用語集 : 第三の革命 立体3D映画の時代

コラム:第三の革命 立体3D映画の時代 - 第4回

2008年4月30日更新

第4回:用語集

全4回でお届けする「第三の革命 立体3D映画の時代」。最終回となる今回は、立体映画を知るために役立つ用語集をお届けする。

[映画館における立体上映システム]

■アナグリフ方式

古典的な赤青眼鏡による立体視の方式。1853年に発明され、映画用としても1922年から用いられてきた。最近でも、「スパイキッズ3-D:ゲームオーバー」(03年)や「シャークボーイ&マグマガール3-D」(05年)、「超立体映画 ゾンビ3D」(06年)に使用されていた。最大の利点は、劇場のプロジェクターやスクリーンに特別な改造を必要としないことである。また眼鏡も非常に安価だ。そのため短期間しか公開しない作品に向いている。

■ColorCode 3-D(TM)方式

アナグリフ方式は、映像の色彩が失われてしまうという大きな欠点を持っている。そのため、濃い青と薄いアンバーの眼鏡を使用して、元の色を少しでも表現しようした方式。一時期、大型映像作品などに用いられたが、根本的な解決には至っていないため最近は見かけなくなった。

■パッシブ・ステレオ方式

光は電磁波であり、自然の光は進行方向と垂直のあらゆる方向に振動している。だが、偏光フィルターを用いることで、特定の方向に振動する光のみ通過させることが出来る。この原理を、左右の画像の分離に応用するのがパッシブ・ステレオである。

映像のカラーは正確に再現され、眼鏡のコストも安く済む。しかし通常は、プロジェクターを2台必要とする上(特殊なプリズムを用いて、1台で映写する方法もある)、スクリーンも偏光性を維持するため指向性の高いシルバースクリーンに張り替える必要がある。テーマパークのように、常時立体映画を上映している劇場ならともかく、一般の映画館での導入は難しい(現在IMAX(R) 3Dシアターに用いられている方式は、全てこのパッシブ・ステレオである)。

■直線偏光

電場の振動方向が常に一定な偏光を直線偏光と言い、90度異なる偏光方向のフィルターを使って左右の像の分離を行う。テーマパークやIMAX 3Dシアターなどに広く用いられているが、観客が首を少しで傾けると映像がズレて立体視できなくなってしまうため、常に頭を垂直にしておかねばならず、首の筋肉の疲労度が大きいという問題がある。

■円偏光

電場の振動が進行方向に沿って螺旋状に伝播していくタイプの偏光を円偏光と言う。その回転方向によって、右回り偏光と左回り偏光があり、この違いによって左右の像の分離を行う。Real D(TM) 方式の劇場に用いられており、首の角度に関係しないので、疲労度が驚くほど軽減される。

■アクティブ・ステレオ方式

時分割方式とも呼ばれる。左右の画像を交互に表示するプロジェクターやモニターに、同期するシャッター式眼鏡をかけて鑑賞する。つまり、左の画が映写されている時は右の目を隠し、右の画が映写されている時は左の目を隠すという仕組み。

原理的には古くからあり、1922年にはモーターでシャッターを回転させる方式の劇場がニューヨークに作られている。だが本格的に普及したのは、1980年代に液晶を左右交互に点滅させる電子式シャッター眼鏡が登場してからである。かつてVHDビデオディスク(点滅周波数60Hz)に採用された他、すでに閉館した新宿の東京IMAXシアター(点滅周波数96Hz)などで使用された。

色彩に影響がなく、スクリーンの材質に影響されないという利点があるが、点滅周波数が低いとフリッカを発生させるという問題がある。また、眼鏡を電子制御させる必要があるためコストも大きい。現在、劇場で用いられている製品に、MacNaughton社製のワイヤレス式液晶シャッター眼鏡NuVision 60GXがある。これは点滅周波数を120Hzに上げることで、フリッカの問題を払拭させており、ドイツでは一部の劇場で「ルイスと未来泥棒」の上映に使用された。

■Real D(TM) 方式

Zスクリーン Zスクリーン

アクティブ・ステレオとパッシブ・ステレオの利点を組み合わせた、デジタル・プロジェクター専用の方式。点滅周波数を144Hz(同じフレームを左右交互に3回ずつ映写)に上げて、フリッカを完全に除去している。

そして、Zスクリーンと呼ばれる特殊な液晶パネルに映像を通過させることで、アクティブ・ステレオがパッシブ・ステレオに変換される。このため、観客は安価で軽量の偏光眼鏡で鑑賞可能になる。この眼鏡には円偏光が採用されているため、首を傾けても左右の像がズレることが無い。さらに、ゴーストバスターという技術で高コントラスト時に発生するクロストークを抑えている。劇場のスクリーンは、シルバースクリーンに貼り替える必要がある。

■Infitec方式

分光フィルターを使用して光を波長別にいくつかのグループに分け、交互に左右の目に振り分けて立体視する方式。現在実用化されているシステムは、6バンド(Rの高低、Gの高低、Bの高低)に分光するもの。スクリーンの材質や平面性に依存しないので、通常のホワイトスクリーンや、プラネタリウムのドームスクリーンでもそのまま使用出来る。分光フィルターの製造に手間がかかるため、眼鏡の単価が非常に高いのが欠点。ドイツのダイムラー・クライスラー研究所で考案され、その後独立したInfitec社で開発が進められた。

■ドルビー3D方式

従来のInfitic方式では、プロジェクターを2台必要とすることが欠点だった。米ドルビー研究所は、Infitecフィルターを貼ったホイールをモーターで回転させ、デジタル・プロジェクターによるアクティブ・ステレオ(点滅周波数144Hz)と組み合わせることで、1台での立体上映を可能にした。

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[筆者紹介]

大口孝之

大口孝之(おおぐち・たかゆき)。立体映画研究家。59年岐阜市生まれ。日本初のCGプロダクションJCGLのディレクター、世界初のフルカラードーム3D映像「ユニバース2~太陽の響~」のヘッドデザイナーなどを経てフリー。NHKスペシャル「生命・40億年はるかな旅」のCGでエミー賞受賞。「映画テレビ技術」等に執筆。代表的著作「コンピュータ・グラフィックスの歴史」(フィルムアート社)。

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