大泉洋が大好きだ! 編集部が愛するおすすめ主演映画7選 「新解釈・三國志」金ロー放送記念【映画.comシネマStyle】
2022年1月21日 22:00
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毎週テーマにそったおすすめ映画をご紹介する【映画.comシネマStyle】。
日本テレビ系「金曜ロードショー」では、本日1月21日に大泉洋と福田雄一監督がタッグを組み、興行収入40億1000万円を記録した大ヒットコメディ「新解釈・三國志」が放送中。大泉さんは愚痴と文句しか言わない劉備玄徳という、まさに福田監督流に“新解釈”されたキャラクターをコミカルに演じています。そこで今週は、映画にもドラマにもバラエティ番組にも引っ張りだこの俳優・大泉洋を特集。変幻自在な魅力を堪能できる、編集部が愛するおすすめの主演映画7本を、ご紹介します。
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▽【“巻き込まれ型の男”、でも実は…?】内田けんじ監督ワールドでミステリアスなキャラクターに
「アフタースクール」(2007年/102分/内田けんじ監督)
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監督を務めたのは、劇場長編デビュー作「運命じゃない人」で第58回カンヌ国際映画祭4冠という快挙を達成した内田けんじ。練り込まれた脚本と卓越した構成力で描かれるサスペンスコメディです。
母校で働く中学校教師・神野(大泉)のもとに、かつての同級生だと名乗る見覚えのない男(佐々木蔵之介)が現れる。現在は探偵だという彼は、同じく神野の同級生で親友の木村(堺雅人)を探していた。神野は成り行きから木村の捜索に協力することになる。
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大泉さんが演じているのは、親友・木村を追う探偵に利用される“巻き込まれ型の男”。しかし、ポスターにもある「甘くみてるとダマされちゃいますよ」の言葉通り、物語が進むにつれ、それぞれの登場人物の驚くべき一面が見えてくるのです。探偵に「ちゃんと説明してくれよ」と訴えながら振り回される神野もまた、例外ではありません。一見お人好しながらも、腹の内が読めない飄々としたキャラクターは、まさに大泉さんのはまり役。後に、雑誌廃刊を免れるために奔走する切れ者編集長という、自身に当て書きされた役を演じた「騙し絵の牙」にも通じる演技のエッセンスを感じることができます。
ミステリアスなキャラクターを体現した大泉さん、佐々木さん、堺さんのほかにも、「新解釈・三國志」でコンビを組むムロツヨシさんや、2021年に結成25周年を迎えた演劇ユニット「TEAM NACS」で大泉さんとともに活動する音尾琢真さんも出演します。どんな役を演じているのかチェックしてみてください。
キャスト陣の好演も素晴らしいですが、やはり内田監督による先の読めない緻密な脚本に唸ります。伏線や仕掛けの面白さだけではなく、キャラクターたちの心の奥底に秘めた思い(観客にとっては、この感情もひとつの「騙し」になっている)が動き出す人間ドラマが土台としてしっかりと機能している、全ての要素が高いレベルで調和した秀逸な1本です。
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▽【バーをこよなく愛する探偵】故郷・北海道で3割増しに躍動感溢れて見えるハッスルぶり
「探偵はBARにいる」(2011年/125分/PG12/橋本一監督)
「探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点」(2013年/119分/PG12/橋本一監督)
「探偵はBARにいる3」(2017年/122分/吉田照幸監督)
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作家・東直己氏のデビュー作「探偵はバーにいる」を1作目とする「ススキノ探偵シリーズ」を映画化した3部作。札幌の歓楽街ススキノにあるバー「ケラー・オオハタ」を根城にしている携帯電話を持たない探偵の“俺”が、さまざまな事件に巻き込まれ、解決していくハードボイルド作品です。主人公の探偵を演じるのは、北海道出身の大泉さん。空手の達人で、探偵のピンチを何度となく救う相棒の高田を松田龍平さんが演じています。
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いつものようにケラー・オオハタで飲んでいる探偵のもとに、コンドウキョウコと名乗る女性から「ある男に会い、彼にひとつ質問してほしい」という依頼が舞い込む。簡単な依頼のはずが、探偵は直後に命を狙われ、不可解な事件に巻き込まれていく。
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友人だったオカマのマサコちゃんが殺害される事件が発生するが、警察の捜査は遅々として進まない。探偵が調査を始めると、事件の背後にカリスマ政治家の影がちらつく。時期を同じくして、マサコちゃんが大ファンだった美人バイオリニストの弓子が現れる……。
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相棒の高田が、探偵に人探しの依頼を持ち込んでくる。失踪した女子大生・麗子に関する調査を始めたふたりは、モデル事務所の謎めいた美人オーナー、マリに翻ろうされ、いつしか大きな事件に巻き込まれていく。
熱狂的なファンが多くいる「ススキノ探偵」シリーズを映画化するに際し、これほどの適任者はいないと感じさせる絶妙なキャスティングだったのではないでしょうか。何せ、主演は北海道が生んだスターですから。
