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自分の演技や出演作にダメ出しした俳優37人【前編】

2023年7月31日 10:00

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写真は「サウンド・オブ・ミュージック」
写真は「サウンド・オブ・ミュージック」
Photofest/アフロ

人生に後悔は付き物。ギャラのために引き受けた不用意な役であろうと、期待通りにならなかった情熱的な作品であろうと、進化する社会政治的な情勢によりバッシングにあった映画であろうと、あるいは単に良い映画での悪い演技であろうと、ハリウッドの大スターにも失敗はある。

最新作のプロモーションの時はほめちぎっても、年月が経つにつれて、映画に対する本音を漏らすのはよくあること。米IndieWireが2017年からアップデートを重ねてきた、自分の演技や出演作への後悔やダメ出しを語った俳優37人を前・後編で紹介する。まずは前半20人。


主演俳優が作品の文脈を理解するのに苦労するなら、観客にとって作品の解読はさらに難しいだろう。ダーレン・アロノフスキー監督の「マザー」で、不審な訪問者の登場により夫婦の穏やかな生活が恐怖に脅かされていく女性を演じた。

ストーリーをどの程度、理解できたかという質問に対し、ローレンスは「正直に言うわ。まあ、監督と寝ていたから、“学習の手引き”を持っていたの。だから…5点? それか4点ってとこね」と答えた。


子役としてキャリアをスタートさせた俳優が、大人になるにつれて、自分の能力に自信が持てなくなるインポスター症候群に陥ることはままあること。それを乗り越えるために自伝映画をつくったのがシャイア・ラブーフ。裁判所命令でリハビリ施設に入所中、セラピストからのアドバイスで父親とモーテル暮らしをしていた幼少期の出来事を書くようにすすめられて、「ハニーボーイ」の脚本を書き上げた。しかし……

「私の父は、私の生涯を通じてとても愛情深い人だった。確かに壊れていたし、曲がってもいた。でも、愛情がなかったことは一度もないし、そこにいなかったことも一度もない」とラブーフは語った。

事実とは異なる描写で自らの父親を公の場でバッシングしたことを悔やんだラブーフは、この映画のシナリオを「ナンセンス」と表現した。


8度のアカデミー賞ノミネートを誇る大御所ジュディ・デンチは、大ヒットミュージカルを映画化した「キャッツ」で、すべての猫たちが尊敬する長老猫のオールドデュトロノミーを貫禄たっぷりに演じた。デンチは、完成した作品を見たわけでも、批評を読んだわけでもないが、鑑賞者が彼女の演技に対して「むしろ親切」だったと思うとコメント。さらに、最悪映画の祭典ラジー賞の助演女優賞にノミネートされたことについて「それはいいことね」と笑い飛ばした。

また、衣装についても「私が着せられたマント! 5匹のキツネが私の背中でヤッているようなものよ」と酷評した。


ホラークイーンから、ついにオスカー俳優となったジェイミー・リー・カーティスは、過去のインタビューでジョン・ブルーノ監督の「ヴァイラス」を「あれはクソ映画よ」と単刀直入にバッサリ。

エイリアンから逃げるシーンについて、「相手は鋼鉄の壁を開けることだってできるのに、私は階段の下にただ隠れているなんて」とあきれた様子。

「何かがただダメで、自分にはどうすることもできないと思ったのは、このときだけだったかもしれない。信じられないほどひどい映画だった」


本作でゲイの弁護士アンドリュー・ベケットを演じ、2年連続でアカデミー賞を受賞したトム・ハンクス。最近のインタビューで、ストレートの男性がゲイのキャラクターを演じるキャスティングが今日でも可能かと尋ねられた時、率直にこう答えた。

「『フィラデルフィア』のテーマは、恐れるなということだった。あの映画で人々が恐れなかった理由のひとつは、僕がゲイを演じていたからだ。今はそれを超えているし、ストレートの男がゲイの男を演じるという不真面目さを、人々は受け入れないと思う」


