【ネタバレ解説】「ドライブ・マイ・カー」がより面白くなる11の裏話
2022年2月9日 12:00
村上春樹氏の小説を西島秀俊主演、濱口竜介監督で実写映画化した「ドライブ・マイ・カー」。世界中で極めて高く評価されており、第94回アカデミー賞では日本映画史上初となる作品賞と脚色賞をはじめ、監督賞、国際長編映画賞と4部門でのノミネートを果たしました。
そこで本記事では、既に作品を鑑賞した人はもちろん、まだ鑑賞ができていない人も絶対に知っておきたい、“本作がもっと面白くなる11の裏話・トリビア”を映画.com編集部でまとめました。
2022年2月9日時点の受賞歴や、映画化された経緯、主要ロケ地が韓国から広島に変更された舞台裏、西島秀俊らキャスト&スタッフの詳細、使用された車などの小道具、印象的に登場する演劇作品などなど……。
これを読めば、「ドライブ・マイ・カー」がもっと面白くなる!
舞台俳優で演出家の家福悠介は、脚本家の妻・音と幸せに暮らしていた。しかし、妻はある秘密を残したまま他界してしまう。2年後、喪失感を抱えながら生きていた彼は、演劇祭で演出を担当することになり、愛車のサーブで広島へ向かう。そこで出会った寡黙な専属ドライバーのみさきと過ごす中で、家福はそれまで目を背けていたあることに気づかされていく。
本作は大部分の撮影を広島で行い、その他にも、東京、北海道、韓国などがロケ地に選ばれている。広島フィルム・コミッションでは、第74回カンヌ国際映画祭での4冠獲得を祝し、グーグルマップを活用したデジタルロケ地マップ(https://www.hiroshimafc.jp/news/detail.php?id=53)を作成している。その一部を紹介しよう。
家福が演出を手掛ける広島国際演劇祭の会場として登場。広島平和記念公園敷地内にある国際会議場で、丹下健三が1955年に設計した「広島市公会堂」を、1989年に建て替えている。公共建築百選にも選出。また、平和記念公園は、家福と役者たちが野外稽古を行う場面でも利用されている。
家福が広島滞在中に宿泊する場所として登場する、瀬戸内海に浮かぶ大崎下町の港町。江戸時代から天然の良港として栄え、明治、大正、昭和初期には多くの建造物が建てられた。なお、家福の宿泊場所としては、同地の「閑月庵新豊」が使用されている。
みさきのお気に入りの場所として登場する、実在のごみ処理施設。設計は、世界的建築家・谷口吉生。広島市内から伸びる吉島通りの終点で、瀬戸内海に面した場所にある。建物中央には「エコリアム」と呼ばれる貫通道路。これは、通りの起点である広島平和記念公園から瀬戸内海までを遮ることなく繋いでる。
高槻が宿泊しているホテルとして撮影。最上階のバーでは、家福と高槻が今亡き音について話し合うシーンも行われた。
家福が手掛ける「ワーニャ叔父さん」のオーディション、台本の読み合わせ、リハーサルシーンなどの撮影に利用。
全ての始まりは、濱口監督とプロデューサー・山本晃久氏が「寝ても覚めても」に続く次回作を検討していた時のこと。当時、山本プロデューサーは村上春樹氏の短編を提案している(「ドライブ・マイ・カー」とは別作品)。だが、同短編での企画開発は難航。そんな中で、濱口監督は2013年に知人から教えてもらった小説「ドライブ・マイ・カー」の存在を思い出す。
同作には「“声”について非常に真実と思えることが書いてあった」という。濱口監督は、最も心に残った部分も明かしている。それは高槻というキャラクターの言葉を表現しているものだ。
「高槻という人間の中にあるどこか深い特別な場所から、それらの言葉は浮かび出てきたようだった。ほんの僅かなあいだかもしれないが、その隠された扉が開いたのだ。彼の言葉は曇りのない、心からのものとして響いた。少なくともそれが演技でないことは明らかだった。」
「ハッピーアワー」を作るためのワークショップでは、上記のテキストについて触れている。高槻の言葉は演技ではない。では、そんな言葉が、声が、どうすれば演技として出るのか――その思考と経験を思い出した濱口監督は、山本氏に「ドライブ・マイ・カー」の映画化を打診。2019年2月にプロットを作成し、村上氏に手紙とともに送っている。内容に関するリアクションはなかったが、製作の許可が下りたのだ。
原作となった「ドライブ・マイ・カー」は、「女のいない男たち」と題し、文藝春秋で連作された短編小説の1作目だ。のちに、同作を含む6編を収録した短編小説集「女のいない男たち」(文春文庫刊)として発売された。この小説集は、バラク・オバマ元米大統領が「2019年のお気に入りの本」に挙げたことでも話題になっている。
