TITANE チタン

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劇場公開日:

TITANE チタン

解説

「RAW 少女のめざめ」で鮮烈なデビューを飾ったフランスのジュリア・デュクルノー監督の長編第2作。頭にチタンを埋め込まれた主人公がたどる数奇な運命を描き、2021年・第74回カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールに輝いた。幼少時に交通事故に遭い、頭蓋骨にチタンプレートを埋め込まれたアレクシア。それ以来、彼女は車に対して異常なほどの執着心を抱き、危険な衝動に駆られるようになってしまう。自身の犯した罪により行き場を失ったアレクシアは、消防士ヴィンセントと出会う。ヴィンセントは10年前に息子が行方不明となり、現在はひとり孤独に暮らしていた。2人は奇妙な共同生活を始めるが、アレクシアの体には重大な秘密があった。ヴィンセント役に「ティエリー・トグルドーの憂鬱」のバンサン・ランドン。

2021年製作/108分/R15+/フランス・ベルギー合作
原題:Titane
配給:ギャガ
劇場公開日:2022年4月1日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第74回 カンヌ国際映画祭(2021年)

受賞

コンペティション部門
パルムドール ジュリア・デュクルノー

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コンペティション部門
出品作品 ジュリア・デュクルノー
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映画レビュー

4.5ジュリア・デュクルノー監督の前作をまだ見ていないので、これが同監督...

2022年6月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

ジュリア・デュクルノー監督の前作をまだ見ていないので、これが同監督作品の初鑑賞となった。なかなかすごい監督だ。世間では歪んだ欲望として切り捨てられてしまいそうなものを、堂々と描ける胆力があるようだ。欲望を人間にとって重要なものと捉えているように思うし、欲望のあり方は千差万別であり、その中には多くの人が眉をひそめるものもある、それでも欲望は大事だと言えるタイプの監督に見える。こういう監督が新しく出てきたことは大変に心強く思う。
チタンを頭に埋め込んだことをきっかけに車に執着する。車と性的に交わるというユニークなシチュエーションが描かれるのだけど、女性でそういう欲望が描かれるのはこれまで見たことなかった。たまに男性ではそういう人がいることがニュースになっているが、これを女性主人公で描いたのは画期的ではないだろうか。

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杉本穂高

4.5深読みなんて蹴散らすデタラメ上等の暴走パワー

2022年4月30日
PCから投稿

主人公の女性が持つ身体への違和感、マスキュリニティに振る舞わされる男のエゴなど、多層的なテーマに直結しそうな要素はいくつでも読み取れる。しかし、この映画の面白さは、そういった解釈だけでは手が届かないところにあるように思う。絶対に先読みできないでしょうという作り手に意外性競争に参加させられるような強引さはあるにせよ、「なんだこりゃ!?」を連発しまくるストーリーも映像もキャラクターたちの過剰な造形も、すべてがいちいち面白い。合う合わないはあるでしょうし、不快という人もいるでしょうが、このイカれた物語にこの音楽を乗せてくるのか!と唸らされるユーモアに満ちたセンスの良さも含めて、なんかわからんけど最後までどの料理も美味しかったです!と帰り際にシェフである監督にアタマを下げたくなるような、珍味のフルコースみたいな快作でした。

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村山章

4.5グロを通り越した先に皮肉とユーモアが

2022年4月12日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:試写会

笑える

怖い

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清藤秀人

4.5幼い頃の事故から車と恋に落ちた女性の狂気的な行方が、ある出会いでより想定外になっていく不思議な映画

2022年4月1日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:試写会

第74回カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールに輝いた作品と知った上で本作を見ると驚く人が多いかもしれない。序盤のイメージは妖艶ながらも、恐ろしくて痛いシーンが続き、見る側は早い段階で予想を裏切られたような気分になり、展開も含めて謎だらけで、最後まで見届けるしかない映画でもある。風変わりな作品のため、怪作が苦手な人なら途中で退席してしまうかもしれない。
父親が運転する車の後部座席で、エンジンの音に合わせて唸る少女(アレクシア)の冒頭シーンから、既に独特な雰囲気を醸し出していた。アレクシアは父親に注意されても止めようとしない。「彼女は車と会話でもしているのだろうか?」と感じた瞬間、交通事故に遭ってしまう。この序盤の少女の時のエピソードから、話はどんどんエスカレートしていく。
アレクシアは事故の治療で、頭蓋骨にチタンプレートを埋め込まれる。
この先の大人になってからのアレクシアについては、常識を軽々と超えるような展開になり、時には痛々しい描写もあり、本作を見る際には「目を背けない」という覚悟が必要になってくる。
とは言え、後半の孤独な高齢の消防士との奇妙な共同生活から何かが変わっていき、アレクシアの底力と生きることへの執着心が、見る側の心に突き刺さっていくと私は感じた。
ラストの結末も想像を絶するもので、これがカンヌ国際映画祭で最高賞を受賞するというのもカンヌの懐の深さのようなものを感じる。
恐らく見る者によって感想は全く異なるであろう衝撃作。私はこの独自性を評価したい。

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山田晶子
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