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映画「ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語」 ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語
劇場公開日:2020年6月12日
解説
「レディ・バード」のグレタ・ガーウィグ監督とシアーシャ・ローナンが再タッグを組み、ルイザ・メイ・オルコットの名作小説「若草物語」を新たな視点で映画化。南北戦争時代に力強く生きるマーチ家の4姉妹が織りなす物語を、作家志望の次女ジョーを主人公にみずみずしいタッチで描く。しっかり者の長女メグ、活発で信念を曲げない次女ジョー、内気で繊細な三女ベス、人懐っこく頑固な末っ子エイミー。女性が表現者として成功することが難しい時代に、ジョーは作家になる夢を一途に追い続けていた。性別によって決められてしまう人生を乗り越えようと、思いを寄せる隣家の青年ローリーからのプロポーズにも応じず、自分が信じる道を突き進むジョーだったが……。ローリーを「君の名前で僕を呼んで」のティモシー・シャラメ、長女メグを「美女と野獣」のエマ・ワトソン、末っ子エイミーを「ミッドサマー」のフローレンス・ピュー、4姉妹の母をローラ・ダーン、伯母をメリル・ストリープが演じるなど豪華キャストが集結。第92回アカデミー賞では作品賞はじめ計6部門でノミネートされ、衣装デザイン賞を受賞した。
2019年製作/135分/G/アメリカ
原題:Little Women
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
スタッフ・キャスト
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2020年6月22日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会
オルコットの半自伝的小説「若草物語」が原作。舞台となった19世紀半ばのアメリカで、女性はまだ社会的弱者であり、作家志望のジョーを含む四姉妹が社会の偏見や圧力に向き合い抗いながら成長する姿を描く。
そんな主題を継承する表現者としてグレタ・ガーウィグは最適だ。元々劇作家志望で、美人女優の立場に甘んじることなく脚本や共同監督などで製作にも関わり続け、「レディ・バード」で単独監督デビューし絶賛された。未婚のパートナー、ノア・バームバックとの間に子をもうけ、ウディ・アレンの「ローマでアモーレ」に関して「(性的虐待の)事実を知っていたら出演しなかった」と語るなど、生き方や発言に強さを感じさせる。
多様性が謳われマイノリティーの社会的受容が進んだとはいえ、#MeTooやBLMが示すように差別や不平等の現実は中々変わらない。そんな今、単なる女性映画に留まらず、普遍的な人間賛歌として観られるべき傑作だ。
2020年6月11日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会
本作は、本年度のアカデミー賞で「作品賞」を含め、脚色賞、 主演女優賞(シアーシャ・ローナン)、助演女優賞(フローレンス・ピュー)、作曲賞、衣装デザイン賞の主要6部門にノミネートされ、衣装デザイン賞を受賞しています。
見どころは多いのですが、まずは、何と言っても超豪華キャスト共演でしょう。主演の次女役のシアーシャ・ローナンはアカデミー賞の常連ですし、長女役のエマ・ワトソン、4女役でアカデミー賞にノミネートされたのは「ミッドサマー」の主演でも話題となったフローレンス・ピュー。そして、4姉妹の母親を本年度アカデミー助演女優賞を受賞(「マリッジ・ストーリー」)したローラ・ダーン、さらには4姉妹の伯母をメリル・ストリープという最強の布陣。加えて、男優も「君の名前で僕を呼んで」で脚光を浴びてアカデミー主演男優賞にノミネートされた、いま最も旬と言えるティモシー・シャラメが準主役級です。
「悩みが多いから、私は楽しい物語を書く」 L・M・オルコット
という言葉から始まる本作ですが、この人物こそが「若草物語」の著者名です。
