座頭市と用心棒

劇場公開日:

解説

子母沢寛の原作を「肉弾」の岡本喜八と、「二代目若親分」の吉田哲郎が共同執筆した脚本を、岡本が監督したシリーズ第二十作。撮影は「尻啖え孫市」の宮川一夫が担当。

1970年製作/79分/日本
原題または英題:Zatoichi Meets Yojimbo
配給:大映
劇場公開日:1970年1月15日

ストーリー

血に飽いた市の心に、三年前の蓮華沢の里が故郷のように横切った。しかし、市が来てみると、里の平和は小仏の政五郎の暴力に踏みにじられていた。座頭市が来たことを知った政五郎は、用心棒の浪人・佐々大作に百両で市殺しを頼んだ。用心棒は、盲の按摩が相手だと知ると断ったが、百両の金に釣られて承知した。しかし、対決して市が只者でない事を知った用心棒は一笑して「バケモノ」と言い、市も「ケダモノ」とつぶやいた。二人は、再度の勝負を約して酒をくみ交した。居酒屋の女将梅乃は、市にはなつかしい人だった。やがて凶状持ちの市は番所からの呼出しで牢に入れられた。市を牢から出してくれたのは、小仏一家に対抗してこの里に君臨する政五郎と生糸問屋の烏帽子屋弥助だった。弥助宅に腰を落ちつけた市を見て、政五郎は、用心棒に早く市を殺ってくれと頼んだ。それにつけ込んで用心棒は二百両に値上げを要求した。その頃弥助が莫大な金のノベ棒を隠しているという噂が流れた。政五郎らはやっきになって、そのありかを探した。折から短筒の名人・九頭竜が、烏帽子屋に草鞋を脱いだ。そんな折、八州廻りの役人・脇屋陣三郎が来て、弥助宅に立ちより、何か相談して帰っていった。それを怪しいと睨んだ用心棒は陣三郎の帰途を待伏せるが、先に陣三郎一行を斬り捨てたのは、九頭竜だった。九頭竜は、跡部九内という公儀隠密で、先に金の一件を探りに送りこまれた用心棒の仕事が遅いので、やって来たのだった。その秘密を跡をつけていた市が知り、用心棒と市は組んで金のありかを探すことにした。烏帽子屋弥助のもう一人の息子・御金改役・後藤三右衛門が江戸から、大目付の目を逃れてきた。翌朝一方、小仏一家と烏帽子屋の対立は険悪になり、乱闘が始まった。斬り合いは果しなくつづき、殴り込んだ用心棒に、三右衛門は斬りかかったが、斬っ先が狂って父・弥助の肩口に斬り込んでしまった。弥助は幽魂のように歩き、市がからくりを見破って地蔵から出した金粉の山に辿りつくと、彼を追ってきた三右衛門を刺し、弥助自身も九頭竜の短筒に倒れた。駆けつけた用心棒に九頭竜は静かに筒先を向けた。彼も金の亡者になったのだ。そして用心棒をかばった梅乃が肩を射たれた。用心棒は九頭竜を倒し、深傷の梅乃を手当てをすると、吹雪の中に市と対決した。市の仕込杖は、折れ、用心棒の太股に刺さった。とその時、梅乃が助かったとの知らせで、二人は刀を引いた。風に吹かれて、飛び散る黄金の山を懸命にさぐる市の手が用心棒の手に触れた。二人はニヤッと笑い合って、吹雪の中を背を向けて歩き出した。

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映画レビュー

4.0大映と東宝の大スター対決に岡本喜八を注入したキメラ作

2024年9月30日
PCから投稿

大映の看板シリーズだった「座頭市」の20作目は、なんと東宝が誇る「用心棒」との対決もの!って、三船敏郎はちょっとゲスト出演するくらいのつもりだったらしいが、気がつけばガッツリW主演状態。出で立ちやキャラはほぼ桑畑三十郎や椿三十郎と変わらない、設定とかを考えれば、一応は別人と考えたほうがよい。

正直いって、「座頭市」シリーズとしても、「用心棒」シリーズの系列としてもかなりの異色作だろう。岡本喜八の念頭にはジョン・ヒューストンの『黄金』があったようだが、金に目がくらんだ面々のみっともない奪い合いに座頭市も用心棒も参戦し、さらには岸田森演じる謎の浪人が3人目の主人公レベルで目立ちまくり、勢力図は入り組んでややこしい。

しかし、二大怪獣対決みたいな看板さえあれば、シリーズの伝統とかシランガナとばかりに枠をはみ出しまくる破天荒なパワーがあって、しかも撮影は天才・宮川一夫。娯楽映画ってこれくらいムチャクチャでいいですよね!とクビがもげるほど頷きたくなる快作にして怪作。

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村山章

4.01970年封切

2024年11月19日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:TV地上波

笑える

悲しい

幸せ

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keebirdz

3.0食い合わせ?消化不良?! 贅沢過ぎ、盛り込み過ぎの食あたり気味超大作

2024年11月7日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

興奮

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TRINITY:The Righthanded Devil

3.5【座頭市の腰を低くし刀を腰の後ろに構える不動の居合スタイルと、用心棒の大剣で面を狙い、小剣で突きを狙う王道スタイルがぶつかる剣劇。若尾文子さんの美しさが華を添える作品。】

2024年8月31日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

怖い

興奮

ー 勝新太郎と三船敏郎と言う当時の二大スターが夢の対決を果たした剣劇。-

◆感想

・座頭市シリーズは、一作位見ていたかと思ったが、鑑賞記録を観ると一切ない。けれど座頭市の腰を低くし刀を腰の後ろに構える不動のスタイルは、知っている。何故かなあ。
 マア、年代的に生まれていないのだから、後年どこかで刷り込まれたのであろう。

・それにしても、勝新太郎と三船敏郎の剣を操るスピードには恐れ入る。VFXが無い時代だから、修練の賜物なのかな、と思う。

・物語もナカナカ凝っていて、ストーリー展開は読めるのだが(二人とも、大スターだから相打ちかなあ、と思っていたらそのとうりだった。)それでも面白いのである。

・この作品に華を添えているのは、矢張り梅乃を演じた若尾文子さんの、気の強い姿である。私が見た若尾文子さんの役柄は、皆気が強い女性である。
 そして、大スターが死去しても若尾さんは現代でも存命である。

<今作が面白かったので、(と言うか、資料を見ると今作は座頭市シリーズ一のヒットだそうである。
 だが、どーも座頭市シリーズの中にはもっと面白い作品がある気がする。
 時間がある時に探してみようと、たった今、決断した。(大袈裟。)
 それにしても、昭和の映画って令和の時代に観ると結構リアルに残虐なシーンが多い気がする。実際の事件も残虐なモノが有ったみたいだし・・。>

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NOBU