映画.comでできることを探す
作品を探す
映画館・スケジュールを探す
最新のニュースを見る
ランキングを見る
映画の知識を深める
映画レビューを見る
プレゼントに応募する
最新のアニメ情報をチェック
その他情報をチェック

フォローして最新情報を受け取ろう

検索

川村元気「失敗と反省」 ロングインタビュー(後編)

2022年9月19日 11:00

リンクをコピーしました。
「失敗と反省」について語った川村元気氏
「失敗と反省」について語った川村元気氏

電車男」に始まり、「告白」「悪人」「モテキ」「おおかみこどもの雨と雪」「君の名は。」「怒り」「天気の子」など、これまで40本の映画を手がけてきた川村元気氏は、映画業界ならずとも、クリエィティブな仕事に従事する人々にとって無視することができない存在といえるでしょう。今年、映画プロデューサーのほかに小説家、脚本家、絵本作家など、実に多くの顔を持つ川村氏に、「映画監督」という肩書きが新たに加わりました。

自らの祖母が認知症になったことをきっかけに、人間の記憶の謎に挑んだ自著「百花」の映画化に際し、なぜ監督を務めようと思ったのか。激務をこなす川村氏にとって、仕事というカテゴリーにおける効率、非効率の線引きはどこにあるのか。

この連載では、本人のロングインタビューや仕事仲間からの証言集などを通して、全7回で「川村元気」を紐解きます。映画人としてのキャリアをスタートさせてから「百花」に至るまで、100の企みに迫っていきます。

最終回となる第7回では、川村氏のロングインタビュー後編をお届けします。川村氏の成功体験ではなく、20余年にわたり映画人として生きてきたなかで得た学びを、「失敗と反省」というテーマに基づいて語ってもらいました。


●目次
■新人になれる場所を探してアニメの世界へ
■日本映画のバジェットで出来ることの限界
■「君の名は。」が大きな成功をおさめたから…
■「怒り」と「来る」の反省
■「ドラえもん」脚本執筆の背景
■コロナ禍の過ごし方
松たか子深津絵里樹木希林からの教え
■効率との折り合いのつけ方
■真似出来ない是枝裕和監督の演出
■「すずめの戸締まり」に感じる手応え
■アニメ以外の企画がほとんどない状態
画像2

■新人になれる場所を探してアニメの世界へ
――「friends もののけ島のナキ」から現在に至るまで、コンスタントにアニメ作品にも携わっています。そこでの“つまづき”というのは、なかったのですか?

川村:僕は飽き性なんです。映画を40本も作り続けてきたのに、シリーズものを1本も成立させられていない。普通は続編、作りますよね。家を1軒建てたら終わり……みたいな効率の悪いスタイル(笑)。実写を作り続けてきて、なんとなく作り方が分かったような気になっちゃったので、アニメの世界で新人として1からやり直そうと思ったんです。

新人になれる場所を探すというのが、僕のテーマ。新人の頃は一生懸命あれこれ考えるし、綺麗ごとだけではなくて、もしかしたらジャンルメイクが出来るかもしれない。もっと成長できるかもしれない。

画像3(C)2012「おおかみこどもの雨と雪」製作委員会

もともと細田守という才能に憧れがあり、作品はずっと見続けていました。幸いなことに「おおかみこどもの雨と雪」に呼んでもらえたので、アニメ作りを根本から学びました。自分なりにアドバンテージがあったのは、映画と音楽をどう関係させるか……についての見識。高木正勝さんという作曲家を、劇伴担当として細田さんに推薦したんです。映画音楽で実績のある方ではなかったけれど、成立させられる自信もありました。


■日本映画のバジェットで出来ることの限界
――アニメ作品を精力的に製作しながらも、実写でも変わらず意欲作を手がけています。なかでも、「寄生獣」2部作は発表された際、大きな話題を呼びましたよね。

川村:「寄生獣」は、大好きな原作です。映画としてもとても気に入っていますし、染谷将太の代表作を作れたとも思っています。山崎貴監督のフィルモグラフィーの中でも、いびつな1本になったと認識もしています(笑)。

画像4(C)映画「寄生獣」製作委員会

一方で、日本映画のバジェット(製作費)で出来ることの限界というのも、現実として突き付けられました。日本語の映画で、日本人の俳優を使い、リクープライン(損益分岐点)が決まっていると使える金額は自ずと上限が見えてしまう。