そして、この「若草物語」という4姉妹を中心とした物語が「半自伝的な本」ということが、本作の作り方に関係しているのも注目点なのです。
最初は主人公の次女ジョーが「ニューヨーク」の出版社に原稿を持ち込むシーンから本編が始まり、長女のメグ、3女のベス、4女のエイミーの4姉妹がバラバラに登場するため状況が少しだけ分かりにくいのですが、すぐに「7年前」の4姉妹が「マサチューセッツ」で一緒に暮らしていたスタート地点に戻るので、頭を整理することができます。
ただ、その後にまた「ニューヨーク」にいるジョーのシーンになります。
このように、時間が「今」と「7年前」のように行き来するため、劇場ならではの集中力が少し必要になります。
しかも、本作が独創的なのは、時間軸を「7年前」といったように示すのは最初の1回だけで、あとは観る側に委ねる点なのです。
そのため、例えば、最初は「ニューヨーク」と「マサチューセッツ」という場所が時間軸を判断する上での助けになります。
また、本作では「今」と「7年前」の間を埋めていくため、例えばジョーが居眠りをする時や歩いている時、立ち止まった時などに、昔のシーンに戻っていたりもします。
つまり、観る際には「時間が行き来する作品」だと最初に分かっていると、場面転換の時に「今はどこ?」と確認することで混乱せずに物語をつなぎ合わせことができるのです。
逆に、この視点を持たずに観てしまうと「起承転結」さえも見えずに、ボンヤリとした作品だと感じてしまうことにもなり得るわけです。
頭を整理して美しい全体像が見えた時には、なぜこの物語が今の時代にもシンクロしているのかが分かると思います。
いつの時代も人間の感情の本質は変わらないものなのです。
この映画は、必要に応じて時間を行き来させる手法により、物語を重層的に広がっていかせることに成功し、観終わった後は多幸感も広がっていく名作だと思います。
(評価を4.5にしたのは、時間軸の話を事前に知らないと混乱する人が出かねないためです)
2023年1月17日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD
ネタバレ! クリックして本文を読む
1868年に刊行された児童文学の名著『若草物語』と、1969年に刊行されたその続編『続若草物語』を、現代的な解釈を加え新たに映像化。
それぞれの幸せを追い求めるマーチ四姉妹の姿を描きだすウーマン・シネマ。
監督/脚本は『レディ・バード』『犬ヶ島』(出演)の、女優としても活動しているグレタ・ガーウィグ。
四姉妹の次女にして作家、ジョー・マーチを演じるのは『グランド・ブダペスト・ホテル』『レディ・バード』の、名優シアーシャ・ローナン。
四姉妹の長女、メグ・マーチを演じるのは『ハリー・ポッター』シリーズや『美女と野獣』のエマ・ワトソン。
四姉妹の末っ子、エイミー・マーチを演じるのは『トレイン・ミッション』『ミッドサマー』のフローレンス・ピュー。
資産家の跡取りにして四姉妹の古くからの友人、セオドア・ローレンスを演じるのは『インターステラー』『君の名前で僕を呼んで』のティモシー・シャラメ。
四姉妹の伯母を演じるのは『プラダを着た悪魔』『マンマ・ミーア!』シリーズの、レジェンド女優メリル・ストリープ。
👑受賞歴👑
第92回 アカデミー賞…衣装デザイン賞!
第25回 放送映画批評家協会賞…脚色賞!
第73回 英国アカデミー賞…衣装デザイン賞!
舞台・映画・ドラマなど、何度も映像化されている超有名アメリカ文学作品が原作。
「世界名作劇場」でアニメ化(1987年)されているため、日本での知名度も高い作品であります。
主人公ジョー・マーチには作者であるルイーザ・メイ・オルコット本人の人生が投影されており…って、そんなこと今更言うまでもないですね💦
まず申し上げておきますが、わたくし『若草物語』を読んだことがございません!
アニメも観たことが無いし、舞台はおろか映画やドラマなどの映像作品も完全に未見。
なんか『赤毛のアン』みたいな話なんでしょ?くらいのふわっとした印象のみという、完全なる無知の状態での鑑賞であります。
「今更『若草物語』なんて古臭い作品、観る気起きない〜…😮💨」
とか思っていたのですが!が!が!!
いざ鑑賞してみてぶっ飛んだ!凄まじく素晴らしい映画じゃあないですか!
