「流浪の月」撮影監督は「パラサイト」のホン・ギョンピョ、美術監督は種田陽平! コメント独占入手

2021年8月13日 08:00

種田陽平(左)、ホン・ギョンピョ(右)
種田陽平(左)、ホン・ギョンピョ(右)

広瀬すず松坂桃李が主演、「悪人」「怒り」の李相日が監督・脚本を務める映画「流浪の月」(2022年公開)のスタッフが判明し、撮影監督を「バーニング 劇場版」「パラサイト 半地下の家族」のホン・ギョンピョ、美術監督を種田陽平が務めていることがわかった。映画.comでは、両名のコメントを独占入手した。

凪良ゆう氏の原作は、2020年の本屋大賞を受賞し、同年の年間ベストセラー1位(日販単行本フィクション部門、トーハン単行本文芸書部門)に輝いた傑作小説。9歳のときに誘拐事件の“被害女児”となり、広く世間に名前を知られることになった女性・家内更紗と、その事件の“加害者”とされた当時19歳の大学生・佐伯文――いつまでも消えない“被害女児”と“加害者”という烙印、そして事件の契機となったそれぞれの秘密を抱えたまま、2人が15年後に再会を果たすさまを描いている。映画では、広瀬が家内更紗、松坂が佐伯文を演じている。

画像2

雨の夕方の公園で、びしょ濡れの9歳の家内更紗に傘をさしかけてくれたのは、19歳の大学生・佐伯文だった。引き取られている伯母の家に帰りたがらない更紗の意を汲み、部屋に入れてくれた文のもとで、更紗はそのまま2カ月を過ごすことになる。が、やがて文が更紗の誘拐罪で逮捕されてしまう。それから15年後。「傷物にされた被害女児」とその「加害者」という烙印を背負ったまま、更紗と文は再会する。

ホン・ギョンピョ
ホン・ギョンピョ

日本作品に初参加となったホン・ギョンピョは、韓国を代表する撮影監督。ウォン・カーウァイ作品の撮影監督として知られるクリストファー・ドイルのもとで経験を積み、「ハウドゥン(夏雨燈)」(キム・シオン監督)で撮影監督デビューを果たす。ポン・ジュノ監督とは「母なる証明」「スノーピアサー」でもタッグを組んでいる。主な作品には「反則王」(キム・ジウン監督)、「海にかかる霧」(シム・ソンボ監督)、「哭声 コクソン」(ナ・ホンジン監督)などがある。

今回の発表に伴い、6つの質問に応じてくれている。


▼李監督からオファーを受けた際の感想

日本にも素晴らしい撮影監督は多いのに、なぜ私にオファーをしたのか。少し驚きましたが、気持ちが高鳴り興奮しました。そして同時に緊張もしました。


▼参加の決め手

李相日監督の「怒り」がとても印象的でした。

その後「パラサイト」の撮影現場に見学に来た李相日監督とお会いした時、「怒り」というパワフルな映画をこのような柔らかく優しい方が作ったことが、新鮮に感じました。その時の気持ちが「流浪の月」に参加する決め手に影響を及ぼしていると思います。

また、個人的に日本で日本映画を撮る挑戦をしてみたいとも思っていました。


▼脚本の感想

まずは、原作を読みました。感性的な内容で、単純な男女の愛を超えた、社会の概念を超えたストーリーにとても興味を持ちました。

現代人の辛さ、疎外感、断絶、疎通を描いており、社会に適応できない男女がお互いに救いを求めるストーリーですが、シナリオはこのような原作の内容を生かしつつ、キャラクターを中心にうまく解釈しています。また、映画的な要素を効果的に利用し、クオリティーの高いシナリオだったのでとても驚きました。


