ライトスタッフ

ALLTIME BEST

劇場公開日:

解説

トム・ウルフによる同名ベストセラー・ノンフィクションを、フィリップ・カウフマン監督が映画化した群像ドラマ。59年から63年にかけて実施されたマーキュリー計画(アメリカ初の有人宇宙飛行計画)の飛行士に選ばれた7人の男たちの友情や苦悩と、47年に人類で初めて音速の壁を破った孤高の戦闘機パイロット、チャック・イェーガーの生き方が対照的に描かれる。出演はサム・シェパード、スコット・グレン、エド・ハリス、デニス・クエイドほか。

1983年製作/193分/G/アメリカ
原題:The Right Stuff
配給:ワーナー・ブラザース映画

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第8回 日本アカデミー賞(1985年)

ノミネート

外国作品賞  

第41回 ゴールデングローブ賞(1984年)

ノミネート

最優秀作品賞(ドラマ)  
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映画レビュー

4.5「ドリーム」と併せて観ておきたい一本!

2017年9月27日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

完全版だと200分近い上映時間となるこの歴史的な偉業を描いた超大作。単なるアメリカ万歳ではなく、人類初の宇宙飛行士となるべくしのぎを削った7人の姿を描くと同時に、冒頭やクライマックスのかなりの部分を“そこには加わらなかったもう一人の男”を描き出すために力を注ぐ。宇宙ではなく、あくまで地球上で音速の壁に挑戦し続ける彼、イエガーの存在感が、何か言いようのない余韻を残し、本作を唯一無二のものへと至らしめているのは言うまでもない。この部分に香る、”最後のカウボーイ”ともいうべき郷愁は、本作が伝統的なアメリカ映画の系譜を継ぐものであることの証でもある思う。

ちなみにこの宇宙開発の歴史の流れはちょうど『ドリーム』とも重なるし、“これまで陽の目を浴びなかった者たち”に光をあてるというテーマ性も共通するものがある。両作を併せて観ることで、この時代をめぐる光と影を多角的に深く理解することにつながるはずだ。

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牛津厚信

3.0宇宙競争は、血を吐きながら続ける悲しいマラソンですよ…。 映画で学べる宇宙開発史。

2023年2月19日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

知的

寝られる

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たなかなかなか

5.0ライトスタッフというタイトルに考えさせられる傑作ドラマ!!

2023年2月14日
スマートフォンから投稿

アメリカとソ連の宇宙開発競争が激化する'40~'50年代を背景にアメリカ空軍の戦闘機開発に従事したテストパイロットと有人宇宙飛行計画"マーキュリー計画"に従事した、7人の宇宙飛行士の生きざまを描く実話ベースで見応え満点の傑作ドラマです

名優達の演技は当たり前のこと、全編に渡っての映像・構図が素晴らしい
前半に描かれるサム・シェパードさん演じるチャックイエーガーが戦闘機でマッハを越えていくところは腹の底までずっしりと響く重低音、そして耳をつんざく戦闘機のド迫力映像ですごいです
昨年 多くの人が「トップガン:マーヴェリック」の戦闘機でのライブ映像に驚き感動したのが記憶に新しいですが、40年ぐらい前の作品でひけをとらない迫力が味わえるところが感動ものです
だからトム・クルーズさんもライブにこだわったんだなと納得しました

さらに音楽もすごく良くて印象的
作曲は「ロッキー」シリーズで映画史上に残る名曲を残すビル・コンティさんのもの、全編に渡って心に染み入るいい音楽が流れます

"ライトスタッフ"、日本語で言うと"正しい資質"や"適任"という意味ですが、劇中 以下に記するいろんな人々が登場しこのタイトルの意味を考えさせられました
・チャック・イェーガーは人類初の音速に達した優秀なテストパイロットなのに大卒じゃないというだけで宇宙飛行士の候補にもならなかった、って正しい判断?
・宇宙飛行士の旦那が命を懸け生還したのに、大統領との慰労ディナーに招待されないことを旦那に当たり散らす嫁
・副大統領と言えば誰もが言うことを聞いてくれると勘違いしているオジサン

パイロットや宇宙飛行士だけでなく、様々な意味での"資質"を問う、何度観てもいい、お気に入りの名作です

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Jett

4.0ガムはあるか? …後で返すから。

2022年7月7日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

午前十時の映画祭12にて。
改めて観賞してみて、36〜37年前の初観賞時よりもコミカルだと感じたので、自分も大人になったな〜と。

死の危険を知りながら挑戦する男たちが、たまらなく格好いい❗
リアリティーに程好くファンタジーを織り混ぜて男のロマンを描いている。
そして、サイドストーリーは彼らに寄り添う妻たちの戦い。男のロマンは女たちによって支えられていた。

