新感染 ファイナル・エクスプレス
劇場公開日 2017年9月1日
解説
ソウルとプサンを結ぶ高速鉄道の中で突如として発生した、謎のウィルスの感染拡大によって引き起こされる恐怖と混沌を描いた韓国製サバイバルパニックアクション。ソウルでファンドマネージャーとして働くソグは妻と別居中で、まだ幼いひとり娘のスアンと暮らしている。スアンは誕生日にプサンにいる母親にひとりで会いにいくと言い出し、ソグは仕方なく娘をプサンまで送り届けることに。ソウルを出発してプサンに向かう高速鉄道KTXに乗車したソグとスアンだったが、直前にソウル駅周辺で不審な騒ぎが起こっていた。そして2人の乗ったKTX101号にも、謎のウィルスに感染したひとりの女が転がり込んでいた。主人公のソグ親子のほか、妊婦と夫、野球部の高校生たち、身勝手な中年サラリーマンなど、さまざまな乗客たちが、感染者に捕らわれれば死が待ち受けるという極限状態の中で、生き残りをかけて決死の戦いに挑み、それぞれの人間ドラマが描かれる。韓国のアニメーション界で注目を集めてきた新鋭ヨン・サンホ監督が初めて手がけた実写長編映画で、今作の前日譚となる物語が長編アニメ「ソウル・ステーション パンデミック」で明らかにされている。
2016年製作/118分/G/韓国
原題:Train to Busan
配給:ツイン
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2017年9月25日
Androidアプリから投稿
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一部の隙もなく本当によくできている。“面白い”よりも“よくできている”と思ってしまうのは、そのまま映画の授業の教科書にできるくらい、フリやオチがちゃんとしているから。逆に言うと巧みにしつらえた予定調和であり「どの順番で誰が犠牲になるのか」みたいなことは理屈で考えると先読みはできてしまう。その点では、良くも悪くも予想の範囲内から飛び出さない作品ではあると思う。
不満に思ってしまうのは、キャラクターの配置がいささか作為的なことで、例えば老婆の姉妹なんて車輌の扉を開ける役割以上の存在とは言いがたい。一方、高校生カップルを一緒に死なせてあげたのは、監督の優しさなのかロマンティシズムなのか、人が死ぬ場面なのに「よかったね」と言いたくなる不思議な魅力のある一幕だった。
2017年8月31日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会
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世間にこれほどゾンビ映画がはびこっていながら、本作は他の追随を全く許さない画期的なシチュエーションと、魂を激しく揺さぶる群像劇とを兼ね備えた大傑作だ。不気味な序曲は既に冒頭から微かな調べを奏でている。早朝のソウル駅から走り出したプサン行の高速鉄道。その車両にすがりつくように感染者が転がり込むことで、列車内にてウィルスが爆発的な拡大を見せていく。とここまではある意味、ゾンビ映画として定番ではあるものの、何よりこの先で炙り出される怒涛の人間ドラマが圧巻なのだ。列車が辿るルートはいわば人生のメタファー。老若男女すべての年代にスポットをあて、彼らが血にまみれながらこれまでの自分を脱ぎ捨てて「あるべき姿」を獲得しようとする様は、あたかも母の胎内から外界へと飛び出す「第二の誕生」のようにも思えてならなかった。見終わると、余韻と共に登場人物一人一人の顔が浮かぶ。世界中で熱狂者が増殖中なのも納得である。
2022年6月5日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館
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