▼これまでの李監督作品について

彼の映画からは力を感じます。

李相日監督はいつもアウトサイダーたちを描いていますが、私もアウトサイダーを描く韓国人の監督たちとよく仕事しているので、このようなストーリーは好きです。

個人の内面と家族の関係を社会的な様々な問題や社会の不条理をキャラクターを利用してうまく描く監督だと思います。


▼実際に映画の準備を始めてみた感想。李監督の印象について

コロナなどの問題のため合流が遅れてしまい、時間がありませんでした。

普段、映画を準備する時は、ロケハン時に写真をたくさん撮ってイメージを作り上げていくスタイルなのですが、今回はその作業に時間をかけることができませんでした。

今は李相日監督との話し合いを通してイメージを具体化していく過程ですが、限界と時間不足という問題をうまく乗り越えようと思っています。


▼作品にかける意気込み

今回の作品ではキャラクターの感情を色で表現しようと思っていますが、現時点ではそのイメージがとても断片的でしかありません。しかし、映画作りというのは今回の作品だけではなく毎回大きな問題と限界にぶち当たります。

どの映画も時間、環境、製作費などの問題に直面し、そのたびに限界を克服するために努力します。そして限界を克服した瞬間にいい作品が生まれると信じています。

今回の作品でもその努力をするつもりですし、この作品で日本の観客の感情を揺さぶることができるいい映画を作れたらなと思っています。


種田陽平
種田陽平

種田は、日本、中国、台湾、アメリカ映画と世界的に活動している美術監督。「スワロウテイル」(岩井俊二監督)、「不夜城」( リー・チーガイ監督)、「THE 有頂天ホテル」(三谷幸喜監督)、「フラガール」(李相日監督)、「ザ・マジックアワー」 (三谷幸喜監督)、「悪人」(李相日監督)、「ヴィヨンの妻 桜桃とタンポポ」(根岸吉太郎監督)で知られ、クエンティン・タランティーノ監督の支持を得て「キル・ビル」「キル・ビル Vol.2」「ヘイトフル・エイト」に参加。近作には、スタジオジブリ作品「思い出のマーニー」(米林宏昌監督)、「三度目の殺人」(是枝裕和監督)、「マンハント」(ジョン・ウー監督)、「アースクエイクバード」(ウォッシュ・ウエストモアランド監督)などがある。

今回は、以下の項目について、自らの意見を述べてくれた。


▼オファーを受けた際の感想/参加の決め手

李さんとは随分長い付き合いですが、最近の作品は一緒に仕事できていなかったので今回はなんとかお役に立ちたいと思いました。「悪人」依頼、11年ぶりの映画なので大変嬉しいです。


▼脚本の感想

原作には風、脚本には水を感じました。更紗と文が李監督によって、魚のように生き生きとその世界で泳ぎ始めるように思います。


▼李監督について

李監督は人間を見つめ、同時に人間を取り巻く環境を深く考えていると思います。つまり、なぜ、どうしてこうした人間が出来上がったのか、彼らはどうしてこう行動せざるをえなかったのか、と。

そこから絞り出されるものが、李さんの映画なのだと思います。

演者も背景も李さんの濃いエキスによってでき上がっている。

出汁がしっかり効いている世界観が李作品の特徴です。

しかし、李さん本人は爽やかな印象を与える人で、そのギャップがまた、人間的魅力になっていると思います。


▼作品にかける意気込み

今回は韓国から撮影監督としてホンさんが初参加します。李監督とホンさんが韓国語で会話している姿を見ているだけで、これは見たこともない映画ができるぞと、ワクワクしています。

一緒に美術を担当する北川深幸さんともやはり長い付き合いですが、彼女も李組初参加。普段、ミュンヘンに暮らしドイツ映画に参加しているので、ホンさん同様、国際的な視点のあるタッグになるのではないでしょうか。

照明の中村裕樹さんとは、「スワロウテイル」等を一緒に手がけてきた仲間です。中村さんのつくり出す光が日常を非日常に変えてくれると思います。

役者さんも、スタッフも、どんな味わいの作品に仕上がるのか正直、予想もつきません(笑)。とても楽しみです。

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