コラム:編集長コラム 映画は当たってナンボ - 第33回
2009年2月2日更新
第33回:今年はハリウッド映画のビッグ・イヤー。で、主要な作品は?
08年の映画興行成績がまとまった。映連の発表によると、邦画が1158億5900万円で、前年比22.4%増、洋画は789億7700万円で前年比23.9%減。構成比では、59.5%対40.5%で邦画が多い。
いわゆる、「邦画の好調」が浮き彫りになった格好だが、邦・洋合わせた総興収1948億3600万円は、前年比で0.8%減とほぼ横ばい。
しかし、09年はちょっと違った年になるかも知れない。ハリウッドのメジャースタジオ各社に、大ヒットが見込まれる作品がゴロゴロ転がっているのである。そこで、そのハリウッドメジャーのラインナップから、興収20億円以上稼げそうなものをスタジオ別にリストアップしてみることにした。なかでも、50億円以上も狙える重点戦略作品には、★印をつけてみた。
ソニー・ピクチャーズ
★「天使と悪魔」・・・「ダ・ヴィンチ・コード」シリーズ第2弾。舞台はバチカン
★「ターミネーター4」・・・ご存知、大ヒットシリーズの最新作。マックGが監督
「007/慰めの報酬」・・・公開中。20億円は十分に狙えるスタートを切っている
「2012」・・・ローランド・エメリッヒ監督のディザスター・ムービー
ディズニー
★「カールじいさんの空飛ぶ家」・・・ピクサー最新作。10年正月映画
「ウォーリー」・・・公開中。興収40億円超え、09年正月映画の稼ぎ頭
「ボルト」・・・8月1日公開。声優にジョン・トラボルタ
20世紀フォックス
★「アバター」・・・「タイタニック」のジェームズ・キャメロン監督の3D超大作
★「ナイト・ミュージアム2」・・・1作目は35.7億円。今度はスミソニアン博物館
「地球が静止する日」・・・現在公開中。内容はともかく、興収20億円以上は確実
「オーストラリア」・・・バズ・ラーマン監督、ニコール・キッドマン主演
「DRAGONBALL EVOLUTION」・・・否定的意見が圧倒的ながら、それなりにヒットする?
パラマウント
★「トランスフォーマー2」・・・1作目は40億円。今度は50億円を超えたい
「ウォッチメン」・・・「300」の監督による、名作グラフィック・ノベルの映画化
「マダガスカル2」・・・ドリームワークスアニメのヒット作。1作目は22.5億円
「スタートレック」・・・J・J・エイブラムス監督によって新たに蘇る、往年の名作
ユニバーサル(東宝東和)
「マンマ・ミーア」・・・大ヒットミュージカルの映画化。現在公開中。
「ワルキューレ」・・・トム・クルーズ最新作。トムは隻眼のドイツ人将校を演じる
「パブリック・エネミーズ」・・・ジョニー・デップ主演作。監督はマイケル・マン
「イングロリアス・バスターズ」・・・タランティーノ監督最新作。主演はブラピ
ワーナー映画
★「ハリー・ポッターと謎のプリンス」・・・09年ナンバーワンヒット作はこれ
「ベンジャミン・バトン/数奇な人生」・・・オスカー銘柄ではもっとも興行しそう
「グラン・トリノ」・・・クリント・イーストウッド監督・主演作。GW公開
「シャーロック・ホームズ」・・・世界一有名な探偵の物語。ガイ・リッチーが監督
その他
★「レッド・クリフ PartII」・・・4月公開。アジア映画No.1成績の更新狙う
08年、興収50億円を超えた洋画はわずか2本だった。2000年から、国内の映画の成績は、配給収入でなく興行収入で発表されるようになったが、洋画の総興収はそれ以降では最低を記録したそうだ。
今年は、上記の★印の中から5本以上は50億円超え作品が出るのではないかと期待している。ハリウッドにとってのビッグイヤーとなるのは間違いないところだが、年間の総興収をもドーンと押し上げるぐらいの力強い興行を期待したいところだ。(eiga.com編集長・駒井尚文)
筆者紹介
駒井尚文(こまいなおふみ)。1962年青森県生まれ。東京外国語大学ロシヤ語学科中退。映画宣伝マンを経て、97年にガイエ(旧デジタルプラス)を設立。以後映画関連のWebサイトを製作したり、映画情報を発信したりが生業となる。98年に映画.comを立ち上げ、後に法人化。現在まで編集長を務める。
Twitter:@komainaofumi