コラム:第三の革命 立体3D映画の時代 - 第4回
2008年4月30日更新
第4回:用語集
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[その他の用語]
■フュージョン・カメラ・システム(Pace Fusion 3-D Camera System)
ヴィンセント・ペイス率いるペイス・テクノロジー(Pace Technologies)社が開発したデジタル立体撮影システム。旧名はリアリティ・カメラ・システム。ソニーのHDC-F950やHDC-1500などのHDカメラ2台を組み合わせたもの。
■IMAX(R)
カナダのIMAXコーポレーションが開発した大型映像システム。35mmフィルムの10倍以上の面積を持つ65mm15パーフォレーション(以下P)フィルムで撮影し、上映は音声トラック分5mm広い、70mm15Pフィルムにプリントして行う(実際の音声はプロジェクターと連動した3台6チャンネルのCDから再生している)。大型の平面スクリーンに上映するタイプの他、ドームスクリーンに投影するIMAX Dome(R)や、立体化したIMAX(R) 3D、そしてデジタル化したIMAX(R) DIGITAL プロジェクション・システムなどの方式がある。
■IMAX DMR(R)(digital re-mastering)
通常の映画館向けに制作された長編映画を、IMAXのジャイアント・スクリーン用に変換する技術。35mmフィルムを4K以上の解像度でスキャンニングし(CG作品やデジタル撮影された映画の場合は、直接デジタルデータから変換される)、デジタル・ブローアップ、フィルムグレインの消去、シャープネス、カラーコレクションなどのエンハンス処理を施して、65mm15Pのフィルムにレコーディングされる。最初からIMAXフィルムで撮影されたような非常に鮮明な画質で劇映画が観賞でき、米国のシネコンに併設されているIMAXシアターで人気がある。
これまでに、「ファンタジア2000」「美女と野獣」「スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃」「アポロ13」「ライオン・キング」「トレジャー・プラネット」「マトリックス・リローデッド」「マトリックス・レボリューションズ」「ポーラー・エクスプレス」「スパイダーマン2」「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」「チャーリーとチョコレート工場」「ロボッツ」「バットマン・ビギンズ」「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」「Vフォー・ヴェンデッタ」「ポセイドン」「スーパーマン・リターンズ」「アントブリー」「ハッピーフィート」「オープン・シーズン」「ナイトミュージアム」「300/スリーハンドレッド」「スパイダーマン3」「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」「トランスフォーマー」「ベオウルフ/呪われし勇者」「アイ・アム・レジェンド」「スパイダーウィックの謎」などがIMAX DMR版で公開された。今後も「スピード・レーサー」「ダークナイト」「ハリー・ポッターと謎のプリンス」「ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト」「カンフー・パンダ」「Monsters vs. Aliens」「How to Train Your Dragon」「Shrek Goes Forth」などの上映が予定されている。
■2D→3D変換
普通に平面で撮影された映像を立体映像に変換すること。日本では、自動処理で行う方法が主流であるが、立体感が不足していたり不自然になる場合が少なくない。一方米国では、新作映画並の予算と手間をかけて、丁寧な手作業で行う方法が一般的である。
実写作品では「スター・ウォーズ」の変換作業を行っているインスリー(In-Three)社での手法を例に取ると、(1)オリジナルのフィルムを元に、奥行きを設定したデプス・ストーリーボードを作成。(2)各映像のレイヤーを分解。(3)見た目で3Dのジオメトリーをモデリング、もしくはペイントによるデプスマップを作成し、オリジナルの映像をテクスチャマッピング。(4)左右の視差を与えて、映像の欠けた部分をペイントで修正…というものである。被写界深度によるピントのボケた個所は、他のショットから焦点の合った映像を移植してきたり、そっくり別の映像に置き換えたりという方法で対応している。
またCG作品では「ルイスと未来泥棒」を担当したデジタル・ドメイン社の方法は、(1)ディズニーから受け取ったレンダリング済みの画像を左目用とする。(2)ジメオメトリーデータから視差をずらした右目画像(テクスチャやライティングは施されていない)を作成。(3)その右目画像に左目画像をプロジェクション・マッピングする。(4)視差の分だけ生じたギャップを、手作業によるペイント処理で修正するというものである。