ガンパウダー・ミルクシェイク
劇場公開日:2022年3月18日
解説
「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」のカレン・ギランが主演を務め、犯罪組織に立ち向かう女たちの死闘を描いたバイオレンスアクション。ネオンきらめくクライム・シティ。暗殺組織に所属する凄腕の殺し屋サムは、ターゲットの娘エミリーを匿ったせいで組織を追われ、命を狙われてしまう。次々と送り込まれる刺客たちを蹴散らしながら夜の街を駆け抜けるサムは、かつて殺し屋だった3人の女たちが仕切る図書館に飛び込む。女たちはジェーン・オースティンやバージニア・ウルフの名を冠した武器を手に、激しい戦いへと身を投じていく。3人の図書館員を「スパイキッズ」シリーズのカーラ・グギーノ、「ブラックパンサー」のアンジェラ・バセット、「グリーン・デスティニー」のミシェル・ヨー、サムの母をテレビシリーズ「ゲーム・オブ・スローンズ」のレナ・ヘディが演じた。監督・脚本は「オオカミは嘘をつく」で注目を集めたイスラエル出身の鬼才ナボット・パプシャド。
2021年製作/114分/PG12/フランス・ドイツ・アメリカ合作
原題:Gunpowder Milkshake
配給:キノフィルムズ
オフィシャルサイト スタッフ・キャスト
全てのスタッフ・キャストを見る
男性側のファンタジーを押し付けることなく女性が主体のアクションを成立させようという監督の意欲と挑戦はとてもよくわかる。実際、性差やセクシャルなアピールを排したアクション描写はとても風通しがよく感じられる。ただ、フェミニズムのテーマは、監督の真摯さは疑わないものの、いささか付け焼き刃というか、掘り下げ不足に感じられるきらいはある。図書館や女性作家の引用も、アクションとテーマが融合しているようには見えないし、男性社会に物申すメッセージも唐突にセリフで説明された感はある。とはいえ、この意欲が時代を進める一歩であることは間違いないと思うし、もうカレン・ギランが両腕を麻痺させられて戦うアクションシークエンスと、続くカーチェイスが面白すぎて、最高のシーンを見せてくれてありがとうございました!という気持ちが一番の感想だったりします。
決してゼロからイチを生み出すタイプの映画ではない。いわゆるタランティーノ作品や『ジョン・ウィック』シリーズへの憧れが湯水のように溢れるさまをどう受け止めるか。使い古された表現を甘受できるか。それによって感じ方は変わるはず。個人的なことを言わせてもらうと、意外にもこのテイスト、じわじわ旨味が出てきて楽しめた。序盤こそ誰もがたっぷりとセリフを弄び過ぎて間延びした感じさえしたものの、後半には個々のキャラクターの持ち味と感情とが絡み合い、この新鋭監督の演出はうまくノり始める。なおかつ、ボーリング場から図書館まで、色とりどりのネオンライトに照らされた「ここ、どこの国ですか!?」と問いたくなるほどの独創的な美術が面白く、マーベル映画でおなじみのカレン・ギランが長身を活かして次々と繰り出す血生臭いアクションも魅せる。何より指先まで神経を行き渡らせた身のこなしが気持ち良い。自分にとって思わぬ拾い物だった。
2022年3月18日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会
「ザ・サークル」のエマ・ワトソン演じる主人公の親友役で初めてカレン・ギランという女優を認識し、フィルモグラフィに「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」とあったがあれ出てたっけと調べたら特殊メイクで美貌がほぼ分からないネビュラ役だったと気づき、なんてもったいないと嘆いたものだ。その後「ジュマンジ」シリーズの主要キャラクターでも身体能力の高さを見せつけ、早く単独主演作が作られないかなと待ち望んでいたが、ようやく本作で願いがかなった。
監督・脚本は「オオカミは嘘をつく」の後味の悪さをよく覚えているイスラエル出身のナボット・パプシャドで、こんなオタク趣味全開の女殺し屋アクションを撮るなんてちょっと意外。仏・独・米の合作体制で、撮影もドイツで行ったこともあってか、典型的なハリウッドのアサシン活劇とは若干趣が異なり、作り込んだ世界観と少しひねくれたユーモアにニヤリとさせられる。
アクション場面も豊富なバリエーションで楽しませる。ボウリング場での“三バカ”との初戦では長回し、クリニックでは両腕が麻痺したサムと重傷の三バカとのハンディキャップ戦、終盤のダイナーでは同時進行する壮絶な撃ち合いを超スローモーションで情感たっぷりに、といった具合。「ジョン・ウィック」シリーズの闇社会のネットワークや、「シン・シティ」のようないかにも作り物っぽいセットなどの影響も感じられるが、雰囲気がより近いのはザック・スナイダー監督の「ウォッチメン」、「エンジェル ウォーズ」(重要な役で出ていたカーラ・グギノが、本作では図書館員マデリン役で登場)あたりだろうか。
昨年の時点ですでに続編の製作が決定したようだ。カレン・ギランは現在34歳、体が動くうちに主演活劇をたくさん見せてほしい。
本作は、前作がクエンティン・タランティーノに「本年度最高傑作」と絶賛され、所有する映画館でプレミア上映された監督作品というのが一番分かりやすい紹介かもしれません。
まさにタランティーノ作品を見ているような錯覚さえ起こす、映画愛に溢れたアクション・スリラー映画となっています。【決してタランティーノ作品のようにエグ過ぎるわけではなく、ミルクシェイクのような作品なのでご安心を。ただしガンパウダー(火薬)入りですが…】
カタカナや漢字などが小道具にチラホラ出て、エッセンスの1つに日本愛を感じられるのも良いです。しかも「なんちゃって日本」ではなく割と正しく使われています。
本作の主演は、あの大ヒット「ジュマンジ」シリーズで、ゲーム内で「戦う可憐な女性」を演じるカレン・ギランです。あのキャラクターは魅力的だったので「彼女が主役だとこういう作品になる」という視点で見ると分かりやすいと思います。
途中から登場する女の子の存在も良く、何気に笑えるシーンもあります。
ポール・ジアマッティなど名優が登場しますが、本作の弱みは意外と日本では知られていない俳優陣が多いということでしょうか。ただ出来は良いです。