そういう状況で、大作を製作するというのはすごく大変だなと思い知らされました。そこから更に、アニメへ傾倒していったというのは否定出来ない部分があります。


■「君の名は。」が大きな成功をおさめたから…
――アニメーション作品を製作するようになって、5本目で新海誠監督作「君の名は。」(16)が社会現象化するほどの大ヒットを記録し、興収250億円を突破。続く「天気の子」(19)でも尋常ではないプレッシャーがかかるなかで興収141.9億円は胸を張れる数字です。

川村:新海さんは、シンクロ率の高いパートナーだと思っています。「君の名は。」があまりにも大きな成功をおさめたので、いかに自己模倣にならないようにするかを考えました。

画像5(C)2019「天気の子」製作委員会

「大ヒットした後、全然違う方向のものを作ったら、誰も付いて来てくれなかった」という失敗例は、幾らでもありますよね。「君の名は。」を観てくれた方が、「これじゃない」と思わないものを作らなければならないね、と。

ただ、新海さんのアイデアの源というのが面白くて、「天気の子」では「我々は毎日、天気予報をチェックするところから1日を始めていて、全員が当事者の話になる」と言っていたんですね。そういうところからテーマを見つけてくる宿命を負ってしまったんだな、と感じたのを覚えています。そのうえで、全世界の人にとって共通のテーマを、どれくらいプライベートな物語として作れるか……というのを意識して作ったのが「天気の子」でした。


■「怒り」と「来る」の反省
――この後の流れとしては、「怒り」(16)で李相日監督、「来る」(18)で中島哲也監督という、映画作りの先生として名を挙げた2人との再タッグがありましたね。

川村:吉田修一さんの原作で、李さんと再び一緒に……ということで最も気を付けたのは、再三口にしていますが「自己模倣にならないように」でした。「悪人」は興行面、批評面の両方で成功しました。だからこそ、同じことをやったら絶対に失敗すると思い、李さんとはアグレッシブな映画にしようと話しました。

画像6

音楽を坂本龍一さん、照明を中村裕樹さんにお願いしたのも、これまでとは少し趣の異なる要素を取り入れたかったからです。「怒り」はとても気に入っている映画で、僕の仕事の中でも到達点のひとつだと思っています。

興行的には「悪人」に届かなかったけれど、作品としては李さんも僕も進化したものを残せたと思うので、あまり反省点はありません。「来る」に関しても、中島さんとの2本目でめちゃくちゃ気に入っているんですが、興行としては「告白」に及ばなかった。

画像7(C)2018「来る」製作委員会

来る」は熱狂的に好きでいてくれるファンはいるんですけどね……。スタンリー・キューブリックの「シャイニング」がホラーなのかといえば、意見が割れるじゃないですか。そういう路線を狙ったのですが、「来る、来ると言って、何にも来ないじゃないか!」と怒る人がいたことも事実として受け止めています。僕らは「来る、来ると言って、何にも来ないのが面白い」と思っていたんです。どちらも凄く気に入っている作品ですが、興行面で前作を超えられなかったというのが反省すべき点です。

そういう意味では、2周目、3周目に入っているんですよね。同じ監督と複数回にわたって映画を作るという。いかにフレッシュな気持ちで対峙出来るか……という課題を、自分の中に抱えるようになりました。


■「ドラえもん」脚本執筆の背景
――ただ、そういうタイミングでまた新しい分野に進出しますよね。それが、「映画ドラえもん のび太の宝島」への脚本としての参加です。

川村:これまでに脚本を書いていても、あえてクレジットしないことを選んだ作品はありました。そういう判断をするプロデューサーは、他にもいると思います。僕の場合は小説も書いてきたなかで、映画の脚本家として改めてデビューするとしたら、何が一番意味不明で面白がってもらえるだろう? と考えていたんです。実写の日本映画で脚本を書いたとしても、誰も驚かなかったでしょうし。

画像8(C)藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 2018

そんな時に、藤子・F・不二雄プロさんから「脚本を書いてもらえないか」とお話を頂いたんです。「なるほど、ドラえもんか!」という思いと、藤子・F・不二雄先生が一番好きな作家さんなので「怖いな」という思いも一方でありました。