本作でメイドのエイビリーン・クラークを好演し、アカデミー賞主演女優賞にノミネートされたビオラ・デイビスだが、映画は彼女が求めていたものではなかったようだ。

「メイドたちの声は聞こえなかったと、一日の終わりにいつも感じていた。私はアイビリーンを知っている。(同僚の)ミニーを知っている。彼女たちは私のおばあちゃんであり、私の母だった。1963年に白人のために働き、子どもたちを育てることがどんな感じなのかを知りたかった。でも、映画の中で私がそれを聞くことはなかった」


ショーン・ペンの監督作「ラスト・フェイス」は、アフリカで人道支援に携わる2人のロマンスを描き、カンヌ国際映画祭でお披露目された際、圧倒的なブーイングを浴び、ペンのキャリアの中でも最大の失敗作のひとつとされている。

しかし、この映画でシャーリーズ・セロンと共演したハビエル・バルデムは、そのことを笑い話にしようとしている。先日、カンヌ映画祭75周年記念式典に出席した際、こう語った。

「私たちはあの映画を作るために懸命に働いた。でも私の意見では、映画としては大失敗だった。人々はそれを見て、共有し、映画祭全体のルールが変わってしまった。そうだろう? 批評家たちは公開当日にレビューを投稿できなくなった。でも私は笑っていた。『そう、これが映画をつくるということなんだ』って。『ノー・カントリー』を撮ることもあれば、この映画のような作品を撮ることもある。やるべきことをやり続けるんだ。つまり、人生と同じなんだ」。


マーベル原作の「スパイダーマン」シリーズのグリーン・ゴブリン役でアメコミ映画を語るうえで欠かせないウィレム・デフォーだが、DC映画「アクアマン」演じたバルコの再演には乗り気ではなかったようだ。

「彼らはまた別の作品を作ると思う。それに参加するかどうかはまた考えるよ」

しかし、インタビュアーのエリック・コーン(IndieWire)が「この経験を楽しめたか」と質問すると、「それは不気味で、ほとんど悪魔のような幻影であり、彼の最も不穏なスクリーン出演のどれにも劣らない不吉な」表情に変ぼうしたとか。

ともあれ、デフォーは2024年全国公開予定の「アクアマン・アンド・ザ・ロスト・キングダム(原題)」に出演している。


人気ゲームを実写映画化した本作は、批評的にも商業的にも大失敗。公開から10年以上経った今は、イラン系の出演者ではなく、アメリカ系白人の俳優を主役に起用したハリウッドのホワイトウォッシングの最悪の例に数えられている。

ギレンホールは2019年のインタビューで、「あの映画から多くのことを学んで、役を選ぶ際にキャラクターについて、自分が演じるのはなぜか、より熟考するようになった」と語り、「あの役は自分には適していなかったし、完全にはまっていなかった」と告白。「ああいう役はたくさんあったし、これからもたくさんあるだろう」


エマ・ストーンは2019年のゴールデングローブ賞で謝罪。サンドラ・オーが、「クレイジー・リッチ!」は「ゴースト・イン・ザ・シェル」と「アロハ」以来、初めての“アジア系アメリカ人が主役のスタジオ映画”と口にした際、ストーンはハワイアンと中国人の家系に生まれた主人公を演じたことについて「ごめんなさい!」と叫んだのだ。

この作品も、ハリウッドにおけるホワイトウォッシングの歴史における最も有名な例のひとつに。ストーンは「私は多くのジョークのネタになった。ハリウッドにおけるホワイトウォッシングの非常識な歴史と、この問題が本当に蔓延していることをマクロなレベルで学んだ。とても重要な会話に火がついたと思っている」と語っている。


ラジー賞授賞式で、ハル・ベリーは、「このクソ映画に私をキャスティングしてくれたワーナー・ブラザースに感謝したい」と辛らつなスピーチ。

それから15年後の2020年9月、「有色人種の女性がスーパーヒーローになる絶好のチャンスだった」と述懐。製作中から「「なぜキャットウーマンはバットマンやスーパーマンのように世界を救えないの?」とストーリーに疑問を抱いていたが、「私は雇われ俳優にすぎなかった。監督ではなかった。ほとんど何も言えなかった」と改めて語った。


