☆☆☆★★
※ 鑑賞直後のメモから
シネマ歌舞伎を初体験。
普段は歌舞伎に疎い為に、多少「大丈夫かな?」と緊張がなかったと言うと嘘になる。
とは言え、作・演出宮藤官九郎で。加えてゾンビ物となると興味が湧く。
台詞回しや様式美、その他諸々。既存の歌舞伎に囚われない自由な舞台作りならば、私の様な歌舞伎初心者にこそ歌舞伎入門に相応しいだろうと思える。
元々歌舞伎は。その時代に即した庶民の話題を舞台に取り入れては、社会批判等を織り込んで発展して来たと言う。それだけにゾンビが大江戸に出現…とゆう、実に馬鹿馬鹿しい発想もそうだが。冒頭の2匹のくさやが実は…とゆうビックリなオチから飛ばしに飛ばす。
終始ギャグの連続。分かりにくい部分は全く皆無で、普通に若い人向きに舞台が製作されているのが分かる。
しかも演じているのは本格的に歌舞伎に精通している歌舞伎役者。
勿論、美術・セット・衣装を含めて全くの手抜かり等有り得ない。見た目にも、明らかに通常の舞台とは違って当然なのだが。何よりも演じている歌舞伎役者さん達が、大いに楽しんで演じている様子が観ていても伝わって来る。
但し、普段は歌舞伎に精通していると思われる。当日に舞台を観劇していた観客の目には、多少の戸惑いがあったのでは?と、スクリーンを見ながらほんの少しだけ感じた。
おそらくは盛り上がった事は盛り上がったのでしょうが、定番の声かけ等。ここぞとばかりに掛かる観客の(半ば自己満足な面)声は、予想よりも少なく。少しばかり戸惑っている様子がスクリーンから感じた。
多分ですが。本格的な歌舞伎を観に来たマニアの方には、宮藤官九郎の若者向けの舞台作りには肌が合わず。普段歌舞伎を観ない人達には、「歌舞伎って面白い!」と思わせるだけのインパクトは充分あったのだろう…と。
舞台をそのままスクリーンへ…とは言っても、複数のカメラによる同時撮影で。普段の観客の立場だと、言わば固定カメラに近く。目線も一定で、舞台全体を見渡せるが。シネマ歌舞伎だけに、映画用に役者のアップであったり。花道・廻り舞台等、普段の舞台観劇では味わえない角度や、細かなカメラの切り替えで。なかなか気が付かない演出場面を画面を通して観客に伝える、至れり尽くせりと言った画面作りとなっている。
馬鹿馬鹿しい内容だけに、最後はどう締めるのか?…と思っていたら。実に強引な力技でエンディングへとなだれ込む。
ただ、その直前での廻り舞台の特性を活かした。永代橋の場面のエンターテイメント度は圧巻の極み。
人によっては不満を感じる人も居るでしょうが、私は大いに楽しみました。
多少料金は高いですが、それに見合うだけの満足は出来る内容だと思います。
話の内容は実に馬鹿馬鹿しいですけどね。良い意味で(笑)
2010年10月17日 東劇