映画化に際しては、「ドライブ・マイ・カー」とともに、同短編集に収録されている「シェエラザード」「木野」のエピソードも反映された。「シェエラザード」からは、音と名づけられた家福の妻の人物像を立体的にするために、そして「木野」は「ドライブ・マイ・カー」(原作)で家福が向かう“その先”を指し示していると濱口監督は感じとったようだ。同2作のモチーフを使用するため、濱口監督は手紙で村上氏に打診。こちらも問題なく許可が下りている。
劇中では、2つの舞台が上演されている様子が映し出されている。ひとつは、サミュエル・ベケットが1952年に発表した2幕からなる戯曲「ゴドーを待ちながら」。存在不確かな“ゴドー”という人物を、2人組のホームレスが永遠に待ち続けるという設定が、人生の不条理さを浮かび上がらせる。同作は、共同脚本・大江崇允の“一番好きな演劇”でもある。
もう一方は、多言語演劇として物語の中核を成してくる「ワーニャ叔父さん」。ロシアを代表する作家アントン・チェーホフによる四大戯曲のひとつとして知られ、「田園生活の情景」を副題に持ち、4幕構成となっている。絶望に陥り、苦悩しながらも“死”ではなく“生”を選び取っていく登場人物たち。人生とは、幸せとは何かを観客に問いかける内容だ。
濱口監督とチェーホフ作品と縁は深く、「寝ても覚めても」の劇中には名作「三人姉妹」が取り入れられている。原作に「ワーニャ叔父さん」のタイトルを見つけ、不思議な縁を感じた濱口監督は、同作のテキストの強度に圧倒された。「ワーニャと家福がシンクロし始めるような事態が、自分の中で起こりました。巻き込まれていくような感覚でしたね」(濱口監督)。結果として「ワーニャ叔父さん」は、もうひとつの原作とも言えるほどの存在感を放つことになった。
多言語演劇では、韓国、台湾、フィリピン、インドネシア、ドイツ、マレーシアからオーディションで選ばれたキャストが参加。そのなかでも手話による表現が異彩を放つ。かつて、聴覚障がい者の映画祭に参加した濱口監督。そこではメイン言語は、当然手話となり、濱口監督は外国人になったかのような感覚を抱いた。また、その場で認識させられたのは「(手話者間では)手話=非常にスムーズにコミュニケーションが取れる言語」ということ。その光景を見ていると「ただ異文化交流をしているだけで、障がい者と健常者という捉え方をしているのは間違っているのではないか」という気がしてきたそうだ。それ以降、手話が持つ魅力に惹かれた濱口監督。今回、多言語演劇を取り扱ううえで、ひとつの“言語”として取り入れてみせている。
濱口監督にとって、西島は20代の頃から好きだった俳優のひとり。あるインタビュー記事において、西島が「寝ても覚めても」を称賛していたようで、その思いが通じたような感覚を抱いた。家福役の決め手となったのは「村上春樹の世界との親和性」だ。自分を出し過ぎず、決して率直さを失わない人柄が、村上流の主人公像全般のイメージと近かったのだ。
西島は「中学、高校時代だったと思いますが、当時から爆発的な人気がありましたし、そこからずっと読んでいます」と語るほどの“村上春樹ファン”。念願とも言える役どころになった。濱口監督との“繋がり”は、2000年に開催された特集上映「カサヴェテス2000」にさかのぼる。「僕はそこで人生が変わるほどの衝撃を受けました。その場にいらっしゃった濱口監督も同様の衝撃を受けたと仰られていました」(西島)。そんな2人が再び出会い、共に映画を作る――この点に運命を感じざるを得ない。
キャストに恵まれた撮影だった――濱口監督は、そんな思いを抱いている。三浦を意識し始めたのは、「偶然と想像」製作時に行っていたオーディションでの出会い。聡明な人物という印象を受けつつも「頭のよさが世の中を斜めに見たり、『こんなもんだろう』と低く見積もる方にいってなくて、自分や周囲を良くしていく知性がある」という観点が、みさき像に重なった。オーディション終了後は、思わず「あぁ、みさきがいた」と感じてしまったほどだ。
岡田に関しては、西島と共通する人柄の良さを感じ取っていた(公開タイミングの舞台挨拶では、岡田の人の良さ、純朴さについて、西島も言及している)。だからこそ、観客にとって“内面がよくわからない”高槻という役どころは難しい。しかし、濱口監督は、前述の「高槻という人間の中にあるどこか深い特別な場所から、それらの言葉は浮かび出てきたようだった」という点を、岡田であれば演じられると確信。「自分の深いところから声を出せるような生き方をしてないと、演じることはできない。岡田さんはちゃんとそういう、真実がある人だと感じています」(濱口監督)。映画の後半、岡田が“深いところ”から引っ張り出した言葉は、劇中屈指の名シーンを生み出している。