探偵は、なかなか面倒臭い人物です。弁が立つうえに、へそを曲げたら機嫌をもとに戻すのに一苦労。そんなキャラクターを、大泉さんは実に魅力的に演じられています。ホームタウンで撮影という地の利もあるのでしょうね。アクションのキレ、躍動感ともに普段の3割増しくらいに見えます。
今作の見どころといえば、探偵が桐原組の若頭・相田(松重豊)から受ける理不尽な拷問シーンが挙げられます。大倉山でジャンプスキーに挑戦させられたり、第3弾では雪が舞うなかパンツ一丁で漁船に縛り付けられ、沖へ……。このシーンを楽しみにしているファンは少なくないはずですが、過去の取材(https://eiga.com/movie/86302/interview/)で大泉さん本人も楽しんでいることを明かしてくれています。
また、共演陣の顔ぶれも実に映画的です。相棒役の松田さんは言わずもがな、北海道日報の記者・松尾役の田口トモロヲさんも絶妙な雰囲気を醸し出しています。そして、毎回どこか哀愁を漂わせるミステリアスなヒロインも登場します。1作目は小雪さん、2作目は尾野真千子さん、3作目は北川景子さん。彼女たちに探偵がどう絡んでくるかというのも、見どころと言えるでしょう。個人的には、2作目で大暴れした尾野さんが大泉さんと抜群の掛け合いを披露しているシーンには、ニヤニヤ笑いが止まりません。
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さらに、原作ファンの目線から見たキャスティングの答え合わせを楽しむことができます。1作目では佐山を波岡一喜さんが演じているとともに、野村周平さんが則天道場塾生に扮していたのを覚えていますか? 第2弾では渡部篤郎さんがカリスマ政治家・橡脇、ゴリさんが殺害されるマサコちゃんを熱演しています。
橋本一監督から吉田輝幸監督へバトンタッチとなった第3弾では、失踪する女子大生の麗子を前田敦子さんが担っているほか、原作でも重要な役割を果たすモンローに、鈴木砂羽さんが息吹を注ぎました。冷酷非道な北條をリリー・フランキーさんが嬉々とした面持ちで体現していますし、波留役の志尊淳さんの身のこなしも見ごたえ充分です。
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原作は足掛け20年近く続き、12作に及びますから、今後も映画化しようと思えば魅力的なエピソードはまだまだあります。ただ、物語のなかで探偵は、年齢を重ねていくごとに体重増加が顕著になります。
5年前の取材で、大泉さんは「太るって、年を取ってからやると膝を壊すし、体が絶対におかしなことになるでしょう? デ・ニーロアプローチとか言っていますけど、難しいですよ。見た目が太ることはなくとも、今後も僕はずっとやり続けていきたい」と話してくれています。第4弾製作決定の報、首を長くして待ちたいですね。
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▽【タイムスリップするマジシャン】大泉洋の“静と動”の演技を堪能できる1本 劇団ひとり監督との初タッグ作
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お笑いタレントの劇団ひとりが、自身の書き下ろし小説を初監督で映画化。売れないマジシャンの男が40年前にタイムスリップし、生き別れたはずの両親との出会いを通して自分の出生の秘密を知っていく姿を描きます。
39歳の売れないマジシャンの晴夫(大泉)は、母に捨てられ、父とは絶縁状態。ある日、父の訃報を聞いて絶望した晴夫は、気がつくと40年前の浅草にタイムスリップしていた。そこで若き日の父・正太郎(劇団ひとり)と母・悦子(柴咲コウ)と出会い、スプーン曲げのマジックで人気マジシャンになった晴夫は、父とコンビを組むことに。やがて母の妊娠が発覚し、10カ月後に生まれてくるはずの自分を待つ晴夫は、自身の出生の秘密と向き合うこととなる。
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明るいキャラクターからコメディ作品も多い大泉さんですが、個人的にはドラマ作品での“泣き”の芝居に引き込まれます。本作は、表情や立ち振る舞いで晴夫のこれまでの人生を想像させる“静”の演技が光るだけでなく、鼻水を垂らしながら泣くシーンや、父親に思いをぶつける場面の“動”の演技との対比で、“役者・大泉洋”のすごさを存分に堪能することができます。
劇団ひとり監督のこだわりもあり、マジックのシーンはノースタント。大泉さんが実際に披露しているそうです。インタビュー(https://eiga.com/movie/78999/interview/)によると、あるマジックのシーンでは劇団ひとり監督が24テイクでOKを出したのに対し、大泉さんは続行を直訴し86テイクを数えたとか。腱鞘(けんしょう)炎になっていても、それを一切口にしなかったという大泉さんの人柄も伝わるエピソードです。
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本作を鑑賞した後は、劇団ひとり監督と再タッグを組んだNetflixの映画「浅草キッド」もおすすめ。ビートたけしさんの師匠・深見千三郎さんを演じているのですが、劇団ひとり監督によると、「青天の霹靂」を見返して「大泉さんの深見千三郎を見てみたい」と思ったことからキャスティングにつながったとのこと。前作から7年、役者としてより深みが増した大泉さんの姿に注目してください。
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▽【売れない漫画家、趣味はクレー射撃】イケてない日常を送る男でも、世界が変わればヒーローになれるのか?
