長尺だけど見ておかなきゃ損! 年末年始におすすめしたい“3時間超え映画”
2018年12月28日 13:00

[映画.com ニュース] この映画、長尺すぎて結局見られていない…そんな経験はありませんか? 年末年始の長期休暇は、その挫折を乗り越えるためのチャンスです。“3時間超え映画”にフォーカスを当て、絶対に見ておいた方がいい5本を厳選してみましたので、ぜひチャレンジしてみてください!
社会規範に沿って生きられないはみだし人間を描かせたらピカイチのポール・トーマス・アンダーソンの出世作。自己啓発セミナーの伝道師、天才クイズ少年、警察官、死の間際のプロデューサー、看護士ら、年齢も性別も異なるが、それぞれが何かしらのトラウマを持つ10人のとある1日がフィリップ・シーモア・ホフマン、ジュリアン・ムーア、ジョン・C・ライリーら芸達者な俳優陣によって紡がれ、彼らの人生が偶然重なっていくタペストリーのような群像劇だ。特筆すべきは、トム・クルーズが熱演する、父親との確執を抱えた怪しげなセックス伝道師。「リスペクトザコック!」と雄叫びを上げ、「誘惑してねじ伏せろ」とパンツ1枚で信者にレクチャー。ハリウッドのスーパースターのイメージを裏切る、振り切った演技で新境地を見せている。あまりにも有名なラストは「偶然は必然、どうしようもない人生でも何が起こるかわからない、だから前向きに生きよう」と思わせてくれるような、シニカルではあるが愛と希望を謳う人間賛歌となっている。

公開から20年の歳月が経過しても色あせない“史実再現”へのこだわり
20世紀最大の海難事故となった豪華客船タイタニック号の悲劇を基に、ジェームズ・キャメロン監督が総製作費2億ドルという巨費を投じて描いたスペクタクル超大作。公開から既に約20年の歳月流れたが、“今”見てもその魅力は全く色あせていない。要因のひとつは、史実の徹底した再現。タイタニック号のセットは実寸大のものが建造され、模型と実写の合成など、その撮影手法も極力CGに頼らないものばかり。建設現場の巨大クレーンを利用し、近年導入されているドローンで撮影したかのような、圧巻の映像も生み出されている。リアルへの結実に対して、これほど“創意工夫”という言葉が相応しい作品はなかなかないだろう。パッケージの特典映像では、その撮影の裏側が確認できるので、本編と合わせて鑑賞するのがおすすめ。無論、レオナルド・ディカプリオとケイト・ウィンスレットが紡ぎ出す悲劇的なロマンスは、その結末が分かりきっていたとしても、やはり涙を流さずにはいられない。“泣き納め”“初泣き”にぴったりな1本だ。

元祖肉食系女子? ヒロインのタフな生き様に力をもらえる4時間
アカデミー賞の9部門受賞作、南北戦争時代を生きた伝説のヒロイン、スカーレット・オハラのドラマチックな人生を描く4時間。スカーレットは美ぼうと気高さと情熱を併せ持った南部貴族の令嬢として無数の男にモテまくるが、意中の男性アシュレーは、スカーレットへの思いを告げながらも、スカーレットとは正反対のおとなしいメラニーと結婚してしまう…。ここから、スカーレットの波乱万丈人生がスタート。腹いせに好きでもないメラニーの兄と結婚しすぐ未亡人に。敗戦後は、生きるためになんと妹の恋人を奪って再婚、そして再び未亡人に。開戦前から出会っていた同じににおいのするアウトロー、レット・バトラーと3度目の結婚をするが、平穏な家庭生活は長く続かず、激しい愛憎劇を繰り広げる…。恋愛面では肉食系の走りのような、同性の共感を集められないエゴイストだが、戦争の愚かさを目の当たりにして生に執着、戦後は材木店経営で手腕を発揮、夫に捨てられても名ゼリフを残して前向きに全身全霊で生きるスカーレットのタフな姿に、21世紀を生きる我々も力をもらえる1作だ。

1万人から選ばれた33人が“成島学校”で何を学んだか?
宮部みゆき氏のミステリー巨編を成島出監督のメガホンで映画化した「ソロモンの偽証 前篇・事件」「ソロモンの偽証 後篇・裁判」。最大の見どころは、全国1万人が参加したオーディションから選抜された33人の中学生キャストたちの、どこまでも初々しく濁りのない眼差しに尽きる。役名をそのまま芸名とした藤野涼子はもとより、板垣瑞生、石井杏奈、清水尋也、富田望生、前田航基、望月歩ら、将来の日本映画界を背負って立つ人材が勢ぞろい。劇場公開から3年半近く……、撮影時には服装や髪型にまで容赦ないダメ出しが入ったと聞く。現在、芸能界の一線で活躍する彼らが、業界内では厳しい演出・指導で知られる“成島学校”によっていかに鍛え抜かれていったのか、“目撃者”として固唾をのんで見守る作品といえよう。なかでも出演シーンこそ多くないが望月、殺人の嫌疑をかけられた問題児に扮した清水の佇まいは、特筆すべきと加えておく。

“濱口メソッド”に酔いしれる――演技未経験の女性たちが世界に認められるまでの軌跡
第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門ノミネート作「寝ても覚めても」の濱口竜介監督が、2015年に発表した大作。第68回ロカルノ国際映画祭では、主人公の女性4人を演じた女優陣が最優秀女優賞をそろって獲得したが、彼女たちはもともと演技未経験。始点となった「即興演技ワークショップ in Kobe」の参加者たちが“カメラの前で演じること”へどのように意識を傾けていったのか――演じるキャラクターとしてのインタビュー、過去や現在進行している“事態”を示すために使用されたサブテキストなど、「寝ても覚めても」主演の東出昌大らにも発揮された“濱口メソッド”には舌を巻くばかり。平穏な時の流れへ瞬間的にひずみを発生させ、気の緩みを正させるようなストーリーテリングの妙はもとより、輝きを増していく人物の表情、美しい声に酔いしれ、長大な時間はあっという間に過ぎ去っていく。“濱口メソッド”の一端は「カメラの前で演じること 映画『ハッピーアワー』テキスト集成」(左右社刊)に収められているので、鑑賞後は是非ご一読を。
そのほか、主な“3時間超え映画”は以下の通り。
「山猫」187分
「グリーンマイル」188分
「ショート・カッツ」189分
「スパルタカス」190分
「ライトスタッフ」193分
「シンドラーのリスト」195分
「地獄の黙示録 特別完全版」203分
「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」205分
「七人の侍」207分
「EUREKA ユリイカ」217分
「ベン・ハー(1959)」222分
「アラビアのロレンス」227分
「クー嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件」236分
「愛のむきだし」237分
「ヘヴンズ ストーリー」278分
「あゝ、荒野」(前篇&後篇)304分
「ファニーとアレクサンデル」311分
「アンダーグラウンド(1995)」(完全版)314分
「1900年」316分
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