第74回カンヌ映画祭ラインナップ発表 コンペ24本、Netflix作品はゼロ カンヌ・プレミア部門が新設
2021年6月3日 22:50

7月6日から開催される第74回カンヌ映画祭のラインナップが6月3日(現地時間)に発表になった。コロナ禍で昨年は中止となったため、今年にスライドされた作品もあり、豪華な面子が並んだ。コンペティションは計24本。すでに発表になっていた、開幕を飾るレオス・カラックスの新作「Annette」、ウェス・アンダーソンの「ザ・フレンチ・ディスパッチ(原題)」、ポール・バーホーベンの「Benedetta」に加え、日本から濱口竜介の「ドライブ・マイ・カー」、またナンニ・モレッティ、ショーン・ペン、フランソワ・オゾン、アスガー・ファルハディ、ジャック・オディアール、アピチャッポン・ウィーラセタクンら常連が並んだ。ハンガリーのイルディコー・エニェディとフランスのミア・ハンセン=ラブはカンヌのコンペに初参加となる。若手では、「シノニムズ」のナダブ・ラピド、「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」のショーン・ベイカー、前作「Raw 少女のめざめ」でカンヌを震撼させたジュリア・デュクルノーの新作などが入っている。
その他、ある視点、アウト・オブ・コンペティション、ミッドナイト・スクリーニング、特別上映、といった例年の部門に加え、今年新設されたのがカンヌ・プレミア部門である。おもにカンヌでお馴染みの監督たちの新作を紹介するのが目的ということで、いわば「カンヌのお気に入り監督コーナー」と言えるかもしれない。8本のラインナップには、シャルロット・ゲンズブールが母ジェーン・バーキンをとらえた初監督ドキュメンタリー、オリバー・ストーンのJFKに関するドキュメンタリーのほか、アルノー・デプレシャン、マチュー・アマルリック、ホン・サンス、アンドレア・アーノルドらが揃った。
アウト・オブ・コンペで話題になりそうなのは、トッド・ヘインズによるベルベット・アンダーグラウンドのドキュメンタリーと、バレリー・ルメルシエがセリーヌ・ディオンを題材にした自作・自演の「Aline」あたりか。
審査員長は昨年決まっていたスパイク・リーが担当し、栄誉パルムドールはジョディ・フォスターに贈られる。審査員メンバーは追って発表されるほか、例年通りセレクションに作品が追加になる可能性もあるようだ。

全体的にはフランス映画が多く、昨年からのロックダウンによる未公開作ラッシュの影響、およびフランス映画産業を支えたいという映画祭の姿勢を感じさせる。またNetflix問題は今年も解決を見ず、「劇場公開されなければコンペティションに入れられない」という映画祭の方針と、「コンペ以外でなければ出す気はない」というNetflix側の姿勢が噛み合わず、1本も入選していない。
もっとも、ゲストや参加者にとって最大の関心事の1つは、コロナ対策がどうなるかということだろう。フランスでは6月30日にイベントに関する人数制限が解除になるが、世界中から人が集まる国際映画祭となると当然リスクが大きい。これに対して映画祭側は、正式なPCR検査をするテントを会場付近に設け、非ワクチン接種者には48時間ごとに検査を受ける義務を設ける。またすでにワクチンを打った者には「衛生パスポート」など、ワクチン接種が証明できるものを携帯することが求められるという。だが、より詳しい対策は政府やカンヌ市との調整のなかでこれから決まるようだ。昨年9月のベネチア国際映画祭の衛生管理が万全だっただけに、グラマラスなイベントを好むカンヌのしっかりとした衛生対策が望まれる。
いずれにしろ、昨年の開催中止を経た復活版の今年は、さまざまな点でリニューアルを見るメモリアルな年になりそうだ。(佐藤久理子)
「L’HISTOIRE DE MA FEMME(仏題)」イルディコー・エニェディ
「BENEDETTA(原題)」ポール・バーホーベン
「BERGMAN ISLAND(原題)」ミア・ハンセン=ラブ
「ドライブ・マイ・カー」濱口竜介
「FLAG DAY(原題)」ショーン・ペン
「HA'BERECH(原題)」ナダブ・ラピド
「HAUT ET FORT(原題)」ナビル・アユチ
「HYTTI NRO 6(原題)」ユホ・クオスマネン
「JULIE(原題)」ヨアキム・トリアー
「LA FRACTURE(原題)」カトリーヌ・コルシニ
「LES INTRANQUILLES(原題)」ヨアヒム・ラフォス
「LES OLYMPIADES(原題)」ジャック・オーディアール
「LINGUI(原題)」マハマト=サレ・ハルーン
「MEMORIA(原題)」アピチャッポン・ウィーラセタクン
「NITRAM(原題)」ジャスティン・カーゼル
「FRANCE(原題)」ブリュノ・デュモン
「PETROV’S FLU(原題)」キリル・セレブレニコフ
「RED ROCKET(原題)」ショーン・ベイカー
「ザ・フレンチ・ディスパッチ(原題)」ウェス・アンダーソン
「TITANE(原題)」ジュリア・デュクルノー
「TRE PIANI(原題)」ナンニ・モレッティ
「TOUT S’EST BIEN PASSE(原題)」フランソワ・オゾン
「UN HEROS(仏題)」アスガー・ファルハディ
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