前提として
・多分4回目。
・原作と思しきものは未読。
・『アイアンマン』は視聴済。
・『ハルク』は視聴済。ドラマシリーズの『超人ハルク』は未視聴。
・ルイ・ルテリエ監督の他作品だと、『トランスポーター』を視聴済。
面白いとは思うんだけどなぁ……なんか暗いんだよなぁ……
"ハルク"という、一見異色だが中身は正統派のヒーローが主役。他のMCU作品(特にフェーズ1)と比べても珍しいのは、恋愛を主軸にした物語であるということ。
これが"ハルク"というヒーロー像と非常にマッチしている。「ただ怒る」から暴れる、暴れるから強い。のではなく、「愛する人を守るために怒る」から強い、という描き方につながるのだ。
悪役とかダークサイドとか必要悪にすらも見え兼ねない"ブルース・バナー"の二面性を、しっかりヒーローとして魅せてくれる。子供を助けるシーンが無いのもハルクらしい(かといってブルースが子供を助けるシーンも無いけど)。
他シリーズ作品と比較するのはあまり良くないが、終盤の展開は『仮面ライダー』好きにも刺さるんじゃなかろうか。自分と同じタイプの敵、普通の人間には戻れないという不可逆性と不死身、愛する人と共に過ごせない孤独と哀しみ……うーむ、俺は大好物だぞ。ハルク及びブルース・バナー、非常に深いキャラクターだ。
脇役もなかなか良いキャラクターと役者を揃えていると思う。主人公以上に印象に残るシーンが多く、メインの悪役だけどブロンスキーとか、癖強のサミュエルは推し。
などなど、渋さと面白さがかなりある。ストーリーも結構面白いと思う。ブルースの神経質さと優しさとかもしっかり出ているし。
ただ、どうしても他人には勧めづらい。
まずは作風。スタイリッシュなものを目指そうとしている様子は垣間見える。のだが、ちょいと暗い。MCUフェーズ1のあるあるっちゃあるあるなんだけど、その中でも本作はかなり暗い。
一般社会に介入する軍。吹っ飛ばされて木に激突する血まみれ兵士。大人な雰囲気のベッドシーン……なんか「スーパーヒーロー作品」って言いづらくない?? 子供にはなんとなくオススメしづらい……。
画角というかカメラに関してだが、なんか観づらい。あえて観せない部分なら分かる。でも全体を通して、気持ちよく観れない位置にある。前述した"暗さ"も影響しているのだろうけど、どうもパッとしない印象で終わるのはこのためか。
CGも時折気になる。ヘリコプター、もう少しどうにかならなかった? 車両関係はすごく良いんだけどなぁ……。どうしても『アイアンマン』と比べるし、比べると気になってしまう。
『アイアンマン』を例に出したが、MCU(特にインフィニティ・サーガ。)との関連が深いか、と問われても答えに困る諸々。「『アベンジャーズ』の本筋を知りたいだけなら観なくても良い」という暴論が出るのも、分からなくはない。
俳優が変わったことによってキャラクターの方向性も大きく変わったり、ロス大佐との絡みもなんか曖昧だったり、サミュエルの伏線もなかなか回収してくれないし……
版権問題とか長編シリーズ製作って本当に難しいプロジェクトなのだなぁ、と今更ながら実感している。
ま、色々書いたけど個人的には好き。何回観ても苦にならない。
なんだかんだ言われてるけど、毛色の違う面白さと渋さがそこにはある。そんな作品。