運命じゃない人

劇場公開日:

解説

2005年カンヌ国際映画祭 批評家週間正式出品作品。サスペンスなのに、ハートフル、まったく新しいニッポン的エンターテインメントムービー。監督は本作が劇場用長編デビュー作となる内田けんじ。「WEEKEND BLUES」がPFFアワード2002にて企画賞(TBS)とブリリアント賞(日活)をダブル受賞。第14回PFFスカラシップの権利を獲得し、本作を制作した。出演は、「ジョゼと虎と魚たち」「花とアリス」など多くの日本映画に出演している中村靖日、テレビを中心に活躍中の霧島れいか、「ハッシュ!」「火火」の山中聡、ベテランの山下規介、テレビ、モデル、ラジオと幅広く活躍中の板谷由夏ら。

2004年製作/98分/日本
配給:クロックワークス

ストーリー

この日、ボクの家のドアは3回開いた…17:00。勤務中のサラリーマン宮田武(中村靖日)。パソコンで別れた彼女・あゆみ(板谷由夏)の写真を見ては、ため息をついている。20:00。宮田がマンションに帰宅した途端、携帯が鳴った。親友で私立探偵の神田(山中聡)からだ。飯を食おうと神田が言うが、疲れている宮田は外出するのを渋っている。しかし神田から「大事な話がある。あゆみちゃんのことだ」と言われた途端、勢いよく家を飛び出していった。21:00。婚約破棄となり、二人で住む家を出てきた桑田真紀(霧島れいか)。婚約指輪を質屋に持って行ったが3500円にしかならず、一人入ったレストランはカップル、家族、友達同士でにぎわっている。寂しさがこみ上げて今に泣きそうだ。同じレストランの中。宮田が待っていると神田が遅れてやってきた。「あゆみのことって?」と切り出す宮田。すると神田は「街で偶然会った。近々結婚するらしい」と告げる。あゆみはある日、結婚前提で購入したマンションから突然姿を消してしまったままだった。宮田は、そんなひどい仕打ちをされたのに、あゆみが気がかりで仕方がない様子だ。いつまでも女々しい宮田に神田は、あゆみのことは忘れて新しい出会いを探すようにと言い、急に後ろのテーブルで一人座っている女(すなわち、真紀)に声をかける。3人は一緒に食事をすることになった。自己紹介が終わり、神田がトイレに立つが、なかなか戻ってこない。宮田が心配して探しに行くと神田の姿はどこにもなく、携帯に電話をすると「急に仕事が入った」と切られてしまう。初対面の真紀との会話に緊張しながらもなんとか食事を終え、店を出て、真紀を送ろうとするが、真紀は、一緒に暮らしていた恋人との婚約が破棄になり家を出たため、帰るところがないという。宮田はそんな真紀を放っておくことができず、自分の家に泊まってはどうかと提案する。人の良さそうな宮田に安心した真紀はその申し出を受け入れ、二人は宮田の家に向かった。01:00。マンションに到着し、宮田は真紀を寝室へ案内する。部屋の隅にあるダンボールを真紀が不思議そうに眺めていると、宮田がそれは前の彼女・あゆみのものだと説明する。そして、あゆみとのこれまでの経緯を真紀に話す。宮田に同情し、思わず彼を抱きしめてしまう真紀。ぎこちない空気が流れるところへ、玄関のチャイムが鳴った。やってきたのはなんと行方知れずだったあゆみが現われる。戸惑う宮田に、あゆみは悪びれもせず、荷物を取りに来ただけと言い、ズカズカと上がりこむ。そんな自分勝手なあゆみの態度に、真紀はたまらず宮田の家を出て行ってしまう。宮田はすぐに後を追いかけ家に戻るように説得するが、それでも真紀はタクシーに乗ってしまう。しかし宮田は走り出したタクシーを全速力で追いかけ、勇気を振り絞り、真紀に電話番号を教えてほしいとお願いする。当惑する真紀だったが、真剣な宮田の表情に根負けし、電話番号を書いた紙を差し出す。宮田にとってはちょっと勇気を出した一晩。しかし実は彼を取り巻く人々、真紀、神田、あゆみ、そして、あゆみの現在の恋人である浅井(山下規介)の視点から見た一晩はまったく違う夜だった。複雑な人間関係に、浅井の金2000万円が加わり、事態は誰も予想がつかない方向へと転がっていた。

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映画レビュー

4.0【”内田けんじ監督、新作作ってくれないかな・・。”序盤から張られた伏線の見事な回収を含めて、練りに練ったオリジナル脚本が秀逸な作品である。】

2023年1月17日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

楽しい

知的

幸せ

ー 内田けんじ監督は、劇場で10年以上前に劇場で「鍵どろぼうのメソッド」を鑑賞し、余りの出来栄えと今までにない邦画のテイストにビックリし、慌ててレンタルビデオ屋に馳せ参じ(というのは大袈裟だが)「アフタースクール」を鑑賞し、ストーリーテリングに唸った方である。
  だが、この「運命じゃない人」はレンタルビデオには無く、「鍵どろぼうのメソッド」を鑑賞してから10年後に漸く、配信で鑑賞する事が出来た。僥倖である。-

■宮田(中村靖日)は、豪華なマンションを購入した後に、突然姿をくらました元婚約者・あゆみ(板谷由夏)のことを心配するほど人の好い男。
 そんな彼のため、親友で探偵の神田(山中聡)がレストランで寂しそうに食事をしている恋人に逃げられ、婚約指輪を3500円で売ったばかりの真紀(霧島れいか:うわわわ・・、「ドライブ・マイ・カー」で主人公、家福の美しくも謎めいた妻、音を演じた方である。)をナンパする。
 意気投合した宮田と真紀が宮田の家へ行くと、行方知れずだったあゆみが突然現れて、置いてあった荷物を取りに来たと言って宮田の家に入ってくる。-

◆感想

・内田けんじ監督のお得意の、前半は表面的な事実を平板に意図的に描きつつ、中盤から序盤に仕掛けられた伏線の、同時並行していた物語を絡ませつつ、回収していくテクニックと序盤の中村靖日、霧島れいから俳優陣の自然体の演技が、効いている。

・内田けんじ監督作品の魅力は、その作品構成の見事さの中に、”人間性肯定”の根本思想がある所である、と思う。
 あゆみも、真紀も真なる悪人ではない。
 浅井組組長も、札束の両側だけ本物の一万円札を付けて、部下に見栄を張る愛らしき男である。

<内田けんじ監督は「鍵どろぼうのメソッド」以降、短編一作を除いて、長編を製作されていない。事情があるのであろうが、今作を観ると矢張り、新作を観たいと思ってしまう。
 練りに練ったオリジナル脚本が見事な作品である。>

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NOBU

4.0トラップの連続

2023年1月10日
iPhoneアプリから投稿

素晴らしい展開で「あっ」という間のエンドロールでした。ストーリーのスピード感は圧巻でした。
面白かったです。

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tuna

5.0宮田さんが大好きになりました。

2022年10月3日
Androidアプリから投稿

特に前半が好きです。
種明かしの部分はもちろん、おもしろいし、すごい脚本だなとは思いつつ、私は前半だけで十分でした。(それではこの映画のほんとのすごさはわからないよな、と思いつつ)

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M

4.0脚本がうまく伏線回収がお見事。 クスクス笑える感じが好き。

2022年1月23日
iPhoneアプリから投稿

脚本がうまく伏線回収がお見事。
クスクス笑える感じが好き。

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せーじ
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