でも、F先生がどうやって物語を構築していったのかを勉強出来る! という思いが勝り、お受けしたわけです。ただ、「ドラえもん」の下駄を履かせてもらって脚本を書いたのに、これで失敗したら立ち直れない……と思いました。結果的に興行面でも成果(興収53.7億円)を出せて、ホッとしました。

この時は、現代を生きる子どもたちを取り巻くアニメや映画についてじっくり調べました。僕らのようにアニメ映画といえば「ドラえもん」しかなかった世代の子ではなく、ピクサー作品にも日常的に触れている子たちです。僕がやる以上は、そんな子どもたちが「ドラえもんを観たい」と思ってもらえるグラフィックの作り方、キャラクターの構築って、どういうことだろう? って。

それで、キャラクターを多用したり、要素を複雑にしていきました。あの頃に劇場で観て、いまは中学生になっていたりする子たちが、いまだに「『宝島』がすごく好き」と言ってくれる事があって、それは凄く励みになっています。


画像9
■コロナ禍の過ごし方
――だいぶ現代に近づいてきましたが、コロナ禍に入ってからはどのような動きをされていたのですか?

川村:小説「神曲」を書いていました。くしくも神、ウイルス、不信感などがテーマの小説でした。世の中が目に見えないものに振り回されていく感じ、ネットの世界では憎悪が渦巻き、世界が悪い方の想像力で動いていくさまを見つめながら、じっと家で小説を書いていました。

小説執筆は「世界から猫が消えたなら」から始まって、「億男」「四月になれば彼女は」「百花」と続き、「神曲」が5作目となりました。ある意味で、一番自分らしい小説が書けたと思っています。


松たか子深津絵里樹木希林からの教え
――コロナ禍に突入する直前の20年1月には、「ラストレター」が公開されています。アニメ映画「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」での関わりはあるにせよ、岩井俊二作品に直に触れて来て世代としては、痺れたんじゃないですか?

川村:岩井さんは、僕にとってアイドルのひとり。どういう風に演出をするのか、どうやったらあんな空気感の映像になるのか……というのを、本打ちや現場で見ながら勉強をさせてもらいました。

「ラストレター」でもタッグを組んだ松たか子
「ラストレター」でもタッグを組んだ松たか子
(C)2020「ラストレター」製作委員会
――「告白」「来る」とは全く異なる松たか子さんの表情が印象的でした。

川村:松さんは残酷なくらい天才。現場に入った瞬間に、全体が見えているんでしょうね。それが梨園の血なのかもしれませんが、現場に入った瞬間からすでに勝っている印象があります。

僕は女優さんでは、深津絵里さんと松さんの姿から色々なことを教えてもらいました。タイプは違うのですが、深津さんの持つ圧倒的なストイックさ、松さんの持つ奔放さと言うか、動物的な強さみたいなものを目の当たりにしました。

悪人」でご一緒させてもらった樹木希林さんからは、ヒットしたら天狗になる、こけたら落ち込むというのではなく、あるがままを受け入れなさいよ! と教わった気がします。「力むな、力んだって面白いことは出来ないんだから。力まないでいれば、良いものが来た時にパッと捕まえられるでしょ?」って。

樹木希林さん(2012年に撮影)
樹木希林さん(2012年に撮影)

希林さんはマネージャーを置かなかったので、オファーの連絡をするとご本人が電話に出るわけです。「企画のご相談なのですが、脚本を送ってもいいですか?」「宅急便の人がピンポンピンポンうるさいから嫌なのよ。なんてタイトルなのよ?」「『悪人』という作品なんですが…」「うーん、じゃあ、それやるわ!」というやり取りで、出演が決まりました(笑)。

普通の俳優であれば、脚本を読んでから他の出演者などを確認し、企画の可能性を見定めながら決めていく。ただ一方で、大事なものを掴み損ねているんじゃないか。希林さんは力まずにいることで、大事なものをスッと捕まえてきたんでしょうね。タイトルを聞いただけで、どんな役かも、どんな物語かも確認せずに出演を決めるって、そういう事なんだろうなあ。僕はそんな仙人みたいな境地にはとても及びませんが、そういうやり取りをさせて頂くことで、力まずに映画を作ってこられたと思っています。


