連休はアカデミー受賞作をイッキ見! 今すぐ自宅で見られる受賞作品をご紹介
2021年5月2日 11:00
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4月26日(現地時間25日)に第93回アカデミー賞の授賞式が開催されました。今年の授賞式は限られた人数ではありますが、授賞式はオンラインではなく対面形式で実施され、スターたちが一同に集まる姿を見ることができました。
今年はさらに、発表の順番も通常と異なっていました。例年だと最後に作品賞・監督賞の発表となるところを、主演女優賞・主演男優賞の発表が最後になるという驚きの演出。これは昨年亡くなったチャドウィック・ボーズマンさんの受賞を見越しての演出だと言われておりましたが、実際に主演男優賞を受賞したのは、「ファーザー」で認知症の父親を演じたアンソニー・ホプキンス。色々と驚きのある授賞式となりました。
また、今年はNetflixやAmazonが作成したオリジナルネット配信映画が多く受賞・ノミネートし、話題の作品が手軽に自宅で鑑賞できるという、新しいオスカーの楽しみ方ができます。なかなかお出かけが難しいゴールデン・ウィークとなってしまいましたが、ご自宅でアカデミー受賞作を一気見するというのはいかがでしょうか?
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「Mank マンク」 (2020年制作/132分/デビット・フィンチャー監督)
全編モノクロで描かれる本作の美しさが高く評価を受け、アカデミー賞では美術賞と撮影賞の2部門を獲得した「Mank マンク」はNetflixで視聴可能です。
「ソーシャル・ネットワーク」「ゴーン・ガール」の鬼才デビッド・フィンチャーがメガホンをとり、「ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男」のオスカー俳優ゲイリー・オールドマンが、不朽の名作「市民ケーン」の脚本家ハーマン・J・マンキウィッツを演じています。
1930年代のハリウッド。「市民ケーン」の仕上げに追い込まれた脚本家マンクが、アルコール依存症に苦しみながらも、ハリウッド黄金期の光と影に翻弄されつつ、名作を生み出していく舞台裏が描かれています。
ほかにも、作品・監督・主演男優・助演女優・衣装デザイン・音響・メイクアップ&ヘアスタイリング・作曲と全10部門にノミネートされるほどあらゆる点で評価の高い作品です。1回目はストーリーを楽しみ、2回目は細部のこだわりまで隅々と見ながらなんていかがですか?
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「ヴェノム」「ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー」のリズ・アーメッドが主演し、聴覚を失ったドラマーの青年の葛藤を描いたドラマ。「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ 宿命」の脚本家ダリウス・マーダーが、監督と脚本を務めました。
主人公ルーベンを演じたアーメッドと、ろう者のコミュニティの主催者ジョーに扮したポール・レイシーが、それぞれアカデミー主演男優賞、助演男優賞にノミネートされました。
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ドラマーのルーベンは、恋人ルー(オリビア・クック)とロックバンドを組み、トレーラーハウスでアメリカ各地をめぐりながら、ライブに明け暮れる日々を送っていた。しかしある日、ルーベンの耳がほとんど聞こえなくなり、医師から回復の見込みはないと告げられ、自暴自棄に陥ってしまう。
ルーは元ドラッグ依存症のルーベンが、再びドラッグに走ることを心配し、ろう者の支援コミュニティへの参加を勧める。最初は拒んでいたルーベンだったが、コミュニティで暮らす日々のなかで、ありのままの自分を受け入れようとする。
昨年までの音響編集賞と録音賞が統合された音響賞を受賞した本作。耳をつんざく大音量のメタルサウンドで幕を開け、ルーベンとルーの穏やかな生活音のひとつひとつが丁寧にすくい上げられたかと思うと、観客はルーベンとともに、耳鳴り、そして無音状態を体感し、彼の絶望をまざまざと感じることになります。
豊かな音に溢れた世界から、すべてが遠く隔たったような、聴覚が失われた世界へ。「聞こえるということ」の尊さが胸に迫り、「聞こえないということ」までもが耳を刺激してくるような、一生忘れられない映画体験になるはずです。
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1927年のシカゴを舞台に、“ブルースの母”と称される実在の歌手マ・レイニーと彼女を取り巻く人々を描いた群像劇。ジョージ・C・ウルフ監督(「サヨナラの代わりに」)が、「フェンス」の原作者として知られる劇作家オーガスト・ウィルソンの戯曲を映画化しました。
「フェンス」のオスカー女優ビオラ・デイビスがマ・レイニーを演じ、「ブラックパンサー」の故チャドウィック・ボーズマンさんが、マ・レイニーのバックバンドに所属するトランペット奏者レヴィーに扮し、本作が遺作となりました。デイビスとボーズマンさんはそれぞれアカデミー主演女優賞、主演男優賞にノミネートされました。
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シカゴのある録音スタジオで、人気歌手マ・レイニーのレコーディングが始まろうとしていた。4人組バックバンドのひとりであるトランペット奏者レヴィーは野心に燃え、他のメンバーたちと揉めごとを起こす。やがて遅れて到着したマ・レイニーは、白人のプロデューサーらと主導権をめぐって激しく対立し、スタジオは緊迫した空気に包まれる。
戯曲を原作に、レコーディングスタジオに集う人々の濃密な人間関係が描かれた物語。それぞれのキャラクターから溢れ出すとめどない言葉のなかに、過去、そして今も日常的に続いている差別の影がちらつき、やがて思いもよらない悲劇が起こります。
