファー・ノーラン監督が手がけた「ダークナイト」トリロジーを超えることなどできないだろうと思っていたのですが、ニルヴァーナの曲「サムシング・イン・ザ・ウェイ」に乗せた予告編を見た瞬間から、一気に期待が高まったのを思い出します。青年ブルース・ウェインがバットマンになろうとしていく姿をよくぞここまで再構築してみせたなと驚嘆しました。より原作コミックに近いようなリアルさとダークさを併せ持った世界を作り込んだマット・リーブス監督はお見事。そして、知能犯リドラーによって人間としての本性がむき出しにされていくブルースを演じたロバート・パティンソンに拍手を送りたい。(映画.comスタッフ 和田隆)
ロバート・パティンソンが新たにブルース・ウェイン/バットマンを演じたサスペンスアクション。監督は「猿の惑星:新世紀(ライジング)」「猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)」のマット・リーブス。
青年ブルース・ウェインがバットマンになろうとしていく姿と、社会に蔓延する嘘を暴いていく知能犯リドラーによってブルースの人間としての本性がむき出しにされていく様を描く。
小学生の時に「トップガン」を見たドンピシャ世代としては、懐かしい80年代の空気感に涙腺が刺激されまくりだし、格段に進化したスカイアクションに興奮が止まらないし、年相応に老いたトムはやっぱり超絶カッコイイし! 満足度はもはや異次元レベル。あともう1回、映画館でおかわりしておけばよかった!と思うほど今年一番ドはまりした作品です。(映画.com編集部 MOMO)
トム・クルーズを一躍スターダムに押し上げた1986年公開の世界的ヒット作「トップガン」の続編。
アメリカ海軍のエリートパイロット養成学校トップガンに、伝説のパイロット、マーヴェリック(クルーズ)が教官として帰ってきた。空の厳しさと美しさを誰よりも知る彼は、守ることの難しさと戦うことの厳しさを教えるが、訓練生たちはそんな彼の型破りな指導に戸惑い反発する。その中には、かつてマーヴェリックとの訓練飛行中に命を落とした相棒グースの息子ルースター(マイルズ・テラー)の姿もあった。ルースターはマーヴェリックを恨み、彼と対峙するが……。
“超私的”ということで、「ハリポタ」「ファンタビ」シリーズ好きとしてこの作品を選ばせてもらいました。昔からジョニー・デップが好きなので、マッツ・ミケルセンがグリンデルバルドを演じるのは正直どうかなと思って見てみたら、登場から色気がすごくて酔いそうに。結果、どっちのグリンデルバルドもとても好きでした。今後もシリーズの公開を待っています!(映画.com編集部 佐藤レモナ)
大ヒットファンタジー「ハリー・ポッター」シリーズの前日譚で、魔法動物学者ニュート・スキャマンダーの冒険を描く「ファンタスティック・ビースト」シリーズの第3弾。グリンデルバルド役は前作までのジョニー・デップに代わり、デンマークの名優マッツ・ミケルセンが新たに演じている。
魔法動物を愛するシャイでおっちょこちょいな魔法使いニュート(エディ・レッドメイン)が、恩師のアルバス・ダンブルドア(ジュード・ロウ)や魔法使いの仲間たち、そして人間(マグル)と寄せ集めのチームを結成し、史上最悪の黒い魔法使いグリンデルバルド(ミケルセン)に立ち向かう。その中で、ダンブルドアと彼の一族に隠された秘密が明らかになる。
世界中を沸かせた大本命作品も大好きだが、個人的には自身の幼少期の体験を投影して描いてみせたケネス・ブラナーの良作に1票。バディ役のジュード・ヒルの初々しくも堂々と名優たちと渡り合う度胸に胸を打たれる。そして、この作品を優しく、それでいて現実的な眼差しで支えてみせた、ばあちゃん役のジュディ・デンチの寄りの画は特筆に値する。(映画.com副編集長 大塚史貴)
俳優・監督・舞台演出家として世界的に活躍するケネス・ブラナーが、自身の幼少期の体験を投影して描いた自伝的作品。第46回トロント国際映画祭で最高賞の観客賞を受賞。第94回アカデミー賞でも作品賞、監督賞ほか計7部門にノミネートされ、脚本賞を受賞している。
ベルファストで生まれ育った9歳の少年バディ(ジュード・ヒル)は、家族と友達に囲まれ、映画や音楽を楽しみ、充実した毎日を過ごしていた。笑顔と愛に包まれた日常はバディにとって完璧な世界だった。しかし、1969年8月15日、プロテスタントの武装集団がカトリック住民への攻撃を始め、穏やかだったバディの世界は突如として悪夢へと変わってしまう。住民すべてが顔なじみで、ひとつの家族のようだったベルファストは、この日を境に分断され、暴力と隣り合わせの日々の中で、バディと家族たちも故郷を離れるか否かの決断を迫られる。
元ネタとなっているのは、実際に起こった脱出劇。でも、監督のリュ・スンワンさんは“社会派”を一級エンタメに仕上げちゃう達人ですからね……現実の出来事がさらに面白く見えてしまう。この作品は“映画館で見るべき映画”でした。「マッドマックス」的カーアクションはもちろんですが、言葉を排した“離別の演出”が忘れられません。(映画.com編集部 岡田寛司)
