インフル病みのペトロフ家

劇場公開日:

インフル病みのペトロフ家

解説

「LETO レト」など映画監督としても注目を集めるロシア演劇界の鬼才キリル・セレブレンニコフが、ロシア文学界でセンセーションを巻き起こしたアレクセイ・サリニコフのベストセラー小説を映画化。2004年、ソ連崩壊後のロシア。大都市エカテリンブルグでインフルエンザが流行する中、ペトロフは高熱にうなされ、妄想と現実の間をさまよっていた。やがて彼の妄想は、まだ国がソビエトだった頃の幼少期の記憶へと回帰していく。ロシア社会への強烈な風刺を込めつつ、妄想と現実の境界が曖昧な原作の世界観そのままに、型破りな芸術的感性と刺激的なアクションを散りばめて描き出す。2021年・第74回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、フランス映画高等技術委員会賞を受賞。

2021年製作/146分/R15+/ロシア・フランス・スイス・ドイツ合作
原題:Petrov's Flu
配給:ムヴィオラ
劇場公開日:2022年4月23日

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(C)2020 - HYPE FILM - KINOPRIME - LOGICAL PICTURES - CHARADES PRODUCTIONS - RAZOR FILM - BORD CADRE FILMS - ARTE FRANCE CINEMA - ZDF

映画レビュー

4.0虚実入り乱れる「ソ連世界」と「現実のロシア」を行き来することが表しているロシアの混沌模様

2023年4月5日
iPhoneアプリから投稿

舞台は2004年のロシア。主人公はインフルエンザに罹ってしまい、思い出となった幻想的なソ連世界を行き来するといった映画である。ソ連世界と90年代を含めた現実のロシアが頻繁に入れ替わる為、今見ている世界はどちらなのか判別しづらくなってしまう。視聴者の認識を揺さぶる世界の行き来はまるで「インフルエンザになった時にみる夢」と形容されるような情景を追体験させるようだ。しかし、この混沌模様はソ連崩壊後の90年代~2000年代の新生ロシアをみごとに表している。

新生ロシアは社会主義のソ連とは対照的に資本主義としてスタートしたわけだが、経済の低迷に伴う国有企業の民営化によって誕生したオリガルヒやロシアマフィアが跋扈して力をつける様であった。この時期はロシアの人々にとって「暗黒時代」と言われてるぐらいに忌避される時代である一方で、文学に目を向けると「エロ・グロ・ナンセンス」をモチーフにしたソローキンの小説やソ連世界と現実世界を行き来する『チャパーエフと虚無』を書いたペレーヴィンの小説が人気を集めた。ペレーヴィンの小説ではドラックの描写と幻想世界にある狂気がたびたび出る。このような時代では法が形骸化しているといった印象が人々にはあったのだろう。つまり「力があればなんでもあり」といった世界である。一方でソ連世界はノスタルジーの世界である。そこでは暴力は現れず、均整の取れた社会が出てくる。これはソ連世界が「安定の時代」であったこと、少なくとも人々はそのように考えていると読み取れるのではないか。

訳の分からない映画という印象も受けるかもしれないが、この映画で描かれている世界が90年代と2000年代の現実である。そのように思い描くと混沌模様とそこにある狂気が何をメタファーとして機能しているのか面白く見れるだろう。

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シローキイ

3.0交錯する人達

2022年8月23日
Androidアプリから投稿

何だこれ?と思ったらちゃんと伏線回収してました 親子二代でイベント体調崩しがち 怪しい雪娘もそういうことですか! 100万分の1かもだったのに…
ただ時折裸族なのは何故でしょう 熱でラリってる子供の頃ありがちな感じ アメコミヒーロー風元奥さんのキレ方が可笑しかった

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ゆう

3.5完全に全員イカれてる。

2022年7月31日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館
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bloodtrail

3.0【インフルエンザに侵されたかの如く迷走する、現代ロシアを揶揄したかの如き”妄想と現実”が入り乱れたアーティスティックな作品。】

2022年7月16日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

難しい

ー 2004年のロシア。インフルエンザで朦朧とするペトロフ(セミョール・セルジン)は、混沌としたバスに乗っているが、突然覆面をした男からライフル銃を渡され、覆面の男の仲間と思しき連中と、引き出された来た金持ちや、政治家風の連中に、一斉射撃をする・・。-

◆感想<Caution 内容に触れています。>

・今作は、ストーリー性を求める人には、合わないと思う。

・見せられているシーンが、現実なのか、妄想なのかもハッキリしない。

・ペトロフの妻も、罹患しているのか包丁で、息子の喉を切り裂いたり、働く図書館で大男を殴り倒したり・・。

・画面はモノトーンに切り替わり、ペトロフの旧ソ連時代の少年時代の姿も映し出される。
ー 観ている方は、何が起こっているのだか分からないまま、観賞を続行する。-

・登場人物も、イキナリ全裸になっていたり(で、直ぐに服を着た状態に戻っている。)、時間軸と虚実は更に混迷の度合いを増して行く。

<演出家でもあり、ロシアに一時期自宅軟禁されたキリル・セレブレンニコフ監督の想いが、何となく伝わって来たような、来ないような・・。
 非常に難解な怪作であると思います。>

<2022年7月16日 刈谷日劇にて鑑賞>

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NOBU
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