自分の演技や出演作にダメ出しした俳優37人【後編】
2023年7月31日 11:00
人生に後悔は付き物。ギャラのために引き受けた不用意な役であろうと、期待通りにならなかった情熱的な作品であろうと、進化する社会政治的な情勢によりバッシングにあった映画であろうと、あるいは単に良い映画での悪い演技であろうと、ハリウッドの大スターにも失敗はある。
最新作のプロモーションの時はほめちぎっても、年月が経つにつれて、映画に対する本音を漏らすのはよくあること。米IndieWireが2017年からアップデートを重ねてきた、自分の演技や出演作への後悔やダメ出しを語った俳優37人を前・後編で紹介する。後編では17人をチェック。
大作からインディペンデント映画まで引っ張りだこのファレルは、マイケル・マン監督の「マイアミ・バイス」は「あまり好きじゃない」。理由はスローで親近感が持てないからとのこと。
コミックファンや映画批評家たちからズタズタにされた同作。クルーニーは「よい演技をするのが難しい映画だった」とコメント。
「今になって振り返ると、ひどい映画だし、自分の演技もダメだった」と認めるほど。「アキバ・ゴールズマン、彼はその後アカデミー賞脚本賞を受賞したけれど、彼が脚本を書いたんだ。ひどい脚本だと彼は言うだろう。私が見てもひどいと思う。亡くなったジョエル・シューマッカーが監督したんだけど、彼は『ああ、うまくいかなかった』って言うんだ。みんなが失敗したんだ」。
ジョン・フランケンハイマー監督「レインディア・ゲーム」は、シャーリーズ・セロンとベン・アフレック共演の犯罪スリラー。製作費4500万ドルを回収できなかった残念な出来栄えで、セロンも「ダメで、ダメで、ダメな映画」と強調しまくり。
ジェイソン・ボーン・シリーズの中でも評判の良い作品だが、主演のデイモンにとっては苦い思い出も。
「大金を手にしたトニーを責めるつもりはない」と原案・脚本のトニー・ギルロイを名指し。「読めたものじゃなかった。キャリアが台無しだ。本がeBayに出品されたら、あの男はゲームオーバーだ。ひどい話だ。本当に恥ずかしい。彼はお金を持って出て行ったんだ」と語った。
M・ナイト・シャマランが、米TVアニメ「アバター 伝説の少年アン」を実写映画化したこの作品も、ハリウッドのホワイトウォッシングの批判を受けた。「スラムドッグ$ミリオネア」で一躍有名になったパテルにとって、「自分が何を演じるのが怖いか、それはスタジオの大作映画だ」というほどの“トラウマ体験”に。
「完全に圧倒された気分だった。自分の声が届いていないように感じたんだ。それは僕にとって本当に怖いことで、その時に“ノー ”の力、“ノー ”と言うということを学んだんだ」
評判が芳しくなかった本作において、アイアンズがブルース・ウェインの執事アルフレッドを演じたことはプラスの要素のひとつだった。しかし、彼はこの超大作がいかに不発だったかを見抜いていた。
「そうだろうね。8億ドルを稼いだのだから、アクションは問題なかったのだろうが、詰め込みすぎというか……とてもごちゃごちゃしていた」
「出演を決めたのは、週末に家に帰るからだった。脚本が良かったからでは決してない」と本音を語ったグード。「自分自身に失望したか? いいや。ダメな仕事だった? そうだね。でも、楽しかったし、お金ももらえたしね」。
「私好みの映画ではないわ」とサリー・フィールド。「でも、友人のローラ・ジスキンがプロデューサーで、彼女の遺作になることは分かっていたし、彼女は私の最初のプロデュース・パートナーで、素晴らしい人間だった。その中で立体的なキャラクターを見つけるのは本当に大変で、できる限り努力するんだけど、5ポンドの袋に10ポンドのクソを入れることはできないわ」とメイおばさんの裏事情を明かした。