「アイアムアヒーロー」(2016年/127分/R15+/佐藤信介監督)
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花沢健吾氏のベストセラーコミックを、大泉さん主演で実写映画化したパニックホラー。続編の公開も決まった「キングダム」の佐藤信介監督と、「アンナチュラル」「MIU404」などドラマでの評価も高い脚本・野木亜紀子さんがタッグを組んでいます。
鈴木英雄(大泉)は、漫画家を目指しながらもアシスタントとして働く日々を送り、長年付き合っている彼女の徹子(片瀬那奈)にも見捨てられる。そんな時、新型ウイルスが蔓延。感染した人々は「ZQN(ゾキュン)」と呼ばれるゾンビとなり、人々を襲うようになる。何とか生き長らえた英雄は、道中で出会った女子高生の比呂美(有村架純)とともに、郊外のアウトレットパークへと避難するが……。
漫画の新人賞を獲得するも、その後なかなか芽が出ず、それでも大きな夢を持ち必死に漫画家への道にすがりつく主人公・英雄。「英雄(えいゆう)と書いてひでおです」という自己紹介をするんですが、その何とも自信なさげな表情が、その自己紹介自体を白々しくさせてしまいます。
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そんな彼の趣味で特技は、クレー射撃。しかしそんな特技を披露する場所なんて、日本にはなかなかないのですが、まさかの日本全土にゾンビが蔓延。もうここは「英雄、出番ですよ!」と、ドラえもん映画ののび太さながらの活躍を期待するじゃないですか。しかし、そこは内気で妄想癖が激しくどうにもパッとしない英雄、銃を持って出ても銃刀法を言い訳に、一切取り出そうとすらしないんです。
どうにもかっこ悪い英雄ですが、女子高生・比呂美との出会いで徐々に変化していきます。自分の書いていた漫画のキャラクターさながら彼女を守るため奮起……はするものの、人ってそんなに急には変われない。何とも頼りない感じですが、少しずつ勇気を出して立ち向かおうとする英雄を、だんだん応援したくなるんです。そして気づくと、得意の散弾銃を構える英雄をみて小声で「かっこいい」と呟いていました。散弾銃をぶちかます大泉さんに惚れてください!
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▽【腹の底が一切読めない辣腕編集長】あなたは何回ダマされる!? クセモノたちが繰り広げる出版生き残り合戦
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「罪の声」などで知られる作家・塩田武士氏が、主人公に大泉さんをあてがきして執筆したベストセラー小説を映画化。「桐島、部活やめるってよ」「紙の月」の吉田大八監督がメガホンをとり、松岡茉優さん、佐藤浩市さん、宮沢氷魚さん、池田エライザさんらが共演しました。
出版不況にあえぐ大手出版社「薫風社」の社長が急逝し、次期社長をめぐる権力争いが勃発。次期社長候補の専務・東松(佐藤)による大改革で、雑誌は次々と廃刊を迫られる。窮地に立たされたカルチャー誌「トリニティ」の編集長・速水(大泉)は、クセモノぞろいの上層部、作家、同僚の陰謀が渦巻くなか、生き残りを賭けた大逆転の奇策に打って出る。
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大泉さんをイメージして生み出された主人公・速水は、お調子者と見せかけて、その裏では緻密に計算し、隙あらば周囲を出し抜こうと狙う怜悧狡猾な男。何を考えているのか全く読めませんが、ひょうひょうとした態度と、天性の人たらしぶりが大泉さん自身と重なり、絶妙なハマりぶりを見せます。
舞台は、不況にあえぐ老舗出版社。雑誌の出版継続をかけて、速水をはじめ、クセモノたちが狐と狸の化かし合いを繰り広げるのですが、その攻防が面白い! 相手を出し抜いてほくそ笑んだ次の瞬間、裏をかかれたり、実はそれは狙い通りに過ぎなかったり。フィクションなので誇張はありますが、出版業界が直面する問題に鋭く切り込んだ“お仕事ムービー”としても見ごたえがあります。
そして、豪華キャストの演技合戦も大きな見どころ! 大泉さんはもちろん、松岡茉優さん、國村隼さん、佐藤浩市さん、リリー・フランキーさん……日本映画界を牽引する名俳優が相乗効果で物語を盛り上げます。どのキャラクターも腹に一物ある人間ばかりなので、きっとあなたも1回……いや2回はダマされるはず! 巧妙なストーリーと痛快なラストに、思わず「ヤラれた~~!!」と唸ってしまうこと請け合いです。
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