画像12
■効率との折り合いのつけ方
――村上春樹氏が、著書「職業としての小説家」(スイッチ・パブリッシング刊)で、「想像力の対極にあるもののひとつが『効率』」と綴っています。川村さんのマルチな活躍ぶりを見るにつけ、どう効率と折り合いをつけているのか知りたくなります。

川村:僕は、バランスを取っていないんです。バランスの取れているものって、面白くないじゃないですか。いかにアンバランスを作るか。現場にそういう状況を作って撮ることもあるし、完璧に計算し尽くして撮ったものを意図的に編集や音楽でリズムを壊すこともあります。

効率良く進めても、予定通りにいってしまったら、僕は空いた時間で変なものを撮って、それを混ぜることで作品を壊しにかかると思うんです。アクシデント待ちというか、散々準備してアクシデントを待つみたいなところがあると思います。


■真似出来ない是枝裕和監督の演出
――Netflixドラマ「舞妓さんちのまかないさん」では、是枝裕和監督と初タッグとなりました。これは劇場公開作品として想定していたんですか?

川村:この作品は「京都・ご飯」というキーワードがあって、美術や食が生きてくる企画。女性プロデューサーの発案で、連ドラとしてやったら面白いんじゃないかと考えていたので、Netflixを前提とした作品です。僕としては初めての連ドラ作品となります。

画像13(C)小山愛子・小学館/ STORY

是枝監督で、撮影が近藤龍人さん、美術が種田陽平さん、音楽が菅野よう子さんですから、ほとんど映画の作り方なのですが。

――是枝監督と間近で接してみて、新たな引き出しを手に入れる事は出来ましたか?

川村:是枝さんが凄いのは、子どもたちやエキストラさんなど、俳優ではない人を俳優にしてしまう演出力。これって圧倒的に「自分なら演出出来る」という自信がないと取れないチョイスだと思うんです。新たな引き出しを開けてしまうというか、あれはちょっと真似出来ません。

それと、巨匠たちってパルムドールを受賞しようが、変わらず成長する努力を惜しまない、自分の伸びしろを探している気がします。是枝さんも、フランスや韓国へ行って撮ることで、自分の未開発だった能力の芽吹きというものを体験している印象があります。先輩たちがそういう努力を続けているわけですから、安穏となんかしていられません。


■「すずめの戸締まり」に感じる手応え
――今後の話についても、お聞かせください。11月には、新海誠監督との3作目「すずめの戸締まり」が控えています。

川村:今回は、日本列島がテーマです。日本中を旅しながら災いが出て来る扉の“戸締まり”をしていく女の子・すずめの物語。

僕らが暮らす日本という国の形って縦に長い。島々で分断されているようで、それでも繋がっているものって一体何だろう。日本人であること、島国に住んでいることをとことん突き詰めると、世界で起きている分断と繋がるのかもしれない……、という要素がベースとしてありました。

画像14(C)2022「すずめの戸締まり」製作委員会

これだけ大きなテーマから入る映画作りというのは、刺激的です。最初から多くの人が観ることを前提にした作品づくりというのを、宮崎駿さんと鈴木敏夫さんはずっと続けてきたんだろうなあ……、と思わずにはいられません。「すずめの戸締まり」は、物語としてこれまでで一番面白いと、Vコンテを見た人の多くが言っています。新海さんは、ストーリーとしてある種の到達点に行き着いたんじゃないかと思います。


■アニメ以外の企画がほとんどない状態
――「舞妓さんちのまかないさん」は来年配信ですね。その後はどのような動きを想定していますか?

川村:僕の中で、アニメを除いて企画がほとんどない状態に突入します。何をするんでしょうね……。

でもまあ、何かしら出てくると思います。僕にもやっと、「待つ」という力が付いてきたのかもしれません。脚本家として仕事をしなかったのは、きっと「ドラえもん」が待っていたから。監督をしなかったのは、きっと「百花」が待っていたから。だから、必然なんでしょうね。

配信プラットフォームが浸透した時代に、僕らは映画館のために何を作るのかを考えていかなければならない。時代の変化に対応しながら、なおかつパフォーマンスを発揮することが求められていきます。

画像15

第1線で活躍する監督たちも20年選手、30年選手時代に突入しています。ここから新しい才能が出てこないとまずいし、僕も含めて今いる選手たちもアップデートを続けていかなければならない。

