NY伝説のレンタルビデオ店のコレクションの行方を巡るドキュメント「キムズビデオ」8月8日公開 本編字幕版VHSも同日発売
2025年7月2日 16:00

アメリカ・ニューヨークに実在したシネフィルの聖地だったレンタルビデオ店の5万5000本にも上るビデオコレクションの行方を巡るドキュメンタリー映画「キムズビデオ」が8月8日公開される。ポスター、予告編、場面写真が披露された。
ニューヨークの映画ファンたちが通い詰めたレンタルビデオショップ「キムズビデオ」。半端ない品揃えの唯一無二なビデオ・コレクションは、5万5000本にも上る。入手ルートも、世界各地の映画祭や各国大使館経由など、大手レンタルビデオショップには真似のできない独自のものだったため、変な映画だらけの秘宝が埋もれている秘密基地のようだった。このビデオ・コレクションの中には、市場に出回っていない違法コピーの海賊版やレア物も多数含まれ、それがまた会員たちを興奮させていた。ジャン=リュック・ゴダールの作品群をめぐっては、ゴダール本人からレンタル差し止め通告が届き、ついにはFBIに押収されるという逸話がある。また、キムズビデオの創業者である韓国系移民のキム・ヨンマンは、正体不明の伝説の男。クエンティン・タランティーノ監督との交友関係も噂されたが、真相は謎だ。

しかし、ビデオレンタル時代の終焉とともに、2008年に惜しまれつつ閉店。キムズビデオの会員だったデイビッド・レッドモン(=本作の監督)が、そのコレクションがその後どうなったのか捜索すると、ニューヨークから遥か遠いイタリア・シチリア島のサレーミ市に移設されていることが判明。レッドモンがシチリア島に出向くと、ビデオテープにとってはあまりにも劣悪なホコリだらけの湿った所蔵庫で放置されていることが発覚。そこでレッドモンは唯一無二なレアビデオ・コレクションを救い出すことを決意。サレーミ市長やその取り巻きたち、現地の警察、その陰で暗躍するマフィアらの追跡を敢行。さらに、アルフレッド・ヒッチコックやチャールズ・チャップリン、イングマール・ベルイマン、ジャッキー・チェンといった映画の巨匠たちの“精霊”を召喚し、架空の映画撮影を装いながら前代未聞の奪還作戦を決行する。
ワールドプレミアとなったサンダンス映画祭では「遊び心がハンパない」「常軌を逸したドキュメンタリー」と映画ファンたちから熱狂的な支持を受けて大きな話題になり、その後トライベッカ映画祭など計61の映画祭で上映され、シッチェス映画祭・ドキュメンタリー部門の最優秀作品賞をはじめ、計7つの賞を受賞するなど、一昨年から世界中の映画祭を席巻した。
予告編は、「キムズビデオ」をめぐる、数々の逸話と熱狂から始まる。世界最高のレアビデオ・コレクションを求める25万人もの会員の中には若き日のコーエン兄弟の姿もあり、600ドルの延滞金を滞納したというエピソードも登場する。トッド・フィリップス、アレックス・ロス・ペリー、ショーン・プライス・ウィリアムズら、今や名を馳せる監督たちが店員として働き、パブロ・ベルヘル監督も連日通い詰め、自作「ロボット・ドリームズ」で主人公たちがキムズビデオでレンタルした「オズの魔法使い」を鑑賞するシーンが確認できる。権利上、予告ではタイトル名だけに留まっている56本の映画たちが、本編に映像で登場する。本作の舞台のひとつとなるシチリアといえば、フランシス・フォード・コッポラの「ゴッドファーザー」も顔を出す。

また、公開初日8月8日には、「本編字幕版VHS」が発売される。完全限定生産450本、紙ジャケット仕様。また、VHSテープと同サイズの特製前売り券は限定1000枚、7月11日から劇場窓口で販売される(ムビチケはオンラインを含め、販売なし)。8月8日、ヒューマントラストシネマ有楽町、渋谷ホワイトシネクイントほか全国順次公開。
・ヒューマントラストシネマ有楽町
・渋谷ホワイトシネクイント
・テアトル梅田
・UPLINK京都
・ミッドランドスクエア シネマ
・元町映画館
・サツゲキ
・メイジャー通販サイト
・ヒューマントラストシネマ有楽町
・渋谷ホワイトシネクイント
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・UPLINK京都
・ミッドランドスクエア シネマ
・元町映画館
・サツゲキ
「ゴッドファーザー」 フランシス・フォード・コッポラ
「カンバセーション…盗聴…」 フランシス・フォード・コッポラ
「キング・オブ・コメディ」 マーティン・スコセッシ
「グッドフェローズ」 マーティン・スコセッシ
「ゴダールの映画史」 ジャン=リュック・ゴダール
「ブルーベルベット」 デビッド・リンチ
「鏡」 アンドレイ・タルコフスキー
「市民ケーン」 オーソン・ウェルズ
「甘い生活」 フェデリコ・フェリーニ
「友だちのうちはどこ?」 アッバス・キアロスタミ
「欲望」 ミケランジェロ・アントニオーニ
「救命士」 マーティン・スコセッシ
「犬ヶ島」 ウェス・アンダーソン
「アルゴ」 ベン・アフレック
「ロシュフォールの恋人たち」 ジャック・ドゥミ
「ミッドナイトクロス」 ブライアン・デ・パルマ
「ポルターガイスト」 トビー・フーパー
「パーマネント・バケーション」 ジム・ジャームッシュ
「ツイン・ピークス」 デビッド・リンチ
「スラッカー」 リチャード・リンクレイター
「自転車泥棒」 ビットリオ・デ・シーカ
「ザ・キープ」 マイケル・マン
「パリ、テキサス」 ヴィム・ヴェンダース
「ビデオドローム」 デビッド・クローネンバーグ
「アンソニーのハッピー・モーテル」 ウェス・アンダーソン
ほか全56作品
(C)Carnivalesque Films 2023
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