生き残るための3つの取引
劇場公開日 2011年4月29日
解説
警察が失態を重ね、世間から批判を浴びていたある日、連続殺人事件が発生。大統領から今回こそ事件を解決するよう厳命が下るが、警察は有力容疑者を誤って射殺してしまう。上層部からこの事実のもみ消しを命じられた刑事チョルギは、ヤクザに証拠づくりを頼み、偽の容疑者を仕立てあげるが……。「相棒 シティ・オブ・バイオレンス」のリュ・スンワン監督が描くサスペンス。「ユア・マイ・サンシャイン」のファン・ジョンミンらが出演。
2010年製作/119分/PG12/韓国
原題:不当取引
配給:CJ Entertainment Japan
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2019年2月2日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
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証拠不十分の容疑者を死なせてしまうという大失態。事実をもみ消しし、スクラップ工場のプレス機で死体を始末。そうなると真犯人が必要になる・・・という酷い警察内部。
真犯人捏造に選ばれたのはイ・ドンソクという男。障害者の妻と幼い娘がいるが、過去に少女レイプの罪で12年の刑を言い渡されている。チェ・チョルギ(ジョンミン)は部屋中に散りばめられた過去の犯罪者たちを蹴散らして、もっともらしい犯人を選んだのだ。最初の取り調べでは妻の証言でアリバイが証明されたとのこと・・・しかし、妻本人が登場すると、証拠能力があるとは思えない・・・てな感じで。チャン・ソック(ヘジン)という建設業者をやってるヤクザと癒着していたチョルギは彼にドンソクを犯人に仕立てさせ、送検まで持ち込む。障害者の家族に1億ウォンという金を用意させ、本人には精神鑑定で無罪に持ち込むと約束したためだ。
チュ・ヤン検事(スンボム)はソックとライバル関係にある建設業者と癒着していて、そのためチョルギをマークしていた。そこへでっち上げの疑惑が浮かび、さらにチョルギを捜査する。こうなったら検事の職務は二の次だ(笑)。チョルギにとってはヤバい状況。彼はゴルフ場で癒着現場の写真を撮らせ対抗するのだ。さらにソックに相談してドンソクを獄中で自殺に見せかける殺し屋を用意させる。その殺し屋は検事とつるんでいた建設業者のキム会長をも殺した。ドンソクが自殺したおかげで事件は解決?真犯人はどうなるんだ・・・
収賄や口利きなど、ヤクザとの関係を断ち切りたいチョルギ。脅迫されたが、彼を工事現場のエレベータを墜落させたのはソックの部下。今度はその部下がチョルギを脅し、チョルギによって銃殺。不運なことにチョルギの部下デホが彼を心配して凶行を止めに入ったが、誤射によりデホは死亡。そのまま上手く報告すればいいものを、チョルギはまたもやそこで現場を偽装工作。デホとヤクザの部下が相討ちになったように見せかけたのだ。
おかげでチョルギは昇進するが、科学研究所から真犯人のDNAが特定できたと連絡が入る。それはなんとイ・ドンソク。でっち上げたと思っていたら、真犯人だったというわけだ。そして、さらにソックの運転手が偽装現場を撮影していたことをチョルギの部下たちが突き止める。自分一人だけ昇進した上、デホの葬儀にも参列しなかったチョルギ。部下たちは運転手を使ってチョルギを殺させるのだ・・・・あぁ、なんとおぞましい。
警察も検察も後ろめたいことだらけ。登場人物の中ではまともな人間がほとんどいない。後味も最低なのがいい!おまけにドンソクの娘というのが障害者の妻の連れ子であり、そのために結婚したんだという事実・・・おぞましい。
2017年9月24日
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鑑賞方法:DVD/BD
もはや、この人が出たら見ずにはいられない俳優ファンジョンミン。(あと、ハジョンウも!)これも秀作です。個人的には新しき世界より面白いと思います。
最後の落ちが良かった。(あの検事のように、上流社会に居るものは、堕ちないのです)
2011年12月20日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
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悪い事は、隠せない。
隠そうとする程ボロがでる。
しかし、毎回書いてるけど、韓国映画は、ストーリーが面白くて、それを演じる俳優が素晴らしい。悲しみ、怒り、がダイレクトに伝わる。演技力がはんばない。
自己保身のためにぶつかり合う二人の男と、それに、振り回される人々…
そして、それが全部無駄になった瞬間、ファン・ジョンミンと一緒に身体のチカラが一気に抜けちゃう感覚に襲われます。
テンポがとってもいいので、残念な落ちっぷりも見ていてイヤにならない。
ファン・ジョンミンやっぱうまいね。
2011年8月11日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:映画館
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常に正義をかざすべき警察が偽の証拠を仕立てる前代未聞の事態を嗅ぎ付け、検事、マスコミ、ヤクザetc.出世欲に群がる連中がお互いの弱味を握り、更なる蟻地獄を掘り起こす弱肉強食のフルコースは、焼肉のメッカ・韓国ならではのボリュームたっぷりの血肉の盛り合わせでお腹一杯の見応えだった。
「ホシがいないなら何やってもいい。とにかくアゲちまえ」
ムチャ振り極まりない命令の下、敵だけでなく強い絆を結んでいたハズの仲間内まで飛び火した裏切りの応酬に、心身ボロボロになりながらも捏造工作に奔走する刑事グループ班長の苦悩が哀愁を誘う。
浜田雅功&石倉三郎を足して、コチュジャンで割ったようなインパクトを放つヤクザの親分との丁々発止なやり取りは今作の醍醐味を濃厚にあつらえている。
災いの元凶やのに、必死に任務を遂行しようともがく彼の醜さは、我々同様、毎日毎日、板挟みを食らう中間管理社会の犠牲者とも云え、軽蔑よりも共感を覚えた。
ただ単に今の職場にウンザリしているだけなのかもしれないって切り捨てちまったら、それまでだが…。
汚職が蔓延る権力腐敗や学歴社会の歪み、内部告発、精神薄弱者の犯罪、検事買収etc.痛烈な社会派の複雑な切り口で刻みながらも、闇の闘争に明け暮れる男共の生き残りを賭けた処世術の生々しさに一貫しており、二転三転するテンポは最後までスピードを緩めない。
ただ、渦の構造を簡素化し、バイオレンス娯楽に徹した割には、約2時間は長過ぎるかな。
エグ過ぎて2、3口で箸を止めた『オールド・ボーイ』よりはマイルドで食べやすいけど、お代わりは遠慮したい味付けと云える。
第一、あんなに殺しまくってたらバレるのは、時間の問題やと思う。
そんなん誰でも怪しいって感づく失態に、リアリティの度量に疑問視したいトコロだが、御近所の中国じゃあ、事故った電車を国家主導で埋めてもうたんやから、あながちデタラメな隠蔽でも無いだろう。
タイムリーって怖いね。
こんなん批評ちゃうなとボヤキつつ、最後に短歌を一首
『過ちは 牙で潰せど 群れる渦 餌付いた欲に 染まる野良犬』
by全竜
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