【今日もイケメン、明日もイケメン】ティモシー・シャラメ、ルーカス・ヘッジズ、ベン・ウィショー…7月公開の新作映画でイケメンを先取り!
2020年7月3日 18:30

[映画.com ニュース] 映画.com編集部で自他ともに認める“イケメン”大好き部員Mが、イチオシの“イケメン”映画俳優を紹介する「今日もイケメン、明日もイケメン」企画! 第8回はMに代わり編集部員Tが、7月に映画館で会えるイケメン俳優をピックアップしました。

7月のイケメン映画ライフを華々しくスタートさせてくれるのは、本コラムの第7回でも特集したティモシー・シャラメ。彫刻のような完璧な美貌の中に高い演技力が息づく若手実力派です。公開中の「ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語」に続き「レイニーデイ・イン・ニューヨーク」で、早くもシャラメとスクリーンで再会できるのです!
「アニー・ホール」「ミッドナイト・イン・パリ」の名匠ウッディ・アレンがメガホンをとった、雨が降るニューヨークが舞台のラブコメディ。アレン作品は贅沢なキャスティングも魅力のひとつですが、本作でもシャラメを主人公に、エル・ファニング、セレーナ・ゴメス、ジュード・ロウ、ディエゴ・ルナ、リーブ・シュレイバーの豪華共演が実現しました。
大学生のカップル、ギャツビー(シャラメ)とアシュレー(ファニング)は、ニューヨークでロマンティックな週末を過ごそうと計画中。生粋のニューヨーカーであるギャツビーは、有名な映画監督にインタビューするため久々にマンハッタンを訪れるアシュレーに、街を案内したくてたまりません。しかし、予期せぬ雨の魔法によって、ふたりの計画は瞬く間に狂い始め――。

シャラメが扮したギャツビーは、成金の両親に反発する、モラトリアム真っ只中の青年。アレン作品で監督自身を投影した主人公は、とにかく悩みの種が尽きず、自分ででっち上げた(!?)病気を患っていたりしますが、ギャツビーも例に漏れずちょっと面倒臭いヤツ。早口でしゃべりながら、自分のアイデンティティやアシュレーとの関係について、とことん悩み続ける姿を、シャラメがお茶目に演じ上げています。
ギャツビーは天真爛漫なガールフレンド・アシュレーに夢中で、ニューヨークでの過ごし方をあれこれ(テンション高めに)提案しますが、アシュレーはランチをまさかのドタキャン。雨のニューヨークをとぼとぼ彷徨っていたところ、友人が作る学生映画の撮影現場に遭遇し、飛び入り参加でキスシーンを演じることに。キスの相手役として、元カノの妹・チャン(ゴメス)と再会します。ただでさえ傷心気味なのに、チャンに「(姉から)あなたとのキスは10段階の4だったと聞いたかも」と容赦ない毒舌を浴びせられ、もうボロボロ……。タイプの違うアシュレー&チャンに翻ろうされる、ちょっと情けなくて放っとけないシャラメを、たっぷり堪能できます。

一方で、古き良きニューヨークを好むロマンティスト・ギャツビーの胸キュンシーンもしっかりと用意されているのでご安心を! 「君の名前で僕を呼んで」で見事なピアノの腕前を披露したシャラメが、本作ではメランコリックな失恋ソング「Everything happens to me」をチャンに弾き語り。憂いに満ちた表情で響かせる切なげな歌声に、思わずうっとり……。理想のデートを空想するチャンとの会話や、メトロポリタン美術館でのデートも最高にロマンティックです。ともに雨降りが好きで、心を寄せ合うふたりの雨の中のキスシーンはとっても幻想的。絵画のような美しさに目を奪われてしまいます。筆者としては最高に甘いキスだと思いましたが、チャンの評価が気になるところ。

続いて、豪華アーティストによる31の名曲が彩る愛の物語「WAVES ウェイブス」のルーカス・ヘッジズ。「マンチェスター・バイ・ザ・シー」で第89回アカデミー賞の助演男優賞にノミネートされ、一躍ハリウッドの若手トップ俳優の仲間入りを果たし、テリー・ギリアム監督(「ゼロの未来」)やグレタ・ガーウィグ監督(「レディ・バード」)など、著名な監督から引っ張りだこに。
繊細な演技と作品選びの確かな審美眼で、今後も「ハニーボーイ」「mid90s ミッドナインティーズ」などの話題作が控える、映画ファンであれば今押さえておくべき俳優のひとり。フィルモグラフィに並ぶ良作たちが、彼の高い演技力とクリエイターからの絶大なる信頼の証なのです!