霧島に託されていたのは、音という人物の「分からなさ」。この要素が作品を引っ張っていく。濱口監督は、異例のリハーサルを依頼した。それは西島とともに「若い頃の家福と音がどんな様子だったのか」というものを、撮影とは別に演じさせるというもの。また、劇中には重要な絡みのシーンも存在する。濱口監督はリハーサルの段階から「嫌と思うことが現場であれば何でも言ってください」と伝え続け、霧島が難色を示した際は、撮影をストップする覚悟も秘めていた。しかし、霧島は一度も現場を止めることはなく、彼女の演技にスタッフ、キャストは感動を覚えたようだ。
「ドライブ・マイ・カー」では、日本人キャストだけでなく、海外から参加した俳優陣にも着目して欲しい。多言語演劇「ワーニャ叔父さん」で韓国手話を使用するイ・ユナを演じたのは、1993年生まれ、韓国出身のパク・ユリムだ。ドラマを中心に活躍する若手女優で「第3の魅力 終わらない恋の始まり」「推理の女王2 恋の捜査線に進展アリ?!」「ただ愛する仲」「初恋は初めてなので」「ロマンスは別冊付録」「ブラックドッグ 新米教師コ・ハヌル」、Netflixドラマ「キングダム」などに出演。西島は、彼女との共演シーンをこのように振り返っている。
西島「ユリムさんは、相当練習されたようで、当然本読みも手話で行うわけです。そこでは感情を込めずに、セリフを手話で表現していく。やがて、ここに感情を込めていくと、ものすごくセリフが伝わってくるんですよ。(手話では)表情も大事な情報ではありますが、機械的に行っていたものが、ここまで変わってしまうものなのかと。とあるシーンでは、相対する形ではなく、僕が本人の目線で“手話を見る”場面があるのですが……これは一体何なのだろうなと。(意味の)伝わり方がすごかったんですよね。本当に素晴らしかったです」
ドラマトゥルク兼韓国語通訳を務めるコン・ユンス役を演じたのは、1981年生まれ、韓国出身のジン・デヨン。演劇を中心に活躍する舞台俳優で、韓国で上演された「オセロ」「ミラクル」「その男、その女」「彼女を信じないでください」などに参加。映画では「折れた矢」(チョン・ジヨン監督)、「あの山の向こう(原題)」(チェ・ジョンテ監督)などに出演している。
高槻と深く関わっていく台湾人ジャニス・チャンを演じたのは、台湾出身のソニア・ユアン。米カリフォルニア大学サンタバーバラ校を卒業後、中国のテレビドラマを中心に活動。「完美関係(原題)」「大唐女法医 Love&Truth」「鳳凰伝 永遠の約束」「私が大王!?愛しいあなたは我が家臣」、映画では「アイランド 一出好戯」(ホアン・ボー監督)に出演を果たしている。
家福の愛車として登場する「サーブ900」は、主要登場人物のひとりと言ってもいいだろう。スウェーデンの航空機メーカー「SAAB(サーブ」が1937年に設立した自動車部門のブランドであり、当時は航空機のフォルムを応用した独創的なデザイン、機能が話題となった。日本では80年代に輸入されて人気を博したが、2017年にブランドが消滅。約70年の歴史に幕を下ろしている。
原作小説での設定は、黄色の「サーブ900コンバーチブル」。映画では風景の映える赤い車体の「サーブ900ターボ」のサンルーフが使用されている。
「ドライブ・マイ・カー」は、濱口監督、キャスト陣は言わずもがな、彼らを支え続けたスタッフにも光が当てられるべき作品である。何故ならインタビューの場で、西島がこのような発言をしていたからだ。
西島「通常は、照明の光が目に入ってしまうことがあります。それによって、目の前にいる相手の顔が見えなくなることも。車中での会話であれば、もう少し大きな声で話す必要性があったりもする。それは当たり前の話で、どうしても技術的に不可能な場合があるんです。でも『ドライブ・マイ・カー』では、そういうことが一切なかった。照明の高井大樹さんは、俳優の視界を遮るようなことはされませんでしたし、撮影の四宮秀俊さんは『本番、行きます』と言われれば、すぐに対応ができる。録音部からは『もう少し大きな声で』と言われたことは1度もなかった。小さな嘘の積み重ねを無くしていく。その結果、真実が映り込む。現場全体に『嘘をつくのをやめていこう』という意識がありました。演技の範囲が決まっていないのに、どこに移動してもいいんですよ。この点には非常に驚きました。美術、技術パートの方々には、頭が下がるばかりです。本当にすごい現場でした」