本作はアカデミー賞の前に、メイク&ヘアスタイリスト組合賞で2冠に輝き、米衣装デザイナー組合賞(時代劇部門/映画)を獲得するなど、ビジュアル面で高い評価を受けました。
そして強く印象に残るのは、ボーズマンさんが演じたレヴィーというキャラクター。夢を叶えるため白人プロデューサーに曲を売りこむも搾取され、白人に激しく痛めつけられたすさまじい過去を胸に秘める、複雑な役どころ。病と闘いながら本作に参加し、ボーズマンさんが情熱と狂気を全身から発して作り上げた魂の演技を、目撃してください。
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「カールじいさんの空飛ぶ家」「インサイド・ヘッド」でアカデミー賞長編アニメーション賞に輝いたピート・ドクター監督がまたも同賞を受賞したのは、人間が生まれる前の「ソウル(魂)」の世界を描いたファンタジー・アドベンチャー作品です。
ニューヨークに暮らし、ジャズミュージシャンを夢見ながら音楽教師をしているジョー・ガードナーは、ついに憧れのジャズクラブで演奏するチャンスを手にする。しかし、その直後に運悪くマンホールに落下してしまい、そこから「ソウル(魂)」たちの世界に迷い込んでしまう。
そこはソウルたちが人間として現世に生まれる前にどんな性格や興味を持つかを決める場所だった。ソウルの姿になってしまったジョーは、22番と呼ばれるソウルと出会うが、22番は人間の世界が大嫌いで、何の興味も見つけられず、何百年もソウルの姿のままだった。生きる目的を見つけられない22番と、夢をかなえるために元の世界に戻りたいジョー。正反対の2人の出会いが冒険の始まりとなるが……。
アニメ界のアカデミー賞と言われるアニー賞やゴールデン・グローブ賞の最優秀長編アニメーション映画賞も獲得し、今年のアニメの賞レースを制覇しました。
ジャズをテーマにした本作は、作曲賞も獲得。「ソーシャル・ネットワーク」でアカデミー賞で作曲賞を受賞したトレント・レズナーとアティカス・ロスが再タッグし、そこにTVのパーソナリティなども務めるジョン・バティステが加わり、作品の世界観を音楽の力でより広げてくれています。
「なんのために生きるのか」「生きがいとはなんだろう」と誰もが一度は立ち止まって考えるテーマを、ソウルたちのとても魅力的でファンタジーな世界の中で、改めて問いかけてくれる作品です。映画を見終わったあと、世界が少しきらめいて見える、そんな気持ちにさせてくれると思います。
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南アフリカの美しい海で、一匹のタコと映像作家の男性の出会いから1年間の軌跡を描いた長編ドキュメンタリー。ドキュメンタリーはあまりみないという方でも、この映画の中で語られるドラマ性はきっと目が離せなくなる作品です。
映像作家のクレイグ・フォスターは人生に疲れ、癒しを求めて南アフリカの海に潜る日々を送っていた。そんなある日、海中で1匹のタコに出会った彼は、その驚異的な生態に魅了され、毎日そのタコのもとへ通い始める。クレイグはタコとの特別な絆を築いていく中で、自らの人生を見つめ直していく。
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クレイグがタコについて語るとき「彼女」という言葉で愛しそうに語る姿に見ているこちらもどんどんその魅力にハマり、少しずつタコの表情を感じることができます。また、タコとサメの攻防など息を飲むような展開につい前のめりで鑑賞してしまう自分がいました。
南アフリカの美しい海とそこに生きる生命たちの神秘的な美しさは見ているだけでどこか遠くの世界に迷い込んだような気持ちにもさせてくれます。水族館などもなかなかいけないGWですが、ステイホームしながら海の生態を子どもと一緒に楽しむというのはいかがでしょうか?
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「トイ・ストーリー4」の原案や「セレステ∞ジェシー」の脚本で知られる俳優のウィル・マコーマックと、同じく俳優・脚本家として活動するマイケル・ゴビアが監督を務めた本作。
スケッチ風のシンプルなイラストで綴られた12分の物語は、セリフがひとつもない作品ですが、胸が締め付けられ、気づいたら涙を流していました。たった12分に込められたメッセージに皆さんはなにを感じますか?
短編実写映画賞を獲得したのは、白人警官に殺され続けるタイムループにはまった黒人男性の戦いを描いたSFドラマです。人気ラッパーのジョーイ・バッドアスが主演を務めています。
一夜をともにした女性の部屋で目覚めたグラフィックデザイナーのカーターは、愛犬の世話をするため自宅へ帰ろうとする。しかし路上で遭遇した警官メルクに所持品検査を強要され、抵抗すると地面に押さえつけられ窒息死に追いやられてしまう。意識を失った瞬間、カーターは再び女性の部屋で目を覚ますが、帰ろうとするとやはりメルクに遭遇し、今度は射殺されてしまう。自分がタイムループにはまり込んだことに気づいたカーターは、メルクに殺される運命からどうにか抜け出そうとするが……。
何度も白人警官に殺される主人公のカーターがはじめに殺されるのは、警官に押さえつけられての窒息死。これを見た瞬間にジョージ・フロイドさんの名前が浮かんだ人もきっと多いと思います。2020年の5月に警察官の拘束行為で亡くなった黒人男性の名前です。この作品は、彼だけでなく丸腰の状態で警官により死亡に至らしめた黒人たちの名前が最後にクレジットされます。
カーターがどんな努力をしても何度でも警官に殺される悪夢のような繰り返しを見ていると、常にこの危険性を感じている人々の恐怖を感じました。更に、白人警官のあるセリフにただただ背筋が凍り、この問題の解決は一体どこにあるのだろうかと無力感すら感じます。
連休だからこそ、ゆっくりとBLM(ブラック・ライブズ・マタ―)や世界の問題に目を向ける時間をとってみるのはいかがでしょうか?
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