映画碁盤斬りを観てから気になっていた文七元結。八犬伝に出ていた寺島しのぶ(尾上菊五郎と富司純子の娘、弟は菊之助)が昨年10月にこの演目のお兼役で初めて歌舞伎座の舞台に上がった(長兵衛役は獅童)というニュースを聞いたこともあり、丁度、人情噺文七元結が月いちシネマ歌舞伎(松竹SMT)で上映していたので、初めて(お金を払って)歌舞伎を観ました。
スクリーンでの歌舞伎。メリットは歌舞伎座の安い席より断然よく見える。場面、場面の一番いいアングルでみせてくれる。
シネマ歌舞伎第6弾。2008年。山田洋次監督プロデュースの落語ネタ。
あれ、佐野槌が角海老になってる。圓朝の原作では角海老なんですね。
勉強になりました。
角海老は今でもほうぼうにあるので、なんか生々しくて、いけません。廓話だと圧倒的に佐野槌が多いんですけどね。
日本酒のCM(当時勘九郎)の◯◯山廃仕込が一番印象に残ってます。
もしかして亡くなった?あとで調べたら、2012年に食道がんでお亡くなりになっていました。
女郎屋の女主人の「お前さんだって泣いてるじゃないか」の場面。勘三郎の目から涙がちょろっと出ているのがドアップの映像で見えて、感激しました。勘三郎の芝居は古典的な歌舞伎らしくなくて、いい意味で庶民的。人気者でしたから、周りのオバサン、おばあさんの笑い声(もちろん自分も)や歌舞伎座の観客の笑いも臨場感があってよかった。
勘三郎の盟友坂東彌十郎が元結屋の主人。
女房お兼役の中村 扇雀が素晴らしい。ただ、さすがに生のお尻はみせません。寺島しのぶなら生のお尻いけそうですが。
中村芝のぶも17歳のお久を好演。
ただし、町娘にしては着物の裾からでてる素足が大きいのよぉ〜 男だから。
角海老女房お駒役の七代中村芝翫は台詞がしん朝の落語なんかとくらべるとスラスラっと聴こえなくて、抑揚に欠けるのがちょっと残念でしたが、人間国宝の芝翫もこの3年後に83歳で亡くなっているので、仕方ありませんね。なにより、勘三郎ととても若い息子勘九郎(文七)の大川べりのやり取りが落語では割とあっさり短いんだけど、山田洋次の演出で長く観られてよかったと思いました。四幕で84分。
女形が支える演目ともいえますね。
とても楽しかったです。