どのようなスタッフが関り、「ドライブ・マイ・カー」という傑作が生まれたのだろうか。ここではプロデューサー、脚本、音楽、撮影、照明のプロフィールを紹介する。
「彼女がその名を知らない鳥たち」「寝ても覚めても」「スパイの妻 劇場版」などを手掛け、第25回新藤兼人賞プロデューサー賞、第45回エランドール賞プロデューサー奨励賞を受賞。「山田孝之のカンヌ映画祭」「恋のツキ」「全裸監督(シーズン2)」といったドラマも企画・制作している。近作は「ボクたちはみんな大人になれなかった」。
近畿大学で舞台芸術を学んだ後「旧劇団スカイフィッシュ」を旗揚げ。演出や俳優として舞台作品に携わる。映画監督作には「美しい術」(CINEDRIVE2010監督賞)、「適切な距離」(第7回CO2グランプリ)、ドラマ参加作品では「君は放課後、宙を飛ぶ」(演出)、「恋のツキ」(脚本)などがある。
音楽家。映画音楽の制作をきっかけにソロ作品を作り始める。映画「夏美のホタル」「アルビノの木」、アニメ「無限の住人 IMMORTAL」、劇団マームとジプシーの演劇作品、シドニーの「Art Gallery of NSWの「Japan Supernatural」展などの音楽を担当。近年では、海外フェスティバルへの参加、海外レーベルからの作品リリースなど、活動範囲は多岐に渡る。
映画美学校の初等科・高等科を経て、撮影助手として映画やMVなどの撮影に参加。その後、カメラマンとなる。撮影を手掛けた作品は「Playback」「きみの鳥はうたえる」「ミスミソウ」「さよならくちびる」「宮本から君へ」「佐々木、イン、マイマイン」など。第41、42回ヨコハマ映画祭撮影賞を受賞している。
映画美学校で映画製作を学び、照明助手として「私の男」など数々の現場に参加。照明を手掛けた作品に「殺しのはらわた」「土竜の祭」「シュシュシュの娘」「しあわせのマスカット」「バイプレイヤーズ もしも100人の名脇役が映画を作ったら」などがある。
本作の撮影は、2020年3月に新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて中断。その後、脚本をリライトし、舞台も変更したうえで、同年11月に撮影を再開している。当初、撮影の大部分を予定していたのは、韓国・釜山。その方針を変えて、撮影の中心地となったのは広島だった。
ロケ地選びで意識されたのは、映画のテーマに関わる「車が走れる場所」。ただ走れるだけでなく「良いカメラポジションを見つけられるか/用意できるか」という点が重視されていた。原作小説の舞台は、東京だ。しかし、東京では車の走行シーンを“自由に撮る”ことができない。この“自由さ”を求めて、韓国・釜山が候補地にあがっていた。
濱口監督「大部分を韓国・釜山で撮るということで最初のプロットが始まっていたので、海外での撮影が実現しなかったことは残念だったし、脚本や設定を変えなきゃいけないというのは、もちろん大変だったんですけど、結果的に広島という場所に巡りあえた」
韓国から広島へ――。濱口監督は「そのロケーションの素晴らしさが十分に画面に収められたということ、広島という場所が与える雰囲気みたいなものを得られたことは大きかった」という。西島もこのようなことを語っている。
西島「コロナによる自粛期間、これはたまたまですが、役とリンクするものがありました。本作は、ある出来事をきっかけに人生が断絶してしまった男の話。僕たちが日本で経験したことが映し出されていると思います。それと、日本の最北端まで実際に車を走らせていることで“今の日本”というものをとらえています。『風の電話』(諏訪敦彦監督)も同様ですが、現実の風景がしっかりと映っているということは大きいことだと思うんです。海外の方が見れば“今の日本”を感じとることができますし、もっと先に視線を移せば、普遍的な感覚を得られることだってできるはず。過剰に何かを表現したり、フィクション度がものすごく高いというわけではないですから、実際に人々が感じていることを伝えられているのではないでしょうか。広島で撮影ができたことも重要なことです。悲劇が起き、世界中からたくさんの人が学びに訪れている国際的な場所。そこでロケができたということは、この作品が成立する大事な要素だったと思っています」
広島市のフィルムコミッションの協力体制も万全だったようで、都市部、瀬戸内海の島々での撮影が実現している。
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