シネマ歌舞伎 野田版 鼠小僧
劇場公開日 2005年1月15日
解説
歌舞伎の舞台公演をスクリーンでデジタル上映する「シネマ歌舞伎」シリーズの第1弾。野田秀樹による作・演出のもと十八代目中村勘三郎が主演を務め、2003年8月に歌舞伎座で上演された「野田版 鼠小僧」をデジタルシネマ化。正月。江戸の町で人気を集める鼠小僧の芝居の見物客の中で、棺桶屋の三太がずる賢く金稼ぎに励んでいる。金にしか興味のない彼は、実の兄が死んでも棺桶屋の出番と喜んでいた。その上遺産まであると聞いて大はしゃぎの三太だったが、遺産は善人の與吉が相続することになってしまう。どうしても遺産を手に入れたい三太は一計を案じ、兄の死体の代わりに棺桶の中へ忍び込むが……。
2004年製作/110分/日本
配給:松竹
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2019年1月7日
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鑑賞方法:映画館
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平成15年8月に旧歌舞伎座での公演を収録した、記念すべきシネマ歌舞伎第一作。
野田版の演出は、口語体のせりふでテンポ良く展開し、歌舞伎としては話の内容がとても分かりやすい。
回り舞台を多用したスピーディーな演出と相まって、現在まで数多く製作されているシネマ歌舞伎の中でも、万人におすすめできる快作である。
金に目がない棺桶屋の三太が、ひょんなことから鼠小僧に?!
中村勘九郎が18世勘三郎を襲名する記念上映でもあった勢いのある舞台。
ユーモアたっぷりの長ぜりふも、抜群の反射で体現していく。そして、場の空気を感じながらのアドリブ力。
しっかりした型を土台としながら型を崩していくことにより、人物に命が宿る。それが他の登場人物にも影響し、舞台全体に命が宿る。
勘九郎は、おちゃらけたせりふもけれん味なく演じ、思わず笑顔にさせられる。
脇を固める役者陣も、個性豊かな芸達者が揃い、これでもかと笑いを提供してくれる。
終盤、追い詰められ、逃げ道を用意されながらも、譲れない人情を守るべく自らの道を絶つことに…かぶき者が英雄に変わる瞬間だ。
終始エネルギーを保ちながら、汗だくで軽妙に舞台を立ち回る勘九郎。
観客に、日常を離れ束の間でも楽しんでほしいという信念が伝わってくる。その役者魂ゆえに当代切っての人気者だった勘九郎が、勘三郎として新歌舞伎座で思う存分立ち回る姿を今さらながらに見てみたかったと思うが、その真髄が6代目勘九郎、七之助、勘太郎、長三郎をはじめとする中村屋に脈々と受け継がれていくことを楽しみにするばかりである。
ひとつ感心したのが、子役の清水大希君。当時小学3年位にしては、せりふ量も多いし、大人の役者との掛け合いも見事で、「三太」を「サンタ(クロース)」たらしめる重要な役所を堂々と演じている。
「うちの子になってよ」と、この数年後、勘三郎の部屋子として2代目中村鶴松を襲名。現在は女形も多くつとめるイケメン若手歌舞伎役者になっていた。
この世にたくさんの宝を残してくれた勘三郎さんに、改めて有り難うとお疲れ様を言いたい。
2018年12月29日
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映画も良いが本場の舞台が観たかったなぁ!もう見れないと思うともっと見たいと思う。惜しい!息子の勘九郎にこれが出来るか、、、期待します。
2017年5月15日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館
歌舞伎を観るのは、初めてだし
観劇もした事が無いので、勉強が必要です。
つまらなかった訳では無いのですが、
ものすごくおもしろかった訳では無かった。
2016年10月25日
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鑑賞方法:映画館
久し振りにドリプラにて、久々にシネマ歌舞伎を観賞
鼠小僧ってぇっと、強欲な問屋から盗んだ金を貧しい庶民に配り歩いた義賊として謳われているヒーローの1人だが、演劇界の鬼才が、そう易々と正義の味方に描くワケがない
ドケチで皆から疎まれている棺桶職人が、亡き兄の莫大な遺産を他人に譲られたため激怒
「ならば盗んじまえ」と、当時、芝居で流行していた鼠小僧になりきり、盗みを重ね復讐しようとする
しかし、天下の南町奉行・大岡越前まで巻き込み、挙げ句の果て、クリスマスまで担ぎ出す大騒動に発展していく
前作の『研辰の討たれ』ほどゴチャゴチャガヤガヤ喧しくないものの、鼠小僧を演ずる勘三郎のパワフルなフットワーク&マシンガントークで、ドタバタ畳み掛ける落ち着きの無い展開に笑い疲れてしまった
一方、散々引っ掻き回した後、金と肩書きにひれ伏す大衆の愚かさを突く貫禄に心動かされ、そして、鍵を握る子供との触れ合いに涙する
拝金至上主義を否定する説得力は『人類資金』なぞより遥かに凌ぐ
緩急自在にメッセージを投げ込む中村勘三郎の早過ぎる死を改めて惜しむ
では、最後に短歌を一首
『金の雪 染まる江戸の夜 駆け抜けて 嘘を盗り合う イブの白州よ』
by全竜
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