グッドフェローズ
劇場公開日:1990年10月19日
解説
巨匠マーティン・スコセッシがニコラス・ピレッジのノンフィクションを基に、「グッドフェローズ」と呼ばれるギャングたちの生き様を描いたマフィア映画。ニューヨークの下町ブルックリンで生まれたヘンリーは、幼い頃からマフィアに憧れて育つ。地元を牛耳るポーリーの下で働き始めた彼は、兄貴分のジミーや野心旺盛なトミーらと犯罪を重ね、組織内での地位を高めていく。そして1978年、一味はケネディ国際空港を襲撃し、600万ドルの強奪に成功。FBIの捜査の手が迫る中、ジミーらは口封じのため事件の関係者を次々と殺害していく。トミー役のジョー・ペシが第63回アカデミー賞で助演男優賞を受賞。ヘンリーをレイ・リオッタ、ジミーをロバート・デ・ニーロがそれぞれ演じた。
1990年製作/145分/アメリカ
原題:Goodfellas
配給:ワーナー・ブラザース映画
スタッフ・キャスト
全てのスタッフ・キャストを見る
2022年3月30日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会、映画館
個人的には誰に何と言われようとも、マーティン・スコセッシといえば「グッドフェローズ」と言い切れるほどの傑作。
何に驚かされるって、ニューヨークのマフィアとして生きた、ヘンリー・ヒルという実在の男を題材にしているという点だ。昨今、これほど骨太な作品にはそうそう出合えないだろう。
不朽の名作だからといって古臭さもない。こういうハリウッド映画、そういえば最近見かけないなあとため息をつきたくなる出来栄え。
2019年11月27日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
原作小説タイトルは「ワイズマン」だが、登場するマフィアの面々は賢人どころか、今を生き抜くために各々が必死な男たちだ。そこで芽生える、切れるか切れないのか最後まで分からぬ絆は、ある意味、スコセッシ映画に通底する暗黙のテーマなのかもしれない。
今回メインを張るのはレイ・リオッタだ。今でこそやや太って貫禄を増した彼だが、90年代の頃はまだ精悍な顔つきだったことに驚かされる。そんな若きリオッタはいつしか組織の先輩ジョー・ペシとデ・ニーロの多少危なっかしい綱渡りに付き合わされることとなる。デ・ニーロがお膳立てしたものを、キレると手がつけられなくなるペシがとことん掻き乱すというパターンはこの映画でも「待ってました!」のごとく健在だ。
興味深いのは、イタリア系のペシは幹部へ出世し、デ・ニーロの役はアイリッシュなので幹部になれないという事情。そのあたり、実は『アイリッシュマン』にも繋がる部分なのかも。
2023年1月7日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
ネタバレ! クリックして本文を読む
2時間25分と映画は長い。結論として悪くは無かったが途中でだれるところも多く、途中で止めて翌日、その翌日に途中から再開して見るという感じだった。だれた理由は長いのもあるが、主人公ヘンリーヒルはマフィアの一人といえども凡人的な所があって感情移入できる素地をもってはいるが自業自得な事をする姿を見せるだけで視聴者が心をポジティブに動かされるようなスタンスや意志が無いからだと思う(しかしそれはこの作品がドキュメンタリーという形式上どうしようもないことだ)
マーチン・スコセッシ監督(タクシードライバー、ディパーテッドの人)とマフィア物ということに引かれて視聴することにした。ディパーテッドを見た時のバイオレンスの鮮烈な印象がこの作品においても他所で見られた。そういうのが苦手な人は見ないほうが良い。
登場キャラで強く印象に残ったのは、グッドフェローズのボスポーリーと、イタリア人サイコパス、トミーだ。最後にポーリーもしょっぴかれてしまったのは気の毒に思えた(ポーリーはヘンリーの父親的な存在だったため、恩を仇で返すことになった所と、ポーリーは薬の売買はやってなかった所、人殺しにかかわることは少なくとも作中ではなかったことから悪い人には見えなかった)。トミーについては最初に酒の席でチンピラ感(癇癪持ちのプライド高い男で少し機嫌を悪くしたら何をするか分からない)が出ていたが、その後の彼を見ていて、最後に彼がああなったのはやっとか、もう少し早くいけよと思えるくらいだった。
彼らの印象に対して(ポーリーはあまり露出がなかったため、彼が居ることによる主人公への感情移入を伴った劇中を通した安心感という印象だけではある)、他はあまり印象に残らなかった。ジミーは最後は主人公に対して危険な存在になっていったが、トミーと違って常識的な範囲で自分を守るための策謀だったので地味だったし、主人公は薬におぼれてからは、妻との不和を見させられても感じていた彼への自業自得感が増していったので、この作品を楽しむための主人公への視聴者の感情移入は元々無理だから面白くなくてもドキュメンタリーだからしょうがないのだろうと思った。それでも悪くはないと思った理由は、ヘンリー周りの破天荒な人たちの行末を最後まで見届けたいという思いがあったからだと思う。
最後にもう一つ。41分くらいの所でヘンリーと奥さんの結婚式があり、その場面でヘンリーが白い布に包まれたワイングラスを右足で踏み、神父に「マザエルトフ(Mazel Tov)(おめでとう)と言う場面があり、知らない文化だったので珍しく印象に残った。調べるとどうやら奥さんがユダヤ系であるため、こういうユダヤの伝統を持つ結婚式をあげたっぽい。ヘンリーもこの時白いキッパという帽子をかぶっている。
2022年11月2日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
強奪したタバコを売りさばいて捕まった裁判で黙秘を通して仲間を売らなかったことをジミー(デ・二ーロ)に誉められた時の若い頃のヘンリー役の俳優の涼しい目元も好きだけど、レイ・リオッタの潤んだヤク中の時の充血した目のメイクが印象的。柳楽優弥がヤクザ役でよくやっているメイクの目はグッドフエローズのレイ・リオッタの目をオマージュしているのではないかと思っている。目も似てるし。
ジョー・ぺシのアカデミー助演男優賞も嬉しい作品。同じイタリア系のデ・二ーロよりもっとちっこい。より狂ったマフィア役を演じている。この組織(Goodfellas)ではイタリア系でないと幹部になれず、アイルランド系はそれより格下であることも示される。スコセッシ監督の映画はアメリカ社会の伝統的人種差別的要素を露悪的にちりばめているので勉強になります。
主演のヘンリー・ヒル役のレイ・リオッタは今年5月にロケ先のドミニカ共和国で死亡。67歳。
ヘンリーのユダヤ人の奥さんのカレン役のロレイン・ブラッコ(ぜんぜんユダヤ人じゃないイタリア系)はこの時、ハーべイ・カイテル(ユダヤ人)の奥さん。
ユダヤ教会で結婚式を挙げるシーン。
マフィアのファミリーの親戚はみんな名前がピーター、ポール&マリー。
マフィアの奥さんたちの柄の悪さにびっくりして、そうと気が付くが、すっかりマフィアの妻に馴染んでゆくカレン目線の描写もなかなかよかった。