「WAVES ウェイブス」は、アカデミー賞の作品賞を獲得した「ムーンライト」や話題作「ミッドサマー」などを送り出す気鋭の映画スタジオA24と、トレイ・エドワード・シュルツ監督(「イット・カムズ・アット・ナイト」)のタッグ作。キャラクターたちの心に寄り添う珠玉のサウンド、自由自在なカメラワーク、スクリーンを支配する美しい色彩を交え、傷ついた若者たちが、新たな一歩を踏み出すまでの物語が展開します。
劇中では、成績優秀なレスリング部のエリート選手・タイラー(ケルビン・ハリソン・Jr.)が起こしたある事件により、家族がばらばらになっていくさまが容赦なく描かれます。そんなタイラーの妹で、心を閉ざすエミリー(テイラー・ラッセル)に救いの手を差し伸べるのが、ヘッジズ扮する青年ルーク。すべての事情を知りながらも、エミリーを傷付けないよう、そっと寄り添います。

そんなルークの不器用な優しさが表れているのは、学校でひとりぼっちのエミリーにデートを申しこむシーン。視線をさまよわせ緊張気味な様子で、「後で一緒に何かかじろうよ」とダイナーへと誘います。誘い方がかわいすぎる上に、会話の終わりにポケットから取り出したキャンディをエミリーに手渡し、そわそわしているところも……初々しくて最高にキュート! この誘い文句とキャンディに、ノックアウト確実です。
迎えた初デートでは、はにかみながらも「君はとても美人だ」とストレートに伝えてくれます。エミリーにとってルークは“再生”の象徴。いつも穏やかな笑顔で、必要な時に必要なことを真っ直ぐに言ってくれるルークは、いつしか大切な存在に……。会話を重ね距離を縮めていくふたりのシークエンスに、心が満たされていきます。そして、タイラーと同じくレスリング部に所属するルークの、たくましい腕にもご注目。エミリーを抱きしめたり、おんぶしたりと、全てから守ってくれそうな腕に惚れ惚れしてしまいます。

そんなヘッジズの映画デビュー作は、ウェス・アンダーソン監督の「ムーンライズ・キングダム」。ボーイスカウトのいじめっ子を演じていたあどけない少年が、こんなに立派に成長したのか……! と、感慨もひとしお。気になる素顔は真面目かつ謙虚で、SNSは一切やらない主義だという古風(!?)な一面も。多彩なインディーズ映画を駆け抜ける彼の今後から、目が離せません。

最後は、「007」シリーズで主人公ジェームズ・ボンドを支えるQ役でおなじみのベン・ウィショーの新作「リトル・ジョー」をご紹介しましょう。“幸せになる香り”を放つ新種の植物“リトル・ジョー”が巻き起こす恐怖と混乱を描いたボタニカルスリラー。第72回カンヌ国際映画祭を震撼させ、主演エミリー・ビーチャムが女優賞を受賞した注目作です。

バイオ企業で働く研究者のアリス(ビーチャム)は、息子のジョーと暮らすシングルマザー。人に幸福をもたらす画期的な植物リトル・ジョーを開発し、仕事にのめり込みながらも、息子と向き合えていない罪悪感を抱いていました。ある日、ジョーへの贈り物として、彼女にとってもうひとりの息子とも言えるリトル・ジョーを一鉢自宅に持ち帰ります。しかし、花の香りを嗅いだジョー、花粉を吸い込んだアリスの助手クリス(ウィショー)が奇妙な行動をとるようになり、アリスは次第にリトル・ジョーへの疑念に囚われていきます。

まずお伝えしなければいけないのは、「インテリ×ベン・ウィショー」は至高の組み合わせだということ! 「007」シリーズではMI6(英国諜報部)の秘密兵器開発担当・Q役で世界中の女子のハートを射止めましたが、本作ではリトル・ジョーの開発に勤しむ研究員役を務め、几帳面に植物の世話をするクールな白衣姿を披露しています。真紅の花リトル・ジョーを中心に、ビビッドな色調で、怪しくも美しい耽美な世界観に誘われる本作。どこか現実感を欠いた、お伽噺のような物語の中で、クリスの得体の知れなさが独特の存在感を放っています。

注目は、人間の心を支配していくリトル・ジョーがもたらすクリスの変化。少し不器用でシャイなクリスは、上司のアリスに淡い恋心を寄せていますが、仕事と育児に追われ余裕のない彼女につれなくされてしまいます。そんなアリスの不安に寄り添い、奥手ながらも距離を縮めようとする必死な姿が愛おしい! いつもアリスを見守り、子猫のようにすり寄っていく姿に、母性本能をくすぐられます。
そして一転、リトル・ジョーの花粉を吸いこんだ後は「はっきりとはわからないが、どこかおかしい」という不穏でセクシーな佇まいが、アリスを追いつめていきます。偶然にも、女性の香りに取り憑かれ道を踏み外していく調香師グルヌイユを演じた初主演映画「パフューム ある人殺しの物語」も、“香り”の狂気にまつわる物語。柔らかな物腰の中に、グルヌイユを彷ふつとさせる危険な眼差しがのぞき――ウィショーの変幻自在な演技が楽しめる1本です。
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