「ハリー・ポッター」シリーズ全8作の内第6作にあたるこの作品は、ラドクリフにとって「僕の演技が良くないから嫌いだし、見るのがつらい」とか。「僕の演技はとても一本調子だし、自己満足に陥って、やろうとしていたことが伝わらなかったのがわかるんだ」。
マイケル・ケインが一躍有名になった「アルフィー」のリメイク版だが、興行的に成功とはいえず。ロウも「自分が望んでいたような作品にはならなかった」と認めている。
しかし、「クリエイティブな旅に出る理由のひとつは、時に失敗することなんだ。それは時に勝利につながることもある」ととっても前向き。
歴史的大ヒット作でオスカー女優となったウィンスレットだが、「どのシーンも、『本当に、本当に?そんな風にやったの?』って感じで、私のアメリカなまりなんて聞けたものじゃない」と「タイタニック(3D版)」公開時にコメント。「今はだいぶマシになってるといいけど。ひどい自己満足に聞こえるけど、俳優って自己批判する傾向があると思う。私は自分の演技を見るのが苦手なんだけど、『タイタニック』を見て、"ああ、またやりたい "って思った」と語った。
同作で大ブレイクしたフォックスだが、「私の演技はひどかった」と自責。「私にとっては初めての本格的な映画だったから、正直さも現実味も感じられない。悪い映画じゃないけど、自分の演技は誇れない。経験豊富なベテラン俳優でない限り、マイケル・ベイと仕事しても演技の経験は積めないわね」と監督についてもチクリ。
敬虔なカトリック教徒であるウォールバーグは、米シカゴのUICパビリオンでブラゼ・クピッチ枢機卿に、ポール・トーマス・アンダーソン監督の「ブギーナイツ」が最も後悔している映画のひとつであることを告白した。
「神様が映画ファンで、寛容であることをいつも願っている。過去にいくつか浅はかな選択をしてしまい、最初に挙げるとしたら『ブギーナイツ』に他ならない」
ジェームズ・フランコの出演作は当たり外れが多いが、デビッド・ゴードン・グリーン監督の同作は大外れと言えるだろう。フランコはインタビューで「あの映画はクソだ」と言い放ち、「あの映画は克服できないね」と不満いっぱいだ。
「ドクトル・ジバゴ」や「アラビアのロレンス」といった名作中の名作に出演してきたギネスが、ベン・ケノービ役で一度だけ出演した同作が、彼のキャリアに残した大きな足跡に深く悩まされていたのは事実。2003年に出版した自伝の中で控えめに、「再編集された『スター・ウォーズ』がそこかしこで上映されているが、私はどの銀河系も再訪するつもりはない」とつづっている。
「『スター・ウォーズ』の話が出るたびに、私は心の中で萎縮する。20年前、この映画が初めて上映されたとき、この映画には新鮮さがあり、道徳的な良さや楽しさも感じられた。そして、この映画の持つ影響力に不安を感じ始めた。私は、今慣れ親しんでいるそれなりに慎ましい方法で残りの人生を生きることができ、借金もなく、魅力的でない仕事を断る余裕もある、ということを書き残しておこう」
大ヒット映画「グリース」に続編は必要なく、ファイファーもそれを知っていたようだ。
「あの映画が大嫌いだし、信じられないくらいひどかった」と、いまやカルト映画として語り継がれる作品について語った。「当時、私は若くて、何が良いかもわかっていなかった」と結論付けた。
「フレンズ」でブレイクする前夜のアニストンにとって、このホラー・ファンタジーはとても恥ずかしい過去のようだ。
2019年のインタビューで、当時はとても興奮し、大ブレイクすると信じていたと告白。「8年くらい前に、馬鹿笑いしたくてジャスティン・セローと一緒に見たの。彼の手からリモコンを取り上げようとしたんだけど隠されてて。彼は『ダメダメ、これは実際に起こったことなんだから』って。私はソワソワしながら、部屋を出たり入ったりしてたわ」。
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