かつて30代の自分に小説を書くという行為を課したように、40代は撮るということでいかにアップデート出来るのか。そして撮るとなったら、真剣に映画館で映画を見せることのアドバンテージを考えていったわけです。この考えを追求していくことで、まだまだ発見はあると思っています。


全7回の集中連載、いかがでしたでしょうか。「誰も知らない100の企み」と銘打ちましたが、「100」では収まりませんでした。川村氏は、とことん自分と向き合い、常に新人になれる場所を探し、自己模倣にならないよう肝に命じながら40本の映画を作り続けました。

いまは手持ちの企画がないと取材時には話していましたが、きっと既に新たな企画を動かし始め、脚本も執筆しているに違いありません。そして、再び映画ファンを「あっ!」と驚かす企画の中に「100」の先にあるものを潜ませているはずです。

クールなようでいて、実は人間臭さも持ち合わせた川村氏が、40代をどう走り抜け、円熟味を増した50代に如何に突入していくのか――。そして、「50問50答」で触れていましたが、まだ撮ったことのない時代劇にどういうテーマを見出し、どのタイミングで挑戦するのか。進捗があり次第、映画.comで詳細をご紹介させていただきますので、ご期待ください。

執筆者紹介

大塚史貴 (おおつか・ふみたか)

X(Twitter)

映画.com副編集長。1976年生まれ、神奈川県出身。出版社やハリウッドのエンタメ業界紙の日本版「Variety Japan」を経て、2009年から映画.com編集部に所属。規模の大小を問わず、数多くの邦画作品の撮影現場を取材し、日本映画プロフェッショナル大賞選考委員を務める。

Twitter:@com56362672


川村元気 の関連作を観る


Amazonで関連商品を見る

関連ニュース

映画.com注目特集をチェック

関連コンテンツをチェック

シネマ映画.comで今すぐ見る

それでも夜は明ける

それでも夜は明ける NEW

第86回アカデミー作品賞受賞作。南部の農園に売られた黒人ソロモン・ノーサップが12年間の壮絶な奴隷生活をつづった伝記を、「SHAME シェイム」で注目を集めたスティーブ・マックイーン監督が映画化した人間ドラマ。1841年、奴隷制度が廃止される前のニューヨーク州サラトガ。自由証明書で認められた自由黒人で、白人の友人も多くいた黒人バイオリニストのソロモンは、愛する家族とともに幸せな生活を送っていたが、ある白人の裏切りによって拉致され、奴隷としてニューオーリンズの地へ売られてしまう。狂信的な選民主義者のエップスら白人たちの容赦ない差別と暴力に苦しめられながらも、ソロモンは決して尊厳を失うことはなかった。やがて12年の歳月が流れたある日、ソロモンは奴隷制度撤廃を唱えるカナダ人労働者バスと出会う。アカデミー賞では作品、監督ほか計9部門にノミネート。作品賞、助演女優賞、脚色賞の3部門を受賞した。

aftersun アフターサン

aftersun アフターサン NEW

父親と2人で過ごした夏休みを、20年後、その時の父親と同じ年齢になった娘の視点からつづり、当時は知らなかった父親の新たな一面を見いだしていく姿を描いたヒューマンドラマ。 11歳の夏休み、思春期のソフィは、離れて暮らす31歳の父親カラムとともにトルコのひなびたリゾート地にやってきた。まぶしい太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、2人は親密な時間を過ごす。20年後、当時のカラムと同じ年齢になったソフィは、その時に撮影した懐かしい映像を振り返り、大好きだった父との記憶をよみがえらてゆく。 テレビドラマ「ノーマル・ピープル」でブレイクしたポール・メスカルが愛情深くも繊細な父親カラムを演じ、第95回アカデミー主演男優賞にノミネート。ソフィ役はオーディションで選ばれた新人フランキー・コリオ。監督・脚本はこれが長編デビューとなる、スコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズ。

HOW TO HAVE SEX

HOW TO HAVE SEX NEW

ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。

愛のぬくもり

愛のぬくもり NEW

「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。

卍 リバース

卍 リバース NEW

文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。

痴人の愛 リバース

痴人の愛 リバース NEW

奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。

おすすめ情報

映画ニュースアクセスランキング

映画ニュースアクセスランキングをもっと見る

シネマ映画.comで今すぐ見る

他配信中作品を見る