ビル・コンティによるオリジナルテーマ曲は、今やスタンダードとなってテレビのバラエティや報道番組のBGMによく用いられている。七人のアストロノーツが宇宙服を身にまとって発射場に向かうスローモーションに、音楽がシンクロして最高に格好いい。幾つかの映画でトレースされている。
そのオリジナルに加え、ホルストの組曲をアレンジしたと思われる勇壮な音楽が、ロケット発射シーンを演出している。

米西部の砂漠地帯に位置するエドワーズ空軍基地を舞台に物語は開巻する。
西部劇さながらに愛馬を駆って草原を往く男と、ジェットエンジンが炎を吐くテスト機のコントラストの妙。
男は、世界で初めて音速を越えたパイロット=チャック・イェーガー。実在の人物をサム・シェパードがニヒルに演じている。
町で唯一(だと思う)の酒場のカウンターで、初対面のように妻(バーバラ・ハーシー)を口説くのが粋だ。
イェーガーが音速を越えた後、その記録を更新したライバルが酒場でイェーガーの妻に目配せをする。彼女はそれに気づいて夫をダンスに誘う。男を見上げながら踊る女のシルエットのなんと美しいことか。私は背が低いので本当に憧れる。
躍り終えたイェーガーは後ろ姿でライバルに酒のグラスを振って見せる。
どこまで格好いいのか!

第二次世界大戦の直後、日本がGHQの支配下で復興に取りかかったばかりの頃、アメリカはジェット機で音の壁に挑んでいたという事実。
更には、1957年にはソ連が人工衛星の打ち上げに成功し、翌年にはアメリカにNASAが設立されている。
プロペラ機の太平洋戦争から15年あまりで米ソは人間を成層圏の外に送り出しているのだ。
このように、爆発的なスピードで進歩したことがこの映画ではよく分かる。

連合国だとはいえ、アメリカは共産主義国ソ連の技術発展に警戒感をもっていた。覇権争いにおいてもソ連に遅れを取ることは許されない。
宇宙飛行士を選定するにあたって曲芸師たちが候補に上がったのが事実かどうかは知らないが、大統領からテストパイロットから選べと指示された閣僚たちが慌てふためくのが可笑しい。テストパイロットほど扱いにくい人種はいないというのが共通認識だったのだ。
役人たちは、テストパイロットの人選基準に「大卒」条件を加える苦肉の策で、比較的物分かりの良い人間を集めようとすのだから、これも可笑しい。

マーキュリー計画が動き出すと、映画の舞台はケープカナベラルに移る。
エドワーズに残ったイェーガーは七人のアストロノーツ(マーキュリー・セブン)を遠くから見守る役回りとなる。
花形となったマーキュリー・セブンをやっかみ半分で茶化すエドワーズの連中に反して、イェーガーは毅然と彼らに敬意を表するのだった。
マーキュリー・セブンの主要キャラクターは、世界一のパイロットを自負するゴードン・クーパー(デニス・クエイド)とガス・グリソム(フレッド・ウォード)のエドワーズ組と、海軍のテストパイロット組のジョン・グレン(エド・ハリス)とアラン・シェパード(スコット・グレン)の4人だ。
それぞれが個性的な上に、妻たちもキャラクターが立っていて、脚本が上手い。
自意識の高い彼らがライバルとして対立するのかと思えば、互いにリスペクトしながら切磋琢磨する。
彼らの連帯感に胸が熱くなる。

終盤の歓迎レセプション場面で、唯一宇宙に飛び立っていないクーパーが、インタビューに応えてエドワーズのテストパイロットたちを讃えようとするが、記者たちの矢継ぎ早の質問に遮られて言えない。
あの酒場の壁に飾られたパイロットたちの写真の意味は、地元の人間しか知らない。
世間に知られず勇敢に散っていったテストパイロットたち、そして今日もどこかでマシンの限界に挑戦しているテストパイロットたち、全てのテストパイロットたちこそ最高のパイロットたちだと言いたかったが、諦めて言い直す。「最高のパイロットは目の前にいる」…いつも妻に言い続けた台詞だ。
愉快で、粋で、熱い。
あの酒場が火事て焼け落ちたことをクーパーは知っていただろうか。
そして、この直後クーパーは、単独で宇宙を飛んだ最後の宇宙飛行士となる。

余談だが、
レセプション会場のステージで全裸に羽をまとって踊っていたサリー・ランドは、実在したバーレスクのダンサーだ。
日本公開版ではカットされていたが、公開数年後に購入したレーザーディスク版で確認できた。

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kazz
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