ピーターパンを題材にしたファンタジー・アドベンチャーで、タイガー・リリーを演じたルーニー・マーラも、ハリウッドのホワイトウォッシングで物議をかもした。「ホワイトウォッシングの話題の片棒を担いでいる自分が本当に嫌で、嫌で、嫌でたまらない。もう二度とそういう側には立ちたくない。人々が動揺し、いらだつのも理解できる」とコメント。

同作の公開時に、主役に4人の白人俳優を起用したことを非難する嘆願書が出回ったことについても、「どこかに多様性を持たせるべきだったと思う」 と語った。


名作ミュージカル映画「サウンド・オブ・ミュージック」は、史上最も愛された映画のひとつと言っても過言ではないだろう。しかし、トラップ大佐を演じた故クリストファー・プラマーさんは2010年のインタビューで、自身の役どころに「少し飽きていた」と認めた。「作品を面白くしようと懸命に努力したけれど、死馬に油を注ぐようなものだった。この題材は私のものではなかった。世界中のすべての人にアピールすることはできない。私の趣味ではなかった」。

さらに翌年には、「とてもひどくて、感傷的で、ベタベタした作品だ。ユーモアを盛り込もうとすると、おそろしく苦労するだろう」と語気を強めた。


キングダム 見えざる敵」(2007)のプレスツアーで、ジェイミー・フォックスは「『ステルス』とは違い、自分が本当に良いと思う映画の宣伝ができてホッとした」と本音をポロリ。

「『ステルス』はすごい映画だ、なんて宣伝のために言ったよ。映画を見た人は、あんなうそをつくなんてと思っただろうね」


宇宙船の中で予定より早く冷凍冬眠から目覚めた男女2人を描いたSF映画。同作に出演しないよう、ローレンスに助言していたのは、なんと歌手のアデル。「アデルは、やめときなさいって言ってくれたの。『宇宙映画は新しいバンパイア映画のような気がする』って。彼女の言うことを聞いておくべきだった」。


人気ゲームを実写映画化した「アサシン クリード」は興行的に振るわなかった。主演のファスベンダーは後日インタビューで、「確かに、理想的ではなかった。足りないものがあった」と指摘。

自分ならどうしたか?という質問に対して、「もっとエンタテインメントにするのが大部分だね。この映画のフィーリングは真面目すぎるし、アクションはもっとスピーディにしたい。映画のオープニングシークエンスが3つあるのは間違いだね」と的確に答えた。


「トワイライト」シリーズで世界的スーパースターになったパティンソンが、本人は同シリーズのファンでは全くない。あるインタビューで「原作を読んだとき、(原作者の)ステファニーは自分が(主人公の)ベラだと確信しているんだと確信した。まるで出版するつもりのない、彼女だけの性的ファンタジー小説のようなものを読んでいるようだった」。

「この女性は完全に狂っている、そして自分自身が作り出したフィクションに恋をしているんだ、と確信した」とぶっちゃけた。


「ムーラン・ルージュ!」に続き、バズ・ラーマン監督とタッグを組んだ作品だが、キッドマンにとって苦い思い出のよう。ラジオ番組に出演した際に、「この映画のことは考えたくないし、自分がやったことを誇りに思うことはできない」と言い、「物語に共感することが、ただ無理だった」と明かした。


大人子ども合わせて26人が犠牲となったサンディフック小学校銃乱射事件の後、キャリーは超バイオレンス・アクション映画に出演したこと後悔。「事件の1カ月前に『キック・アス2』に出演したが、今は良心の呵責からあのレベルの暴力を支持できない」とツイートした。「この映画に関わった他の人たちには申し訳ない。この映画を恥じているわけではありませんが、最近の出来事が私の心に変化をもたらした」とつづった。


「正直に言うよ、あの映画は大嫌いなんだ」とラジオ番組で大暴露したテイタム。「無理やりやらされたんだ。脚本が良くなかった。子どもの頃からファンで、毎朝見て育ってきたものを、駄作で、自分がG.I.ジョーになりたいかどうかもわからないのに、やりたくなかった」と吐露した。

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