「ベルリンファイル」「生き残るための3つの取引」のリュ・スンワン監督がメガホンをとり、韓国民主化から3年、ソウル五輪からわずか2年後の1990年、ソマリアで内戦に巻き込まれた韓国と北朝鮮の大使館員たちによる脱出劇を映画化。第42回青龍映画賞で作品賞、監督賞ほか5部門を受賞している。
ソウル五輪を成功させた韓国は1990年、国連への加盟を目指して多数の投票権を持つアフリカ諸国でロビー活動を展開。ソマリアの首都モガディシュに駐在する韓国大使ハン(キム・ユンソク)も、ソマリア政府上層部の支持を取り付けようと奔走していた。一方、韓国に先んじてアフリカ諸国との外交を始めていた北朝鮮も同じく国連加盟を目指しており、両国間の妨害工作や情報操作はエスカレートしていく。そんな中、ソマリアで内戦が勃発。各国の大使館は略奪や焼き討ちにあい、外国人にも命の危険が迫る。大使館を追われた北朝鮮のリム大使(ホ・ジュノ)は、職員と家族たちを連れ、絶対に相容れない韓国大使館へ助けを求めることを決める。
近年のピクサー作品で白眉と言える一作。これまでのピクサーのイメージを壊すぐらいのガツンとくる冒頭から、細田守監督の「時をかける少女」へのオマージュ、娘と母親の関係、「推し」への思い、終盤まさかの〇〇映画になる怒涛の展開と、モフモフ描写以外にも見どころが詰まっています。劇場公開されていないため見ている人が少ないと思いますが、ぜひディズニープラスで見ていただきたいです。(アニメハック編集部 五所光太郎)
ピクサー・アニメーション・スタジオによる長編アニメ。親の前で本来の自分を抑えていることに悩む少女メイが、ある日突然レッサーパンダに変身してしまったことから起こる騒動や、変身の裏に隠された秘密を描く。
伝統を重んじる家庭に生まれ、両親を敬い、親の期待に応えようと頑張るティーンエイジャーの少女メイ。母親の前ではいつもマジメで頑張り屋でいる彼女だったが、本当は流行りの音楽やアイドルも大好きで、恋をしたり、友達とハメをはずして遊んだり、やりたいこともたくさんある。母親の前で本当の自分を隠す日々を送るメイは、本当の自分がわからなくなり、感情をコントロールすることができなくなってしまう。悩んだまま眠りについた彼女は、翌朝目を覚ますと、なんとレッサーパンダになっていた。
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父親と2人で過ごした夏休みを、20年後、その時の父親と同じ年齢になった娘の視点からつづり、当時は知らなかった父親の新たな一面を見いだしていく姿を描いたヒューマンドラマ。 11歳の夏休み、思春期のソフィは、離れて暮らす31歳の父親カラムとともにトルコのひなびたリゾート地にやってきた。まぶしい太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、2人は親密な時間を過ごす。20年後、当時のカラムと同じ年齢になったソフィは、その時に撮影した懐かしい映像を振り返り、大好きだった父との記憶をよみがえらてゆく。 テレビドラマ「ノーマル・ピープル」でブレイクしたポール・メスカルが愛情深くも繊細な父親カラムを演じ、第95回アカデミー主演男優賞にノミネート。ソフィ役はオーディションで選ばれた新人フランキー・コリオ。監督・脚本はこれが長編デビューとなる、スコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズ。
ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。
「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。
奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。
文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。
文豪・田山花袋が明治40年に発表した代表作で、日本の私小説の出発点とも言われる「蒲団」を原案に描いた人間ドラマ。物語の舞台を明治から現代の令和に、主人公を小説家から脚本家に置き換えて映画化した。 仕事への情熱を失い、妻のまどかとの関係も冷え切っていた脚本家の竹中時雄は、彼の作品のファンで脚本家を目指しているという若い女性・横山芳美に弟子入りを懇願され、彼女と師弟関係を結ぶ。一緒に仕事をするうちに芳美に物書きとしてのセンスを認め、同時に彼女に対して恋愛感情を抱くようになる時雄。芳美とともにいることで自身も納得する文章が書けるようになり、公私ともに充実していくが、芳美の恋人が上京してくるという話を聞き、嫉妬心と焦燥感に駆られる。 監督は「テイクオーバーゾーン」の山嵜晋平、脚本は「戦争と一人の女」「花腐し」などで共同脚本を手がけた中野太。主人公の時雄役を斉藤陽一郎が務め、芳子役は「ベイビーわるきゅーれ」の秋谷百音、まどか役は片岡礼子がそれぞれ演じた。