冒頭、小説が売れたことに対する喜びを抑えきれないジョーの、スカートをたくし上げながら群衆の中をダッシュするという描写。もうこれだけで、この映画が傑作であることがわかる。ただ爽快感のある印象的なシーンというだけではなく、ジョーというキャラクターの説明とこの物語全体を通して描こうとしていること、それらを短い時間で端的に描き切っています。上手すぎるっ!👍
この冒頭のシーンをはじめ、とにかくジョーは生命力に溢れパワフル。
こんな女性が身近にいたら、そりゃローリーじゃなくても惚れる💖結婚しなくて良いから側にいて欲しい…。
構成のうまさ、ビジュアルの美しさをのぞいても、ジョーを魅力的に描けているというだけで100点満点がすでに出ちゃっていますこの映画。
魅力的なジョーにメロメロになると同時に、自らの夢に向かって真っ直ぐに進む彼女の姿に共感せずにはいられない。
自分自身とジョーを重ねてしまうからこそ、華やかな少女時代と灰色な日常を送る現在とのギャップに胸が締め付けられ、もう中盤くらいからは涙がとめどなく溢れてしまった…😭
結婚だけが女の幸せではないと確信するジョーのパンキッシュな魂と、それでも揺れ動いてしまう孤独な心のせめぎ合い。それこそが本作の見所。
それが終盤まで最高のバランスで描き込まれていたからこそ、物語が終着点へと向かうにつれてどんどん不安が募り始める。
メグの夫婦仲は改善し、ローリーとエイミーは結婚。「結婚だけが女の幸せじゃない」というメッセージがだんだんと揺らぎはじめ、極め付けにベア教授がジョーの元を訪ねてきたところでその不安は現実のものに。
いや結局結婚するんかーいっ!💦これまでの話は何やったんや一体…。
と思わせておいてからの、まさかのクライマックス。いやこれにはやられましたね正直なところ。観客の意識の隙をついた完璧なカウンター一閃!🤜💥
これは完璧すぎる現代的な解釈!ロバート・アルトマン監督の『ザ・プレイヤー』(1992年)を髣髴とさせるそのエンディングは、価値観を押し付ける世間の風潮や商業主義に染まった「ロマンス」を売り物にする業界へ強烈なファッキューをかましつつ、創作に携わる人間を無償の愛で包み込む。
ここまで完璧な古典のリコンストラクションは観たことが無いかも知れません。
一点気になったことを述べるとするなら、キャストの年齢。
四姉妹のキャスティングが完璧だったことは間違いない。
…間違いないのだが、この映画は現代と過去、7年という時間を振り子のように行ったり来たりする。
ジョーの年齢は明言されていないが、クライマックスの彼女の年齢を25歳くらいとするならば回想での彼女は17〜8歳、エイミーの年齢はそれよりももっと若いことになる。
超好演しているとはいえ、さすがにシアーシャ・ローナンやフローレンス・ピューがティーンエイジャーを演じるということにはちょっと違和感。特に演劇に夢中になるという少女らしさ全開のシーンなんかは結構な無理矢理さを感じてしまった😅
もう一点述べるとするなら、確かにエマ・ワトソンの方がシアーシャ・ローナンよりも歳上。歳上なんだけども、童顔のエマに対してシアーシャはかなり大人びて見える風貌なため、エマとシアーシャの姉妹関係が逆に見えちゃう。割と中盤までジョーが長女でメグが次女だと思ってた。
それとフローレンス・ピューと三女ベスを演じたエリザ・スカンレン。この2人だとどうしてもピューの方が大人に見える。というか実際ピューの方が歳上だし。
だから本来メグ>ジョー>ベス>エイミーという姉妹関係が、ジョー>メグ>エイミー>ベスに見えちゃうのです。
まあこの姉妹関係に関しては、誰が長女で誰が次女だろうと物語上なんの影響も無いので別にどうだっていいっちゃいいんだけど、気になることは気になる…。
なんのかんのと書いてますが、ともかくこの映画は隅々まで美しい✨
アカデミー賞を受賞した衣装デザインはもちろん、1860年代の街並みや家具や食事なども眼を見張るほどの華やかさ。
そして何より、四姉妹のえも言われぬ美しさ💕
特にシアーシャ・ローナン、綺麗すぎてビビった!ロングもショートも似合い過ぎ。ボーイッシュな衣装も素敵。
もうわたし、完全にシアーシャ・ローナンの虜であります…。はあー尊い…😍
今後『若草物語』を映像化する際、絶対に避けては通れないであろう文句無しの傑作!
150年以上昔の古典を換骨奪胎し、見事なまでの守破離を見せてくれたグレタ・ガーウィグ監督の手腕に惜しみない拍手を送りたい👏
※原題は『Little Women』。これが『若草物語』の原題なんですね。知らんかった。
『Little Women』を『若草物語』と訳した訳者の方、本当に素晴らしい詩的センスを持ってらっしゃる✨
それにひきかえ、この映画の邦題を決めたヤツのセンスの無さ…。よくこんなにダサい邦題を考えられたな。逆に凄いわ。
2022年12月31日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD
小さい頃夢中で読んだ若草物語。
あー。そうだった。と、記憶を紐解いた135分